62話
「ふーくんってくじ運良い方?」
本日も元気に登校中の俺とさくらですが、さくらに突然くじ運を聞かれております。
「くじ運…いやー、そんな良くないけど。急にどうした?」
「そっか〜。私の好きなバンドあるじゃん?」
あー。あの朝ごはんがなんとかの歌の人たちか。
「おぅ、それが?」
「ファンクラブ限定のオンラインくじみたいなのを今週やってて〜、全然当たらないの!!」
おぉ…それでくじ運。
「なるほどな、当たったら何もらえんの?」
「サイン入りグッズ! 参加賞もあるけど、やっぱり当てたいの〜」
サイン入りグッズか。ファンにはたまらない一品だろうな。
「それは当てたいな。でも、俺もくじ運強くないしなー」
「だよね〜、神様に祈って頑張るしかないか」
あー、俺が強運ならなー。
「あ」
「ん? ふーくんどうかした?」
「強運の人知ってるわ」
「え、誰!誰!」
「おー、それで強運の俺にサイン入りグッズを当ててほしいと」
「そうなのー! お願いします!!」
「運いい方だけど、当てられるかなー。まぁ、俺なら当てられるかー! さくらちゃんのために頑張りますよー!」
俺の友人、智は小学生の時にスーパーのくじ引きみたいなので1等を当てた強運の持ち主だ。俺ができないのは残念だが、智…さくらを喜ばせてやってくれ!!
「よーし、行くか」
「お願いします!」
さぁ、どうだ…!
「おはよー、何してるの?」
おっと、ゆみたくカップルがご登校しましたね。
「今私の元にサイン入りグッズがくるように、智くんにお願いしてるとこ!」
「あ、ファンクラブのくじって言ってたやつ?」
「これだって、俺が今から思いを込めてこのボタンを押すとこよ」
智がさくらのスマホをゆみさんとたくに見せている。なるほど、別にどれか選んで押すわけじゃないのか。
「こういうのってもう何が出るか決まってるんじゃないのー?」
ゆみさん、俺もそう思いました…って、え!?
「あー! たく、何勝手に押してんだよー!! ごめん、さくらちゃん!」
「あはは、びっくりした! まぁいいよ! 智くんには明日…」
お? さくらが黙ってるな。
「ま、待って! 見て、当たってる! これ当たってるよ!!!」
「うわ、マジじゃん!」
すげぇ…。たくって強運の持ち主だったのか…。
「たくにいいとこ持ってかれた! 俺の運だって!」
「さくらさんのアカウントの運だよ。押したくなって…ごめんね、さくらさん」
たく…すごいけど、押したくなってで人の運命を変えちゃダメだぞ??
「いや、あの、ありがとう!!」
「たくすごいね、さくら大喜びだよ〜」
朝から教室で騒ぐ俺たちですが、さくらが喜んでくれてよかったです。…俺も運が良くなりてぇ。
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