第16話

“初めまして、葉山由美香と申します。突然のお手紙ごめんなさい。お話したいことがあります。今日の放課後、体育館横の像のところでお待ちしています。よろしくお願いします。”


「おー、告白だな」


「わ、智。読むなよ」


「えー。史人くん隠すなんてやましいのかな〜??」


「ちげぇよ。人に読ませるのは書いた人に失礼だろ」


「ほぉほぉ。で、行くの? いつも手紙すら受け取らないのに?」


「んー。行かないとずっと待ってくれそうだよなー」


「まぁね。読んだ感じしっかりした子っぽいし、明日の朝までいるかもな!」

手紙を受け取ったのは俺だし、行ってあげないと失礼だよな…。


「史人ー、聞いてるか? さすがに明日までってのは冗談だぞー」


「行くわ」


「え。彼女いんのに?」


「さくらにもちゃんと言うし」


「ふーん。さくらちゃんのこと悲しませないようにな」


「当たり前だ」


「ならいいけど、どんな告白だったか聞かせろよ〜」


「言わねーよ」

放課後のこと、さくらに言っとかないとな…。



…と思っていたらもう放課後。


「ふーくん、帰ろ〜!!」


「あ、さくら。えっと、放課後に呼ばれてて…」


「先生から呼び出し〜、何したのー?」


「いや、えっと。後輩? の女子が…。昼、昼休みに女子から手紙もらっちゃって。放課後来てほしいって書いてあって」


「ふーくん手紙もらうの珍しいね」


「突然で、受け取っちゃった」


「たぶん、告白だね」


「う、うん」

さくら、怒ってるか?


「告白だったら断る?」


「当たり前だろ」


「…かわいかったよ?」


「さくらよりかわいい人もさくらより好きな人もいない」

って俺は何恥ずかしいこと言ってんだ!?


「…うふふ、ごめんね。意地悪言っちゃった」

お、さくらが照れてる。


「俺こそ手紙受け取ってごめん…」


「ふーくんが不安から解放してくれたから大丈夫! 行ってあげてね」


「おぅ」


「教室で待ってるね」


「おぅ、ありがとな」

えっと…体育館脇だよな。すぐ行って断ってこよ…失礼なこと考えたな。



体育館の…横…。あ、いた。昼の女の子だ。

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