第15話

「史人ー、呼ばれてるぞー」

教室の入り口でクラスメイトがお呼びです。


「はーい」

…女子か? 女子だな。誰だ?


「あ、あの史人先輩。これ読んでください!」

お、手紙。


「では、失礼します!!」

あ、受け取っちゃった。って、もういないし…。いや、告白とは限らないし。受け取らないのは失礼か。


「史人、それラブレターじゃね?」

やっぱそうか。


「わかんない」

席戻って読むか。


“え。史人くん、さくらさんと付き合い始めたんじゃなかったの?(生徒Aさんの心の声)”


“史人…さくらさん心配そうだぞ。そんな顔させてるとさくらさん奪っちゃうぞ!(生徒Bくんの心の声)”


“史人くんとさくらちゃんが付き合ったって勘違いだったのかな?(生徒Cさんの心の声)”


“ふみさくカップル推しカプなのに〜(生徒Dさんの心の声)”


“今日の弁当の唐揚げうまい。母ちゃんありがとう!(生徒Eくんの心の声)”


「史人、手紙もらわない主義じゃなかったのかー」

一緒に弁当を食っていた智に聞かれました。


「あー、そうなんだけど。ラブレターかわかんないし、渡して逃げてっちゃったし。読もうかな」


「モテる男は辛いね〜。一応言っとくけど、さくらちゃん心配そうに見てたぞ」


「え、まじ!」

さくら、俺はさくら一筋だから安心して!! って、もうこっち見てないや。


「何喜んでんだよ」

あ、ちょっと嫉妬されて嬉しい心が顔に出てしまった。


「喜んでねぇよ。ちゃんとさくらには話すわ」


「おぅ、そうしろよー」

何でこんないいやつモテないんだろ。


「お前今智は何でモテないんだって思っただろ」


「え、バレた」


「うっせぇ、俺には美咲さんがいるからそれで充分なんですー」


「おぅ、そうだな! お幸せに!」


「素直すぎて腹立つわー、ありがとな!」


「おぅ!」


「あー、美咲さんに会いてぇ」


「バイトは?」


「今日シフト被ってないんだよなー」


「そっか、残念だな。頑張れ」


「おぅ、美咲さんいなくても頑張るわ! あー、でも会いてぇなぁ」

毎日さくらに会える俺って幸せ者なんだなぁ。


「手紙、読まないのか?」


「あー」

そうだ、手紙。普通にラブレターか?(モテる史人にはラブレターも普通にラブレターです)まぁ 飯食ったら読もう。

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