第12話

「ただいま〜。あら? あ、史人くんまだいるの?」

お、さくらのお母さんがご帰宅されたようです。


「あ、ママおかえり〜! ふーくんにご飯食べてってもらおうってなったの〜」


「すみません…。えっと…お邪魔してます」


「いいのよ〜。たまに会っても話したりできなかったし、久しぶりに話したかったのよ〜」

そうだな。たまに会うことはあっても、挨拶だけとか母さんが話して終わりとかだったもんな。


「ありがとうございます」


「あら、パパ料理してくれてるの?」


「おぅ、今日はハンバーグだ!」


「ごめんなさいね、私の当番なのに」


「急に仕事が入って疲れたろ? そういう日は当番関係なくって言ってるだろ?」


「うふふ、ありがとう」

おぉ。俺もさくらもいるのに…ラブラブだなぁ。


「あら、もふ〜! かわいい! あ、でもちょっと着替えたりしてくるわね」


「はーい」




「ママ、これふーくんが買ってくれたんだよ〜! 選んだのもふーくん」


「あら〜、センスいいのね。さくらもお洋服選んでもらったら?」


「なにそれ〜、私が服のセンス悪いみたいー!」


「あはは、史人くん選んであげて」


「え…えっと。さくらはいつもかわいい服着てると思いますよ」

思ったことを言ったけど…恥ずかしいこと言ったかも? あ、さくら赤くなってる。


「うふふ、2人ともラブラブね〜。よし、そろそろもふはお家ね。お洋服脱がせてあげますからね〜」

ん? さくらはお母さんにだけ付き合ってることを言ってるんだろうか…。




「よーし、ご飯できたぞ〜」


「わぁ、美味しそ〜」


「史人くんはそこに座ってなー!」


「ありがとうございます、美味しそう」


「ハハハー! よかったよかった! じゃあ、いただきまーす!」


\いただきまーす/


「そうだ、史人くんパパがゆっくりしてこいって言ってたぞ。史人ママにも連絡してもらったから思いっきり食べてくれなー!」

思いっきり…食べる?


「ありがとうございます、いただきます」


「史人くん、固いなー! 昔みたいに楽しく行こうよー!」

いや、さすがに小学生みたいには…。昔からの知り合いとはいえ、彼女のお父さんだし。


「はい。できる限り…」


「パパ、ふーくん困らせないでよー。ふーくんだって大人になったんだから話し方くらい変わるでしょ!」

うん、さくら大正解。


「そうかー、寂しいなー」

成長しちゃってすみません。でも。善処しますよ、お父さん。


「史人くんは部活とかやってるの?」

お、今度はお母さんから質問か。


「いえ、入ってないですね」


「あら、さくらと同じね〜」

一緒に帰ってるのもバレてないのか? 一緒に登校してるのは知ってそうだけど。


「でも、ふーくん運動得意だよ〜」


「あら〜、じゃあ何で部活入らなかったの?」


「えっと、勉強に集中しようと思って。あと、遊びたかったからですかね」

さくらとの青春だって大事だし。


「勉強ね〜、えらい!」


「ありがとうございます」


「さくらも見習いなね〜」


「はーい」


「じゃあ、次はー…」


さくらとの夕食を楽しみと言うより…さくら父母に面接されてるみたい…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る