第13話

そろそろさくら宅での突然の夕食会が終わりそうです。


「美味しかったです。ありがとうございます」


「よかった〜、こちらこそありがとう! 楽しい時間を過ごせたよ〜!」


「またご飯食べに来てね」

お父さんもお母さんも変わらず優しいなぁ。


「お腹休ませてから帰りな」


「ありがとうございます。でも、大丈夫そうなので…そろそろ」


「ふーくん、もう帰っちゃうの?」

さくら、親の前でもそれはかわいいからやめて!!


「もうって、19時よ〜。気をつけて帰ってね…あ! お父さん送ってってあげたら?」


「おぅ、車出すぞ」


「いやいや、申し訳ないです! ってか、そんな遠くないですし」

歩いて15分くらいなのに優しいなぁ。


「いいから、いいから〜。暗いし、乗ってきな!」


「本当に大丈夫です! ありがとうございます!」


「じゃあ、俺史人くんパパに会いたいから史人くん家行くわ。で、ついでに乗りな?」

なんだ、その巧妙な手口…。分かりやす過ぎる!!


「えっと…。本当に大丈夫なんですけど、お言葉に甘えますかね」

ん? 待てよ。俺、父さんにも母さんにも付き合ったこと言ってないけど大丈夫か? まぁ、別に言い訳もせず“遊びに行く”って言って、さくらのお父さんが連絡してるわけだから変ではないだろうけど…。


「よーし、決まりだ〜。さくらも行くか?」


「うーん、ママの手伝い…」


「うふふ、お皿洗いとか私1人で充分よ。いってらっしゃい! 私はお家で待ってるわ」


「ありがとう、じゃあ私も行く!」

一緒にいられて嬉しいけど、何でさくらも一緒に行くんだ…?


「鍵とか取ってくるから支度できるかい?」


「はい、ありがとうございます」


「ついでだって言ったじゃないか〜。感謝されるのは嬉しいけどね。じゃあ支度しといてね」


「はい」

そういえば結局2人は付き合ったって知ってるのか? たまに茶化してそうなんだよなぁ。




「よーし、行くか〜」


「はい」


「待って〜、私スマホだけ持ってく〜」




「史人くん着いたよ」


「本当にありがとうございました」

思った通り秒速で着いたな…。信号でちょっと止まっただけ…。


「あ、父さん呼んできますね」


「あぁ、あれは口実だから無視しとけ〜」


「え」


「またゆっくり話せる日に来るよ」


「え。あ、えっと。分かりました…ありがとうございました!」


「ふーくん、また明日〜」


「おぅ、またな」


「史人くん、また遊びにおいでよ〜」


「はい、ありがとうございましたー!」


「バイバーイ」


俺を降したさくらのお父さんはまた行きと同じように秒速で帰りました。楽しい充実した1日だったなぁ…。次はさくらとカップルっぽいことをするデートがしたいなぁ。

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