第11話

「もふにお洋服着せてなかったね〜」

お父様のご帰宅によりカップルっぽいことは中止ですね…。


「そうだな、着せる?」


「うん! 嫌がっちゃったら今日はやめようね」


「おぅ」



「もふ〜、お着替えしよ〜」

…お着替えって、元は何も着てないけどな。


「ふーくんが、買ってくれたよ〜」


「買ってあげたよー」


「あはは、それだとお金でつってるみたい」


「いや、真剣に仲良くなろうとしてるぞ」


「よし、着れそう!」


「お、頑張れ。何も手伝えないけど!」


「おー、着れたー!! わぁ、かわいい!!」


「やっぱ、似合うな〜」


「写真…写真撮る!! スマホ、スマホ〜」

あ。そういえば今日、さくらと写真撮ってないな。まぁ、デートって言っても家だしな。女子が皆写真撮りたがる訳でもないか。俺ももふ撮ろう。あ、動いちゃうな。ってそりゃそうか。


「あ、ふーくん。先に撮っててずるい!」


「あぁ、わりぃ。ちょっと上手く撮れそうだから待って」

お、めっちゃかわいく撮れた。


「ずるいって〜」


「ほら、見てみ」


「え。かわいい! ふーくん写真上手かったの!?」


「いや、偶然偶然!」


「え〜、すごい! 送ってね!!」


「おぅ、さくらも撮ったら?」


「うん、撮る〜!」

かわいいなー。もふもさくらも。さくらのことも写真撮っちゃおうかなー。1枚だけ…


「おぉ! もふと遊んでんのかー!」

お父さん!!!


「そう、見て! ふーくんがもふにお洋服くれたの〜!!」


「かわいいなー!! 史人くんありがとねぇ!」


「いえいえ」

さくらの写真撮り逃した…。ってか、普通にしてくれてるけど…さくらは俺と付き合ったこと話してないのか?


「ふーくんは上手く撮れてたけど、私上手くいかないな〜」


「ハハハ! ブレてるなー! 貸してみろ!」

お父さん写真上手いのかな?


「あー、私が撮ってたのに〜」


「すぐ返すって。あ、早。うわ、もふー止まって〜」


「あはは、全然だめじゃん」

お父さん、もふに嫌われてたり?


「パパ、写真見せて!」


「どうだ、いいのあるか?」


「あはは! ブレッブレじゃん!」

おぉ、見事にブレて何を撮ったのかって感じだな…。


「これもアートだ! お、そろそろママも帰ってくるだろうし、料理作るかー!!」


「私も手伝うよ〜」

おぉ、さくらも一緒に料理してるのか。


「いやいや、今日は史人くんと遊んでてな」


「俺…僕も手伝います!」


「いいからいいから。ゆっくりしててね〜」


「…ありがとうございます」


俺…子供扱いされてるな。うーん、さくらは付き合ったって言ってないのか。まぁ、俺も親に言ってねぇけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る