第7話
ウーウーというパトカーのサイレンが学校の前に響いた。警察も数人来ていた。深田は第一発見者として警察に事情聴取を受けていた。学校は休みになった。テレビで事件のことが報道されているのを僕はぼーっと見ていた。
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翌日、学校に行くと教室では殺人事件の話でもちきりだった。ざわつきをなだめるように僕は、教卓に手元に持っている教科書をドンッと置いた。ミジョ・ニキ「みんな不安だと思うけどいざとなったら先生が守ってあげるから大丈夫だよ。女子はね。」
青山凛太郎「先生、そりゃあんまりだよー!」
凛太郎の言い方が可笑しかったのか教室に笑い声が響いた。たまにはいいことするじゃんか。その後、僕はいつも通りに学校を過ごした。
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放課後になり生徒たちはみな帰っていった。僕は、透さんが殺人事件に巻き込まれないか心配だったので後ろをつけて帰った。決してストーカーではない。
しばらく後ろをつけていると、黒いパーカーを着て、フードを被り、マスクをつけた人が路地裏から出てきた。そして透さんをつけて行った。きっと透さんが可愛いから着いてきたストーカーだ。許せない。
またしばらくして人気がない場所になった時にパーカーを着た人が透さんの首元をチョップして気絶させた。その男は気絶して倒れ込んだ透さんを路地裏に連れていった。僕は不思議と驚きはしなかった。だが、自然とそいつに殺意がふつふつと湧き上がってきた。僕は全速力で追いかけた。
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僕がパーカーを着た人を追いかけると、そいつは、薄暗い廃工場に入っていった。そいつはパーカーのフードを取った。悔しながら、かなり美形の女だった。女は透さんを椅子に座らせ、猿轡をつけ、手足を縛った。透さんの気絶している顔も可愛いなー。多分、寝顔もこんな感じなのだろう。
おっと、目的を忘れていた。僕は透さんを助けるためにここまで来たんだ。僕は廃工場に入っていった。
正体不明の女「おっと、お客さんかい?じゃあ君も、遊んであげる。ってなんだよ、男か。あいにく僕は男は専門外でね。でも見ちゃったんならしょうがない。始末してあげる。僕の名前はK。連続殺人犯のKだよ。」
なるほど、やはりこいつか。さて、どうやって殺すか。
ミジョ・ニキ「ご丁寧にどうも。僕は、彼女...透さんを助けに来た。」
K「へぇー、この子、透って言うんだー。可愛い名前だね。助けに来たねー。」
そう言うと、Kはニヤニヤしていた表情を変え、鬼の形相になり、僕を睨みつけた。
K「僕はヒーローが大っ嫌いでね!!!君を...殺す!!!」
ミジョ・ニキ「僕も君を殺すつもりだよ。さぁ、やろうか!」
僕が言い終わると、彼女は僕に向かって拳を向け殴りかかってきた。
ミジョ・ニキ「ブースト...」
彼女が肉弾戦で来るなら、僕もそれに答えなければな。ブーストは身体能力が上がる肉体強化魔法だ。
僕は、彼女に向けて拳を放った。彼女は僕の拳をいとも簡単に避けた。早い。これは一筋縄では行かないようだな。しかし僕も彼女の拳を避けた。僕と拳と同じぐらい早い。
K「君、動き早いね。当たってたらきっと気絶してたよ。」
ミジョ・ニキ「君も中々に早い。ではこれならどうかな?」
僕は、後ろに2、3回回ったあと足で彼女の肩を叩いた。彼女も流石にこの動きは予想出来なかったらしい。しかし、この隙を見逃す訳にはいかない。僕は彼女の顔を、1発2発とリズミカルに殴った。そしてトドメに、後ろ蹴りで腹を蹴った。そこで彼女は気絶した。
彼女が気絶したのと同時に透さんが起きた。
透「んっ...んんん...ん!?」
ミジョ・ニキ「あ、透さん起きた?ちょっと待ってね。今それ解くから。」
僕は透さんの猿轡や手足を縛っている縄を解いた。可愛らしい口元が見えた。
透「ミジョ先生、ありがとうございます。ところで、そこに倒れていらっしゃる女性の方は...?」
ミジョ・ニキ「彼女は、連続殺人犯のK。君を殺そうとしていた。」
僕がそう言うと透さんはとても驚いた表情を見せた。そういう顔も可愛いなー...
透「じゃあ、ミジョ先生は私を助けに?」
ミジョ・ニキ「まあ、そんな感じだ。」
透「ありがとうございます!ミジョ先生はお優しいんですね。」
ぐふふ、褒められちゃった。嬉しいなー。
さてと、このクソ殺人鬼は殺すか。僕はKに手をかざし魔法を撃つ準備体制に入った。
ミジョ・ニキ「透さんは離れて。今から強い魔法を使うから。」
透「え、魔法って、まさか先生、その人を殺すつもりじゃ...」
ミジョ・ニキ「勿論その通りさ。だって君をころそうとした殺人鬼だよ?」
透「でもダメです!私は...先生が犯罪者になるなんて嫌です!」
その言葉を聞いて僕ははっとした。そうだ。僕は何をしていたんだ。僕は彼女を助けるためではなく、怒りに身を任せてKを殴っていた。
ミジョ・ニキ「そうだな...すまなかった。僕は...なんてことを...」
透「大丈夫です。先生、警察を呼びましょう。」
僕は透さんの言う通りに警察を呼んだ。僕は正当防衛ということで、逮捕はされなかった。
翌日からまたいつもと変わらない日常が始まった。
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