第8話

 頭痛が訴え始め、寝ていることに気付き、目を覚ますと星のない夜空を見上げていた。

 近くには斎花が寝ていた。


 「生きて…いる」


 幻覚ではないか確かめるため、斎花が息を吸っているかどうか確認した。小さい寝息が聞こえ、安堵した。

 周りには同じように寝ている人々がいた。

 この辺りはあまりあの爆弾の被害を受けなかったようだ。


 斎花が大丈夫だと知り、安心したが、また別の感情が湧いてきた。


 最後に見た人達、燃えた人達はどうなったのだろう。燃料間と銀行にいた人たちは無事だったのだろうか。

 そういう思いに馳せられ、罪悪感が積もっていった。

 助けられたと思うと、重荷が心の中に乗っていた。


 「と…つか…」


 しかし斎花が俺の名前を呼び、すぐそこへ意識を向けた。

 

 まだ明日がある。これからやることなども話さなければいけない。今は休まなければいけない。斎花は俺を抱えてここまできた。明日には俺が助けなければいけない番だ。


 チック


 しかし突然時計の音が聞こえ、懐中時計のことを完全に忘れていることに気付いた。すぐに懐の中闇の周りを探そうとしたが、どこに見つからなかった。立ってもっとこまめに探そうと思ったが、光のない夜で探すのは無謀だと気付き、諦めることにした。


 さっきの音は幻聴だったのか、それとも他の人の時計だったのか。そもそも最後に使った時に壊れたと思い出し、少しため息を吐き、寝ることにした。


 まだ時間があると言い聞かせ、斎花と一緒に休むことにした。

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今まで 西東秋本 @akim0t0

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