参
「和哉さん、ですね? わかりました。では、僕はなんとお呼びすれば宜しいでしょうか?」
「できれば、でいいので"父さん"って呼んでくれませんか? やっぱり、変、ですよね……」
言ってすぐに武雄は後悔し、目を伏せる。
居候屋といえど、年若い青年なこんなことを頼むなんて……申し訳ない。一体、何をやっているんだ、わたしは……。
「父さんって、呼ばせて下さい」
その言葉に
「あぁ、敬語はなしで頼む。あと、和哉は十歳で、自分のことを"俺"って言っていた!」
かつての息子の存在を
武雄の瞳に希望が差したように輝いていたことは、武雄自身しるところではないが、武雄の真剣な
「わかった、父さん!」
「和哉……‼︎」
武雄の目の前にいるのは見た目の年若い二十代くらいの青年で、どうみても十歳には見えない。
だが、"父さん"と呼ぶ声、笑い方が武雄の記憶の奥にしまわれた本物の和哉の
「和、哉……」
武雄は右肘をちゃぶ台に立て、掌で顔を
武雄の唇は声を出して泣きたい
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