弐
「あなたの名前を呼ぶのは、駄目なんですか?」
居候屋という職は、本名を名乗ることが禁止されているのだろうかと武雄は考える。
ストーカーとか犯罪防止のためだろうか?
「あぁ、説明が足りなくてすみません。居候屋を家族の一員として名前をつけて呼ぶ方が結構多いんですよ。例えば、死別した妻や亡くなったペットの名前とか。あとは、片想い中の異性の名前だとか。それで、希望に応じてその設定で過ごすこともあります。もちろん、僕を本名で呼んで知り合いや友人のように過ごす方もいらっしゃいますよ」
武雄は、しばらくちゃぶ台の一点を見つめて考えた後におずおずと一直線に結んだ口を開いた。「では……」と意を決して目の前の彼を見つめる。
「
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