居候屋、来たる
壱
───現在時刻午前五時五十五分
城島の自宅のインターホンが鳴る。
「
戸の向こうから昨日と変わらぬ青年の透き通るような爽やかな声が聞こえた。
「昨日ぶりですね、城島さん! 約束の五分前ですが、大丈夫でしたか?」
「はい、大丈夫ですよ。起床時間はもっと早いですから」
そこには、笑顔を浮かべたポケットティッシュの彼がいた。
だが、昨日とはずいぶんと印象が違うような気がして、なぜだかその雰囲気が自分の息子と重なり、懐かしいなと武雄は思った。それは、彼の格好が黒いコートではなく、Tシャツでラフな格好をしていたせいかもしれない。
「どうぞ、上がってください」
「お邪魔しまーす」
とりあえず、居間で麦茶を飲むことにした。あちらは居候として過ごせばよいだけだが、サービスを受ける側としては、どのように接してゆけばよいのかわからない。であるから、武雄は客人をもてなす時のように
「
「僕、
「わたしの息子も
「へぇ~、そうなんですね」
彼は武雄の話よりも、
武雄としては有り
「あ、そうそう」
彼は何かを思い出したようで、
「僕の名前なんですが、好きにつけて呼んで下さい」
「はい?」
武雄はその言葉の意味を呑み込めず、口を半開きにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます