隣り合う幸せ 2

 隣にいる茜は私、三崎 灯が彼女を女性として好きなことをいつなったら気付くのだろうか?

 中学校に上がった頃偶然クラスメイトになった黒瀬 茜に恋をした。より正確にはそれは憧れで早とちりでだった、あの時の私は恋に恋するお年頃だったしなんとなく男子は汚いと思っていたからそもそも恋愛の範囲に入っていなかった。それが彼女に対する感情の取違の原因、過ちの始まり。


クラスメイトとして彼女と挨拶を交わすだけの日々が続いた、「おはよう」と言えば「おはよう」って帰ってくるそれだけで満足していた。

 いくら恋をしたからといっても身も心も未熟で愚かしい中学生だった、漫画やテレビを見てもみんな同じように出会って寄り添って別れていく、もどかしかったいっそう最初から愛を確かめ会えば離れたり喧嘩しなくて済むのにって思っていた。だからあの日間違いを犯した。

 簡単に言えば彼女を呼び出して告白してそのままキスしたのだ。あまりにもあっけなくその行為は終わり、なにも生まなかった。

 それが恋でないと知ったから、キスによる快楽に歪んだ表情の彼女を見た、これは違う何かだと思った。

 その場から速足で逃げた。もう彼女の顔を見たくなかったし自分の顔を見せたくはなかった。けれど次の日の朝、登校した彼女は何事もなかったかのように挨拶をしてくれたし私も挨拶を返した「おはよう」と。そこまでやって初めてそれが彼女の持つ孤独への憧れであると私は知った。


 それから長い年月が経った。私は二十歳になった、お酒を飲むようになったし大学にも通うようになった。久しぶりに会った彼女とさも当然のごとく話せるようにもなってしまった。そして過ちは過ちではなくなった。

 今日も飲みに行く私が初めてを捧げた、愛しき彼女と。

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