第23話学級委員長は意味深な言葉を口にする

数日経過したある日、ショッピングモールで部屋着がよれよれになっているため、新しい部屋着を買おうと服屋にいた。

すぐに購入して、服屋を出たところで、透と心彩が和気あいあいとしながら手を繋いでいるのに出くわした。

「よー、はるっち。ちょっと会わない間に変わったよな。いつもと違ってちょっと暗くない?雰囲気とか表情が」

「そうかな。良くわかんないけど、それより二人って付き合ってんの?」

「そうとも言う。恋人ってわけじゃないけど、近々って感じぃっ。花屋さんから買い物に付き合ってほしいって、頼まれて付き合ってんの。」

透は、照れたように前髪を弄りながら、明るく話す。

「へぇ。花屋、どうかした?」

俺は、心彩の表情に違和感を覚え、訊ねた。

......

心彩は、微動だにせず見透かしているようなをこちらに向けた。

「どういうこと。何の話ししてんの、花屋は?」

はいいよ。。私は」

淡々と言葉を続けた後、忘れていたことに気付いたように瞬きをした心彩。

「......」

いつもミステリアスで、とらえどころがないような心彩だが、この瞬間が良くわからない。

意味深な言葉に引っ掛かっていく、俺がいる。

「花屋さん、そこまで言わなくても。俺達友達だよ、仲良くしよっ」

「嫌いとは言ったけど、いつもの香河くんは嫌いじゃないとも言ったのを忘れたの。勘違いしないで、香河くん」

心彩は、透に向き直って言った後、こちらを向いて言い聞かせるようなトーンで言った。

「......」

「えっと、はるっちってもう帰るの?まだなら一緒にどう......かな」

「ああ、何もないから少しだ──」

「あれ、透じゃーん!会えるとは思えなかったよ......って、あんたらもいたんだ」

遠くから声が聞こえ、駆け寄ってきた人物は、俺と心彩がいることに声のトーンが落ち、睨む。

「おっおう、川木沢。俺の友達にその態度はやめてくんないかな」

「ごめんって。花屋とつるんで私はだめなのは何でか教えてくんない、透?」

透との接し方は、穏やかなのに俺らの扱いが雑何だよな。

「性格が合わないっていうか、釣り合わないと思ってるから......」

「花屋の方がよっぽど透と釣り合ってなくない?」

「そういうとこが無理なんだよ、川木沢のっ。ごめん、言い過ぎた」

透が声を荒らげるのを見たことがないので、びびってしまう俺だった。

「......私もごめん。透、嫌いにならないでよっ。透に振り向いてもらえるように、嫌なところを直すからっお願いだよ。ねぇ透っっ!」

俺には、川木沢が、透に執着する理由がわからない。

彼女が、透を特別な存在にしているのが。他人ひとを見下しているのに、一人の男子──理解できない。

何故、彼女は涙を流しているのだろう。


俺──香河春は、他人ひとの感情が理解できない。


泣き崩れ座り込む川木沢に、透は手を差し出そうとはしなかった。透は、薄情なやつではないはずだ。俺とは違って。


俺は、茅透と川木沢との間に何があるかは知らない。



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