第18話癒しを求める
俺は、神前と別れた後に
視詩乃さんは、俺が注文した物を運んでくれた女性だ。
ショッピングモールで、夏花が部活を終え、訪ねてくるまでの暇潰しで来ていた。
本屋に立ち寄り、漫画の新刊コーナーを眺めていた。
特にこれといった漫画がなかった。
ラノベコーナーで、一冊だけ気になったのを手に取り、レジに向かう。
会計を済ませ、本屋を後にした。
小腹が空いて、一階にあるミスドに向かうことにした。
ミスドが見えてきたところで、こちらに歩いてくる一組のカップルが目についた。
気付いてないフリをしようと、目線を逸らした。
女子の方が、会話を遮り、大声で名前を呼んできた。
「あれっ、ハルじゃん。おーい、私だよー」
腕をぶんぶんと左右に振り、満面の笑みを浮かべ、彼に構うことなく、駆け寄ってきた。
彼女の胸が大きく揺れていて、周りにいたカップルや男性が食い付いていた。
「ちは~、ハル。無視なんて酷いなぁー、5年も付き合いのある私に。それはないよっ~、傷ついた~」
俺には、彼女が傷ついたように見えなのだけど。
「傷ついたように見えねぇけど、悪い。デートしてんだろ、彼と」
「そうだね~、退屈過ぎたからハルに会えて救われたよっ」
笑顔で、付き合っている彼とのデートを退屈って言いやがった。
「退屈って。彼にめっちゃ睨まれてるし。刺されないかな、俺」
「だいじょっっぶぅっ。私がいるからねっ」
「元凶が大丈夫って言っても説得力ないんだけどっ!」
「まあまあ。前々から気になってたけどさぁ、ハルってモテんよねぇ!何でモテ始めたの?」
笑みを浮かべた顔を近付け、腕を身体の前で伸ばし、ひとさし指を俺に向けながら、器用にひとさし指で円を描きながら聞いてくる。中腰になり、前屈みで胸を主張しているように。
かすかに、ブラが見え......
「えっとぉ......モテてるなんて自覚はないんだけど。そうか?」
「無自覚モテ男ってかぁっ!ハルはぁ~」
叫んで、嘆き始める彼女。
両手で顔を覆い、呻き始めた。
面倒臭いのに絡まれたと今更思う俺だった。
「無自覚モテ男って、嫌なんだけど」
「事実でしょーがぁっ!可愛い後輩ちゃんといちゃラブしてるし、元カノもいるんだからっ!」
「その二人だけだよ。付き合いがあるのは」
「二人も、でしょ!だけって、だけって言うなぁー」
俺は、叫び狂う彼女に付いていけないでいた。
俺の前だけ何だよな、彼女がいろんな表情をするのは。
彼女──宇佐見みえなは、中学からの付き合いで、中高でクラスが別れたことがなく、5年も一緒にいる女子だ。茶髪のミディアムショートで多少色気を感じさせる。クラスでは、属したグループで嫌われないように
「おーい。みえな、そろそろ行かね?」
彼が宇佐見の肩に手を置いて、促す。
「いくぞー、俺をのけ者にして──」
彼は、彼女を引きずっていく。
「ハルぅー、まだハルとはな──」
もう最悪だよ。これで夏花の機嫌が悪ければ──。
ミスドの前にできていた列にならぶ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます