第8話カフェまで呼び出された

数日が経過して、土曜日。

落ち着いたカフェで、ふわふわで分厚いパンケーキにナイフをいれていると正面から女子が謝り、椅子に腰かける。

「ごめん、呼び出したのに遅れて」

「いいよ、佐井川さんも頼んだら。美味しそうだよ、このパンケーキ」

「うん、すいませーん」

彼女は、手を上げ声をかける。

注文を終え、本題に入る前に気になったことを聞いてきた。

「香河って、パンケーキ食べるんだ。意外。紅茶は、驚かないけど」

「そう?なっちゃん、いや、遠野さんと一緒だと食べてたけど。聞いてないの、佐井川さん?」

パンケーキを一口食べて、聞く。

「言ったっけ、聞き流してたかも。教室でもその笑顔でいればいいのに、香河」

頬杖を付きながら、思い出した後、余計なことを口にした彼女。

「疲れるだけだよ。そう思わない?」

俺は、短く返し、同意を求めた。声のトーンが低いのに自身が驚いていた。

「人それぞれ、何かしらあるから。まあ、香河がそう言うならそうなんだろうね。否定はしないよ」

「遠野さんを気にする割に惚気っていうの、カップルの話には興味ないんだね。佐井川さんは」

「無いわけじゃないよ、乙女だし、お年頃だし、カップルのイチャイチャは羨ましい。けど、凪沙が離れていく感じがして、嫉妬なんだろうね。素直に喜べない。好きなんだよ、一人の女性として、一人の友達として、凪沙のことを。愛しているんだよ、悪いことなんかじゃない、そうだろ。

彼女が、俺の苗字を呼んだとき、胸がざわついた。多くの感情がいりまじった叫びになんというのかわからないものを感じた。

──凪沙に手をさしのべない香河、......

と、言葉が続いた。

彼女は、憎悪に満ちた声とを俺に向けた。

「遠野さんのことだと、思ったよ。佐井川さんの想いは理解したよ。佐井川さんの気持ちを汲んであげたいけど、彼女が避けている以上無理なんだよ。俺はどうすれば、佐井川さんの高ぶった感情が抑えられるのかな?」

「......」

「俺は、どうす──」

「凪沙に香河の想い──を、伝えて」

彼女は、テーブルに頭をつけて頼み込む。

「これ以上、期待はしないでよ。それと、別れた原因を聞けたら、解決すると思う」

俺は、ティーカップの紅茶を飲み干す。

「......言い過ぎた、香河。ごめん、なさい......」

「いいな......」

「えっ?」

「遠野さんは、こんな素敵な友達がいてって事。ほしいよ、まったく......」

俺は、残りのパンケーキを平らげる。

彼女が頼んだ、コーヒーとパンケーキが運ばれ、食べ終えるのを待つ俺。

俺が会計を済ませ、解散した。


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