第3話睦まじい関係にある後輩
翌日の昼休み。
購買でクロワッサン、焼きそばパンを買い終え廊下を歩いていると、名前を呼ばれる。
「春ちゃんせーぱぁいっ!ボッチ飯ですかぁ?」
「違うからっ!そう言う夏花もボッチだろ、現在進行形で」
大声で突っ込む。
目の前の後輩は手を伸ばし、ひとさし指を左右に動かし、チッチッチッと言ってからウィンクをする。
「委員会で集まってるだけですっ!いつもみたいに言わないでください。多い方なんですよ、友達。春ちゃんせーぱぁいっと違ってぇ」
「はいはい。夏花ちゃんは可愛いですからねぇ」
後輩の頭をわしゃわしゃと撫でながら、赤ちゃんに話しかけるような声をだす。
「心にもないことを言うぅ。くしゃくしゃにしないでくださいっ、髪の毛を。赤ちゃん相手の感じの声、きしょいです。春ちゃん先輩」
春ちゃん先輩のとこが聞いたことのない冷えきった声だった。びびってしまった。
「何だかショックだよ。夏花の低い声なんて聞きたくなかったぁ」
「私としたことがっ!忘れてくださいっ春ちゃんせーぱぁいっ、ねっ」
「忘れられないんだけどぉ。それより、一緒にどう?」
「嬉しいお誘いではありますがまたの機会に~」
満面の笑顔で誘いを断る可愛い後輩。走り去っていくのを見届け、歩きだそうとしたら、ゴキブリに対して抱くような嫌悪感と同じような声が聞こえた。
「春を見てると吐き気がするっ!きっもっっっっ」
嫌悪感駄々漏れの吐き捨てられた言葉に心が折れそうだ。
あまりダメージを受けないよう、周りを気にして、やったつもりが見られていた。うまく気配を消していた幼馴染み。傷が抉られていく。
彼女が気に障るのは俺のどこだろう。嫌われ始めた理由が不明すぎる。
後輩の笑顔に癒されたい。
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