第2話付き合っていた素敵な彼女

俺は、去年の夏休み前から文化祭が終わった日まで遠野さんと付き合っていた。それは事実だ。唐突に別れを切り出された。文化祭が終わった翌日に。

彼女を悲しませたり、困らせたりしたことはない。心当たりがなかった。時々彼女の顔が暗くなっていた、それに気付き声をかけたがいつも通りに返してくれた。

彼女と付き合っている以前から幼馴染みとは仲が悪かったが、付き合っている間とそれ以降から今にいたるまで冷たさが増している幼馴染み。


放課後、俺は遠野さんに会いに行く。

「ミスド行かない?今日」

「私も、行きたい」

「行くの?私、カラオケしたいよ。凪沙、彼が来たよ」

友達の一人が俺に気付き、遠野さんに声をかけて、教室を出ていく。

「春くん、だめって言ったのに」

「言われたけど。そんな顔しないでよ、あの時さ、何で別れたの?教えてくれない、なっちゃん」

「本当、は......わか、れたくなかったよ......私。でもそうしない、と......ごめんね。春くんとは話しちゃだめなの」

申し訳なさそうに言って、涙を流しながら、走って教室を出ていった。

話したらだめで、別れないといけない理由って何なんだ。彼女の本音は聞けた。友達には話しているだろうけど、口止めされている可能性も考えられる。

突っ立っていても、何もわからない。帰るか。


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