現代日本へ某有名モデル機械犬へと転移した女戦士とそれを助けたことをきっかけに魔法少女の力を手にしたさくやが追っ手と戦う現実世界編と、悪の手に落ちかけた『機械犬』の故国の防衛戦争に加わる異世界編。
その二部構成でちょうど一~二冊の文庫本のテンポと読み応えとがある作品で、中短編魔法少女物です。
例のシリーズの元祖をオマージュしたかのような、白黒の魔法少女コンビによる熱いバトル展開も王道ながらも見どころですが、かつ重厚な戦記、軍馬を駆る猛将の前に突然TVに出てくるような魔法少女が出てくるミスマッチぶりがユニークで楽しかったです。
色んな意味で、異世界召喚ものとしても魔法少女物としても他では見られない絵面が目白押し。といった感じにエンタメ物に徹しているので、肩の力を抜いて落ち着いて読み進めていける良作ではないでしょうか。
異世界から現代日本へ飛ばされてきた女戦士「機械犬」は、なんとAIBOへ転生してしまった。そしてそのAIBOを手に入れたのは、ゴスロリ少女・夢野さくや。彼女は機械犬が持つ『星のダイス もに☆もに』の力により、魔法少女に変身することができるようになるのであった!
と、書くと極めて真面目な話に聞こえるのですが、いえフザケタ話でもないのですが、とにかく主人公さくやの妄想力が凄い。魔法少女に変身してからの決めポーズ。そして必殺技。そのごたわりと熱量が半端ないんです。
と、同時に、作者様のナチュラルな欲求なのかクールな計算なのか、全編通してお気に入りのものへの比重も凄い。
魔法少女のコスとかメイクは詳細に描写されるのに、興味のない部分はスルー。その比重の極端な掛け方が、妙にツボに入ります。
魔法少女になりたーい!というのは、さくやの強烈な願望が推進力となり、物語をぐいぐい進めます。その拘りだけで、破滅しかけた異世界までも救ってしまう魔法少女さくや。
後半ちょっとシリアス展開もあるのですが、全体を包むギャグ多めの展開が、ストレスフリーかつ妄想爆発で楽しめます。
魔法少女になりたい! そんな願望をもつあなたこそ迷わず本作を! 夢野さくやが名指しであなたを呼んでます。