第12話 黒のプレイヤー

 俺は《奇縁》を使い、一族を生贄に捧げる。


 そしてデッキから《首裂き魔》を選び、召喚する。


「出てこい、《首裂き魔》」


『ズォア……』


 今までと同じように黒いモヤみたいなのが体から溢れ、それらが集まり、異形の存在を形取る。


 気持ち悪いほどの白い肌に、真っ赤な舌が目立つ異頭を持ち、爪も舌同様に赤い悪魔が、こっちを見ている。


 不気味すぎだろ……


 思わず嫌悪感に顔をしかめる。すると、悪魔がすっとこっちを指さした。


「あ?どうした?って、ぐお!?」


 すると、途端に体に熱が走り、息が乱れる。ライフを見ればきっちり3点削られ、残り15になっている。


「ライフ減少ってこんなにしんどいのか……?」


 思わずぶるりと震え、悪魔から距離をとる。悪魔はこちらを気にしてはおらず、恐竜の方を向いている。


 そして俺にしたように指先を向けると……


『『ギョアアアアアアアアァァァァッッッッ!!』』


「っ!?」


 恐竜が苦しむように絶叫しだした。死んではいないが、体を激しく動かして暴れている。遠目からもわかるほど、目を血走らせ辺りを見渡している。体を動かす度に激しく触れる尻尾によって木がへし折られ、どこに潜んでいたのか、鳥や小動物がけたたましく叫び逃げ出していく。


「き、効いてるっぽいな!よ、よし、お前たち、あいつに攻撃しろ!」


『ヴァッ!』


『ズゥオォォォ!』


 邪教者が例の黒い玉を飛ばし、首裂き魔は上体が揺れない異様な姿勢で恐竜にへと突っ込んで行った。

 

 黒い玉は速度こそないが、音もなく飛んでいき、恐竜へとぶつかれば、目に見えるほどにめり込んでいた。


 そして着弾からやや遅れて首裂き魔が追いつき、恐竜の懐へと潜り込み、その鋭い指先で喉元をざっくりと切り裂いた。


 これがトドメになったのか、恐竜もどきは暴れるのをやめ、ぐらりと傾き、そのままズンっと音を立てて倒れてしまう。大きく2,3度痙攣し、動かなくなる。


「……や、やったのか?」


 思わずフラグのようなセリフを言ってしまうが、どうやら本当に死んだらしい。


「と、とりあえず、この2体がいれば、最低限でかいのが来ても大丈夫だな!」


 改めてとてつもないでかさであることを確認し、そしてそんなでかい恐竜を倒せる自分のモンスターたちに若干恐怖する。


 しかし、彼らは従順であり、逆らいもしない。これは……本格的に、チート貰えたってことでいい気がしてきた。


 ライフは大きく減ったが、切り札も温存できている。


「俺は……必ず、勝ってやる!」


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