エピソード5
「スラッシュテンペスト!」レノは技?のようなセリフを口にする。
「エタニカルロード!!」オズも負けじと技のようなセリフを口にしていた。
獣のモンスターと闘っている数人を見ている私は呆気に取られていた。
二人とも強そうだ。
敵がみるみる衰弱していくのが目に見えて分かる。
と、その時、私の周りにいた癒物達が敵に立ち向かっていった。
「ちょっと待って。コリーナ、ルラ!」追いかけるが追いつかない。
コリーナとルラは封じ込めていた魔力を放出したらしい。
私は訳が分からなくて、ただただぼぅーっとしていた。
するとレノさんが「森子ちゃん、そのまま敵に魔力を当てて!手の中の緑色の魔力を敵に向けるだけでいいから。あと、癒物にバフ掛けてあげて。」
「いいから、早く!」続けてオズにも言われる。
「バフって何ですか?どうすればいいのですか!?」
よく見ると左右にボタンのような物がある。この世界はそのような仕組みになっている。ゲームのように癒物の育成者、又は討伐者は自由にシステムを操作する事ができる。
「そのボタンを押せばいいから!」
「分かりました」
言われるまま、行動を起こすとその巨大な獣は次第に小さくなって、消えていった。
「ありがとう。森子ちゃん、あなたのお陰よ。やったじゃない!」
「そうだな。助かった」
レノとオズに礼を言われる。あれ?お礼を言うのは私のほうじゃない?
「いいえ。二人のお陰です。私は何もしていません。」と首を振った。
「そんなことないわよ。初心者であれだけダメージを与えられるなんて、大したものじゃない?」とレノは言うが、私には疑問しか残らなかった。
「そうだぞ。今回は貴女が頑張ったから倒せた。でも、もっと強くなって頑張りな。私は任務があるから、ここで帰る。」とオズは言い残し、去っていった。
(あの獣のような敵は何だったんだろう…)定期的に現れる敵なのか。
再度、森を抜けるとショップがあった屋台広場に戻ってきた。まだ、賑わっていた。
時刻は16時か…。ふと謎が生まれた。ここの腕時計の時間って現実の世界と同じなのか、違うのか。
「レノさん、時間って16時で合ってますか?」
「うん。合ってる。それがどうかしたの?」
「いえ、現実世界と同じなのがちょっと不思議で。」私は意外といった表情で、焦りながら言った。
それにしてもここの時刻と日本の時刻が同じなのは実に不思議なことだ。世界には時差というものが存在するし、異世界であったとしても同じなのは不思議でしかない。
「それで、話が変わるんですけど、さっき私のお陰だったってどういう意味ですか?私、そんなに大したことしてないのに…」
そう言う私にレノは「さっきの敵、水属性だったのよ。だから、木属性だった森子ちゃんが有利だったわけ。癒物もちゃくちゃくと育ってきてるし、その属性で魔力を使わないと倒せなかったの。オズは闇属性だったし、私は火属性だったから、本当に助かったわ。」
「はぁ。」RPG歴の無いただの一般庶民には通用しない事を
「でも、なんで、私が木属性なの?」と思わず、聞いた。
「さあ…?木林森子ちゃんだからじゃない。名前の通り。木と林と森。木属性っぽいじゃない。」と予想外の反応をレノは示した。
「ああ、なるほど。」説得力のある説明に私はそう答えるほか無かった。
「あ、そうだ!」何か思いついたようだ。「トリクロニティの噴水に行かない?そこでは聖水を浴びれるそうよ。そしたら、癒物達もぐんと成長できるわ。」とレノは言う。
それに対し、私は「レノさんが言うなら。是非。」と受け入れた。
そうして、レノと私と癒物達は王国通りの道を進み、トリクロニティの噴水へと向かった。
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