エピソード3
森を数時間歩き、川の流れる場所につく。風がファーっと吹いてくる。木々の葉が舞い散って
その川に一本の丸太が架かっていた。渡れるように誰かが置いたのだろう。丸太を渡ると一本の木の下にキノコが生えていて、癒物?が座っていた。
「ムム、ムー、ユームゥー」癒物は特殊な言葉を発する。
「あー、ほらほら、捕まえないと。そっと、抱き上げてあげて。」
「え、いいんですか!?」
「だって、レノさんの癒物にした方がより強い子に育つんじゃないの?」
私は育て方も全く分かってないのでレノさんに預けようと思った。
けれども、レノは
「この子は初心者限定モンスターだから。私のレベルじゃパートナー認定出来ないの。だから、森子ちゃんが大切に育ててあげて。」と言ってきた。
「初心者限定なんていうものがあるんですね。それにしてもレノさんはやっぱり初心者じゃないんですね!思った通りです」私は目をキラキラさせながら言った。
「あぁ、そんな。上級者でもないけど。自分的には初心者だと思ってるよ」
レノは謙遜するが、上級者なのかなと妄想を膨らませる。レノに言われたようにその癒物を抱き上げた。
すると、「ウー」と癒物は可愛い声で鳴いた。どうやらパートナーとして認めてくれたみたいだ。
「この子の名前は?」
「ちょっと待って。今、調べるから」
レノはスマートフォンを取り出し、調べ始めた。(ええぇぇぇっ!スマホ?この世界にもスマホがあるのか。)私は驚いてしまった。この世界でもスマホは当たり前な文化らしい。
そして、調べた結果ルラという名前の癒物だった。比較的、育てやすい癒物のようだ。紫色の毛が特徴で肌ざわりは決してもふもふというわけではないが、良い。毛の少ない動物のぬいぐるみのようだが、見た目が可愛い。耳が縦長でバンビやウサギに近い。
「多分、憶測だけどその教えてくれた人もこういう癒物を仲間にする為に森を歩いてちょうだいって言ったんだと思うわ。」
「そうなんだー優しいっていうか物知りだったんだね。オズさん」
「え、今なんて?」
明らかに幻聴を疑うかのようにレノはもう一度聞いてきた。オズさんがどうかしたのか?――。
「ひょっとして、オズさんの事?」
「そうよ!彼はノインシュトレイン帝国の公爵なのよ。すっごい偉い方じゃない。顔もかっこよかったでしょ。よくそのような方とお会いできたわね。あなた、とっても運がいいわね。」
「そうなんですか。私、あんな態度取っちゃって大丈夫だったのかな……心配になってきました。でも、この土地の事、お詳しそうな方でした。また会いたいです」私はいかにも不安そうな態度を示した。
「大丈夫よ。それに彼には会う機会、幾らでもあるわ。あの方、門の前に立ってること多いから。」とレノは励ましてくれた。
ルラはまだLv1だ。今後、成長が期待されるだろう。そうして、二体目の癒物を仲間にした私達一行は森を抜けて、店などが立ち並ぶ宴会場のような賑わった場所に辿り着いた。ここがレノのいうショップという場所なのだろうか。
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