2章 Rule the world
2章1話 - 空隙
傷付くのは怖い。
誰かが傷付くのを見るのは、もっと恐ろしい。
自分のせいで誰かが傷付くのは、もっとつらくて、ずっと苦しい。
その対象は動物植物の分類なく、その
呼吸すること、飲食すること、雑草を踏んだりノートを書き
完全無抵抗主義で、非暴力主義な平和主義者。そういう形容を
けれど生きるのが苦痛だからといって、命を
サバイバーズ・ギルト。
この特異な精神状態は、そんな名前で呼ばれているらしい。十五年前におきた、何万もの死傷者をだした
「あなたにとって、生きていくことは地獄なのかしら?」
まだ小学生だったころ、
「お父さんやお母さんの名前や顔を憶えていない、親戚なんて言うまでもない。誰もあなたのことを知らないから、いつまでも心細さがきえない。あなたの寂しさが、この世界は自分のいるべき場所じゃないと感じさせている。そう考えたことはない?」
「いいえ」
「……。でも、生きていくことは苦しいのよね? 本当はご飯も食べたくないし、水も飲みたくないし、絵をかいたり、みんなと一緒にお外で遊んだりすることも怖いのよね?」
「はい」
「それじゃあ、その恐怖の
答えたところで理解されないことを知っていた。
この世界が地獄なのではない、ヒロ自身が地獄なのだ。
おのれが地獄となって
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