世界終焉の日?②
夜の森を進むのに、月明かりだけでは流石に心もとないので、俺が
「俺は眠らなくても平気だけど、みんなは大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「今日は何だか睡眠が足りている気がするかしら」
「そういえば、馬車の上でずっと寝てたな」
「ねえ、ユメミがあたしたちと一緒に旅をしたいっていってくれたのはとても嬉しいんだけど、あたしたちの旅の目的を話しておいた方がいいんじゃない?」
「目的とかあるのですか?」
ユメミは意外そうな声でいった。
ま、傍から見れば自由気ままに旅をしているように思われても仕方ないか。
「最優先は混沌龍の卵を、始まりの火山の火口に投げ入れることだな」
「混沌龍って、あの
「俺も最初聞いた時は驚いたけど、精霊族のニアーナがいうんだから、そうなんだろう」
「それでしたら、どうして私の
ユメミが当然湧き出てくる疑問を口にした。
「そんなの、ユメミが仲間だからに決まっているじゃない!」
「それだと順序が逆になるのでは……?」
「細かいことは気にしないでいいかしら」
「ま、そういうことだ。俺たちはユメミの力になりたいと思ったから、ユメミの力になることを選んだんだ」
大霊園までは木が切り開かれた一本道なので、迷いようがなかった。
一時間ほど歩いたところで、それらしき建造物が見えてきた。
そして、白い人影の列も確認することができた。
スケルトンの体が、月明かりを反射して白く光を放っているのだろう。
話の通り、侵入を拒むように大霊園の周りをぐるりと囲うように佇んでいた。
「よし、ここからは
俺は松明の明かりを消して、マントを『収蔵』して、一糸纏わぬ姿となった。
何だか全裸になったようで若干恥ずかしかったが、作戦のためには致し方なかった。
題して「俺はお前たちと同じスケルトン、仲間だよ、敵じゃないよ」作戦である。
「でも、本当に上手くいくのかしら」
「こういうのは堂々としていれば、意外とバレないんだ」
「ユメミの時も上手くいったし、今回も大丈夫じゃない?」
「私は剣星さんを信じます」
(やっぱり、三人は重たいな)
俺は三人を『収蔵』すると、大霊園へ向かって歩き始めた。
大霊園までの距離、残り100メートル。
スケルトンに反応はなかった。
大霊園までの距離、残り50メートル。
依然として、スケルトンに反応はなかった。
大霊園までの距離、残り10メートル。
スケルトンが一斉にこちらを向いた。
一匹一匹は雑魚だが、この量に睨まれると緊張が走った。
大霊園までの距離、残り5メートル。
スケルトンが一斉にカタカタカタカタと歯を鳴らした。
まるで侵入者を知らせる、鳴子という音具のようだなと思った。
「ひぇぇ~、怖いかしら~」
「一回出直した方がいいんじゃない?」
「剣星さん、私を外に出してもらえませんか?」
「本当にいいんだな?」
俺は再度確認を取った。
「はい」
力強く頷くユメミを見て、俺は外へ出すことにした。
外に出てきたユメミは、大胆にもカタカタと音を鳴らすスケルトンの群れに近付いていった。
「ちょっとユメミ、危ないわよ!」
「思った通りです。彼らは攻撃しないように命じられているようです」
「わかるのか?」
「はい、何となくですけど、昔からこういう勘が鋭いみたいです」
「だとすれば、この状況は少し変だな」
「何が変なの?」
危険がないとわかり、リリカは勝手に外へ出てきた。
「このスケルトンたちは恐らく墓守だ。しかし、実際には音を鳴らすだけで、侵入者の侵入を許してしまう」
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