【音楽のある情景 vol.6】「ワッフル ワンダフル」by 斉藤和義




♬「ワッフル ワンダフル」by 斉藤和義(アルバム『ジレンマ』1997)

https://www.youtube.com/watch?v=FBcRKiIlCss





「こうやって、1曲歌い終わる度に、マイクスタンドを90度ずつ向きを変えて、全部で4曲をこのアリーナ後方の特設ステージで彼は歌ったんだよ。城ホールは縦に長いからね、俺が居た席は正面ながらステージから最も遠い位置だったんだ」



「1曲目のときが、あなたの方を見ながらだったのね」



「そう。これ、2曲目なんだけど、後ろに見えている席の一番高いところに俺は座っていたから、この映像だと暗くなっていて見えてないね」



「わたし、この曲好きよ。歌詞も好き。前に調べたことがあるの。2番に出てくる『ヴィンセントのひまわりも』は、ゴッホの『ひまわり』のことでしょ。でもね、1番の『レンブラントの歌うたいは』っていうのがわからなかったのよ。調べても」



「そりゃ、中には、無名の絵画もあるんじゃないか?」



「でも、ネットでどれだけ調べてもわからない絵画をせっちゃんが知っているとも思えないの」



「ふむ…そう言われてみればそうだな」



「ね。でも、ひとつだけ、もしかして、ってのがあったの。レンブラント広場っていうのがオランダのアムステルダムにあってね。其処に、有名な『夜警』の絵を模した実物大の銅像が立ちならんでいるのよ」



「じゃあ、レンブラントの歌うたい、ってのは?」



「その広場で歌っているストリートミュージシャンかなんかかな、ってね」



「なるほど。それなら合点がいく」



「で、ワッフルなんだけど」



「ワッフルなら、やっぱ、ベルギーなんじゃないか?」



「まあ、そうなんだけど、オランダワッフルってのもあって、ストロープワッフルっていうんだけど、格子状の模様の薄くて円いワッフル生地の間にシロップを挟んだものなの」



「なるほど。それでまた裏付けできるな。あ、待てよ。ゴッホの出身もオランダだったような。蚤の市って言い方も、確かヨーロッパが発祥だったような気がする」



「ね」



「そうか。この曲の舞台はオランダだったのか」



「せっちゃんが歌うと、ちっともそんな感じがしないんだけどね」



「ああ、もう、ワッフルが食べたくなってきたよ」



「わたしとのキスよりも?」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る