秋のことをそんなに悪く言えない




たまたまに過ぎないが


休憩時間に車の中で見た


前に停まっている車に当たっている陽の光に


あゝ なんてやさしい光なんだ


と思うもんだから


秋のことをそんなに悪くは言えないな


と思った




薄いフィルターを掛けたような午後3時の陽光は


空気は冷たいのに 見た目の色が温かいものだから


俺に 切り取られた過去の一部分を思い出させる


映画なら セピア掛かったワンシーンなんだろうけど


これは 映画じゃない


忘れていた記憶の一部分を陽の光がやさしく照らしたわずか2秒か3秒の


情景だ



やさしくするから やさしくしてほしい



そんな他愛もない 情景だ



そんなことを俺に思い起こさせるもんだから


秋のことをそんなに悪くは言えない






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