第2.5章 『引き籠りニート武将の蟄居中、ごろごろと暗躍しま』(章)
プロローグ
人間五十年 下天のうちをくらぶれば 夢幻の如くなり…………。
見事な舞の『
兄上(信長)はこれが好きだな。
う~ん、でもいいのかな?
身内だけの披露宴の席だからいいのだろうけど、『
何とか輿入れも夏中に間に合った。
御相手は
斯波家の葬儀と忌明けの49日が過ぎないとできないでしょう。
蟄居中の俺はどちらも出席してないし、兄上(信長)の婚儀も欠席した。
今は身内だけの披露宴だ。
姫は大湊で木造家と別れ、熱田湊に到着し、熱田神社で婚儀を執り行った。
帝の使者が祝いの言葉を持ってくるから大変だ。
中々に公家色の濃い披露宴だった。
その披露宴を終えた翌日の今日に一門衆のみ集めて行っている。
俺の為にやっていると言ってもいい。
さて、姫様は
これで北畠家と織田家に縁が生まれる。
北伊勢は六角家が監視し、南伊勢は織田家が監視する。
作業分担も順調に進んでいる。
でも、正室に近い側室を貰って帰蝶義姉上も大変だ。
「
「困った事があれば、いつもで言って下さい」
「頼りにしているわ。ところで吉乃の事は聞いているでしょう」
「え~っと御懐妊とか」
「男の子ならば、わたくしが引き取って嫡男として育てようかと思っています」
「よろしいので?」
「もう諦めました」
どちらを諦めたのだろうか?
兄上(信長)の
「その話、詳しくお聞きかせ下さいませんか?」
紙と筆を持って興味本位を丸出しで俺と帰蝶義姉上の後ろに侍女が現れた。
のそっとやって来たのは、姫様に付いて来た侍女と名乗っているけど、名を
侍女を名乗っているが花嫁の姉に当たる。
つまり、この
さらに小姓の
何考えているのだ。
「京に上がったら、
「それは止めて下さい。私が無理矢理付いて来たのですから」
「どうしてですか?」
「こんな面白そうな題材をこの目に見ないでどうするのですか」
確か、『源氏物語』の写本家(研究者)だったけ?
28歳の
趣味の写本に精を出しているという。
近衛家は変わっている人が多い。
俺も題材になると獲物を見るような目で嬉しそうに語った。
余り接触しないでおこう。
気を使ってくれた帰蝶義姉上が話題を変えた。
「公方様が大勝利を収めたそうですね」
「公方様は
「公方様が先頭を切るのはどうかと思います」
「それは同感ですが、余程戦いたかったのでしょう」
尼子、大内、毛利との調整に痺れを切らした公方様が単独で討伐に赴いた。
幕府軍3,000人と摂津・和泉・阿波の兵が15,000人だった。
そして、
そりゃ、神輿の赤松氏が敵に回れば士気も上がらない。
その低い士気の兵を使っての撤退戦を演じた
軍を崩壊させない妙が見事だったらしい。
確かに兵が敗走すれば戦はできない。
敗戦が続く中でも兵が敗走しないぎりぎりの士気を保った事になる。
赤松氏が味方だったらもう少し戦えたのだろう。
「赤松を守護に戻して欲しいと訴えていたのに可哀想ですね」
「同調すれば、赤松の首が飛びますから仕方ありません」
「でも。赤松の為に兵を挙げた訳でもないのでしょう?」
「そうです。ですが、赤松の為に戦った訳ではなく、別所は別所の為に戦いました」
当然、小寺氏、浦上氏、三木氏も別所の敵に回った。
ボロ負けの
これで播磨の一部が幕府の直轄地となった。
どう立ち回るかが注目される。
「公方様はどう思われているのかしら?」
「尼子の八ヶ国守護を認めるくらいですから、どちらも気にされていないと思います。ですが、三好の脅威が無くなった幕府としては、尼子も解体したいようですね」
「それは大変ね」
「尼子、大内を解体して、二ヶ国から三ヶ国の中規模の守護に戻したいようです」
「都合のいい事を考えますね」
「幕府は常に都合のいい事しか考えません」
時代が変わってもいつもそうだ。
中央の奴らはいつも自分の都合ばかり押し付ける。
余計なお節介だ。
秩序を乱した張本人が『
あいつらは何も判っていない。
そもそも乱世だけどね。
中国は尼子、大内、毛利の三分割でいいのじゃないか?
でも、俺は何もしませんよ。
俺は責任者じゃないし、そもそも諸大名が考える事だ。
俺の手はそんなに長くない。
明日から京に上がるけど、改元だけ終えて尾張に戻ってきましょう。
と言う訳で一休み、一休み。
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