第3話 一年祭
クラスに向かう。
校舎の壁、廊下等、映画みたいに
落書きがされてあり、窓ガラス等も割られている。
同い年か先輩かわからないような、やつらに
通るたびに睨みつけられる。
もう嫌だ。帰りたい。
かと言ってあの校長に言う通りになるのも嫌だ。
しょうがない•••。
クラスの前についた。中からは
騒ぎ声が聞こえる。
その時•••。
バリン!!
「ぐあぁ!」
中から人が飛んで来やがった!
血だらけだよ!
クラスの中では喧嘩がもう始まっている。
「ゴブリンだ!ゴブリンがきたぞ!!」
クラスがざわついた後、静まりかえる
「よぉゴブリン!テメェ王様気取りで
遅刻かよ!なめてんのか?」
小柄で狐目の坊主頭のやつがからんで来る。
いや、入学式があるだろう。
何を言ってんだこいつは?
「最低学園名物、一年祭に遅れてくる
なんて、いい度胸じゃねぇか!」
なんだそれ?この前会った不良もそんなこと
言ってたな。
「おお、一年坊主どもやってんな。」
編み込みヘアーで身長は170後半ぐらたい
ありそうなガッチリした体格の
男があらわれた。
言い方からして上級生か?
「なんだ、まだこのクラスの代表は決まってないのか?」
代表ってなんだ?
「他のクラスのやつは大体決まったぜ
誰なんだこのクラスはよ⁉︎」
何を言ってんだこいつらは
さっきから代表だのなんだのわけわからん?
「だってよぉ、このゴブリンが遅刻して来やがったんだぜ?ずるくねぇか?」
だから!始業式だって!
「こいつがゴブリンか⁉︎デケェな•••。
ゴブリンは特別だ。いいぞ、そのまま
続けろ。」
だからなんだよ。
「はぁ⁉︎なんでだ⁉︎」
クラスからバッシングを受ける。
何故俺がこんなめに•••。
「うるせぇ!!こいつは入学前に
今の二年生のNo.2宮山と数人を
いっぺんに倒している。」
それは、もう言わないでくれ。
急いでたんでついカッとなって•••。
「それは今の二年生が弱かったからじゃ
ないですか?」
「んだとぉ⁉︎誰だ?」
席の一番後ろに漫画本を読んでる奴が
こっちを見る。
どっちかと言うとイケメンよりの
切れ長の目をした短髪の男だ。
「あいつ川中誠太じゃないか?
豹変の川中だろ。相川中学の番の。」
「あの普段は温厚なのに
喧嘩関係となると人が変わるって有名な。」
なんだよ、ただの情緒不安定なやつ
じゃないか。関わりたくないな。
「笹川、遅刻した奴はほっとけばいい
喧嘩する気もない腰抜け野郎、ただの
木偶の坊だ。」
「でも、誠太•••。」
「いいって言ってんだろ!」
「わかったよ。」
さっきから突っかかっていた。
笹川と言う男が急に大人しくなる。
「ダメだって言ってんだよ!ゴブリンは
宮山が落とし前つけるって言ってたんだよ!」
「その口ぶりじゃぁあこいつが勝って
二年生に挑むみたいじゃないですか?」
笹川がまたもや突っかかる
「お前さっきからうるせぇなぁ⁉︎殺すぞ?」
「やれるもんならやってみろ⁉︎」
ドカ‼︎
「ぐぁ!!!」
編み込みのハイキックで
笹川が倒れ込む。
「そんなんで、ゴブリンや宮山に
勝てる訳ねぇだろ。去年の一年祭で俺は宮山に
やられている。あ〜あ一年に手を出してしまった
じゃあね〜か!一年の代表が決まるまで手を出して
たらいけないしきたりなのによ。」
クラスが静まり返る。
「でも、そんなんじゃクラス一同なっとく
行きませんよ?」
川中という生徒がまたもや突っかかる。
「はぁ?まだ言ってんのか?」
「そこに寝ているやつみたいに
遅刻してきた奴はクラス一同と
タイマンはってもらわないと。」
川中が指さした方に
小柄な男が倒れている。
さっき始業式で背中に当たってきた子だ。
こいつも血だらけだ。
「大丈夫か⁉︎」
思わずかけよってしまう。
「かぁさんに•••迷惑かけちゃダメ•••だ•••。
ちゃんと•••卒業しないと•••。」
この子は俺と一緒だ。普通に学校に通って
卒業したいだけなんだ。
「保険室に連れていく。」
ドガ!!
イタッ。
後ろから蹴りを入れられる。
「どこ行くって?クラス全員とタイマンはってからいけや。」
何言ってんだこいつらは⁉︎
だんだんむかついてきた。
「どけ!!」
「な、なんだよ。急にやる気になったか!
オラ!!」
ドガ!
イタッ。
腹にパンチが飛んできた。
「どけ!!!このモブキャラが!!!」
バチン!!!
「ぐぁ!!」
張り手一発で沈む。
「こいつ!!どんどんいってやれ!」
「邪魔だ!!どけぇえええ!」
バチン!
「ぐぁ!」
バチン!
「うわ!」
バチン!!
「ぐあぁ!」
次々ビンタをかます。
そのまま倒れこむ。
「次から次えと、うざいんじゃあ!」
「ひぃ!化け物!」
モブキャラ達は戦意喪失したらしいが
一人向かってくる。
「じゃあ先輩こいつに勝ったら
いいんすよね。」
「おう!それならかまわない!」
川中が向かってくる。
「おい、木偶の坊。まぁそう言うことだから
さっさと終わらぞ、コラァ!!!!!!」
ドガッ!!
イタッ!
腹にパンチが飛んできた。
「ウラァ!!」
バチン!
イタッ!コイツ•••。
ローキックが足に入る。
「オラァァァァ!!」
さっきとは人が変わったように
連続で攻撃してくる。
だが•••。
腹に蹴りが飛んできた時。
捕まえた。
「さっきからうざいんじゃ蚊トンボが!!!」
足を持って振り回し
黒板の方に向かって投げつけた。
「うおぁぁぁ!」
川中が飛んで行く
「うわぁ!!」
編み込みが避ける。
ドガン!!
「ぐ!!」
ドン!
川中が黒板にぶつかり床に落ちたあと
動かなくなった。
「編み込み先輩もう行っていいですか。」
「お、おう。このクラスの代表はお前だな。
(こいつはまじで化け物だ!こいつなら
本当に天辺とるかもしれないな。
いや、まさかな•••。)」
結局、何のことか分からなかったが。
俺はクラスを後にした。
「すんません。見てもらえませんか?」
奥から背が高く、綺麗な顔をした
長い髪をした先生が現れた。
「あらまー、いらっしゃい。怪我したのね。」
こんな学校にこんな綺麗な先生が
いるとは思わなかった。
「じゃあどこが痛いのかな?」
俺の身体を先生が触ってくる。
「せ、先生。俺じゃなくてこっちを。」
「あらやだごめんなさい。こっちの子ね。
あら酷いケガすぐ手当てしましょうね。」
「はい、お願いします。」
先生が優しく手当てしている。
「どうですか?怪我の具合は?」
「うーん、外傷は酷いけど
骨は大丈夫みたいだし。本人が起きてから
もう少し詳しく診てみましょうか。」
どこか痛いかもしれないからな。
「う、うーん。」
「お!。目を覚ましたな!大丈夫か?」
「ひぇ!!お願いだからもうやめて下さい
!」
ベッドの布団に被り出てこなくなる。
「こら!ちゃんとお礼を言いなさい!
この子が貴方を連れてきてくれたのよ。」
「へ?君がかい?どうして?」
「怪我してる奴を放っておくにはいかんだろ
喧嘩してたやつは自業自得だがな。」
「君は不良でしょ?どうして?」
まただよ。勘違い。
「俺は普通に学校通って勉強して
普通の高校生活を送りたいんだ!
不良じゃないぞ。ただこの見た目で
判断されてるだけだよ。」
「ハハハ。そうだったんだね。
見た目で判断しちゃダメだよね。
ごめんね。僕は
皆からはすぐ逃げるし、小さくて
ぽっちゃりしてるからスライムって呼ばれてるよ。よろしく。」
スライムか•••。俺と似ているな。
「俺は武林豪。皆から身体がでかいし
顔が似てるから、ゴブリンと呼ばれている。
よろしくな。」
「ハハ。」
「ハハハ。」
お互い笑いあう。この学校に入って初めてまともな
人間にあった気がする。
「ところで、さっきから一年祭やらなんやら
言ってるがなんなんだ。」
「一年祭は一年の各クラスがまず代表を決めるんだ。それはタイマンでもいし、乱闘でもいい
ほとんどないけど推薦でもいいんだ。そして
その後クラスの代表でトーナメントでも
リーグ戦でもいいから一年の代表を
決めるんだ。」
「いったい何の為に•••。」
「ここからが本番だよ。その後、
一年の代表は、ニ年の代表4人と
タイマンをはる。一人にでも負けたら
そこで終了。もとの一年に戻り
先輩達には逆えない。でももし
勝てばそこで二年生を配下におさめることが
できる。」
「何だそれは本当に上手くいくのか
その仕組みは?」
めちゃくちゃだ。そんなん約束守るはずが。
「それがなんと上手くいくんだって。
何故なら先生達がそれを許してるからね。
それを破って喧嘩を売ればその時点で
退学だそうだよ。」
また、あの校長かよ•••。
「そしてそこで二年が勝てば二年の代表が
一年が勝てば一年の代表が
三年生に挑めるらしいよ。
そこで三年に勝てば、晴れて天辺になり
この学校で一番、自由の身ってことだよ。
まぁ一年生が勝つのは稀らしいけどね。」
てか•••。
「お前めっちゃ詳しいな•••。」
「そりゃこの高校で生き残る為にリサーチ
してたからね。まさか始業式を無視して
一年祭が始まるとは思わなかったからね。
初日で死にかけたよ。ハハハ。」
意外と根性あるな。
「だって母さんに迷惑かけたくないから•••。
家、貧乏だからさお金なくて。父さんが早く
なくなって、母さんがパートで働いてて
弟達もまだ小さいし
少しでも、お金使わせたくなくて。」
健気だな。
「ウッウッ。」
「豪くんなんで泣いてるの⁉︎」
「すまん涙もろくてな。」
「さぁ二人とも診察するから。
蘭夢くんだっけ?痛い所ない?」
先生が診察し始めたから俺はそろそろ。
「あぁ豪くんだっけな?君も一応診察
受けて行きなさい、君も一年祭に出たわけでしょ
ほら座った、座った。」
先生に無理やりすわらされる。
まぁこんな綺麗な先生に診てもらえるなら
いいか。
「蘭夢くんは大丈夫みたいだし、次、豪くんね。」
先生が俺の足にまたがる。
「先生⁉︎そんな、診察の仕方しなくても⁉︎」
「私、豪くんみたいな子、好きなんだ。
逞しくて、しかも優しい。」
先生が身体を寄せてくる。
「先生⁉︎ちょっと色々当たってます⁉︎
身体とか足にも⁉︎••••足にも?」
足に柔らかい感触がある。
「先生足に何か当たってるんですが•••?」
「ああ、知らなかった?私、男だよ。
今流行の男の娘ってやつ。私、
「失礼しました!!!!!!」
「豪くんおいてかないで!!!!」
蘭夢を置いて一目散に保健室を後にした。
Go!武林! 豪将せの一 @goushosenoichi
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