第2話 入学式
鍛錬を終え学園に向かうと、そこには休日のテーマパーク並みの人ごみにあふれていた。
そんな人ごみを見て思い出した。今日は入学式だった、と。人ごみの中を急いで通過し、なんとか遅れずに入学式に出ることができた。
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今までの入学式を一度も経験したことのないカイトは、僅かな緊張をにじませ、入学式に挑んだ。
「今から入学式を始めます。まずは、生徒会長、エイジ様からのお言葉です。」
「どうも、初めまして。エイジです。えー新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。これから様々な困難があるでしょうが、投げ出すことなく仲間と共に乗り越えていってください」
エイジは微笑みながら言った
エイジという男はそこまで体格がいいわけではないのに、物凄く威圧感があり、思わずカイトは身震いしてしまった。
そして、学園にきてよかった、と心の底から思った。
「ありがとうございました。次は、新入生代表、アリス様からのお言葉です。」
「初めまして。私の名前はアリス。何を言えばいいかわからないから、取り敢えず私の目標を言わせてもらうわ。私の目標はただ一つ。今年、この学園で一番強い人間、すなわち、【エース】になることよ」
途端、その場の空気が、凍った。
やがて、多くの生徒ががやを飛ばし始めた。そのほとんどが、なれるわけがない、そんなの無理だ、などの批判的なものだった。
アリス本人は満足気にうっすらと笑みを浮かべ、ステージから降り、元居た場所に戻っていった。
なぜみんな他人の目標を否定するのか、カイトにはわからなかった。
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入学式が終わり、新入生はそれぞれが指定されたクラスに行った。ちなみに俺は、E,
D,C,B,A,Sのクラスがある中で、一番優秀だと判断されたものが行くSクラスに入ったぜ。他クラスの奴ら、ざまあみろ。
「俺の席はここか。」
ふと気を緩め、自分のクラスにはどんな人がいるのか確認している途中、肩まで伸びた艶やかな黄色い髪と、きらきらと輝くエメラルドグリーンの瞳が印象的な、あまりにも美しい女の娘を見つけた。
その女の娘は、先ほどから誰ともしゃべっていない。まあ俺もしゃべっていないが、それをいうと悲しくなるのでおいておこう。とにかく、彼女は周りから避けられているようだ。そして、その娘もそれを平然と受け入れている。なぜだろうか?
「やあ、はじめまして。僕の名前はギース。君の名前は?」
「......俺に言ってるのか?」
これで俺じゃない人に話しかけてたらまじで恥ずかしい。頼む!俺であってくれ!
「え?そりゃそうでしょ。キミを見て言ってるんだから」
良かったー。まじで良かったー。おっと、なにも話さないのは失礼だな。とりあえず名乗っておこう。
「......俺の名前はカイトだ。よろしく。......えーと、ギースくん?」
「いや、同じ年だし呼び捨てでいいよ。よろしく、カイト」
ギースを改めて見ると、まるで色素が全て失われたような真っ白い髪に、汚れを知らない純粋そうな赤い目を持った、その、失礼だが、どこかバカっぽい印象を受ける風貌をしていた。
「ところで、カイトの異能ってなに?」
「ん?それはすまんが教えてやることはできない」
「ううん。全然いいよー」
コイツ......やっぱりバカだった!異能を教えるって言うことは、弱点を晒すってことと同じだぞ。言えるわけないだろう。.....だが、その素直なところは好感が持てる。
「あっ!ちなみに僕の異能は【分解】だよ」
「......あんまり人に自分の異能を教えるのはやめたほうがいいと思うぞ。」
「どうしてー?」
「異能って言うのは、そいつの力そのものだ。その力をむやみに人に教えてしまえば、戦い方を相手に予測されたり、対策をされたりしてしまうんだ」
「うーん?まあよくわかんないけど、カイトの言う通りにするよ」
「おお、そうしてくれ」
分解って。怖っ。こいつ怒らせたら死んでしまいますやん。怒らない感じの人に見えるけど、念のため怒らせないように注意しよう
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