全てを奪われたので、史上最強の聖騎士になって復讐します

だるま

第1話 プロローグ



復讐のために女を見殺しにするか、女を守って復讐を断念するか。答えるまでもない。俺は復讐に人生のすべてをかけてきた。


おそらく今を逃せばもうチャンスはこないだろう。殺すなら今しかない。こんな敵地で魔力使い切ったあいつが悪いんだ。


そうだ、俺は悪くない。あんな女......どうでもいい。どうでも、いいんだ。頭ではわかってる。なのに、なのになぜ、俺は彼女を担いで逃げているんだ?

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「.......ここが神殿かー」


 カイトは小さく言い、神殿の中に入った。

「こんにちは!君は異能を授かりに来た子かな?」

 神殿に入るなり、20代ぐらいの男が声をかけてきた。

「うん、そうだよ」

 

「はい、じゃあちょっと待っててね」

 男はそう言って、奥の部屋に入っていった。


「いよいよだ.......。異能を手に入れたら、早くお父さんとお母さんにどんな異能なのか伝えよう!」

カイトはお父さんとお母さんが喜ぶ顔を思い浮かべて嬉しくなった。


.......しばらくすると、さっきの男が奥の部屋から何かを持って出てきた。


「じゃあ、この石板に触れて。そうすれば君の異能の名前とおおまかな能力が君にだけわかるから。そしたら、異能の名前を言ってみて。」

カイトは言われた通り石に触れた。.......すると、突然カイトの身体が光った。

「なんだろう.......これ?」

やがて、光が収まると、同時に石板に文字が浮かび上がってきた。


名前   創作



能力  物質をイメージした通りに変形、圧縮、伸張できる



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「お父さん!僕の異能、【創作】っていう名前だったよ!」


「創作?どんな能力なんだ?」


「んーとねー。確か、物質をイメージした通りに変形できるって書いてあった気がする」


「本当か!てことはカイトは将来聖騎士になれるかもしれないな」

「せいきし?なにそれー」

「聖騎士はな、世界に7人しかいない物凄く強い人達なんだ」

「そーなのー?じゃあ僕せいきしになるー」

「おー、そうかそうか。じゃあ父さんも応援するぞ」




「あらあら、あなた。どうしたのそんなに嬉しそうな顔して」

「母さん、聞いてくれ!カイトが将来聖騎士になるんだってさ」

「あらまあ、それはすごいはねえ」

「うふふ。すごいでしょ」





悪夢は、突然訪れた



その日、カイトたちの村は、盗賊と思われる奴らに蹂躙されていた。


村人たちは抵抗したが、全く歯が立たなかった。カイトは、【創造】の異能をまだ完全に扱えていないのにもかかわらず、盗賊に挑み敗北した。幸か不幸か命は取られなかった。しかし、カイト以外の村人は皆殺しにされた。



カイトは、両親の遺体を見て、お父さんとお母さんが僕にならせたがっていた、聖騎士になって、村の人を殺した奴らに復讐しよう、そう決意した。



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時は流れ、カイトは15歳になった。


小柄だった体は今や180cmをこえ、元々整っていた顔は、イケメンと言っても差し支えない容姿になっていた。




その時、カイトはいつものように鍛錬を終え、15年間住み続けている、誰もいない村に帰る途中だった。


突然、音もなく奇妙な男が突然現れた。


「よお、坊ちゃん。ほんとにしけたツラしてやがるなあ。」



「誰だ?」


男は、長く青い髪に、決して痩せてはいないが細い体を持っていた。そして、なんと言っても気を引くのは、酷くよどんでいる黄色い目である。その目は、全く生気を帯びていなかった。



カイトは念のためゴーレムをつくり、いつでも攻撃できるように備えた


「おい、待て。俺に戦う意思はねえ。今日はお前を勧誘するために来たんだ。」


「勧誘?」


「そうだ。お前を学園に招待しにきたんだ。お前は力を求めているんだろ?だったら来た方がいいぜ。今よりは確実に強くなれる。・・・ああ、お前は俺が招待したんだ。もちろん金はいらねえぜ」


「・・・何故俺が力を欲していることを知っている?」


「そりゃ、そういう異能を持った奴がいるからに決まってるだろ」


「ならば、その異能で俺の居場所がわかったのか?」


「ああ、そうだ。まあとにかく、力が欲しいなら来な。んじゃ、そういうことで。」


男は、だんだん体が透けていき、やがて見えなくなった。瞬間、空から一枚の紙が落ちてきた。見ると、そこにはなにか地図らしきものがかかれており、一点だけが赤く塗りつぶされていた。


「なんだ?この地図は?もしや、この赤く塗りつぶされているところが学園なのか?」



・・・・・本当に力が手に入るのなら、行ってみたい。しかし同時に、本当にそんなところはあるのだろうか、という疑問が頭の中を駆け巡った。


しばらく考えた後、どんなに考えても答えが出るわけではない、取り敢えず行くだけ行ってみよう、という結論に至った。


カイトは、村に、ありがとう。必ず帰って来るから待っててね、と言い、地図を頼りに学園へと踏み出した。

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「ここか?」

学園と思われる建物はとてつもなく大きく、一際存在感を放っていた。

「取り敢えず中に入ってみるか」

建物の中に入ると、あの男がいた。


「あ?なんだ、お前か。早いな。昨日行ったばっかだろ。」

男は心底だるそうに言った。

「来てはいけなかったのか?」

「いや、ただ早えなーと思っただけだ。まあ、とりあえず座れ」

男はそう言うと何もない所から椅子を作り出し、カイトに差し出した

「すごいな。これがあんたの異能か?」


「・・・まあ、そんなもんだ。・・・そういや、自己紹介

がまだだったな。俺はグレイだ。まあ、仲良くやろうぜ」

「ああ、よろしく頼む。・・・俺の名前はカイトだ」

「おう。よろしくな。・・・・・・じゃあ今からお前の部屋に案内するからついてこい。」

「もう俺の部屋があるのか?」


「・・・ああ。勧誘した奴らの部屋は用意してある。まあ、来ない奴もいるがな。いくぞ。ついてこい。」

「・・・わかった。」


学園の廊下は永遠に続くのではないか思うほど長かった。途中、学園で使われているであろう機械をみかけたが、それはどれも戦闘機並みの迫力をもっていた。


「・・・ここがお前の部屋だ。」

「ほう、ここか」

「ほらよ。これがこの部屋の鍵だ」

グレイはそう言って鍵を渡してきた


「じゃ、俺は戻る。わからねえことがあったら俺に聞きに来い。・・・ああ、ちなみに学園は来週から始まるぞ。じゃあな。」

「ああ、わかった。」

グレイはそういうと、去っていった

「さて、入ってみるか。」


カイトは部屋に入った


「・・・・広いな。」

部屋は、元々カイトが住んでいた部屋の約5倍は広く、生活に必要なものがほぼ全てそろっていた。


前の家よりも確実に快適な部屋に、少しだけ笑みを浮かべ、思う。


早く学園が始まらないかな、と



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