涙を拭い朋友を信じ、吐露す――
カラオケも終わったら大会自体もほどなく終了して周りは夜店と夜更かしする子供と私たちくらいの人たちばかりになって、ほんの少し静かになった。
私すっかり泣き止んで、すぐそばの参道わきにある公民館前の冷たい石でできた椅子?みたいなものに座ってた。
さごがたこ焼きとラムネと買って来てくれたので、みんなで言葉少なに食べて飲んだ。でもやっぱりジンジャーエールにこだわりたいなあ。と私はジュースやビールをを売ってる夜店で残り一本だったジンジャーエールを買ってきた。やっぱりあるところにはあるんだね!
みんな言葉少ななのは分かってる。うん、分かってるよ。私のことでしょ。でも、絶対信じてもらえないしな。でも、言ったらこっちもあっちもすっきりするかも知れないな。
「でも、言っても絶対信じてもらえないよな……」
「え? 何が? どういうこと?」
「信じてもらえないって何が?」
「何か言いたいことがあんの?」
るっちとたけやんとさごが一斉に口を開いた。
あれ? 何? って思ったけど、どうやら私、心の声が口に出てしまったようで……
「はるはるの言うこと信じないわけないじゃーん」
とぽんぽんと肩を叩いてくるるっち
「そうそう、あまり気にしな方がいいと思うぞ、そういうの」
とラムネ片手にいつも通りカッコつけてるたけやん
「もうちょっと俺たちを信じてみろよ。それに言えばすっきりするってのもあるかも知れんし」
とたこ焼きを頬張りながら言うさご
うん、うん、そうだね。そうだよね。私また少し泣けてきたよ。
話して信じてもらえなかったとしても、私がちょっと変な奴だって思われるだけ。ここのみんなはそんなこと気にしないし安心して話せそうだ、確かに。
じゃあ、ちょっと話してみるかな。
そう思ったら急に胸がどきどきしてきた。
「じゃあさ、じゃあさ言うね。絶対信じてもらえないと思うけど……」
三人が固唾をのんで私を見守っている。
「あのさ、
「え、全然」
「……憶えてるって言うか、知らないな」
「……誰だったんだそれ?」
「あっ!」
突然るっちが大声をあげたもんでみんなびっくりする。
「それ、それって……」
え、まさか奏汰のこと憶えてるの?
「はるはる、その男子のことが好きなの?」
いやちーがーうー! いや当たってるけど! 今その話じゃなくて!
「いや、いやぁその話はまた後にしてだ、こっちの話を進めるね」
「うんいいよ」
るっちはずっとにやにやしてる。くそー、やりにくいなあ。
さあここからが本題。
「その彼は、異世界に行ってしまいました」
二の句が継げないとはこのことか、と言わんばかりの表情を見せる三人。
「そして今は彼のことを憶えている人は世界中で多分私しかいません」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます