焚火を囲み皆に笑顔戻る、ひと時のくつろぎ――
遥香からの贈り物は皆を元気づけた。
「ガランの骨」はまるで僕の右腕にあつらえたようなもので、適切な術をかければすぐにでも僕の腕は回復しそうだと言う。“探索者”グラースルと旧き民、エルフの三人でこれについてどうするか検討中だ。
それとは別に、僕はたけやんからのレポートを持って、小さき人二人組の軍師エルとエナに、作戦立案をする。
二人とも大きな目をくりくりさせて興味津々の様子だ。ここベルエルシヴァールでもこれほどの寡戦はなかなか見たことがないという。こうしてみると幼稚園児の兄弟が新しい絵本に夢中になっているようにしか見えないから不思議だ。だが彼らは優れた軍師でもあり歴史家でもあり投射武器のエキスパートでもある。
また遥香のくれた食糧はいい刺激になった。スティック状の栄養調整食品はエルフの行糧食ほどではないしろ栄養価が高いし美味しい。ここのところずっと調味料を切らしたままで、干し肉か野生動物を狩って食べる毎日だったから尚更だ。もしあっちに戻れたとしてもジビエなんてもう金輪際ごめんだ。このぱさぱさの小麦の触感と糖の甘味がたまらない。ドワーフは自分の分をあっという間に平らげてしまうし、小さき人たちは子供のように掴み合いのけんかをしながら奪い合っている。旧き民だってエルフだってなかなか美味そうにして食べていた。
亜龍のチェルが僕にあーんして食べさせようとするのには本当に困ったが。
今回の事で僕たちはこれからの展望を得たし、僕の腕も治るめどがつきつつある。少しばかりの息抜きも出来た。
遥香には本当に感謝だ。何かお礼ををしたいな。
でもどうすればいいのかな? 何がいいかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます