焚火を囲み皆に笑顔戻る、ひと時のくつろぎ――

 遥香からの贈り物は皆を元気づけた。

「ガランの骨」はまるで僕の右腕にあつらえたようなもので、適切な術をかければすぐにでも僕の腕は回復しそうだと言う。“探索者”グラースルと旧き民、エルフの三人でこれについてどうするか検討中だ。


 それとは別に、僕はたけやんからのレポートを持って、小さき人二人組の軍師エルとエナに、作戦立案をする。

 二人とも大きな目をくりくりさせて興味津々の様子だ。ここベルエルシヴァールでもこれほどの寡戦はなかなか見たことがないという。こうしてみると幼稚園児の兄弟が新しい絵本に夢中になっているようにしか見えないから不思議だ。だが彼らは優れた軍師でもあり歴史家でもあり投射武器のエキスパートでもある。


 また遥香のくれた食糧はいい刺激になった。スティック状の栄養調整食品はエルフの行糧食ほどではないしろ栄養価が高いし美味しい。ここのところずっと調味料を切らしたままで、干し肉か野生動物を狩って食べる毎日だったから尚更だ。もしあっちに戻れたとしてもジビエなんてもう金輪際ごめんだ。このぱさぱさの小麦の触感と糖の甘味がたまらない。ドワーフは自分の分をあっという間に平らげてしまうし、小さき人たちは子供のように掴み合いのけんかをしながら奪い合っている。旧き民だってエルフだってなかなか美味そうにして食べていた。

 亜龍のチェルが僕にあーんして食べさせようとするのには本当に困ったが。


 今回の事で僕たちはこれからの展望を得たし、僕の腕も治るめどがつきつつある。少しばかりの息抜きも出来た。


 遥香には本当に感謝だ。何かお礼ををしたいな。


 でもどうすればいいのかな? 何がいいかな?

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