ありきたりな怖い話

QAZ

ありきたりな体験談

 みなさまこんばんは。QAZですのよ。


 百物語って、わたくし、初めて参加いたしますの。ですから、不手際があったら申し訳ございません。まずはこの蝋燭を吹き消すのですか?あ、違うのですね。話した後に、消す。はい。わかりました。ご丁寧にありがとうございます。


 いまからここで話すことは、何の変哲もないわたくしの実体験です。まあそうですね、きっと実話系恐怖体験などではありきたりな話だと思いますし、あまり怖くはないかもしれませんわ。もしそうであれば、少々申し訳ありません。

 前置きがすこしばかり長くなりましたけれど、まず、わたくしの実家の近所には雑木林がありまして、そこが自殺の名所だったのです。自殺をする人は大体が夜中に自殺しますから、見つかるのは早朝、首つりが多かったと聞いていますわ。わたくしは小さかったですから、直接見たことはありませんけれど...。

 自殺者を減らすためにあらゆる看板が建ち、見回りと街灯が増やされたようですけれど、全く効果はありませんでした。あ。ネットで名所を検索されている方。無駄ですよ。この名所地元で有名なだけで、ネットには載っていませんからね。この雑木林に行く道はいくつかあるのですけれど、わたくしの実家の敷地内にある獣道みたいなところを通っていくのが一番近いんですね。ですからしょっちゅう人が通ったり、なんやりでわたくしの家族は非常に困っていたわけです。


 で、ある日、父が言いました。


「防犯砂利でも敷こうか。音が鳴って目立てば、ここを通る人は減るかもしれない。あと、防犯にもなるし。」


 それでみんなで手伝って、砂利を敷いたんですね。あるくとじゃりっじゃりっと高い音が鳴って、すごく目立つわけです。父は凝り性だったので、ついでに人感センサー付きの電灯をそこに設置して、人が来たらピカーッと照らすようにしたわけです。それで、自殺する人って、案外休日が多いんですけれど、土曜とか日曜になると、ザッザッ ザッザッ ジャリッジャリッと音がするわけですね。昼間だったので父か、母かと思っていたんですけれど、どうやら違うようで、音が鳴る度に見に行くんですけれど、何もいないので父も母もすっかり怯えてしまいました。これは幽霊の仕業に違いないって。でもわたくしは犬や猫の可能性もあるとおもいましたし、人感センサー付きの電灯が反応するかしないかで判断すればいいのではないかと思っていたんですね。それに、昼間通り過ぎた人が自殺するとは考えづらかったですから。

 で、夜になってその時が来たので、わたくしは二階の窓から電灯が付くか付かないか見ていたわけです。すると早速電灯がパッとついてピカーッと周辺を照らし始めたんですね。でも、今度はザッザッジャリッジャリッという音が聞こえません。何かの間違いかと思ったのですが、10分経っても20分経っても、1時間も付きっぱなしなのでさすがに何かおかしいと思って、ちょうど起きていた母と一緒に外に出て様子を伺ったんです。そこには父が居て、父はずっとジーっと砂利道を見ていたんですね。わたくしは父に聞きました。


「なにしてますの?」


 父は言いました。


「音の正体を確かめてやろうと思って」


 母は言いました。


「馬鹿なことやってないで!もう家に入りなさい!心配したし逆に怖いでしょ!」


 父は言いました。


「もう少し、もう少しだけ」


 母はちょっと怒って言いました。


「もう!勝手にしなさい!!」


 その後わたくしと母が家に戻ると、父は寝室で眠っていました。ただそれだけの話なのですけれどね。


フゥッ...これで蝋燭を消して終わりですね。お話しするの、楽しかったですわ。

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