憧れから恋人に世界が変わる(2)
いろいろなことがあった週末も終わり、いつものように登校した学校で、問題の
何となく、微妙な雰囲気のまま、学校での時間は進み、迎えた休み時間に珍しい来訪者があった。幸善達の教室に現れ、幸善を呼びつけた人物の顔を見て、幸善が不機嫌そうに眉を顰めた。
「何で嫌そうなんだよ?」
幸善と同じような顔をした
「体操服以外なら貸してやる」
「忘れ物じゃねぇーよ。あと、俺は今、体育は無理だ」
相亀がそう言ったことで思い出した幸善は、この前までの相亀と今の相亀の違いに、ようやく気づいた。
「あれ?お前、ギプス落としてないか?」
「いや、どんな状況だよ?せめて、付け忘れるだろうが」
「付け忘れたのか?」
「違う。そのことで話があるんだよ」
そう言った相亀が教室の中に目を向けてきた。相亀が呼びに来たことで、
「奇隠関係か…?」
小さくそう聞いた幸善に、相亀が小さく頷いてくる。それを見た幸善が無言で移動することを伝え、二人は教室を後にした。
中庭の片隅の人目につかない場所まで移動すると、幸善は早速気になっていたことを相亀に聞く。
「腕、治ったのか?」
「いや、まだ骨がくっついただけだ。日常生活程度なら問題はないらしいが、それ以上に動けるかどうかは微妙なところらしい」
「もうくっついたのか?」
「それで聞きたいんだが、七実って仙人なのか?」
その質問に驚いた幸善に、相亀は昨日のことを話してきた。どうやら、幸善達が
「お前、知ってたのか?」
そう聞いてくる相亀に、幸善はかぶりを振った。自分も昨日知ったことや、実際に
「人型と?」
「どうやら、七実先生は
「序列持ち!?」
序列持ちであることは聞いていなかったのか、相亀が想像以上に驚いた声を出し、幸善は慌てて相亀の口を塞いだ。周囲を確認してみるが、幸いなことに相亀の声に振り向いた様子の人物はいない。
「あんまり大きな声を出すな」
「悪い…ちょっと驚いた。だけど、そうか、序列持ちなのか。只者ではないとは思ったけど、そこまで凄いのか」
「お前の腕がくっついたってことは、
幸善の問いに相亀はかぶりを振った。単純に折れている骨をくっつけることに比べて、内臓を含む全身に損傷が見られる水月
「実際、俺の腕も一応くっつけて使えるようになっただけで、ちょっと重い物を持ったり、激しい運動をしたりしたら、すぐ折れるって言われたしな」
「そうか。流石にそううまいこと行かないのか」
「ああ、だから、俺はしばらくリハビリ。水月や葉様も、本格的に仕事に戻れるのは、少し先だろうな」
「なら、しばらくは今のメンバーで引き続き、人型探しか」
そう呟いた幸善が昨日のことを思い出した。
「頼堂はどうするんだ?本部に行くのか?」
あれは一体、どういう意味なのだろうかと幸善が考え始めた直後、幸善や相亀を呼び出すように、チャイムが鳴り響いた。二人は慌てて教室に戻ることに決め、幸善は疑問を解決できないまま、持ち続けることになった。
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