第20話 図書館の攻防戦

逃げるオーロラ王女...。┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



(グリーンライブラリー)



シヴァたちがグリーンライブラリーを訪れて1ヶ月の月日が流れた。




夜中の図書館で警備員に特別に許可を貰って調べ物をするチームシヴァ。


時計の針は12時に揃っていた。



ゾロロは時計に視線を移すと静かに立ち上がる。

「よし、今日は時間だ。また明日に持ち越しだ」


シヴァは椅子に座って両腕を天井に伸ばす。

「はぁ、また明日もここのなか...」


ゾロロは散らばった紙をまとめる。

「あと少しだ。頑張るぞ、いいな?」


シヴァは席を立つと、目の前の本を元に戻しに向かう。


本を戻しに行く時、シヴァは誰かと連絡をとっていた。



ゾロロはシヴァに構うことなく、手を叩いて寝ている皆を起こす。

「ほら!ソフィア、カリティア、エド、紅覇(くれは)!ここで寝るな、起きろ」



ソフィアは目を覚ますと、シヴァが本を片付けに行く後を追いかけた。



「ねえ、ゾロロ。薬の本は元に戻したわよ」

希麗(きれい)は本を片付けて皆の元に戻ってきた。



カリティアは眠い目を擦りながらゾロロに尋ねる。

「ところでさ、何が分かったのよ」


エドもカリティアの質問に頷く。

「同感っス」



ゾロロはため息をついてから調べた内容を話す。

「はあ。今回調べているのは、樹化異(きかい)についての研究資料。それと生命樹に関しての記述、サン教の歴史、樹化異の事件と他の事件の関連性についてだ」



希麗は椅子に座る。

「で、何が分かったの?」



ゾロロは調査結果を皆に伝える。

「まず、樹化異は俺たちが知っている情報以上のことは何も書いてなかった。だが、妙に引っかかるのは樹化異の事件が起きた場所は全て"サン教の聖地"、もしくは"教会付近"ということだ。そしてもれなく、教会に参拝にきた人々は謎の失踪を遂げている...」



エドはゾロロに尋ねる。

「つまり、教会に来た人が樹化異にされてるってことっスか?」



ゾロロはエドに頷く。

「その通りだ。しかし、教会の事件は、白聖国(はくせいこく)と黒聖国(こくせいこく)に限定されてるって事だ。それに91年事件だけは世界各国の至るところで目撃され、それ以降は白聖国と黒聖国だけ...。ほとんど何も掴めていないに等しい...」



カリティアはゾロロに尋ねる。

「それさ、今回の砂漠の事件は何か関係してくるの?」



ゾロロは指を鳴らしてカリティアに話す。

「いや、むしろ今回ので納得が行く。奴らは91年事件で調べたかったのは樹化異による混乱だ。しかし、それ以降は樹化異による研究...。今回の黄聖国の事件は、"地下の遺跡"が狙いだったと考えるのが妥当だ」



紅覇はゾロロの話に言う。

「意味が分からない、簡潔に言って」



ゾロロはため息をついて話を簡潔にまとめる。

「はあ。分かった、簡潔にまとめよう。つまり、奴らの狙いは、"生命樹に行く為に、サン教の聖地を調べたいから、91年事件の樹化異を利用して、人々を聖地から離れさせる"ってことがしたいわけだ」



エドは手のひらを叩いて納得する。

「なるほどっス!生命樹は、サン教の聖地が導いてくれるってこの前言ってたっスもんね!」


カリティアは首を傾げて尋ねる。

「じゃあさ、教会で樹化異の事件を起こす必要ってないんじゃない?」



ゾロロは頷きながら話す。

「いや、むしろ事件を起こした方が良い理由があるんだ。おそらく黒幕は国家の重要な人物な気がするぞ...」



ゾロロは気がかりに感じる点を述べる。

「それに気になるのが、城にいた奴は自分たちを"呪術団(じゅじゅつだん)って名乗ったが、シヴァが地下の遺跡で戦った奴は"Treedom(ツリーダム)って名乗ったことだ。奴らの目的が別だとすれば...」








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本を元の位置に戻すシヴァ。


「よし、これで全てさ!」

シヴァは手を腰にあてて後ろに仰け反る。


「お疲れですね、シヴァ」

ソフィアは欠伸をしてから話した。


「ソフィアも毎日手伝ってくれて感謝するよ」

シヴァはソフィアに礼を言う。


「いえ、本は好きですから。ところで何か分かったのですか?」

ソフィアはシヴァに尋ねる。


シヴァは顎に手をあててから述べる。

「分かったのは、樹化異になった人は元には戻らない。そして樹化異の薬を作っているのは、"普通の人間では無い"ってことさ」


ソフィアは唾を飲み込む。

「つまり、それは...」








ドーンッ




図書館に爆発音が響き渡る。



シヴァとソフィアは急いで爆発の場所へと向かう。






すると、1人の女性がシヴァとソフィアの元に駆け寄ってくる。


ソフィアは女性に尋ねる。

「大丈夫ですか?」


女性はソフィアの手を払って言う。

「お願い、そこを退いて!追われているの!」



シヴァとソフィアは女性の来た道に視線を移す。




すると、赤髪のモヒカン男と、巨漢の太った男が現れる。



モヒカン男はシヴァとソフィアに話しかける。

「てめぇら、そこをどけ!」


シヴァは魔法陣を地面に描き、朱殷の槍を取り出す。

「それはできないお願いさ。君たちはどう見ても悪者に見える」



モヒカン男は巨漢の男に指示を出す。

「おい、ドドン。アイツらをぶち殺せ!」


「OKだぜ、フライ。アイツらぶっ潰す!」

巨漢の男ドドンはシヴァとソフィアの前に歩み寄ってくる。



「見せてやる、俺の真の姿を!」

ドドンは背中に描かれた魔法陣を発動すると、頭から牛の角が生えた"ミノタウロス"に変形する。


地面に魔法陣を描き、全長2メートルに及ぶ巨大な金棒を取り出したドドンは、シヴァとソフィアに向かって金棒を振るう。




シヴァとソフィアは後ろに回避すると、シヴァは左腕を炎で燃やし、ドドンに歩み寄る。


「ここは君たちが暴れていいような場所じゃないさ!数々の重要文献のある図書館さ、静かにしないか!」

シヴァは槍に炎の渦を巻きつける。



「ふんっ!俺の力の前に散れ!」

ドドンはシヴァの炎に怯むことなく向かってくる。



「ここで大きな被害は出せないのさ。『聖火・蒼龍一閃(そうりゅういっせん)』」

シヴァは槍の炎を蒼く燃やすと、ドドンの心臓に目掛けて槍を突き刺す。


槍から蒼き炎の熱光線を放ち、ドドンの体を高熱の炎で焼き尽くす。




大火傷を負ったドドンは前のめりに地面に倒れ込む。



仰向けに倒れたドドンを見たモヒカンのフライは、分けりやすく動揺する。

「お、おい...。ドドン...?お前!何をした!」



シヴァは槍の矛先を蒼き炎で鋭い刃の型で燃やす。

「君たちの行いは決して許されるものではない。せめて一夜の間、安らかに眠れ!」



フライは胸ポケットから小さな袋を取り出す。

「うるせぇ!いいか、よく覚えてろ!?俺はお前をいずれぶち殺す!俺の名はフライ・ティガーだ!」



フライは小さな袋を地面に投げつけると、煙幕が出現し、フライはその場から消えてしまう。






ソフィアは恐怖で尻もちをついて動けない女性の元へ近寄っていく。


ソフィアは女性の背中を撫でながら話しかける。

「大丈夫ですか?」


女性はソフィアとシヴァのことを見つめる。

「あの...、あなた方は何者なのです?」


ソフィアは胸に手をあてて話し出す。

「私は白聖国の騎士ソフィア、彼は狩人のシヴァです」


女性はソフィアの手を握る。

「騎士なのですか!?でしたら私を助けてください!」



シヴァは女性の元に駆け寄る。

「何かあったのかい?」


女性はシヴァの方を向くと話し始める。

「私の名は、"オーロラ・ヨハネス"、緑聖国の王女です。お願いです、時間がありません。父を彼らから助けてください!この国を救ってください!」



ソフィアとシヴァは顔を見合わせる。



ソフィアはオーロラ王女に誓う。

「承知致しました。騎士ソフィア、この命をかけて貴女の国を必ず救ってみせます」


涙を流すオーロラ王女。






国の危機に、チームシヴァが挑む!┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

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