第13話デート? 2

 「えぇーと、遠山さんもここで昼ご飯食べるのかな?」


 「篠原君がここで食べるなら食べるよ」


 「いやでも、家でご飯作って貰ってないの?」


 遠山さんには、一緒に住んでる家族がいるから、お昼ご飯を作っててもおかしくないでしょ。


 「大丈夫だよ。お母さんにメールしたら、いいよって返ってきたから」


 「でも、まだお昼まで時間があるよ」


 「それなら一緒に、いろんな所行こうよ。でもどうせなら、1階に新しく出来たカフェにでも行かない?」


 「いいよ」


 でもカフェに行くってことは、お金がいるから本買えないじゃん。ガクリ


 「なら、篠原君が本買うまで待ってるね」


 「いや、今日は買わないから待たなくても大丈夫だよ」


 「えっ? でも、本買うために来たんだよね?」


 「欲しかった本なかったからね」


 本当は、たくさんあるんだけど。


 「なら行こ」



 まさか、土日にまで遠山さんと過ごすなんて。ここは学校から遠いから、同じ学校の人と会わないだろうけど。


 もし知られたら、学校に行くのが憂鬱になってしまう。隣りに歩いてる遠山さんは、周りの人から注目されてるから、なんだかその目線が怖い。


 なんで、お前みたいなやつと一緒に歩いてんだって目線が。ってあれ、遠山どこいった?


 まさか、迷子になったとか無いだろうな。どこいった?




 いたいた。さっき通ったぬいぐるみが置いてある店の前で止まってたよ。


 「遠山さん、何してるの?」


 「この子が可愛いなぁって」


 そう言って、遠山さんが指したのは、灰色の猫のぬいぐるみだった。


 「欲しいの?」


 「欲しいんですけど、無駄遣いはダメだと思うんですよね」


 欲しいなら買えばいいのに。幾らなんだろう。3000円? 高いけど買えなくない値段なんだよな。


 3000円なら無駄遣いだと思っても仕方ないかな。


 「この子はいつかどこかの家に引き取られるんでしょうか?」


 いやいや、家に引き取られるって、ぬいぐるみだからね。


 「それとも、ずっと買われずに捨てられちゃうんでしょうか?」


 いやいや、捨てられるなんて重い。それにさっきから、買ってやれって目線が刺さってくるんだけど。買えってことですか?


 お金ないんだけど。買えって……わかったよ。買えばいいんだろ。


 「すいませーん。このぬいぐるみ、買うのでお会計お願い出来ますか?」


 「はい、こちらの商品ですね。」


 「篠原君いいんですか? 高いですよ。」


 「でも、遠山さん欲しいんでしょ」


 「でも………」


 「僕の家だと、ボロボロになっちゃうけどいいの? だから、引き取ってくれないかな?」


 どうせ真白にボロボロにされるんだから。


 遠山は、手を胸の前で握りしめて言った。


 「そう言うなら、私が引き取ります!」


 


 

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