第10話この気持ち
夜ご飯、美味しかったなぁ。けど、お金って全部遠山さんが、払ったんだよな。
「遠山さん、ちょっといいかな?」
「ん? なに?」
「ご飯のお金だけど、全部遠山さんが払ってくれたんだよね。」
「そうだよ」
やっぱり、払っててくれたんだ。
「そのお金だけど、全部僕が出すよ。ご飯作って貰ってるんだから」
「うーん、でも私も食べてる訳だし、全部って言うのは」
「なら、3分の1だけ払ってくれないかな? 遠山さんは、買いに行ったり、作ったりしてるからね」
これくらいが、妥当じゃないかな?
「それならいいかな」
そういえば、遠山さんっていつ帰るんだろう。まだ、日は出てるけど、結構遅い時間なんだけどな。
「そろそろ私も帰るね」
「なら、途中まで送ってくよ」
「あれ? 送ってくくれるんだ。昨日は、言わないと送ってくくれなかったのに」
「いや、もうそろ日が暮れそうだし、遠山さん綺麗だから危ないでしょ」
「えっ?」
遠山は、驚いたてだんだんと顔を赤くしていった。それを隠すように俯いて言った。
「い、今綺麗って言った?」
「えっ? 言ったけど、よくみんなから言われてるでしょ」
「そうだけど、ありがとう。じゃあ私、先に玄関で待ってるから」
そう言って、早歩きで玄関まで行ってしまった。その時顔は、少しだけ緩んでいた。
「どうしたんだろう。」
綺麗って言ったのが悪かったのかな? けど、お礼を言ってきたから、違うと思うんだけど。
それより、早く準備してさっさと行かないと。待たせたら悪いだろうし。
その頃、遠山は玄関で蹲っていた。
(顔が熱い)
なんでこんなに、顔を熱くしてるんだろう。綺麗とか美人、可愛いなんて言われ慣れてるのに。
なんでこんなに、ドキドキが止まらないんだろう。まさかこれが………
男の友達ってやつかな。
それなら、いいんだけど、けどそのうち篠原君の近くにいると、心臓が破裂しちゃうかも。
なんて思っていた。そもそも、言われ慣れてはいるが、告白の時だったり、近かずこうとした時に、綺麗だとか言われているのだ。もちろん、下心丸出しで。
本人たちは、綺麗だと思って言ってはいるが、下心丸出しで言っているのがいけないのだ。
だけど、篠原は下心なんてなく、純粋に綺麗だと思って口にしたのだ。それが、決定的な違いだ。
だから遠山は、いつもあった下心がなくて、困惑してドキドキしている。
だけど、こんな気持ちになったことがない。もちろん、恋愛経験0だから全然違うことを考えてしまっていた。
この気持ちに気づくのは、まだ先の話となる。
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