第9話店長の悩み


 店長の家も、大変そうだなぁ。けどまぁ、店長の娘さんも高校1年生だし、彼氏の1人くらいいるだろうな。


 遠山さんも、あんなに美少女なんだから、彼氏ぐらいすぐできると思うのに。なんで、僕の家なんかにいるんだろうか?


 「篠原くーん、席の片付けお願い。」


 「はーい、今行きます。」


 考えるのは、バイト終わってからにしよう。



 店長あれからずっと、落ち込んでるな。さっきから、ため息の回数がやたらと多い。


 正直、今は話しかけづらい。けど、さっさと帰らないと、家に遠山さんがいるから。


 「店長大丈夫ですか? さっきから、ため息の回数がすごいですよ。」


 「そうなのかい。娘のことを考えるとね。心配で仕方ないんだよ。」


 「そうですよね。なんたって、彼氏の家に居るんですものね。」


 親なら誰だって心配になってしまうだろ。


 「それなら、その彼氏に会ってみたらどうですか?」


 「しようとしたけど無理だったよ。」


 えっ、もうしようとしてたんだ。


 「妻に止められてしまったよ。こういうのは、本人たちに任せた方がいいって。」


 それも一理あるな。


 「だったら、見守るしかないですね。」


 「そうなんだが、いきなり出来た彼氏だから余計に心配にね。」


 いきなりってことは、つい最近できたってことかな。


 「おっと、そういえばもう時間だったね。私の話に、付き合わせて、しまって済まないね。」


 「いえいえ、それじゃあお先に失礼します。」


 さてと、もう帰らないと。



 家に着いたんだけど、なんだか自分の家なのに、家に他の人がいると思うと、ちょっと入りずらいな。


 「ただいま」


 「あっ、おかえりなさい。」


 キッチンの方から出てきたのは、エプロンをつけた遠山さんだった。


 なんだか、遠山さんっていつも、エプロンつけてそうなイメージが定着しそう。


 それに、返事を返されるなんて、久々で少しびっくりするな。


 「ご飯は、まだ出来てないから、少し待っててね。」


 「大丈夫だよ。こっちは、作ってもらってるんだから、文句なんて言わないよ。」


 「そっか。今日から、ちょっと手の込んだ料理が、できるから期待しててね。」


 手の込んだ料理か。昼のだって、美味しかったから楽しみだな。


 「そうなんだ。昼ご飯もおいしかったから、絶対おいしいよね。」


 「………………………。」


 どうしたんだ? さっき、なにかまずいことでも言ったかな?


 「あ、ありがとう。」


 遠山は、少し顔を赤らめてそういった。そして、そそくさとキッチンの方に、行ってしまった。


 「なにか、お礼言われるようなことしたっけ?」

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