第5話猫のいる朝


 「篠原君、ここまででいいよ。ここから、すぐそこだからね。」


 「そうなんだ。じゃあね、遠山さん。」


 「うん、また明日ね。ばいばい。」


 また明日ってことは、明日は来るってことか。


 まさか、二日も遠山さんと話すなんてね。それも、明日からは朝から来るってことがあるんだろ。こんなこと、学校の男子たちに知られたら、絶対に絞殺される。


 あっ、そういえば、明日何時に来るのか、聞いてなかったな。明日は早起き確定だな。ゆっくりと寝てたいのに。


 それにしても、結構家近かったな。僕の家から、5~6分ぐらいでつくんだな。このことも、知られたらやばいだろうな。


 この夏休みの初日までに、知られたらいけないことが、2つもできてしまった。まだ、夏休みが1か月以上あるのに、どんどんと秘密が、増えていく予感がするのは、僕だけだろうか。


 「ただいま。」


 明日のことは、明日にまわそう。さっさと、真白にご飯をあげて、コンビニで買った弁当を食べて、早く寝るか。明日は、早いんだから。




 「んっ、もうあさか。」


 いまは、5時か。いつもより、1時間半くらい早く起きたな。さすがに、早く寝たからと言って、5時起きはきついな。


 「まずは、朝ごはん、……の前に、真白のご飯と水の用意からか。」


 真白の部屋に入ったけど、寝ているな。いいよな、猫って。何時に寝ても、何時に起きても、怒られたり、遅刻とかの心配がないんだから、うらやましいよ。


 次は、僕の朝ごはんか。といっても、パンを焼いて、バターを塗るだけだけど。


 これから、何をしようかな? 遠山さんが来るまで、暇なんだよな。しょうがないし、本でも読んで、時間を潰すか。


 ピンポーン


  「やっと来たのか。時間は、8時か。」




 「篠原君、おはよー。」


 「おはよう、遠山さん。どうぞ、入って。」


 「お邪魔しまーす。ねぇ、真白って起きてる?」


 「うーん、わかんないかな。それと、僕これから寝てくるから、真白のことお願いね。」


 「えっ、篠原君寝てないの?」


 「今日、早起きしたから、ちょっと眠いんだよね。」


 「そっか、それってひょっとして、私のせいだったりする?」


 「そんなことはないよ。今日たまたま、早く眼が覚めただけだから。」


 「それならいいんだけど。」


 「だから、心配しなくてもいいよ。あと、なにかあったら、遠慮なく起こしてくれていいからね。」


 「わかったよ。」


 はぁ、やっと眠れるよ。そういえば、昼ご飯買ってなかったな。バイトに行くついでに、買って食べればいいかな。


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