第4話 MADサイエンス研究所

 MADサイエンス研究所は、入り口を除く三方が小高い丘陵地に囲まれていて、三方からの外部の侵入を拒んでいた。そのため、研究所の敷地を取り囲むような壁や柵はなく、見掛けの上では外部に開かれたような解放的な印象を与えている。研究所の敷地と外部を隔てる門はなく、常駐の守衛や門番もいないようなので、黒田は車をそのまま運転して、研究室の敷地内に入っていった。赤城は研究所入口の無防備さに不安を覚えたが、面会時間が迫っていたので、今は深く考えないことにした。山間の村なのに研究所の敷地は意外と広く、その中央付近に研究所の建物がポツンと建っていた。円筒形をした研究所の建物は、マンションで言えば八階建てくらいの高さがあり、その屋上は天文台のドームのように盛り上がった形をしていた。

 研究所の駐車場には、車はほとんど駐車していなかった。十分な駐車スペースがあることを確認した黒田は、建物のエントランス付近の空いている場所に車を止めた。約束の十一時にはまだ五分ほど時間があるが、二人は研究所のエントランスに向かって歩き始めた。

 研究所のエントランスに入るとすぐに、正面上部にある大型液晶モニタの電源が入り、五十歳代と思われるオールバックの髪形をした男性の映像が映った。

「ようこそ、エムエィディ・サイエンス研究所へ。私は研究所所長の仙石です」

「残念ながら、本日は急用でお会いすることができなくなりました。あとのことは、当研究所の副所長と青山君の二人に任せていますので、御心配なく」と最小限の必要なことだけ告げると、画面の映像が突然消滅した。

「音声と映像だけのお出ましですか。なかなかハイテクな研究所みたいですね」

「少し前にインターネットの動画で、ボスが音声だけで指令を出す昔のドラマを見たことがあります。三人の美女が活躍するアメリカのアクションドラマなんですけど、赤城主任は知りませんか?」黒田が言った。

「知りません!」赤城が少し怒りながら答えた。

「じゃあ、テープレコーダで極秘任務の指令が送られてくるスパイドラマは知ってますか?」黒田が畳みかけるように赤城に聞いた。

「知りませんよ、そんなドラマ。ところで、テープレコーダって何ですか? なんだか古そうな響きですね」少しは状況くうきを読んで静かにして欲しいと、あきれながら赤城が言った。

 面白くない親子漫才のようなやりとりをしていると、向こうから細身で背の高い男性が近づいてきた。二人はこの人が副所長だろうかと、緊張して身構えた。

「ようこそ、MADサイエンス研究所へ。そろそろお見えになる頃だと思って、エントランス付近でお待ちしていました。大体のお話は所長の仙石から伺っています。私はサイエンスコンシェルジュの青山海渡あおやまかいとと申します」

 青山海渡は百八十センチは優にあると思われる背の高い痩せ型の青年で、とび色の目と茶色かった長髪を除けば、何ともとらえ所のないボーッとした印象の青年である。

「私共は内閣府危機管理局の赤城百花と」

「黒田保夫と申します」

「この度は、例の件でご協力頂けるとのことで、研究所に伺いました。よろしくお願い致します」赤城と黒田は挨拶して、青山に名刺を差し出した。

「ご丁寧にありがとうございます。私も名刺を差し上げたいのですが、当研究所では名刺の作成が禁止されています。それが研究所の規則になっていますので」と青山が申し訳なさそうに言った。

「そうなんですか・・・・・・。変わった規則ですね。ところで、サイエンスコンシェルジュとは何ですか。コンシェルジュという単語から、何となく想像は出来ますが」と赤城が青山に尋ねた。

「最初はサイエンスコーディネータと言っていたのですが、研究所内で“コーディネータは、こうでねーと”という面白くない駄洒落だじゃれが横行したので、所長が名称を変更しました」と青山が少しも笑わずに答えた。

「サイエンスコンシェルジュについて詳しく説明すると時間がかかるので、今は手短に説明させて頂きます」

「当研究所には、様々な専門分野の研究者がいます。そこで、研究所内の研究員同士の共同研究の橋渡しのお手伝いをしています」

「それから非常に珍しいケースですが、今回のように相談依頼者の相談内容に応じて研究者を紹介することもあります」青山がゆっくりと丁寧に説明した。

「ワインのソムリエみたいなもんですか?」黒田が得意げに聞いた。

「そう理解して頂いても結構です」青山が答えた。

「ところで、先程の仙石所長の映像は本人のものでしょうか?」赤城が疑問を口にした。

「もちろん、違います。『デジタル研究所長・仙石』の映像は日毎にランダムで変わります。今日は男性の映像でしたが、所長の映像が女性の場合さえあります。音声もコンピュータを使った合成音声です」

「お二人はボーカロイドの『花園はなぞのカノン』を知っていますか?」青山が聞き返した。

「詳しくは知りませんが、音符データを入力して合成音声で歌を歌わせるソフトですよね」と赤城が答えた。

「そうです。実は花園カノンの基本ソフトは、所長の仙石が開発したもので、当研究所が外部のソフトウェア会社にライセンス供与しています」

「花園カノンは音声だけなのですが、先程の入り口のソフトウェアでは、数百種類のランダムな人物映像に合わせて、違和感のない合成音声を作ることができます。声を聴いてて何か違和感はありませんでしたか?」

「いいえ、特には感じませんでした」と赤城が言った。

「仙石所長は、このプログラムをバーチャルなアンドロイドなので、『バーチャロイド』と呼んでいます」

「仙石所長は、どのような目的でこの研究所をお創りになったんでしょうか?」と赤城が尋ねた。

「赤城さんは中国の古典文学の水滸伝をご存知ですか?」

「読んだことはありませんが、梁山泊というところに百八人の英傑が集まって活躍するお話ですよね」

「そうです。所長は、科学の梁山泊りょうざんぱくを目指していると聞いたことがあります。この場所では百八人は無理ですが、多くの研究者を集めて科学のユートピアを築きたいみたいですよ」と青山が答えた。

「話は変わりますが、研究所までの道には、電信柱が一本もなかったんですが、電気はどうしているんですか?」赤城は、研究所まで来る道中で気が付いたことを質問した。

「よく気付きましたね」青山が感心したように言った。

「電線は、災害やテロに備えて地中に埋設しています。また研究所の電力は、温泉蒸気を利用した地熱発電でまかなっています。星久保村には地下から高温な蒸気が出ている場所があって、その蒸気を使って発電しています。実際には百メートルほどの井戸を掘って、地表の蒸気よりさらに高温な蒸気を利用しています。発電所の発電量は研究所を維持するために十分な量があるので、余った電力は星久保村の人たちに使ってもらっています」青山が研究所の電力事情について説明した。

     ★

 約束の時間の午前十一時になると、一階中央の食堂らしき場所に徐々に人が集まり始めた。集まってきた人の多くは、三十代から五十代の男性のようだが、中には和服を着た老人や明らかに日本人ではないとわかる人も混じっていた。辺りを見回していた黒田が何気なくエレベータの方を見ると、エレベータの扉が開いて、中からファッションモデルのようにスタイルが良い女性が現れた。黒田の目は、その女性に一瞬釘付けになった。エレベータを降りたその女性は、わずかに微笑みながら会釈して赤城と黒田の横を通り過ぎた。

「こんにちは、レイコ」

「ヒトミさん、こんにちは」

「ハロー、マリー」

 その女性が近づくと、周りの男性陣が口々に挨拶した。

「お綺麗な方ですね」黒田が見とれながら言った。

「ところで、レイコ? ヒトミ? マリー? 一体どれが彼女の本当の名前ですか?」赤城が不思議に思って青山に尋ねた。

「すべて本当です。彼女はアメリカ国籍で、フルネームでは人見=マリアンヌ=麗子と言います。お父さんが日本人でお母さんがアメリカ人です。もうおわかりですよね」青山が言った。

「それで納得しました」赤城が言った。

「前回の誘拐事件では、彼女も協力してくれました。彼女には後で話を聞くことにして、まずは副所長のお話を聞いて下さい。もうすぐこちらに戻ると思いますので」青山が赤城と黒田に言った。

「あのぉ、前回の誘拐の件は、限られたごく一部の人しか知らないはずなのですが・・・・・・」赤城が不満げに青山に向かって言った。

「そのことでしたら、この研究所内では食堂のおばちゃんを含めて全員が知っていますよ。もちろん、その情報が外部に漏れる心配はありませんので、ご心配なく」と青山がこともなげに言った。

「ここにいる全員ですか?」思わず赤城と黒田が顔を見合わせた。

     ★

 研究所のエントランスの自動ドアが開く音に気付いてエントランスの方を振り返ると、先ほど道を尋ねた時の初老の男性が、エントランスから入ってこちらに向かってきた。

「副所長が戻ったようです」青山が言った。

「ようこそ、MADマッドへ。正式にはエムエィディですが、私らはマッドと呼んでいます。この研究所にお客さんが訪ねて来るのは、これが初めてじゃないかな?」

「マッドサイエンスと聞いて、お二人は、さぞ奇異に思われたことでしょう。私も最初は馴染めませんでした。元々は何かの英語の省略名だったようですが、詳しいことは私も知りません」と副所長が言った。

「紹介が遅れましたが、当研究所の副所長の白鳥しらとり進一郎しんいちろうです」と青山が紹介した。

「運悪くクジに当たってしまって、この研究所の副所長をやっています。着替える時間がなかったので野良着のままで失礼しますよ」と白鳥が言った。

「――えーっ、ノーベル賞受賞者の白鳥博士ですか・・・・・・。道理で見覚えがあるはずだわ!」赤城が驚いて言った。

 白鳥進一郎は東北医科大学の名誉教授で、遺伝子研究の世界的権威である。十年前に食物アレルギーを抑制する遺伝子の発見でノーベル生理学・医学賞を受賞している。現在では、この研究をもとにした医薬品が開発され、卵や小麦による重度な食物アレルギーの改善に効果を上げている。白鳥が定年退職の際には、海外を含めた有名な研究機関や大学から来てほしいと数多くのオファーがあったが、全てを断って、ここ星久保村で悠々自適の隠遁生活を送っていた。

     ☆

 三十年前の東北医科大学の研究室で、白鳥は悶々とした日々を過ごしていた。人の役に立ちたいと医学の道を志して、最初は臨床医を目指したものの、生来の手先の不器用さと人見知りの性格から、臨床医に向かないことを自ら悟ったのが五年前だった。それでも何かの役に立ちたいと、基礎研究の分野に転向したが、研究成果が中々出せない状況が続いていた。白鳥は多くの人を悩ましているアレルギー疾患に関する研究をしていた。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、統計的には日本の全人口の約三分の一が罹患りかんしていると考えられている。

 白鳥は、自身に食物アレルギーの症状があることもあって、当時はアレルギー疾患に関する研究に力を入れていた。アレルギーとは、外部から体内に侵入した異物である「アレルゲン」に、「免疫」機能が過剰に反応して引き起こされる症状のことである。生物にとって免疫機能は病原菌やウイルスなどの外敵から体を守る重要な働きであるが、過剰な免疫は自身を傷つける両刃もろはつるぎである。とくに、全身の複数の臓器にアレルギー反応が起きるアナフィラキシーは危険で、急な血圧低下や意識障害によって命の危険を伴う場合もある。

 白鳥は、免疫に関する遺伝子情報の解読に力を注いでいた。遺伝子情報が含まれているデオキシリボ核酸(DNA)は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンのたった四つの塩基から構成され、これら四つの塩基の組み合わせで複雑な遺伝情報を構成している。約三十一億塩基対あるヒトゲノムの全ゲノム情報(塩基配列)は既に解読されているが、体にとって必要なものを作り出す「設計図」の役割を果たす遺伝子は確定されておらず、その数は二万五千個以下といわれている。この「設計図」となる遺伝子は、全ゲノム中の二パーセントに相当し、残りの九十八パーセントは「何の役割もないゴミ」と考えられてきた。遺伝子機能の決定には、対象部分のDNAの数を増やすクローニング、そのゲノム配列を読み解くシークエンシング、さらにその遺伝子を使って作ったタンパク質の機能を理解する発現、の三段階の研究が必要になる。実際の研究は、この手順を何度も繰り返す、気の遠くなるような地道な作業である。

 その日は、連日の深夜までの実験と学会発表用の資料作成で白鳥の疲労が頂点に達していた。この日は免疫の強化に関する遺伝子を探す目的で、半年前から目星をつけていた遺伝子を使った実験をする予定であった。しかし疲労のため、実験資料を見誤って実験対象ではないゴミ遺伝子を使った実験を行なってしまった。通常ではゴミ遺伝子は機能しないため、タンパク質を作ることはないが、偶然に実験条件が揃ったためか、これまでにない新しいタンパク質が合成されていた。白鳥は実験後に遺伝子の間違いに気づいたが、念のため合成された未知のタンパク質の機能を調べる目的で、食物アレルギーマウスでの実験を試みた。この実験が、のちのアレルギー抑制遺伝子とアレルギー抑制タンパク質の発見につながった。

 白鳥は免疫強化に関する遺伝子を探す実験で、免疫抑制に関する遺伝子を発見してしまった。セレンディピティとは、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけることをいう。努力を続けていた白鳥に、幸運にも”偶然と才気による予期しない発見”セレンディピティが訪れた。しかし、白鳥はどうしてあのような単純な実験ミスをしてしまったのか、未だに理由がわからなかった。

     ★

「白鳥先生が、どうしてこの研究所に?」予想外の展開に驚きすぎて、何を話して良いかわからなくなった赤城に代わって黒田が聞いた。

「お恥ずかしい話ですが、大学に居た時の不摂生と激務がたたり、退職時には体を壊して大病の一歩手前でした」

「ですから女房と相談して、それまでの仕事は全部リセットして、空気と水の良い環境、つまり、ここ星久保村に移り住んだわけです。ここ星久保村は都会とは縁遠い過疎の村なので、人に煩わされる心配がありません。それから、この村は女房の故郷(ふるさと)でもあります」と白鳥が説明を続けた。

「澄んだ空気と綺麗な水、それと日課にしている農作業のおかげで、今ではすっかり元気になりました。ひょっとすると若い頃より、今の方が健康かもしれません」

「研究所に入ったのは本当に偶然です。星久保村に研究所が建設中なのを、引っ越した後で知りました。まさかこんな田舎に研究所ができるとは、夢にも思いませんでした。私には関係ないと思っていましたが、研究所の完成後に、『何も研究しなくても良いから』と仙石所長に誘われました。私を含めて、研究所に所属するすべての人達は、所長の仙石にスカウトされています」

「でも、研究所なのに研究しなくて良いなんて・・・・・・」と黒田が小声で言った。

「今はまだ研究はしていませんが、一応医師免許を持っているので、週末にはボランティアで診療所の医者をやっています。星久保村は無医村なので」白鳥が微笑みながら応えた。

「それは失礼しました」と黒田が恐縮した。

「仙石所長とはじかに会って、それでスカウトされたんですか?」と赤城が聞いた。

「いいえ、青山君を通じて仙石所長からの申し出を聞きました」と白鳥が答えた。

「やはり、所長は正体不明なんですね?」赤城が続けて聞いた。

「どうも、そのようですな」白鳥が申し訳なさそうに答えた。

「ところで先ほど、クジで副所長になったと聞こえたんですが・・・・・・」少し落ち着きを取り戻した赤城が、恐る恐る尋ねた。

「間違いではありません。その通りです」

「基本的には、この研究所の研究員や技術職員には、上司と部下のような上下関係がありません。自由な雰囲気の中、みんなが好き勝手に個人で研究したり、場合によってはグループを組んで研究をしています。また、研究自体も義務ではありません。私の場合のように」と白鳥が笑いながら二人に説明した。

「もう一つ教えてください。このような研究所を運営するには、かなりのお金がかかると思うのですが、人件費や運営費はどのようにして賄(まかな)っているのでしょうか?」赤城が元経済官僚らしい質問をした。

「それは私がお答えしましょう」と青山が質問を引き取った。

「基本的には、仙石所長や研究所に所属する研究員が発明した特許のライセンス料が、人件費や運営費の原資になっています。また研究所にはファイナンス部門があって、そこでライセンス料を株や債券などで運用しているので、お金は割と潤沢にあるようです」と青山が続けた。

「話を戻しますが、この研究所には便宜上、人文科学、社会科学、情報科学、生命科学、地球科学の五つの研究ユニットがありますが、そのユニットの代表者も一年交替の輪番制、つまり持ち回りで決めています。既にお気付きの通り、所長の仙石が不在の場合が多いので、副所長が当研究所の実質的なトップとなります。しかし、その副所長でさえ毎年末に研究員全員によるクジで決定します」と青山が補足した。

「前回は所長の発案で副所長決めのビンゴ大会をやったんですが、私が見事一番にビンゴとなったわけです」白鳥が苦笑しながら説明した。

「長時間の運転でお疲れでしょう。そろそろお昼ですので食堂で昼食でも食べながら続きをお話しましょう」

「ご存知のように星久保村は過疎の村ですから、大人数で食事ができる食堂やレストランはありません。そこで、研究所内に食堂が設けられています。この食堂は研究所ができた時からのものなんですよ。因みに食堂のスタッフも、所長がスカウトしています」と青山が説明した。

「ここの食事は、研究所のスタッフなら三食無料です。しかも、とてもおいしいんですよ。近所の人たちも、時々利用しています。野菜や山菜、鮎などのお裾分けを頂いた時には、お礼に食事やデザートを召し上がって頂いています。今が一番忙しい時間帯なので厨房ちゅうぼうで働いていますが、『食堂のおばちゃん』こと肝付きもつきさんがすべての料理を調理しています」白鳥が自慢しながら言った。

「私たちも頂いて良いんでしょうか?」嬉しそうに黒田が言った。

「もちろんですよ」白鳥が即答した。青山が白鳥に続いて説明した。

「お昼はバイキング形式になっています。好きなものをトレーに載せて、好きなだけ食べて下さい。この食堂の料理は星久保村で採れる地産地消の食材を使っていて、採れたて新鮮なのがウリになっています」

「お二人は、その土地で昔から栽培されている『伝統野菜』はご存知ですか? ここ星久保村には、その伝統野菜と呼ばれる作物が数多く残っています。星久保大根・星久保ネギ・星久保ナスの他にもたくさんあります。東京には出回っていないので、知らない人が多くて残念ですが……」と白鳥が言った。

「遺伝子的にも興味深い野菜がたくさんあるので、体調も戻ったことだし、そろそろ野菜の遺伝子に関する新しい研究を始めようかと考えています」と白鳥が抱負を語った。

「ここの野菜は、ご近所の農家が無農薬で丹精込めて育てたものを仕入れていますので、野菜本来の味がしてとっても美味ですよ。私も畑で野菜を育てていますが、星久保村の農家の皆さんのようには中々うまくはいきません」白鳥がやや悔しそうに言った。

「今は時期ではありませんが、食堂で提供される夏野菜を使ったラタトゥイユは絶品ですよ。今の時期なら、野菜やキノコたっぷりの猪汁がお勧めです」と青山が補足した。

 赤城と黒田は、この怪しげな研究所にノーベル賞受賞者の白鳥博士がいたという安心感からか、お腹の中に急に空腹感が湧き上がるのを感じた。

     ★

 サイエンス研究所の食堂は一階のほぼ中央にあり、多くの人が同時に食事できる十分なスペースがあった。食堂には余裕で八人が座れる大きさの円卓が、バラバラと無造作に配置されていた。これらの円卓には、医者のように白衣を着たグループや、黄色いヘルメットを被ったグレーの作業着のグループなど、既に数名ずつのグループができていた。あるグループの中には、はっきりと外国人とわかる、英語とカタコトの日本語を喋っている研究員もいた。先ほどの女性研究員の周辺には、早くも多くの人が集まって、楽しそうな会話が始まっていた。青山、赤城、黒田の三人は白鳥に勧められるままに、その円卓から少し離れた別の円卓を囲んで食事を始めた。

「午前十一時から午後一時までの二時間は研究所のコアタイムです。このコアタイムには、研究員は一部の例外を除いて一階の食堂に集まる事がルールとなっています」

「ルールというと堅苦しく聞こえますが、要するにここで自分の専門以外の人達と無駄話をすることが奨励されています。私は研究員ではありませんので、集まる必要は無いのですが、ここで話される会話が面白いので、お昼はほとんどここで頂きます」と青山が研究所独自のルールを説明した。

「そろそろ、その例外のお出ましかな」白鳥の話が終わるか終わらないうちに、四人の席の近くにあった大型液晶画面の電源が入って、画面の中央に俯(うつむ)いた一人の青年が映し出された。

「彼がその例外の小森こもり太陽たいよう君です。ごらんの通り若くてイケメンなのに、ある理由で極度の人見知りになり、今は研究室からほとんど出る事ができません。いわゆる引きこもりです。そのため、彼は研究所内にいるのに、コアタイムにはネット経由で会話に参加しています」と白鳥が小森を紹介した。

「それから、研究所に寝泊まりすることは原則的に禁じられていますが、彼と青山君だけは例外扱いで、研究所内で生活することが許可されています。研究所には近くにある温泉も引かれていますから、暮らしは快適ですよ」

「それから、小森君は仙石所長ほどではありませんが、あれで中々の優秀なプログラマーなんですよ」白鳥が丁寧に小森の説明をした。

 小森は二十歳そこそこの年齢に見えるが、顔色は青白く、神経質そうでオドオドとした表情をしていた。

     ☆

 中学生の小森は、答えをただ暗記するだけの歴史や、答えが曖昧な国語を大の苦手としていた。授業で唯一楽しいのは数学だけだった。中学生になって算数から数学に代わり、小森は問題から答えまでに辿り着く論理的な過程が美しい数学に魅了されていった。数学にのめり込んだ小森は、ゲームをクリアするように、中学校では教えていない難しい問題を次々と解いていった。『万物は数である』と言ったピタゴラスの境地には到達できないが、この世界の『不変の真理』が潜んでいるかもしれない数学に、小森はどんどん夢中になった。

 高校一年生の七月、日本では初めて開催される国際数学オリンピックに出場する六名のメンバーに、小森は選ばれた。テストは二日間で行なわれ、出場者は二日間の間に三問ずつ計六問に挑戦する。問題は例年通りに難問ばかりで、小森は満点を逃したものの、上位1/12の成績を取った選手に与えられる金メダルを獲得した。

 日本初開催で新聞やニュースで報道されたこともあり、小森の通う高校でも国際数学オリンピックが話題になっていた。いつものように教室に入ると、普段は滅多に話すことがない同じクラスの女子が話しかけてきた。

「おはよう。新聞に載ってたけど、数学オリンピックで金メダルを取ったんだって? これって、すごいことだよね」

「うん。ありがとう」と恥ずかし気に小さな声で応えるのが、小森には精一杯だった。

 小森に話しかけた同級生は、男子に人気があるクラスのマドンナ役的な存在で、思春期とは無縁だった小森も、密かな好意を寄せていた。

 先生たちに国際数学オリンピックの報告をしたり、専門書を貸してくれた数学の先生に個人的にお礼を言ったりと、小森は滅多にない忙しい一日を終わろうとしていた。同級生たちは、夕方遅くまで部活がある一部の学生を除いて、すでにほとんどの生徒が帰宅していた。小森が帰り支度をして教室から出ようとした時、歩きながら廊下で話している同級生たちの声が聞こえてきた。

「小森君って、ちょっとかっこいいよね」と一人が言った。

「背が高くて、よく見ると結構イケメンだし。それから、勉強もできるよね」ともう一人が言った。

「でも、数学オタクでしょ。ちょっと私の好みじゃないわ」とクラスのマドンナが言った。

 そのあとも、三人は他愛もない話をしながら、教室から遠ざかって行った。本来は聞かれることのない不用意な一言が、小森の心を大きく傷つけた。小森は三人が廊下からいなくなるまで、教室から外に出ることができなかった。次の日から、小森は不登校になった。

 最初の一週間は、今まで通り学校に出かけるフリをして、公園や図書館で時間をつぶして家に帰っていた。二週目からは、本格的な引きこもりのニート生活が始まった。母親からは「学校に行きなさい」と責められることもあったが、姉からは「高校に行かない選択肢もあるよね」と言って暖かく見守られていた。ある日、姉からお下がりのノートパソコンをもらった。

「これ、古くなって使わなくなったから、あなたにあげる。どうせ暇なんだから、コンピュータでも勉強してみたら。生きていくためには、何らかの稼ぐ手段が必要よ」と姉から提案された。

 小森はもともと数学が得意で、論理的な思考には慣れていたので、急速にコンピュータスキルを身に付けた。これをきっかけに、数学オタクはコンピュータオタクに変貌した。一年後には、小森はどんなサーバにもハッキングできる能力を身に付けていた。ただし、一部の例外を除いて。

 小森は前回歯が立たなかった難攻不落のサーバに、再度ハッキングを試みた。結果は惨敗で、一週間挑戦し続けたがハッキングできなかった。挑戦を諦めた次の日、そのハッキング先から一通のメールが届いた。

《MADに興味があるなら、MADで働きませんか。仙人》

 そのメールを読んで、小森は自宅でのニート生活を終わらせる決心をした。

     ★

「コモリタイヨウ君が引きコモリタイヨウ。これも駄洒落ですか?」と黒田が尋ねた。

「小森太陽は、もちろん偽名です。なんでも、仙石所長によると彼は高校一年生のときに国際数学オリンピックで金賞を取ったことがあるそうです。ですので、調べれば本名もすぐにわかります。でも、ここでは誰も気に留めません。小森君は小森君なのです」白鳥が言った。

「それから小森君は、この前の誘拐事件解決の功労者の一人でもあります」白鳥が続けて説明した。

「どういうことでしょうか?」と赤城が聞いた。

「私がお話しましょう」今度は青山が説明を引き取った。

「小森君の趣味はハッキングです」

「ハッキングと言っても、何か特別な悪さをするわけではありません。腕試しのため、セキュリティの堅牢けんろうなサイトに侵入することで、彼自身のスキルを向上させているのです」

「セキュリティが堅牢なサイトであればあるほど、彼はそのセキュリティ破りに燃えるのです」

「この前の誘拐事件の時は、警察庁のサーバを覗き見していた時に、たまたま『康幸ちゃん誘拐』に関連した文章ファイルの中身を読んでしまいました。その話を、彼が研究所のコアタイムでみんなに話したのです」

「コアタイムでは、食事しながらの雑談が多いのですが、話題提供者が自分の気になったことを話して、みんなで話し合うこともあります。具体的にどうやって犯人を捜したかは、小森君本人に説明してもらいましょう」青山が小森に話を振った。

 少し間をおいて、小森がゆっくりと話し始めた。

「――あの日は話題提供の当番だったんだけど、特にしゃべることがなかったから、前日深夜のハッキングと誘拐事件のことを皆に話したんだ」

「そうしたら食堂のおばちゃんが、誘拐された子供が幼くて可哀想だ、小森君が事件を見つけたんだから小森君が助けてあげなさい、と無茶なことを言い始めたんだ」

「誘拐事件の捜査なんてことには全く興味ないんだけど、食事の出前でいつもお世話になっているおばちゃんの頼みだから渋々引き受けたんだ」顔を真っ赤にしながら、小森が恥ずかしそうに説明した。

「どうやって犯人を捜し出したんですか?」犯人捜しの核心が気になった黒田が聞いた。

「意外と簡単だったよ」

「警察庁のサーバにあった捜査情報のファイルには、誘拐事件の推定犯行時間と犯行場所が書かれてあったんで、その時間帯のその犯行場所周辺の防犯カメラの映像と、その周辺を通過したバスやタクシーのドライブレコーダの映像をネット経由で集められるだけ集めたんだ」

「その後で、顔認証ソフトで顔画像を切り出して、警察庁の犯罪者リストの写真と照合したんだ」小森がたどたどしく説明した。

「そんなことができるの?」赤城が驚いて聞いた。

「研究所のコンピュータを使えば簡単さ!」

「僕が開発したMADマッドの顔認証ソフトは、人の正面と横顔だけでなく、マスクやサングラス、覆面にも対応しているから、犯人が三人だと絞り込めたんだ。スパコンでも一時間くらいかかっちゃったけど」小森がやや自慢げに言った。

「研究所にはスーパーコンピュータがあるんですか?」赤城がさらに驚いて青山に聞いた。

「研究所の地下一階にコンピュータ室があり、そこに当研究所のテクニカルスタッフが開発した超並列型スーパーコンピュータがあります。世界一ではありませんが、計算速度は世界で十位以内には入っていると思います。ちなみに、まだ開発中のものですが、量子コンピュータもありますよ」青山が平然と説明した。

「そんなすごい計算機設備があるのに、セキュリティに関しては手を抜いているんですか?」赤城が先ほどから気になっていた研究所のセキュリティについて、少し意地悪な疑問をぶつけた。

「そんなことはありません。研究所独自のセキュリティシステムがあります。気が付かなかったと思いますが、研究所の二キロ手前から数十台の監視カメラで常時監視をしています」

「もちろん、研究所の内部も同じです」

「それから先ほどの説明のように、犯人を捜し出した顔認証システム、これは小森君が開発したものですが、これで誰が研究所に近づいているかを事前に把握しています」

「赤城さんたちが当研究所に近づいていることも、このセキュリティシステムでわかりましたよ。それで、副所長に慌てて連絡を入れました」と青山が説明した。

「蛇足ですが、研究所の建物自体が衛星写真に写らないように、光学的な迷彩を施しています。詳しい原理はお話しできませんが・・・・・・」

「この研究所の存在は秘密でも何でもないのですが、ポツンと建った山間(やまあい)のビルは目立つので、できるだけ目立たないようにこのような措置を取っています」

「それで、どの衛星画像にも建物が写っていなかったんですね。驚きました。まるで狐につままれているようです」黒田が時代錯誤な表現で驚いた。

「話を戻しましょう。小森君、説明を続けて下さい」青山が説明を促した。

「前科がある一人については犯罪者リストの画像から簡単に名前がわかったけど、残りの犯人二人の方は前科が無かったので、ちょっと手こずったね」と小森が言った。

「どうやって見つけたんですか?」赤城が小森に聞いた。

「最初にわかった犯人との接点が不明だったんで、怪しげな依頼を仲介する闇サイトに当たりを付けて全てのサイトを全文検索したんだ。これは人見さんの入れ知恵だけどね」

「そうしたらビンゴ。誘拐に関係ありそうなやりとりが見つかったんだ」

「間抜けなことに、二人とも自宅から、しかも正規のネット接続業者の登録アドレスを使っていたので実名を探すのには苦労しなかったよ」

「無料の無線LANアクセスポイントからの接続で、フリーメールを使われていたらもう少し時間がかかったかもしれないね」小森がやや誇らしげに説明した。

「ところで誘拐犯たちが潜んでいた空き家は、どのようにして見つけたんですか?」と黒田が聞いた。

「さっきの方法で実名がわかったから,スマートフォンの会社のサーバをハッキングして調べたら、前科のない犯人二人のスマホの電話番号が特定できたよ。それから、そのうちの一人のGPS機能がオンになっていたんで、大体の潜伏場所はすぐに掴めたよ」

「次に、その付近の防犯カメラの映像を集めて、犯人たちが出入りしている空き家を突きとめたんだ」小森が潜伏先の特定までの手順を説明した。

 説明を聞けば筋道が通っていて、なるほどと納得できる内容であるが、赤城と黒田はにわかには信じられなかった。

「犯行動機もコンピュータでわかったんですか?」警察出身の黒田が聞いた。

「それは人見さんの担当さ。いくらスパコンでも人間の心理までは計算できないよ」小森の答えに、赤城は何だかほっとした。

「人見さんには、今度の事件にも協力してもらわないといけないので、後で紹介します。まずは本題のウイルス誘拐について話しましょう」青山が話題を変えた。

「今回のウイルス誘拐の件も、小森君が首相官邸のサーバをハッキングしたときに見つけました。まずは、白鳥先生に鳥インフルエンザウイルスについて説明して頂きましょう」

     ★

「まずは、基本的なことからお話しましょう。ウイルスは細菌とは異なり、DNAやRNAなどの遺伝子とそれを囲むカプシドと呼ばれるタンパク質で構成されています。それから、巨大なパンドラウイルスなどの例外を除けば、ウイルスは細菌の大きさに比べてかなり小さいのです」白鳥がおもむろにウイルスについての説明を始めた。

「今回盗まれた鳥インフルエンザウイルスは、RNAを遺伝情報として利用するRNAウイルスに分類されます。鳥インフルエンザウイルスは、このRNAとカプシドがエンベロープという膜で覆われた構造をしています。子供たちに発熱や水疱の症状をもたらす手足口病の原因となるエンテロウイルスも、このRNAウイルスに分類されます。ただし、エンテロウイルスにはRNAやカプシドを覆う膜状のエンベロープはありません」

「RNAウイルスは、DNAウイルスに比べて突然変異するスピードが速いと言われています。人に感染するインフルエンザウイルスも、本来はカモなどの水鳥を自然宿主として、その腸内に感染する弱毒性のウイルスであったものが、突然変異によってヒトの呼吸器への感染性を獲得したと考えられています」

「ウイルスを防ぐ免疫療法としてワクチンが使われますが、天然痘ウイルスはDNAウイルスなので同種のワクチンが長い間使えますが、インフルエンザウイルスはRNAワクチンなので、同種のワクチンを長期間使うことはできません」

「そのために、一度インフルエンザウイルスに感染して免疫ができても、変異したウイルスに再度感染してしまうリスクが常にあります」白鳥は学生に講義するように二人に丁寧に説明した。

「白鳥先生、基本的な質問なのですが、そもそもウイルスは生物なのでしょうか?」と赤城が聞いた。

「いい質問ですね。現在でも、生物の定義は厳密にはできていません。ですから便宜的に、『細胞を構成単位として、代謝と増殖ができるもの』を生物と呼んでいます。したがって、細胞を持たないウイルスは、この点では生物ではないことになります。しかし先程の説明のように、遺伝物質を持ち、人や鳥などの生物の代謝系を利用して増殖するウイルスは、生物と関連が深いことは明らかです。質問の答えになっていないかもしれませんが、ウイルスは生物と非生物の中間的な存在なのです」と白鳥が答えた。

「私の頭ではよくわかりませんが、生物学が難しいことはよくわかりました」と黒田が言った。

「私のように何十年研究しても、黒田さんと同じように、わからないことはまだまだ沢山ありますよ。イワノフスキーがタバコモザイクウイルスを発見してから今日までの間、ウイルスの正体についての考え方が何度も変わっています。僕は、ウイルスを正しく理解することが生物、最終的には人間を理解する鍵になると考えていますよ」と白鳥が続けて答えた。

「ところで、犯人達が脅しているように、鳥インフルエンザウイルスを増殖させてばら撒くことが可能でしょうか?」赤城が単刀直入に聞いた。

「残念ながら、できるでしょうね。細菌は適当な養分や水分があれば自己増殖できますが、ウイルスは単独では増殖することはできません。ただし、高度な専門知識と十分な設備があれば増殖は可能でしょう」と白鳥が答えた。

「当研究所なら確実に可能でしょうが、もちろん我々はやりません」

「この研究所には遺伝子工学の実験設備もあるんでしょうか?」黒田が聞いた。

「もちろんありますよ。ゲノム配列を解析するシーケンサやたんぱく質の構造を解析するクロマトグラフ質量分析計など、その他にも色々ありますよ」白鳥がゆっくりと微笑んだ。

「盗まれた鳥インフルエンザウイルスは強毒性ではあるが、今のところ人から人への感染は確認されていません。ただし、遺伝子の突然変異や人為的操作によって人型ウイルスに変わってしまうことも十分に考えられます。できるだけ早く回収することが重要です」と白鳥が続けた。

「それで、どこから手を付ければ良いでしょうか? 私共には見当もつきません。白鳥先生、何かアドバイスを頂けませんか?」と赤城が聞いた。

「私は刑事や探偵ではないので、詳しい捜査の方法は知りませんが、まずは、大学、国立研究機関、民間企業の遺伝子関連の研究者について、ここ数年で職場を辞めたり変わったりした人達を、小森くんに調べてもらってはいかがでしょうか?」

「それから、ウイルスが培養可能な研究施設や、そのための装置についても調べてもらいましょう。何かわかるかもしれません」

「今回の犯人は、毛利首相のアドレスを簡単に見つけ出したことからもわかるように、コンピュータやインターネットにも詳しいようですから、前回の誘拐事件のように簡単にはいかないでしょうね。小森君、やってくれるかな?」白鳥が小森に聞いた。

「――コンピュータに詳しいのか。これまでの話から考えても、かなりのスキルの持ち主だなぁ・・・・・・」何か思い当たるふしがあるのか、小森の表情が一瞬曇った。

「白鳥先生の頼みなら仕方ないなぁ。取り敢えず、ウイルス関係の研究者について当たってみます」自信なさそうに小森が言ったのと同時にモニタ画面の映像が消えた。

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