第7話 狂 孤高の狂狼
んーーー………ここは……。
あれ……?なんかいつもと体の勝手が違うな。
起き上がるのに妙に力使ったり、足では立てなくなったり、しかもお尻辺りにはなんだか知らないけど動かせるものが。
これ……俺人間じゃなくね?
とりあえず四足歩行で動けることは分かった。
自分の腕とか足を見る限りもう完全に人間ではありませんね。おまけにモフモフ尻尾付き。か~わ~い~い~。
さて、状況を整理するか。
これは、アニメやマンガやラノベで有名な異世界転生ってやつか!?
うっひょおおおお( ☆∀☆)テンション上がってきたぁぁぁ!
俺は元々ガチオタクのゲーマー、こうして異世界転生する直前の記憶もVRMMOをしていた記憶で終わっている。
たしか、
一応シヴァって名前で登録していたのは覚えている。
そこで日本一のギルド入ってプレイしてたんだけど、まあ嫌われてただろうなぁ俺は。
ゲームでは自分は戦闘狂。ところ構わず喧嘩を売っては多数のプレイヤーをボコボコにしてきた。
その問題行動のせいで、俺が所属していたギルド『pack of wolves』の評価は一時期下がってしまったこともあり、俺はpack of wolvesの問題児ならぬ問題狼として有名になった。
それでもギルドを強制的に脱退させられなかったのは、ギルドマスターのゴールドというプレイヤーがみんなにこう言っていたからだ。
「シヴァがまたなんかしそうになったらアタシが止める。それに、へたに強いこいつを野放しにしたら、他のギルドにどんな被害が出るか分かんないからね。だったら、こいつが暴れないようにアタシらが見張りつつこいつにはギルド対抗戦だったりで存分に暴れてもらおうじゃないの!」
ゴールドさんが言うなら!と自分の意見も言わずに賛成する奴が多かった。
たく、主体性ってもんが無いのかねあいつらは。
まあとにかく、そのギルドマスターのゴールドが定めた方針により俺はそのままpack of wolvesに所属することとなった。
と!言うことで、ゲームやアニメが生きがいの俺氏ゲームでも嫌われてるから、前世に未練無し!
この世界好きに生きるぞぉーーー!!!
そうして俺はモフモフの獣となった体で一人、いや一匹で食糧と水を求めて森を駆け回るのだった。
狼として一週間が経った頃、俺は進化を遂げてグレーターフォレストウルフなるものに進化していた。
大分保存肉も増え、川が流れる場所も覚えた。
最初は狼で肉を焼こうと火をつけようと試みたが、とんでもなく時間がかかり、迷った末に俺は生肉で食っていた。
最初は少し抵抗あったけど、慣れればうまいもんだ。
保存肉を増やす為の狩りをしながら、レベルの存在に気づいた俺は食糧を集めたあとも他の獣や魔物に積極的に戦いを挑んでいた。
そうしてLv10までレベル上げをした結果、グレーターフォレストウルフに進化することができた。
進化する際、どうやら数時間程眠ってしまうらしい。
今回は幸運にも襲われ無かったので良かったが、次の進化の時はさすがに安全な場所で進化しよう……。
進化したタイミングで、今までのオタク知識を元に俺はある一つの重要な事実に気づいた。
スキルの存在だ。
レベルとかそういうゲームシステムがあるファンタジーの小説では、大抵魔法やスキルがある。
ただ、今まで戦ってきた相手で魔法を使う奴はいなかった。
けど、スキルみたいな特殊能力っぽい攻撃をするやつは度々見かけた。
そこで、もしかしたらスキルとかあるんじゃね?と思いスキルを覚えたいと念じてみる。
するとビンゴ!電子版のようなスキルボードが出てきた。
俺は今までスキルを覚えて来なかったので、スキルを覚える為に使うスキルptは1000pt貯まっていた。
そこで、俺はとりあえず三つのスキルを取った。
一つ目は『解析』。
敵のステータスとかを数値化して見れるのはでかいからな。取っておいて損は無い有能スキル……のはず。
二つ目は『物体生成』。
これは見ただけで分かる、チートスキルだな。まだLv1だから、ほんのちょっとの物でも製造するために使う魔力は多く燃費が悪い。
剣や斧のような武器を作ろうと試みたが、直接手に取ったことの無い物は作れないようだ。
だから、良い武器を発見した時に欲しい!となっても、直接手に取らせてもらえなければ作り出すことは不可能。
逆に言えば、触れることさえできれば多くの魔力と引き換えに強力な武器を作れてしまうのだ。
勇者や魔王が使う剣とかコピーできたらすごそうだな……!
三つ目は『属性付与・火』。
身体強化と少し迷ったが、レベルアップしていっていずれ強敵に挑むなら、ただ攻撃力を強化するよりも属性をつけて攻撃を強化した方が強いという判断からこれを取った。
なぜ火の属性なのかというと、どうやら俺に相性が良い属性が風と火だったようだ。
その二つの内、汎用性が高そうだったから火属性を取った。
これによって俺の爪や牙などの全ての攻撃に、火属性を付与することができるようになった。
まだスキルのレベルは1だから火傷する程度だが、これがカンストする頃には強力なスキルになってることだろう……!
スキルを取った日からさらに一週間、スキルのおかげでより狩りもスムーズになった影響で、さっそくLv10に到達し進化が可能となった。
今回の進化先はどうやらワーウルフ、つまり人狼になれるらしい。
つまり人間体になれるという魔物等に転生したシリーズでのお決まりパターン。
だが、悪く無い!いやむしろ好都合!
狼の体は正直悪く無いんだ。けれど、どうしても人間体のような細かい動きをすることが難しい。
さらに俺はVRMMOをやっていたプレイヤー、戦闘も人間体の方が慣れている。
ということで、安全な洞穴を見つけそこで進化開始。この時だけは、襲われても対処のしようがないからな。結構怖いもんだ。
そして、俺はワーウルフとなった。
人間体にもなれるようになっていた。
さすがに真っ裸はあかんな……。もし人間とかに出会ったら変質者扱いされてしまう。
そういやゴブリンを倒した時、あいつら短パンみたいなの履いてたな。
あれくらいなら簡単に作れるか……?
てことで物体生成を使ってみる。
スキルレベルも、道中武器用に太めの木の棒を度々生成していたのでまあまあ上がっている。
すると、おお!作れた作れた。サイズもちゃんと自分に合う様に作ることができた。
これで最低限隠すものは隠せた。
さて、約二週間で俺はかなり強くなったと思う。
何かここいらで、強い魔物一体や二体は狩って置きたいな……。
実は二体程は目星をつけている。
一体はグレーターアルムコングというデカイゴリラだ。レベル上げの時にアルムコングの群れを狩っている最中遭遇した巨大なゴリラ。
ステータスも中々だった。特に物理防御が高く手の出せる相手では無かった。ただ、属性付与のスキルレベルが上がってる今なら勝てるんじゃね?そう思い第一候補はこのゴリラ。
もう一体はサーベルリザード。長く鋭い爪を持ったデカイトカゲ。
スピードとパワーが高く、見つけた時は解析が無かったら様子見で戦って死んでたと思う。
けど、今ならスピードもパワーも負けてはいない。細かい立ち回りも人間体で可能になった。だからこっちもなんとかなると思う。
どっちも今ならステータスと動きやすさで言えばこちらにも分がある。
もしどちらかに遭遇したらやり合って見るか……!
当面の目標はどちらか二体の討伐だが、そのあとをどうするかだな。
俺は特に前世の世界に未練はない。正直人生終了のニートオタクだったし。
だとすればこの世界で何かデカイことしてみたいな。せっかく転生というオタクにとっては夢でもあることが現実に起こった。
なら、さらにそこからよくあるラノベやマンガでの展開を自分で作ってみるのも悪くないかもしれない。
俺が好きな展開は………そうだな、世界を征服したりぶっ壊すダークサイドが好きなんだよなぁ……!
正直、俺人助けとか嫌いだし。
自分の人生自分の好きに生きて何が悪い。助けたくないのに助けるなんてこと俺はしないんだよ!
ま、見返りとかあれば別だけどさ。
勇者みたいな偽善ごっこするより、俺は自由気ままに世界征服する魔王展開の方が大好きだ!
けど、征服しても運営するとかめんどいなぁ……。
てことは一番楽で面白そうなのは、世界を隅から隅までぶっ壊して、俺が一番!ってやることだな!
よし決めた!この世界がどんな世界か知らないけど、根本的にこの世界ぜーんぶ
おおおお!!そうと決まるとテンション上がるなぁ!!!
もちろん仲間とかも一切作るつもりもない。
配下とかできてもめんどくさそうじゃん?だから俺は自由に孤高を貫くのさ。
言葉おかしいって?んなことないない。多分。
たった一人、いや一匹のワーウルフが世界を壊して見ました。
うむ、良いラノベになりそうだな……!
さて……そんな素晴らしい目標が決まった時にお客さんのようだ。
敵影察知のスキルのおかげでお前が来てることはバレバレだぜ……!
さあ!転生して恐らく初めてのガチ戦闘だ。楽しませてくれよぉ……?サーベルリザードくん……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます