第4話巨大ゴリラVS四匹の狼
時を遡ること二日前、目標が決まった私達二人は、食べられる動物を狩りながら、積極的に他の魔物にも挑んでいった。
この間のハイエナくんの群れはもちろん、小型の恐竜みたいなトカゲを倒したり、ハチミツを取っている最中の、まあまあでかいクマも倒した。
そして、二人で魔物を倒している時に気づいた。これ、経験値ってとどめ刺した方に入るんじゃなくて、ちゃんと全員に入るんだね。
そうだと思って、ゴールドさんが峰打ち、私がとどめをいただいていたのはあんまり意味が無かったわけだ。
じゃあずっとゴールドさん任せで良いじゃ~んとか思ったけど、それだとダメなんだよね。
私があのハイエナゾンビの群れを一人で倒した時に、ゴールドさんは近くにはいたけど、攻撃はしなかった。そのゴールドさんはレベルアップ無し。あの後の解析でレベルが変わってなかったのが証拠だね。
単純に経験値足りなかったのでは……?とかお思いの誰かさん!それも検証するために、目標決めて出発してからしばらくは、私一人で狩りをしていたのですよ!ゴールドさんは近くで見てるだけでね!
そしたら、私がLv6、Lv7と上がっても一向に上がる気配0だったので、これは攻撃しないと経験値入りませんとわかったのですよ!
そして、この二日間、色々な魔物を倒した成果、つまり私達のステータスを解析したものがこちらだぁ!!!
個体名:カウワード Lv9
種族名:フォレストウルフ
能力値:HP-120MP-55攻-90魔攻-87防-111魔防-106速-147
所持スキル:敵影探知Lv1 嗅覚Lv8 解析Lv6 魔力増加Lv1 魔力操作Lv3 強化爪Lv5 強化牙Lv4 幸運Lv1 腐蝕攻撃Lv1
魔法:風魔法
スキルpt残量:0pt
個体名:ゴールド Lv.6
種族名:グレーターフォレストウルフ
能力値:HP.400MP.13攻.219魔攻.36防.101魔防.94速.294
所持スキル:敵影探知Lv1 万能嗅覚Lv1 身体強化Lv8
強化爪Lv8 強化牙Lv8 威嚇Lv9 大胆Lv4 王格Lv3
魔法:
スキルpt残量:500
どう?私達結構強くなったでしょ?ステータスもそれなりに、スキルも結構強くなったからね!
特に私は、スキルptを貯めて魔法を使えるようにしたのさ!ガチ戦闘なら、私は前世(?)でも後方支援が基本だったし!
けど、この狼の種族って、魔法の適性が元から低いせいか、魔力増加のスキルでMP増やして、魔力操作のスキルで魔力をそこら辺の魔力を操れるようにならないと魔法が使えないんだよね!
そして、まだ取ったばかりなので、一番適性のある風の魔法しか使えない!まあまだ覚えたばかりだし、これはこれからに期待だね!
それよりも私が気になる私のスキルは……幸運と腐蝕攻撃!腐蝕攻撃は、例のハイエナゾンビの群れがいて、カモだカモだー!つって噛みつきで倒しまくってたのさ。(私は爪攻撃だと攻撃力低くて倒せない……。)
そしたら何匹か倒している内にポーンと、頭に声が響いたわけですよ。
『一定の条件を満たした為、スキル:腐蝕攻撃 を獲得しました。』
それを聞いただけでもう、なんじゃその攻撃はぁ!絶対ヤバいやつじゃねえか!ということは分かった。こういうのって、狩った敵とかが溶けたり腐ったりして無くなったり食べられなくなるやつじゃん?だから、私は怖くて使ってません……。
そしてもう一つがこれ!幸運!これは絶対良いスキル!どこでどう発動するかは分かんないけど、要は運良いなー!っていう出来事が起こるものなんだろう……そう……だと思いたい……。
そして解析も、Lv4からLv6に上がった!これにより、自分が使える魔法、そして、ついに各ステータスやスキルの簡単な説明が見られるようになった!本当に簡単だけど……。
さて、続いてゴールドさんだが、この人完全に物理アタッカーだな……。紙装甲だけど、その分火力がバカみたいに高い。まさに狼って感じだなぁ……。
そんなゴールドさん、スキルポイントは使わず貯めている。あるスキルを取りたいとのこと。なんでも、取ったら教えてやろうとかなんとか。
1つの選択で生死を分けるサバイバル生活で、隠し事やサプライズはいかがなものか……と最初は思ったが、私も良いスキル見つけた時はワンチャンそうするかもしれないから文句は言えない……。
そして、このレベルアップ生活を続けて今日で三日目なわけですけど、昼間はとりあえず、大層な獲物も得られずご飯にしていた。そしたら、急に、地震とはちょっと違うような、そんな地響きがしてきた。
「なんですかねこの地響き?」
「結構近づいてる……。カウちゃん、ちょっとアタシが高いとこから見渡すから、
「お、
風魔法、『
性能はご覧の通り!ゴールドさんは空高く、ていってもまだ魔力もそこまで伸びていないので、そこらの木よりちょっと高いくらいまでしか飛ばせない。大体3、4mくらいかな?
「ひゃぁーー!!!風が気持ちいいー!!!」
「どうですーゴールドさーん!何か見えますかー!!!」
「おっとそうだった、えーとぉ?ん、あれは……!」
そして、すぐにゴールドさんは落ちてきた。華麗な着地、お見事10点。じゃなくて、さて、何か発見したようだったけど、一体何が見えたのだろうか……。
「どうでした?」
「えっとね、あんまり良くないものが見えちゃったよ……。何かっていうとね………木より大きいゴリラ……。」
「………へ……?」
「ちょっとゴールドさん、本当に行っても大丈夫なんですか!?」
「あのゴリラは、何かを追って走ってた。何か魔物を追っていたとして、あのゴリラじゃなくてもその追われている魔物を倒してレベルアップとか狙えたりしないかなー?って。いざとなれば、アタシが身体強化してカウちゃん担いで逃げよう逃げよう。速度はアタシよりは速くは無かったっぽいし。」
「そのぽいっていうのが戦場では生死を分けるんですよぉ……?まあ良いや、私達結構強くなったし、痛いのは嫌だけどどれくらいの敵に勝てるかは試してみたい気はしていましたから。」
「フッフッフ、カウちゃんも段々戦闘狂に染まってきたじゃん?」
「違いますよ、自分がどれくらいの敵に勝てるかで、もし一人行動になったときに、どれくらいの強さの魔物になら挑んで良いのかのデータが欲しいんです。あと、ゴールドさんより強いステータスを見てみたいっていうのも。」
「絶対最後のやつが本命じゃん!」
とまあ、こんな感じで全く緊張感無くその巨大ゴリラとやらの進行方向に私達は先回りした。
ここ結構高い崖の下だな。そして、迫ってくるのは、その崖級のサイズのゴリラと、それに追われてるのは……あれ?あれってもしかして……。
「カウちゃん、とりあえず解析解析!」
「え、あ、そうですね!『解析』!」
そして、解析には、巨大ゴリラを含めた3つの反応があった。
個体名:ボッベル Lv1
種族名:フォレストウルフ
能力値:HP-48MP-38攻-50魔攻-44防-36魔防-38速-71
所持スキル: 気配察知Lv5 嗅覚Lv3 魔術師Lv2
魔法:炎魔法
スキルpt残量:100pt
個体名:スズネ Lv7
種族名:フォレストウルフ
能力値:HP-154MP-0攻-110魔攻-5防-105魔防-108速-147
所持スキル:気配察知Lv8 嗅覚Lv8強化爪Lv6 強化牙Lv7 守護者Lv4
魔法:
スキルpt残量:700pt
個体名:
種族名:グレーターアルムコング Lv13
能力値:HP-560MP-18攻-490魔攻-37防-431魔防-209速-132
所持スキル: 豪腕Lv15 威圧Lv3 暴君Lv5 身体強化Lv2
魔法:
ポーン。頭の中で声が響く。
『スキル:解析Lv6 は、一定以上適切に使用されため、Lv7に上がりました。』
おお、まじか!嬉しいけど、何がみれるかの確認は後々!
「ゴールドさん……良いニュースと悪いニュースがあるよ……?どっちから聞きたい……?」
「どっちでも良いから速く言いなよ!ゴリラ来ちゃうじゃん!」
「じゃあ、良いニュース!ゴリラに追われて逃げてる狼二匹は、
「おお!ほんとに!?じゃあさっそく助け……。」
「そして、悪いニュース、あのゴリラ……ステータスで言いますと、ゴールドさん二人分の激強モンスター……あの狼二匹がギルドメンバーだと分かった以上、そのゴリラを退ける必要が……。」
「なーんだ!その程度か!カウちゃんはやっぱりビビりだねぇ!」
そう言いながら、ゴールドさんは身体強化と同時に強化爪を発動する。
「え……?ちょっ……ちょちょちょ、ちょっとゴールドさん!?まさか無策に突っ込むつもり!?無茶だよ!せめて少しでも作戦練ってから……!」
「あの二人今にも追い詰められてるじゃんか!それを見ながら呑気に作戦なんて練れないってーの!」
う……たしかに、二人は崖際に追い詰められて、今にも殺られそう……。………ああもう!仕方ない!
「本来は、こんな全く無策で突っ込むのは、危ない!危険極まりないです!けど、それは、私の今までの経験上ケースバイケースです!……行きましょう!いつも無茶するあなたを、サポートするのが私の役目ですからね!」
「ハッハッ!それでこそ、pack of wolvesのメンバーだよ!行くよカウちゃん!」
そうして、私達は飛び出した。ってギルマス速すぎるわ!速度のステータスそういやめっちゃ差あったわ!
こうして、おそらく私達がこの世界に来て初めての、大ボスとの戦いが、幕を開けたのだった。
「ゴールドさん………!!!」
スズネさんがゴールドさんの名前を呼ぶ。よく分かったな?まああんなことする金色の狼、ギルメンだったらゴールドさんしか思い付かないわな。
「ゴールド……?へ!?あれギルマスなの!?」
ボッベルことぼっちゃんも、スズネさんに言われ気づいた様子。ぼっちゃんのあのビビりっぷりは、臆病者の名を冠する私でさえも逆に冷静になれる程だ。
「よっ!久しぶりぼっちゃん!とりあえず、前線はゴールドさんとスズネさんに任せて、私達は後方支援しよっか。」
ようやく追い付いた私も、ぼっちゃんの元に行き役割確認をする。
「え、あの、あなたは……?」
「自己紹介は後々!とりあえず、あのゴリラなんとかしよう!ゴールドさーん!スズネさーん!近接任せましたー!」
「はいよー!任されたー!」
「ゴールドさん、あの方は……?」
「んー?みんなが知ってる、pack of wolvesの孔明だよ。背中はあの二人に任せてアタシ達はあのゴリラをボコボコにするだけだよ!」
「pack of wolvesの孔明……?フフ……なるほど。それは頼もしいですね。」
「スズネちゃんまだ動ける?ていっても、あのゴリラは待ってくれないっぽいけど!」
「ええ、まだ大丈夫です!」
さっきまで腕をさすっていた巨大ゴリラが、ゆっくりとこちらに向き直った。そして、先程の攻撃に危険を感じたのだろう。
巨大ゴリラは、強く胸を叩きながら、開戦の雄叫びを上げた!
「グオオオオオオオォォォォ!!!!!」
雄叫びを終えたゴリラは、その巨大な腕を、ゴールドさん目掛けて振り下ろす!自分にダメージを与える敵を把握しているなあのゴリラ、中々賢い。
「うおっと!危ない!」
ゴールドさんが避けた場所には、拳型のクレーターができていた。あんなん食らったらひとたまりもないな……!
「ひぃぃぃ!あんなのどう対処すれば良いんですかぁ!」
「うーん、そうだねぇ……。」
実際どう対処しようかと言われても、ゴールドさんのおそらく最高威力の爪攻撃で腕痛める程度だし、これほんとにどうしようも無いんじゃ……?
いやいや、ここでなんとか知恵を振り絞るのが私だろ!さっき解析で得た情報を思い出せ!
あ、そうだ、あのゴリラたしか、物防に比べて魔防が低かったような……?つまり、物理攻撃は全然効かないけど、魔法は通りやすい……?
「うーん、でも、正直私の風魔法攻撃としてはまだまだ過ぎるなぁ……小さい竜巻を操れる程度だし……。」
「さっきから何をブツブツ呟いてるんですか?」
「ああいや、あのゴリラ魔法に弱いから魔法で責めたいんだけどねー、生憎私の魔法じゃ全然火力無いし……あ!ぼっちゃん!君も魔法使えるじゃん!それをあのゴリラに当てれば少しはダメージ入るんじゃない?」
「はい!?ぼぼぼ、僕が魔法を使える……?」
そうだ、さっきの解析では、ぼっちゃんはフォレストウルフにしては珍しく、MPも魔攻も並程度には持っていた。
そして、使用可能な魔法に炎魔法も入っていた。炎魔法なら、少なくとも私の弱っちい風魔法よりかは火力あるだろう!
ぼっちゃんは、pack of wolvesでも、後方で魔法を打って敵を殲滅するタイプだったから、その影響なのだろうか……?
「ぼっちゃん、今から私達で隙を作る、その間、ぼっちゃんは魔力を貯めて、貯めて、貯めまくって、最大威力の炎魔法を打つんだ!」
「はい!?僕魔法なんて使ったことないよ!?」
「そんなの分かってる!けどぼっちゃんには、おそらく魔法を簡単に使えるようになるスキルがある!それがあれば、多少の無茶はそのスキルがカバーしてくれるって!大丈夫、
「あのゲームみたいに…………分かった、よく分かんないけどやってみる。けど、危なくなったら僕はすぐにでも逃げるからな!?」
「はいはい、分かった分かった!」
あんなこと言ってるが、あれでぼっちゃんは責任感は人一倍強い子だ。信頼できる。さて、それよりもだ……。
腕攻撃を避けながら、身体強化と強化爪による合わせ技、『チャージクロウ』なるものを当てていくゴールドさん、そして、ゴールドさんに向いているヘイトの隙をついて、素早い爪攻撃をかますスズネさん。
さすが、pack of wolvesの近距離トップのプレイヤー二人だ、ステータス格上の相手でも、難なく立ち回れている。
そして、相手のゴリラだが、こちらもこちらで強い。
さっきから、何度も二人の爪攻撃を食らっているが、ゴールドさんの攻撃は確実にガードしているためかうまくダメージを軽減している。
スズネさんの攻撃には、ステータスの関係か最早目もくれていない。つまり蚊が刺す程のダメージも無いということか、もしくは……ゴールドさんの攻撃をガードするのに集中してるか……だな。
さて、あのゴリラを一旦止めるにはどうする……?考えろカウワード!周りには木々、そして後ろに崖、うーん、ここを登れたら………あ!そうだ!あれを使えば登れるじゃん!てことは……!
「スズネさん!攻撃をやめて一旦こっちに来て下さーい!ゴールドさんはそのまま攻撃し続けて注意を引いてください!」
「了解!行きなスズネちゃん!ここはアタシに任せな!」
「面目ありません……。任せました!」
隙を見て、こっちにすぐ戻ってくるスズネさん。スズネさんのステータスなら、あれとのコンボでこの崖上も登れるはず……。
「スズネさん、この崖上に登って、できるだけたくさん岩を砕いて落としてください!」
「岩を砕いて落とせば良いのですね?承知しました。ただ、たしかに私ならここを登ることも可能ですが、少し遅くなって……。」
「そこは大丈夫!今から私が飛ばしたげるから!」
「え……?飛ばすって……。」
「行くよー!風魔法!『
私の使った風魔法により、かなり上に飛ぶスズネさん。
「そこから~、風魔法、『
さらに新魔法!『
崖の高さは木々より少し低め。跳躍竜巻で飛んだ高さであれば、余裕で崖の上以上に高く飛ぶことができているだろう。そこに、導きの追い風を使うことで、崖の上に着地できるようにスズネさんを空中で移動することもできる!
「おお……すごい!カウさん!着きました!崖上です!」
「いよっし!それじゃあ、そこから、岩石を細かくぶっ壊して、あのゴリラ目掛けて飛ばしてくれ!届かなくて良いよ!そこは、私がなんとかする!岩石が少なかったら、木々の破片でも良い!」
「承知しました!ハァ!!!」
崖上から、強烈な破裂音が聞こえる……!やっぱあの人、進化前の個体なのに強いんだよなぁ……。
そうして、崖上からは、結構な勢いで破片が飛んでいく!さあ、こっからは私の仕事だな!
「よーし、ナイスだよースズネさん!後は任せて!『
先程スズネさんを崖上まで導いた風魔法を、今度は岩石や木々の破片に使用する。
これを、あのゴリラに向かって……!後は、ゴリラの注意をより引いて欲しい……!そして…………。
「ぼっちゃん、魔法の準備オッケー?」
「よく分かんないけど、なんかすっごいパワー集まってる感覚だけはあるよー!!」
んーと、ぼっちゃんの頭上には巨大な魔力の塊が……あれほんとに38MPの魔力か!?いや、今は置いておこう。むしろ好都合だ。
「オッケー!私が風魔法を使ってあのゴリラ止めるから!ぼっちゃんは何かしら炎魔法使って、それをあのゴリラ目掛けて打ってくれ!」
「で……できるか分かんないけどやるからね!?失敗しても怒らないでね!?」
成功しなかったら………終わりかも……。頼む、成功してくれよ……!私は、今まで生きてきた中で一番の祈りを込めて、風魔法、導きの追い風を放つ!
「行くよー!食らえゴリラぁ!!!」
岩石や木々の破片を含んだ風魔法が向かう先、それは、あのゴリラの眼球!
そして、さすがゴールドさん、こちらの思惑を察してくれたのか、ゴリラをこちらに振り向かせるように動いてくれている。これなら………!
「当たれぇーー!!!」
「……!?グオオ!?」
ゴールドさんにずっと注意を向けていたゴリラは、ようやく私の風魔法に気づいたようだが、今更遅いわ!そんな距離でかわされる程、私の風魔法は遅くねえ!
そして、破片が混ざった風は見事眼球クリーンヒット!!!自分でやっといて痛そうだなぁ………。
「グオオオオオアアアアア!?!?!?」
おそらく、今まで生きてきた中で一番の痛みなのだろう、目を抑えピクリとも動かない。
「今だぼっちゃん!!打てぇ!!」
「おりゃああ!食らえぇー!!僕が一番よく使ってた魔法!!『
すると、ぼっちゃんの頭上の魔力の塊は、みるみる炎の塊に変化していき、そのサイズは、ゴリラの上半身を覆い尽くせる程の大きさになり、ゴリラに向かって一直線に飛んでいった!
目の痛みで、周りなんて見えていないゴリラは、その巨大火炎球に気づけるはずもなく、見事直撃した!
「グ……!?グオオオオオオオオオオアアアアアアア!!!!!!」
「「「いっけえええええええ!!!」」」
しばらく転げ回ったゴリラは、やがて動かなくなった……。
「まだ安心しないで!知恵のあるやつは、こうして死んだふりして、近づいてきた獲物を奇襲することもあるからね。」
ということで、四人全員で、ゆっくりと、攻撃されてもすぐに逃げられる位置まで近づき、ゴールドさんとスズネさんで見てみる。
「これは……攻撃できる程の体力は無いけれど、虫の息って感じですかね?」
どうやらあのゴリラ、まだ生きていたらしい。タフだなぁ~。
「ああ、みたいだね。けど、これで終わりだ……。」
そう言い、ゴールドさんは、とどめの爪攻撃を放った。これで………本当に、私達は勝った……!
『個体名:カウワード の経験値が一定以上満たされました。それにより、レベル13にアップしました。一定のレベルに達しましたので、進化が可能になりました。』
来たあああああ!!!レベルアップ&進化可能!!間違いなく、私達四人は、この格上である巨大ゴリラに、見事なチームワークで、勝利をもぎ取ったのだった。
「うっわ……まじか!グレーターアルムコング倒しちゃったよあの狼達!しかもなんか数増えてるし……。これは、ますます仲間になったら、魔王軍の戦力増えるって感じー?それをスカウトしたイトメアちゃんはー、幹部に昇格でハッピーエンド、的なー!」
「はぁ………あれ程言ったのにイトメア、お前というやつは………。」
「うわあ!?びっくりしたぁ~……。急に出てこないでよマリスー。」
「お前、お互いがテレポート先として指定されているのだから、交代の時はすぐ来れるだろう。」
「んもーう、こんな可愛いレディーにいきなりテレポートなんて、ワタシがお風呂中とかだったらどうするわけ~?」
「はぁ……ああ、分かった。善処するよ。それよりもだ。イトメア!お前、あれ程我が関わるなと言っておきながら、あんな魔物を狼共に仕掛けるとは!我々の仕事は、時が来るまで監視を行い、しかるべき時に魔王軍へスカウトするというものだろう!?」
「はーいはい、ごめんごめーん。でもさでもさ、結構良いデータは手に入ったでしょ?あいつらには、仲間がいたってことと、あいつらの知恵は相当なものだって!あんな格上のアルムコングに勝てる狼たった四匹とか、確実に魔王軍に誘うべきよ!」
「ふぅ……最早お前には何を言っても無駄な気がしてきた……。まあよい、たしかに良いデータは取れた。後は、魔王様の返事待ちとしよう。では、監視の交代だ。イトメア、お前は魔王様へ、あの狼達のことを報告してくるのだ。」
「えー!?やだやだやーだー!!!魔王様への報告とか怖すぎよ!マリスも一緒に来てよーー!!」
「わがまま言うでない!監視は3日交代と最初に言っただろう!良いからお前は早く報告に行ってくるのだ!」
「もしかして、マリスも怖かったんじゃ……。」
「あー、すまんな、今少し強い風が吹いて何も聞こえなかったぞ。良いから早く行ってこい。」
「ちぇっ、マリスのケチンボ!ビビり!今回の情報はワタシ一人が得たデータだって報告しちゃうんだからねーー!!」
「はぁ……やっとうるさいのが消えたな。………しかしあの狼共………危険だな……。もし本当に魔王軍となるのなら光栄だが、我々の敵となった場合………これは、近々、幹部様を呼んで接触するのも、悪くは無いのかもしれないな……。」
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