第11話 この後どうしよう?
俺が起きた時、ココとアンズは寝息を立てていたし、ミヤコも壁にもたれかかって眠っているのが目に映る。
動けない。
左右から柔らかい女の子の感触をダイレクトに味わうという状況だ。
天国なようだが身動きとれないのはキツイ。
「ん……お兄ちゃん」
ココがポツリとつぶやいたが、彼女はまだ眠っているので寝言だろう。
ココに兄弟はいなかったはずだが、どういうことなんだろう?
夢の中じゃ家族でもいるんだろうか?
猫は一匹で生きていく動物だから家族の絆はあまり強くないが、例外だってあると伯父さんは言っていたな。
全然気づかなかったけど、実は兄弟がほしかったのかなぁ。
あやかしってどういう仕組みで生まれるのか解らないが、兄はたぶんいないんだろうしどうにもならないだろう。
……亡くなった両親と伯父さんのことを思い出す。
仲は悪くなかったので彼らがもしもまだ存命だったら、もっと大きなショックを受けていただろう。
だが、彼らは数年前に亡くなっているし、会えなくなるのがつらい友人がいたわけじゃない。
冷静に考えてみると俺って薄情な奴かもしれないな。
自分の一面を発見して自分で驚いているとココが起きたらしく、体を震わす。
そしてばっちり目が合った。
みるみるうちに真っ赤になり、
「にゃああああ!?」
と叫ぶ。
これにはアンズとミヤコも飛び起きる。
「ど、どうしたの?」
「何じゃ、何事じゃ!?」
ココは真っ赤になって目をグルグルしていて、とても答えられるような状態じゃなかった。
「起きたら俺とココの目が合ったんだよ」
「何じゃ、それだけか」
説明するとミヤコは心配して損したとばかりに鼻を鳴らす。
「いいなぁ」
それに対してアンズはうらやましそうな声を出した。
「ねぇ、ご主人様。アンズもご主人様と見つめ合って寝たいよぉ」
そして甘えるように背中に手を当てて頬ずりしてくる。
「俺の背中にくっついてきたのはお前だったはずだが」
最初にアンズが背中にくっつき、その後にココが俺の正面に回ったと記憶していた。
「ううううー」
アンズは不満そうにうなる。
「もう少し配慮が欲しいところじゃのう」
ミヤコに何かダメ出しをされてしまったので、
「そうか。じゃあ夜寝る時はそうしようか」
発言を修正してみた。
「うん! きっとだよ、絶対だよ!」
幼児がするみたいに念押しをされたので苦笑する。
「わかったよ」
体を起こして背伸びをするとあくびが出た。
「ふぁー」
アンズもまねをしてきたのでふたり仲よくあくびをする。
つられたようにココもしたので微笑ましく思った。
「何よ?」
ココは恥ずかしそうにツンとした態度をとる。
ツンツンしてるのは羞恥心の裏返しと思うと、二次元でツンデレ美少女が人気だったのもうなずける話だ。
何か違う気もして首をひねる。
「この後どうしようか?」
何も思いつかなかったのでみんなに質問を投げてみた。
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