声劇台本２人用「Xn + Yn = Zn」

「Xn＋Yn＋Zn ３」

ソフィ・ジェルマン：女性

（以下　ソフィ

ガウス、兼ね役ナレーション：男女不問

ガウス：驚いたよ…まさか敵であるハズの、フランスに保護されるなんて……これも君が尽力してくれたんだね？

ソフィ：えぇ…ガウスさんが亡くなられては、この先の数学会の進歩が、遅れてしまいますから

ガウス：そこまで言って貰えると、私も嬉しいよ、しかも…こんな綺麗な女性にね

ソフィ：あら、お上手ですね

ガウス：本当の事を言っただけだよ、まさか文通してる相手が女性だなんて、思ってもみなかったからさ

ソフィ：最初から女だとわかれば、もうお相手して下さらないかと

ガウス：確かに…数学を女性が学ぶだなんて、失礼だが…フザケてるとしか、思わなかっただろうな

ソフィ：だから…偽名だったんです

ガウス：１つ聞きたいんだが…何故、そこまでして数学を？

ソフィ：私がまだ小さい頃、読んだ本があるんです

ガウス：本…どんな？

ソフィ：その本には、古代ギリシャの天才、アルキメデスについて、書いてあったんです

ガウス：面白い…聞かせてくれるか

ソフィ：彼は…ローマが襲ってきた時でも…地面に計算式を書いてたらしいです

ガウス：ほう

ソフィ：そして地面を踏み荒らした兵に向かって、式が消えるだろうと、反発したせいで、殺されたみたいで…

ガウス：なるほど

ソフィ：そんな、自分が死ぬかもしれない…そんな時まで夢中になれるものって、凄く素敵じゃないですか

ガウス：それが、きっかけですか

ソフィ：えぇ、私もアルキメデスのように、最後の最後まで、夢中になりたいんです！

ガウス：でもここまで来るまで、苦労しただろう？

ソフィ：そうですね、両親に相談しても、数学より家事を学べと言われて

ガウス：確かに、その方が人生の役に立ちますからな

ソフィ：でも数学をやりたくて、夜コッソリ勉強してたら…それもバレて、蝋燭を取られてしまってたんです

ガウス：そこまでされたら、さすがに諦めるしかあるまい

ソフィ：だから、親に取られても良い蝋燭と、隠しておく蝋燭を用意しました

ガウス：なるほど…よっぽどアルキメデスに…数学に取りつかれたんだね

ソフィ：そう…ですね……ってそれはガウス先生も同じでしょ？（笑

ガウス：確かに…ただ、ふと疑問に思ったんだが、学校はどうしたんだい？

ソフィ：学校？

ガウス：そうだ、さすがに学校は、蝋燭を隠すような事じゃ入れないだろう

ソフィ：あぁ、それは…途中で辞めた人の名前を借りました

ガウス：なんだって！？

ソフィ：女ってだけで弾かれるのが嫌だったから…

ガウス：バレなかったのかい？

ソフィ：バレました…

ガウス：やっぱり

ソフィ：授業は大丈夫だったんですけど…テストで、少し目立ってしまいまして…

ガウス：わかるよ、君が私に書いた手紙にも、いくつか面白い計算方法があったからね

ソフィ：だから、お相手して頂けたんですね

ガウス：あぁ、それがまさか、命まで助けて貰う事になるとは

ソフィ：それは…ガウス先生と一緒に、解きたい問題があったから

ガウス：君だけじゃ、駄目なのかい？

ソフィ：えぇ、だって、これから挑むのは、あの「フェルマーの最終定理」ですから

ガウス：なっ…！？

ソフィ：まだ誰も証明して無いこの問題を、私達で解くんです！

ガウス：なるほど…命の恩人の頼みなら、仕方あるまい

ソフィ：先生！

ガウス：でも、２人でやれば解ける！なんて生易しい問題じゃ、無いぞ？

ソフィ：勿論、わかってます！ただ、これから私が死ぬまで、夢中になれるものだと、信じておりますから！

ガウス：今はまだ「n＝３と４は無い」事しか、証明されて無いんだから、全てとなると…骨が折れるぞ

ソフィ：１つずつ解こうとするからですよ！ブロックで考えれば、証明する時間も短くなります

ガウス：ブロック？奇数や偶数と統一するのか

ソフィ：そういう事です！まずは…素数から考えて行きましょ！

ナレーション：そう意気込んだ彼女だったが、フェルマーの最終定理を、証明する事は出来なかった…

ただ、この研究を基に後の学者が

「n＝５」「n＝７」が無い、と言う事は立証された…

そして世界は第二次世界大戦が勃発し

「フェルマーの最終定理」の証明や進歩が

これまで以上に止まってしまうのであった…