第6話 ダンジョン攻略6日目

ヤ「おはようございます!」

レ「おはよう、弥生、今日も元気だな?」


今日もいつもどおり現れた弥生と朝食をとる。今日は、俺はパンケーキと牛乳、弥生はご飯と卵の味噌汁、キュウリの漬物にアジの干物、のりと和食だ。デザートにバナナを食べ、食器を片付ける。


レ「そういえば、ワルキューレは?」

ヤ「一応部屋をノックしてみたのですが、返事がなかったので先に来ました。」

レ「じゃあ、もう一回見に行ってみるか?」

ヤ「あれから30分程経っていますし、いいですよ。」


俺達は103号室をノックしたが返事は無い。やっぱり居ないのか?俺は一応ドアノブに触れると、鍵は開いているようだ。まあ、私物は全部アイテムボックス内だろうし、女神を襲える泥棒なんて居ないだろうが、不用心だな。

寝ているならおどかしてやるか!俺は弥生とうなずきあうと、ドアを開けて中に入った。すると、丁度扉が開いてワルキューレが現れた。風呂から、下着だけの姿で・・。

うむ、やはりワルキューレは白が好きなのか、下着も白だ。そうか、風呂に入っていたからノックに気づかなかったのか。


ワ「お、お、お前たち!」


ワルキューレは胸の前で腕をクロスさせて隠す。もう遅いけどな!


レ「おはよう、ワルキューレ。飯はもう食べたか?」


俺は冷静をよそおって話しかける。


ワ「いや、飯はまだだが・・。いつまで見ている!さっさと出ろ!」


ワルキューレが手に光の剣を作り出すのを見て、俺達はあわてて廊下に出た。


ヤ「はぁ、はぁ、なんでそんなに冷静なんですか!」

レ「いや、下手に騒ぐと弥生の時の二の舞になりそうでな・・。」


ああいうタイプは見られ慣れていないはずだ。下手に刺激すると即座に攻撃される気がする!しばらくすると、扉が開いて昨日と同じ真っ白の鎧を着たワルキューレが出てきた。


ワ「さて、死ぬ覚悟はできたか?」


ワルキューレは微笑むが、頭に血管マークがでていそうな感じだ。誤魔化せていないようだ。


ヤ「私は同姓だからセーフですよね!」


弥生は一人さっと距離を取った。


レ「ま、まて!一応ノックはしたぞ?それに、白い下着はワルキューレらしくていいと思うぞ!」

ワ「し、ね!」


ワルキューレは光魔法で光の球を生み出すと、俺に向かって叩きつけた。零に9979ダメージ。俺を貫通した光の球は、ビジネスホテルの壁もぶち抜いて、ワルキューレはケルベロちゃんに怒られたらしい。ワルキューレは時空魔法を使って壁を壊す前に戻すと、俺を蘇生した。


ワ「ふん、締まりのない体だな。さっきのことは許してやる。」


ワルキューレは腕を組んで怒りを表しているが、どこかしょんぼりしている風にも見える。俺は自分が裸なのに気づくと、一応手で体を隠し床に伏せる。動けない・・。


ヤ「あ、わ、わたし服を取ってきます!」


俺が動けないことに気づいた弥生は、顔を真っ赤にしながら101号室に入ると、バスローブを持ってきてくれた。壁をぶち抜いたときに俺の着ていた服は外に飛ばされてどこかに行ったらしい。

あとで探すか・・。俺は弥生から受け取ったバスローブを着ると、部屋に着替えに戻った。予備の服に着替え、廊下に戻ると、気まずそうな2人が無言で見つめてくる。


レ「ワルキューレ、さっきは悪かった。弥生はサンキューな。ちょっと服を探してくるよ。」


俺はそそくさと外に出ると服を探した。トランクスだけ見つからないと思ったら、サーベラスが咥えて持ってきてくれた。よしよし、お前は俺の味方だな!俺はサーベラスの頭を撫でてやると、しばらく骨を投げて遊んであげた。


ワ「遅い!」

ヤ「遅いです!」


なかなか戻ってこない俺に業を煮やした2人は迎えに来たらしい。でも、さっきまでの微妙な空気は怒りで消えたようだ。


レ「悪い悪い、それでこれからどうする?そろそろいい時間だと思うが。」

ヤ「あ、はみがきをしていないので、はみがきをしてダンジョンに向かう準備をします!」


弥生はそう言うと102号室に向かって行った。


ワ「私はいつでも準備が出来ている。朝飯は要らん。」


女神は空腹で死なないから断食でもいいのだろう。ケルベロちゃんと顔を合わせるのも気まずいからかな?俺はワルキューレと2人きりで気まずいけどな!

俺は弥生が来るまでサーベラスに芸を教えていた。頭がいいからか、1回で全部覚えてしまったけど。ワルキューレはそれを無言で見ていたが、犬は好きなのか、怒りは収まったようだ。

そうこうしているうちに、弥生も来たのでダンジョンに向かった。ダンジョンに着いた俺達は、いつも通り扉のインターフォンを押す。


メ「はい、こちらは受付のメィルです。お名前とご用件をお願いします!」

レ「ん?珍しいな、今日はメィルが受付しているのか?」

メ「あ、お兄ちゃん!今日はラヴィ様が有給で居ないから私が受付をやっているの!今開けるね!」


ラヴィ様、有給で休みか。女神の給料ってなんだろうな?相変わらず横にスライドする扉をくぐり、受付に向かう。


レ「改めておはよう、メィル。」

ヤ「おはようございます、メィルちゃん!」

ワ「ご苦労、メィル。」

メ「おはようございます!お兄ちゃん、お姉ちゃん、ワルキューレ様!」

レ「今日はずっとメィルが受付するのか?」

メ「いまはワルキューレ様がお兄ちゃん達についているから暇なんだよ!家でぐーたらしてたらラヴィ様が着て今日一日受付をして欲しいって。」


有無を言わさず連れてこられたらしい。やりたいゲームもあったのにとブツブツ文句を言っている。


レ「とりあえず、今日もダンジョンの4階に行ってくるよ。」

メ「わかったよ、お兄ちゃん!気を付けてね!」


俺達は4階に向かった。1時間ほど探索し、何匹かコボルトを倒した。昨日の狩りのおかげで、コボルトは2人がかりなら余裕で狩れるようになったな。ワルキューレは戦闘を見ているだけだな。さらに探索を続けていると新しい敵が出た。白い牙の狼か?


ホワイトファング(獣)


弥生が鑑定を終え、ステータスを伝えてくれる。コボルトと大して強さは変わらないな。


ワ「油断していると危険だぞ?」


余裕そうな俺達にワルキューレは忠告してくる。ホワイトファングが遠吠えを使うと、ホワイトファングがさらに3匹現れた。仲間を呼ぶってやつか!1匹ずつなら余裕だが、複数でかかってこられるとやばい。俺は壁役にペプシとケルベロスを作ると、1対1の状況を作った。

ワルキューレはこの状況でも手は出さないみたいだ。ペプシは防御力で、ケルベロスは素早さで時間を稼いでいる。弥生はホワイトファングの首に分裂体を鞭の様に変化させて巻き付けて動きを止め、手裏剣を投げてダメージを与えている。弥生はあっと言う間にホワイトファングを倒してしまった。


ヤ「こちらは終わりました!援護に入ります!」


うん、見てた。俺は素早さでホワイトファングに負けているため攻撃は当たりにくいが、相手の攻撃もクリティカルじゃない限りダメージを受けないのでじわじわとダメージを与える。


レ「いつの間にか1匹が俺の後ろにいる!助けてくれ!」


弥生はケルベロスと一緒に戦っているが、いつの間にかペプシがやられたらしく、俺の方に着ていたみたいだ。


ヤ「もう少しで倒せますので、しばらく耐えていてください!」


俺は壁に寄ると、不意打ちの一撃を食らわないようにして耐えた。しばらくすると、弥生とケルベロスが駆けつけてきて、ケルベロスはやられたが、なんとか2匹とも倒すことができた。


レ「ふぅ、助かったよ、弥生。」

ヤ「ありがとうございます!昨日の成果ですね!」


弥生はうれしそうに笑うと、ブイとピースサインをした。


ワ「なかなかやるな、お前たち。その調子でがんばりなさい。」


ワルキューレからも一応お褒めの言葉を頂いた。もし、死んだら蘇生をお願いします!できたら死ぬ前に助けてほしいけど。俺達がホワイトファングのコアを集めていると、転移してくる者が居た。メィルか?


ア「ふむ、転移成功じゃ。」


メィルじゃない。犬の様な顔だが美女だ。Fカップくらいある。古代エジプト人のような布っぽい服に黄金の装飾みたいなのを付けている。武器は杖か?


レ「お前は誰だ?」


ワルキューレの時の事もあるので、鑑定はしていない。もしワルキューレより上位の女神だったら、ラヴィ様が休みの今は助けが無くて確実に死ぬからな。


ア「ほぉ、ここの猿はしゃべるのか。ほれ、エサも無いから逃げるがよいぞ。」


女は馬鹿にしたようにシッシッと手で追い払う仕草をする。


ワ「あれは他次元の神だな。何をしに来たか分からないが、おそらく敵だ。鑑定をしておけ。」

ヤ「分かりました、鑑定!」


アヌビス(神)


ア「この舐め回される様な不快な感じは鑑定をしおったな?不愉快だ、死ね!」


アヌビスは一瞬で弥生の目の前に現れて杖を振りかぶった。


ヤ「!!?」


弥生は目をつぶってくるであろう衝撃に備えていたが、アヌビスの杖はワルキューレの槍が防いでいた。

アヌビスはいまいましそうにワルキューレをにらみつけると、距離を離した。


ア「この世界の神か?偶然にしては出来すぎているな?」

ワ「私は女神ランクVのワルキューレだ。お前は何者だ?」


ワルキューレは槍をいつでも攻撃できるよう構える。


ア「我の名はアヌビス。惑星アヌビスの神じゃ。」

ワ「その神が何の用だ?」

ア「くっくっく、お前を倒してこの世界の神になるのじゃ!」


アヌビスが闇魔法を唱えると、辺りが真っ暗になって何も見えなくなった。俺はとっさに弥生をかばおうと下がった。


ヤ「きゃぁ、誰ですか私の胸を触っているのは!」

ワ「私は闇魔法も光魔法も使えるぞ?」

レ「ちょ、まっ!」


ワルキューレは光魔法を唱えると、暗闇は消えて明るくなった。そして、俺の右手は弥生の右胸にあたっているのが見えた。


ヤ「みーなーもーとーさーん?」

レ「俺は弥生をかばおうと!」

ヤ「じゃあ、いつまで触ってるんですかねぇ?」


俺は離すタイミングを逃して触っていた手を離す。一応、揉んではいない!触れただけだ!


俺は弥生にぼこぼこにされたが、弥生の素手の攻撃力と俺の防御力が釣り合っていたのでダメージは0だった。素手じゃなかったら死んでたけどな!

俺達のくだらない争いとは別に、アヌビスとワルキューレは激闘を繰り広げていた。アヌビスが闇の球を飛ばすと、ワルキューレは光の球で相殺し、ワルキューレが光の剣を飛ばすと、アヌビスは闇の壁で防いだ。


ア「なかなかやるではないか、本気を出させてもらうとするのじゃ。」


アヌビスは側で浮いていた神杖を握りMPを込めると、杖は変化し槍となった。槍は禍々しいほどの闇で覆われた。おそらく魔法ダメージになるのだろう。あれを食らったらワルキューレでも危ない。


ワ「私に対して槍で挑むとは。来い!」


アヌビスは闇魔法を唱えると、影が檻の様に現れてワルキューレの周りを囲む。そして、同時に槍を突きだす。


ワ「甘い!」


ワルキューレは飛行スキルで空中に浮かぶと、一瞬閃光の様に強い光魔法を唱えた。


ア「くっ、眩しい!どこへ行ったのじゃ!」


光は一瞬だったため、数秒で目は戻ったが、ワルキューレの姿は見えなかった。


ワ「ここだ。」


ワルキューレは透明化のスキルを使っていたらしく、姿を現しながら、背後からアヌビスの胸を槍で貫いていた。クリティカル発生、アヌビスに139200ダメージ。


ア「我が、負けるとは・・。」


アヌビスはコアになった。そのコアをワルキューレは拾うと、俺に投げてきた。これ使ったら俺も神か!と思ったが。


ワ「使うなよ?お前のスキルで再現して詳細を聞き出すのだ。」

そういうことか、俺は分裂をアヌビスのコアに使った。俺のMPではアヌビスの100%再現は不可能で、7歳くらいの幼女になっていた。胸もFからAAカップになったようだ。身長はドラえもんくらいで123cmか。一応弥生に再鑑定してもらう。


アヌビス(分裂体)


ア「蘇生か・・?ふはは、我が1度負けた程度で降参するわけがないのじゃ、さらばじゃ!あれ?」


アヌビスは杖を掲げ、何度か「転移!転移!」と唱えているが転移できない。なぜなら、スキルもほとんど再現できていないからな!


ワ「蘇生ではない、コアからの復元だ。もう神ですらない。お前はそこの人間のペットに成り下がったのだ!」


アヌビスはワルキューレに言われた事を理解するにしたがって、茫然とした顔で四つん這いになると、「我がペット・・。神である我が・・。」と呟いている。


ヤ「かわいい!メィルちゃんみたい!」


弥生はアヌビスの頭をよしよしと撫でているが、茫然としているアヌビスは気づかないのかされるがままになっている。思うに追い打ちだよな、それ。転移魔法でメィルが現れた。さすがにこの騒動なら来るよな。


メ「何がありました!ラヴィ様の居ない間に問題が起こると、私が怒られてしまいます!」


若干危機感がずれているが、メィルにも説明を聞いてもらおう。


ワ「アヌビスよ、そろそろなぜこうなったかの説明をしろ。」


ワルキューレはアヌビスの首を掴むと、ぶら下げた。


ア「降ろすのじゃ!説明をするから降ろすのじゃー!」


アヌビスはじたばたと暴れたが、低ステータスになった今、ワルキューレにダメージは無い。


メ「誰ですか、このちみっこいの。」


メィルはアヌビスの胸を見て、自分より下だと判断したようだ。


ア「誰がちみっこいの、じゃ!」


アヌビスは闇魔法を唱えると、闇の球をメィルにぶつけた。


メ「がふぅ!?たった1撃でHPが半分近くも!」


いや、神だった時のアヌビスなら1撃で半分どころか何十回も死んでるよ?まあ、2分もあれば全快するだろうし、話を進めてもらおう。


レ「アヌビス、一応説明すると、こいつはメィルと言って女神の見習いだ。俺達の・・なんだろな?保護者とはまた違うし、担当者って感じか?」

メ「メ、メィルです。何があったか分かりませんが、私より強いことが分かったので服従します!」

レ「いや、服従する必要はないぞ。それに今は分裂で再現した分裂体だから、ワルキューレが居れば何とでもなる強さしかない。」

ア「ふんっ、我はアヌビス、惑星アヌビスの神じゃ。」


アヌビスはメィルに攻撃して多少すっきりしたのか、自己紹介はしてくれる。


ワ「では、何があったのか話してもらおうか。」

ア「仕方ないのぉ、我も今すぐ殺されるという訳でもなさそうだしの?」

ワ「それは話の内容次第としか言いようがない。殺さないにしても、コアのままアイテムボックスに封印するかもしれないぞ?」


アヌビスはワルキューレの脅しで「ヒィッ」と言うと俺の後ろに隠れた。どうせ何の壁にもならないがな!むしろ、俺よりアヌビスの方が強いだろ。アヌビスは取り合えず話をしないと始まらないと思い、床に座って話し始めた。


ア「何度も言うようだが、我は惑星アヌビスで神をしておった。我が星の生命体は、朝日が昇ると畑を耕し、暗くなれば家に帰るような生活を送っていたのじゃ。」

ヤ「地球で言うと江戸時代くらいですかね?」

レ「恰好を見るとエジプト文明くらいかもな。」

ア「そこ、こそこそと私語を話すでない!」


俺達はアヌビスに怒られたので、静かに話を聞くことにした。


ア「我はそんなのどかな生活を見守っていたのじゃが、突如異次元から侵略を受けたのじゃ。蝙蝠の様な翼をした軍勢が、家屋を潰し、田畑を焼き、人を斬り、家畜を食べる。我も抵抗し、何千の敵を討ち取ったか分からぬが、侵略者もそこまで抵抗されると思っていなかったのじゃろう、あっさりと退却していったのじゃ。たった数日の侵略であったが、すでに惑星アヌビスは人が住めるような環境では無くなっていたのじゃ。そして、我は仕返しと新天地を求め、その軍勢の後を追うように転移をしてここに来たのじゃ。」

メ「そんな軍勢見たことないので、次元違いじゃないですか?」


まるで人違いみたいに言うが、そういう事なのか?


ア「次元は合っておる。マーキングして居った者がここに来たはずじゃからの。今はマーキングが外れておるゆえ居場所が分からぬがな。」

ワ「昨日、1匹の悪魔を倒したが、おそらくそいつがアヌビスにマーキングされていたやつだろう。その件については、我々も把握している。それで、追いかけてどうするつもりだったのだ?」


ああ、昨日3階に居たやつか。あそこからいろいろと状況が変わったんだよな。


ア「謝罪・賠償させ、惑星アヌビスを治すなら良し、治せなければ領地を奪って移住するというくらいの考えじゃの。」


アヌビスは、一回は追い返した自負があるからか、勝てるつもりで来たらしいな。まあ、実際ワルキューレ並みの強さは持っているようだからな。


ア「まさか、神杖まで使って負けるとはおもわなんだ。この次元の神は強いのじゃな。」


アヌビスは「ふぅっ」とため息をつくと、これで我の話は終わりという風にワルキューレの方を見た。


ワ「話は分かったが、現在上位女神は居ないため、対応できない。報告するまで我々と同行してもらおう。メィルは一応ラヴィ様に連絡を取ってもらえるか?」


メィルは分かりました!と言うと転移していった。


ワ「さて、帰るかと言いたいところだが、敵が来たようだぞ?」

あれだけ派手に戦闘すれば、目立つよな。静かになったから出てきたのか?初めて見るな、黒い狼だ。弥生は鑑定をしている。


ヘルハウンド゙(獣)


ア「どれ、この体に慣れるためにも我が相手をしようかの。」


アヌビスが槍にMPを籠めると、槍状になったが、以前ほどの力は感じない。ヘルハウンドは遠吠えで4匹の仲間を集めると、一斉に口から魔炎を吐いてきた。アヌビスはそれを、槍を回転させて防ぐ。あっちの次元は知らんが、こっちの次元だと槍で防ごうが当たったらダメージは一緒だ。まあ、ダメージは0みたいだが。


ヤ「源さん、新手です!」


弥生が指さした方から、人型のモンスターが近づいてきた。狼男か?弥生が即座に鑑定をする。


ライカンスロープ(獣人)


レ「こっちはやばいぞ!俺達より確実に強い!」


俺は弥生をかばうように前に立つと、一応ペプシを作る。アヌビスはすでに2匹のヘルハウンドを倒しているが、まだ3匹残っているのでもう少し時間がかかりそうだ。

ラカンスロープはペプシに素早く足払いすると、首にナックルで殴る。あっさりとペプシが倒されたのを見て、俺は慌てて次を作り出す。


レ「ユウ、出番だ!」

ユ「お呼びですか?お任せください!」

ヤ「きゃあ、また裸!?」


前回メィルに盗られたのと同様の強さを持つが、新たに作ったために装備が無い。ユウに俺のスラタンを渡すと、ライカンスロープに斬りかかっていった。弥生は目をつぶって目視できなくなったため、援護は不参加だ。

ライアンスロープはあっさりとユウの斬撃を避けると、蹴りを放ってきた。ユウはその蹴りを掴むと、足にスラタンを刺した。ユウの残りHP65に対してライアンスロープはまだHP787、それもHP自動回復(中)を持っているから1分で30%のHPを回復する。


ユ「弥生様、お願いします!」


ユウは最後の力を振り絞ってライカンスロープにタックルする。ライカンスロープに13ダメージ。ライカンスロープはユウの顔面を殴りつける。ユウに135ダメージ。ユウは消滅した。ユウの気配が無くなったため、弥生は目を開けたようだ。


ヤ「王子様!うう、これで!」


弥生はライカンスロープに手裏剣を指の間に挟み、投げれるだけ投げる。貫通、倒れたライカンスロープにダメージ。

ライカンスロープは起き上がると、弥生に向かって行ったため、間に俺が入って守る。ライカンスロープは腹にナックルを打ち込んできた。さっきの戦闘のダメージも回復していないので、俺は回復剤を使ってHPを回復した。


レ「これでもう少し耐えることができる!」


ライカンスロープは回し蹴りで俺を吹き飛ばす。ライカンスロープはそのまま弥生に向かって走ろうとしたが、弥生の周りは濃霧の様に暗く、どこにいるのか分からなくなっていた。


ア「待たせたのじゃ。」


アヌビスは、俺の近くに来ると、慌てて攻撃してきたライカンスロープの攻撃をあっさりと左手で受け止める。反撃に、アヌビスは闇魔法を唱えると、闇の球をライカンスロープにぶつけた。なんとか新手を撃退した俺達は、コアを拾うと一旦帰ることにした。帰る途中は幸運?にもコボルトしか出なくて俺達でも倒せた。


受付に戻ってきた俺達はメィルに状況を聞いた。


レ「メィル、どうだ?ラヴィ様に連絡はついたか?」

メ「ううん。私は念話とか交信のスキルを持ってないから、備え付けの電話で緊急用の連絡先にかけたんだけど、出る気配がないの。一応、食堂にも行ったんだけど、臨時休業になってたんだよ・・。」

レ「はじまる様も居ないってことか?悪い事には悪い事が重なるな。よし、購買に寄ってアイテムを補充した後にケルベロちゃんに相談しよう!」


俺は回復剤をコボルトのコアと交換で補充すると、他のコアと交換でMP自動回復(小)のスキル書を買い、スキルを覚えた。残りのホワイトファングのコア、ヘルハウンドのコアは2人で分け、ライカンスロープのコアは弥生が食べた。敵が強かったからか、結構ステータスが上がった。


これでライカンスロープ以下のモンスターなら大分余裕がありそうだ。俺達は受付のメィルにケルベロちゃんに報告してくるというと、いってらっしゃいと良い笑顔で返された。メィルは受付があるから!と一緒に行くのを拒否した。そんなに行きたくないのか。

そういうわけで、俺、弥生、ワルキューレ、アヌビスの4人でビジネスホテルに向かった。ワルキューレは女神だから柱と数えるのかもしれないが、めんどくさいので人で数える事とする。それをいったら分裂体の数え方も良く分からないしな!

ビジネスホテルに着くと、サーベラスがお出迎えしてくれた。


ア「むっ?少し奴らの匂いがするのじゃ。」


正確には、匂いと言うか、存在の残滓みたいなものらしいが。そして、サーベラスを追うようにケルベロちゃんも現れた。


ケ「おかえりなさいませワン。今日は早かったですワン?」


現れたケルベロちゃんにアヌビスは杖を向けそうになったので、即座に杖を取り上げて注意した。


レ「ランクⅢの女神様だ、死にたくなかったらおとなしくしてろ。」

ア「ランクと言うのはよくわからんが、おぬしの態度を見るに、ワルキューレより強い神じゃな?素直に従っておこう。それに、この犬も強いようじゃし。」


アヌビスの世界では他の神を見たことが無いらしく、ランクや神の種類も区別をしていなかったようだ。サーベラスとアヌビスはいい勝負になりそうだな。もしかして奴らの残滓って、サーベラスが食ったコアとかか?


ケ「おひとり様追加かワン?」

ワ「ケルベロ様、その前に話があります。」

ワルキューレはケルベロちゃんの前にひざまずくと、事の次第を話した。

ケ「とりあえず、再現しただけの存在なら問題ないと思うワン。何かあれば、このホテルにいる間はあたちが対処するワン。」


ケルベロちゃんの強さなら、万が一アヌビスが本来の力を取り戻して暴れても、一瞬で対処しそうだよな。サーベラスもいるしな。


ケ「それに、スキルの使用者が死ねばきっとコアに戻るワン。」


ケルベロちゃんはちらりと俺の方を見た。


レ「そ、そうか。じゃあ、アヌビスはこのまま連れているとして、部屋は空いているか?」

ア「我はおぬしと一緒の部屋でよいぞ。おぬしに死なれたら我も困るのでな?」


アヌビスは護衛をしてくれるらしい。ケルベロちゃんより強い敵が来ない限り、俺達が襲われることは無さそうだが、もしかしたらスキルか何かで誤魔化して入り込んでくる可能性もあるか。


レ「じゃあ、俺達は一緒の部屋でいいよ。」

ヤ「えっ、源さんって幼児趣味が・・?」

レ「誤解だよ!?今の話の流れだと護衛だってわかるよね!」

ヤ「冗談ですよ、冗談。さすがにそうだとは思っていませんよ。」


今後MPが増えて再現性があがったとして、妙齢の女性の姿になったときにどうするかという問題が増えた気がする。


とりあえず、昼飯にするか。一度全員101号室に集まり、食事を取ることにした。今回はパーティの様にピザ、フライドチキン、ポテトにコーラと子供の好きそうな物にした。


ア「この黄色いのはなんじゃ?おお、のびるのじゃー!こっちの黒い飲み物はなんじゃ?むぅ、しゅわしゅわする!毒か!」

ヤ「その伸びるのはチーズで、黒いのはコーラですよ。しゅわしゅわするのは炭酸だからです。」


弥生が子供の相手をするように、アヌビスに教えている。まあ、向こうの文化レベルじゃ良くてパンくらいしか無さそうだよな。


ア「おいしいのじゃー。我はずっとここに住む!」

レ「いや、長くて1か月・・あと3週間ほどで終わるぞ。」

ア「それはなぜじゃ?」


俺は今までの話をアヌビスにすると、アヌビスはふんふんと分かったようにうなづいた。


ア「ならば我も手伝おう。おぬしのスキルなのだから、問題はあるまい?」


アヌビスはワルキューレに向かってそういうと、


ワ「その判断は私にはできないが、私は極力手を出さないようにはしている。」

今回みたいなことが無い限りな、と付け加え、一緒に行動する事自体は拒否しないようだ。

レ「じゃあ、これからしばらくよろしくな。」

ヤ「よろしくお願いしますね?アヌビスちゃん!」

ア「よろしくなのじゃ!」


俺達はコーラで乾杯すると、昼飯を食べた。休憩を終えてダンジョンに再び向かう。受付をしていたメィルに、ケルベロちゃんは問題ないと言っていたことを伝える。


レ「ということで、アヌビスも一緒に行動することになった。」

メ「それはずる・・なのかな?元神で現在は分裂体?でも、ステータス自体は私よりも高いし・・。」


メィルは両手の人差し指をこめかみにあてて目をつぶり、うんうんと唸っている。最終的には、「ダンジョンに判断させます!」と判断を投げた。ずるならその階層のヌシが何とかすると。


そして4階、でましたヌシ。見た目は4mくらいの水色の狼。吐く息は白い。弥生の検定結果を見ると、まず俺達が勝てない敵だ。


フェンリル(神獣)


ア「初陣じゃ、我に任せるのじゃ!」


アヌビスはフェンリルに向かって行った。フェンリルはなんか水魔法ででかい水の球とか、水圧のカッターで縦横無尽に切り裂いていたけど、魔力の高いアヌビスにはダメージを与えることができなかった。


ア「食らうのじゃ、闇の球!」


杖の先から、真っ黒な球が飛び出すと、フェンリルに当たった。アヌビスとフェンリルは、遠距離で魔法を撃ち合っていたが、フェンリルは無駄を悟ったのか、最後の方は噛みついたり、ひっかいたりもしていたけど、0ダメージで、悲しそうな声を上げていたが、あっさりと倒された。

出たコアは、「さすがにこれは没収します!」とメィルが回収していった。強ければズルも許される・・のか?ラヴィ様が来た時にでも聞いてみよう。

アヌビスはそのまま「ふんぬおぉぉー。」とダンジョンを突っ走っていった。俺はコア回収用のケルベロスを数体作り、アヌビスを追わせた。


ヤ「源さん!見てください!どうですか?」


弥生は暇だったのか、変化を試していた。ライカンスロープのコアを食べたからか、全裸に近いけど、大事なところは毛で守られている、見た目がフェリシアみたいになっていた。あっちは猫でこっちは狼だけど。


レ「ワーウルフってやつか?どんな感じだ?」


ワーウルフって人狼なのか、狼男なのか。狼女って聞かないからワーウルフでいいや。


ヤ「ステータスは変わりませんが、筋力が変わるのか、いつもより高く飛んだり、爪でリーチが伸びたりします!」


ふむ、身体能力の向上か。とうとう人間をやめたな、弥生!弥生は4つ足で走ったり、シュシュッと爪で突く練習をしたりしている。そんな感じで過ごしている間に、ケルベロスがコアを集めてきてくれた。俺はその間何をしていたかと言うと、地道に分裂体の塊を作っては山にしていった。MP自動回復で効率が良くなったな。これを弥生が手裏剣にしてアイテムボックスにストックとして貯める。


ワ「お前たち、少し楽をしすぎではないか?」


そういうワルキューレも暇なのか、槍を磨いたり、トランプタワーを作ったりしていたじゃないか。

ワルキューレの苦言に「今度からがんばります。」と答えて4階層をクリアした。

とりあえずビジネスホテルに行こうと、受付に居たメィルに話しかけた。


レ「今日はこれでホテルに行こうと思うんだけど、メィルはどうする?」

メ「私は、17時の交代要員が来るまで受付だよ!その後はアフターファイブを楽しむよ!」

ヤ「では、メィルちゃんはホテルには来ないんですか?」

メ「うん、今日は別行動にするよ、お姉ちゃん!」


メィルは手を振って俺達を見送った。俺達はビジネスホテルに戻り、晩飯までまだ時間があるので弥生と卓球をした。最初は温泉卓球で鍛えた俺が勝っていたが、途中でワーウルフに変化すると、明らかに動体視力、反応速度が上がっているようで、ボロ負けした。

ワルキューレとアヌビスにはステータス的に絶対勝てないので勝負は挑んでいない。ワルキューレとアヌビスはオセロをしているようだ。ほどほどの時間になったので、晩飯を食べることにした。アヌビスはコーラが気に入ったのか、コーラとポテトとハンバーガーを注文し、俺は串カツ、弥生は刺身定食を注文した。

ワルキューレは飲み物だけでいいと、紅茶を注文していた。ダイエットでもしているのか?即座にケルベロちゃんが現れて「おかもち」からテーブルに食事並べられると、「いただきます!」と食べ始める。食事が終わり、食器を片付けると、ワルキューレと弥生は部屋に戻った。


レ「アヌビスはどうする?風呂に入ったことはあるか?」

ア「風呂とは湯浴みの事かの?我は基本的に朝に入っていたのじゃ。夜は暗くて見えないのでな。」


電気の無い生活は大変だなと、俺は一人で風呂に入る。しばらくして頭を洗っていると、暇になったのかアヌビスが裸で入ってきた。


ア「やっぱり我も入るぞ!それ!」

レ「飛び込むな!それに女性が一緒に入るもんじゃないぞ!」

ア「そうなのか?我の星では男女一緒に入っていたのじゃが?」


文化の違いか、単なるアヌビスの感覚なのか、見た目同様子供になったからなのか・・。俺は結婚すらしていなので、子供もいないが、もし子供が居たらこんなかんじなのだろうか。

俺は自分の頭を流し終えると、アヌビスを呼んで頭を洗ってやった。犬耳もしっかり洗ってやるとくすぐったそうに頭をゆらす。後ろを向かせて尻尾を洗っていると、くすぐったさが勝ったのか、ジャンプし始めた。


レ「おい、あまり動くな、すべるぞ?」


俺の注意がフラグになったのか、アヌビスはツルッと足を滑らせると後頭部から倒れてきた。お約束で股間に頭突きを加えてきやがった。ダメージはあったが継続ダメージがないのが救いか・・。

その後、アヌビスのツルペタボディもボディソープで洗ってやった。犬尻尾の掴み具合が気持ちよかった。こう見ると、単なる犬の獣人だな。アヌビスと湯船でゆっくり浸かっていると、アヌビスがうつらうつらとしてきたので、慌てて風呂からあがり、体を拭くと、バスローブを着させてイスに座らせる。

一応、ドライヤーもあるから、犬耳に気を付けながら、髪を乾かしてやる。完全に眠ってしまったアヌビスを抱きかかえると、ベッドに連れて行って寝かせた。歯磨きをさせていないが、虫歯になったとして、この世界だとどういう扱いになるんだろうな?とりあえず起きたら磨かせるか。俺は歯磨きを終えて、やることも無いから早めに寝た。


♦お休みのラヴィ様、魔界にて


ラ「これは、まずいことになったわね。」


私は、有休をとって最近起こっている不可解な事の調査をする為に魔界に来た。

魔界で起こった勇者と魔王の戦いは、勇者の勝利に終わった。しかし、魔王の部下が暴走し、封印されていた邪神を解き放ったらしい。らしいというのは、邪神の封印されていた祠が消滅し、跡形も残っていないから。

最悪のケースを考えて、封印が解かれたと考えられている。魔王の残党の一部がビジネスホテルに現れたと、ケルベロから報告を受けている。念のために隠密にダンジョンを監視させていたワルキューレは、悪魔との戦闘がばれたみたいだけど・・。

バレてしまっては仕方がないと、サポートと称してダンジョンに出入りし、監視を続けてもらう。これ以上何も起こらなければいいのだけれど。そう思っていると、何かが転移してきたようだ。


メ「久しぶりだな!ラヴィ!」

ラ「久しぶりね、メデューサ、復活したのかしら?」


メデューサは大昔、女神と悪魔の戦争で、私が倒した。その頃は、コアにするという封印も無かったため、復活を許してしまったようだ。

メデューサにバレない様に鑑定をかける。


メデューサ(悪魔)


やっかいなレベルになってるわね。昔、倒したときはこの10分の1くらいのステータスだったはず。いつの間にかステータスを上げたようね。今の私の敵ではないが、他の者にとっては脅威となる強さだ。さっさと片付けてしまおうと、私は右手にカードを取り出す。カードは、私の暗器で攻撃力は5千万だけど、見た目はただのカードだ。


メ「おっと、早まるなよ。今回は戦いに来たわけじゃない。まだお前には勝てないからな。」

ラ「私に倒された仕返しに来たわけではないと?それに、まだって言ったわね?」

メ「そうさ、気が付いていると思うが、邪神様が復活されたのさ!」


確信は無かったけれど、やはり邪神は蘇ったらしいわね。


ラ「それで?あなたに何の関係が?」

メ「くっくっく、聞いて驚くなよ?邪神様の力があれば、昔の100倍は強くなれる!」


そういえば、この子は鑑定を持っていない。おそらく私が女神ランクⅣだった時の基準で話しているわね。丁度いいわ、このまま情報を頂きましょう。


ラ「あら、これ以上強くなるの?その前に、また倒してあげましょうか?」

メ「今でもまだ簡単に負ける気はないが、これを見ろ。」

ラ「それは、コアね?どこで手に入れたの?」


女神が作るコアと違って、メデューサが持っているコアは真っ黒だ。


メ「これは、女神のコアさ!」

ラ「女神のコアですって!?」

メ「邪神様の力で、封印してある。これを砕けば・・。」


メデューサは右手の親指と人差し指で潰し始める。


ラ「やめなさい!」


私は、一瞬だけ時間を止めると、メデューサからコアを奪い取った。


メ「お前より強く・・あれ?コアはどこいった?」


メデューサは急に指からコアの感触が消えた事に困惑している。


ラ「これは、どうすれば元に戻るの?」


私は、コアを見せながら、メデューサをにらみつける。威圧スキルを使うと、メデューサは実力差に気が付いたのか、脂汗を流しながら後ずさる。


メ「待て、戻し方は知らないが、取引しようじゃないか。おぉ、助けに来てくれたのか!」


メデューサは私の後ろを指さす。まったく気配はないけれど、一応振り向く。


メ「ばかめ!石化しろ!」


メデューサの頭の蛇の目から、石化効果のある光が照射される。当然、その程度の事は予想出来ていたので、カードを複数枚展開し、盾代わりにして防ぐ。メデューサはその隙に、転移を使用した。


ラ「逃がすわけ無いでしょう?」


私は、メデューサの首をカードで切り裂いた。私は、コアにしたメデューサと、黒い女神のコアをアイテムボックスにしまうと、転移で帰還した。


ラ「はじまる様、ご報告が。」

は「どうした?お前ともあろうものが慌てて。」


私は、魔界で調べたことを報告した。


ラ「これを見てください。」


私は、アイテムボックスからメデューサのコアと、女神のコアを取り出した。


は「悪魔のコアと、この黒いのは何じゃ?」


やはり、はじまる様も知らないのか、じっくりとコアを見ている。


ラ「メデューサが持っていました。その話では、邪神が封印した女神のコアだそうです。」

は「女神のコアじゃと?少し調べてみるか。」


はじまる様は、女神のコアをアイテムボックスにしまう。


ラ「ところで、メデューサのコアの方はどうしますか?」

は「何か使い道があるかもしれん、しばらくラヴィが預かっていてくれ。」

ラ「わかりました。」


私はメデューサのコアを再びアイテムボックスにしまうと、転移で他の場所の調査へ向かった。


は「おかしい。邪神の気配が全くせん。」


そもそも、邪神の封印が魔王の残党ごときに破れるわけがない。しかし、祠が結界ごと消滅したならば、これには神が関わっているはずじゃ。いくら巧妙に隠そうとも、邪神の封印が解かれたのならわしには気配が分かる。

逆に、次元を全て把握できるわし以外には分からんかもしれんが。どちらにしろ、調査とこの黒いコアの解析が優先だな。女神が封印されているなら、助けてやらねばなるまい。わしは食堂に臨時休業の札をかけると、神界に転移した。


♦ラヴィが去ったとき、魔界では


ベ「行ったか。気づかれなかったようだな。メデューサのアホが叫んだのにはびっくりしたが。」


ベルゼブブ(悪魔)


ベ「仮に戦っても女神ごときなんとでもなるが、あのコアを持ち帰ってもらわないと困るからな。」


メデューサを復活させた後、パワーアップしてやった。それをコアのおかげと嘘を教え、ラヴィの前で女神のコアを割るように指示した。実際は、割ろうと思っても割れないが、逆に信ぴょう性が出ただろう。女神のコアと偽ったコアの封印を解いてもらおうか。あいつの封印を解けるのはあいつ以上の神だけだからな。


ベ「さて、誤魔化すための邪神作りでも始めるかな?」


魔神カイザーのコアを取り出すと、邪神カイザーとすべく改造を加えていく。あいつが戻ってくるまでの時間稼ぎだ。

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