第12話

ついに…本格的に新統合しんとうごうに挑んじゃうんスね…。」

 と、ソルファージュのGギアデッキの、シュタイガーンバオアーの中で、

 あの新統合しんとうごうと本格的に戦い始める事への恐怖で言葉が震えるオイラ…。



「まあ、こわなるんはかるけど、あんまし意識せん事や。

 大丈夫。ロクスリー君は、ちょっとこわがりなだけで、

 全然、新統合しんとうごうとも渡り合えるって!」

 と、ミケさんがオイラに応援の言葉を掛けてくれるが、



「あ…え~っと…そうだと…いんスが…。」

 と、どうしても、オイラで本当に大丈夫なの⁉と、

 今までのオイラの戦いの状況からかんがみて、不安になり、

 歯切れ悪く未だにズーンと沈むオイラ…。



「大丈夫、じょぶ、ロクスリー君の腕はともかく、

 シュタイガーンバオアーのCAPASカパースとかいう謎のバグプログラムは、

 ホントに凄そうなんだし、きっと何とかなるよ!」

 と、本末転倒な応援を送って来るユリンさん…。



「あ~…アハハ…そうっスよね…。

 オイラの腕は、ともかく、っスよね…。」

 と、さらにズーンと沈むオイラ…。



「あ~! もう、何言ってもダメだと思うな!

 自信を持てっていうのが無責任かもだろうけどよぉ!

 やらなきゃ行けねぇんだから仕方ねぇだろぉが!」

 と、まくてるケビンさん…。



「まあ、どうあれ、

 先生のおっしゃっていた、カルナダというレジスタンスと、

 足並みを揃えて行かなければなりませんしね。

 ロクスリー君だけが戦う訳じゃないですし、

 カルナダが協力してくれる分、

 ロクスリー君の負担も減ると思いますよ。」

 と、いつも通り、冷静沈着なマカロニさん。



「でも、それよねぇ、あの人が一緒に戦えって言うけど、

 そのカルナダってとこ、本当にアテになるのかな?」

 と、ユリンさんが、みんなが思ってたであろう疑問を投げかける。



「だよなぁ。

 レジスタンスで、旗印はたじるしになるKGナイトギアを1機所持してるっつっても、

 オレら、5機持ってるし、そいつら1機だけだし、

 ジェネラルギアが1機でもあるってんなら分かるけど、

 KGナイトギアが1機だけで、ホントに頼りになるんスかね、あねさん?」

 と、ミケさんに問うケビンさん。



「まあ、カルマのおっさんが用意した相手やったら、腕は確かやろう。

 ロクスリー君をシュタイガーンバオアーに乗せて、

 戦闘データを取らせてる時点で、お古の、うちらのKGナイトギアはともかく、

 シュタイガーンバオアーとロクスリー君のデータは取りたいみたいやし、

 あのおっさんは、ロクスリー君が撃墜でもされたら困る立場なんやろうし、

 ワザワザ、新統合しんとうごうゆみかすなんて、

 自分たちがスポンサーなんがバレて、さらに自分たちの所在しょざいがバレでもしたら、

 自分たちも危ないんやろうし、何かしらの勝算が無いんやったら、

 挑ませるような相手や無いやろう。

 まあ、カルナダいうとこの戦力が、どの程度かは、

 着いて見てのお楽しみ、言うワケや。」

 と、相変わらず、すきするどい考察のミケさん。



「へいへい。

 ま、せいぜい、カルナダってとこが、

 足引っ張らないでくれるのを期待しますよ。」

 と、軽口を叩くケビンさん。



 そこで……。

「リーダー、目標地点に到着しました。

 KGナイトギア部隊、各自は、出撃準備をお願いします。」

 と、セリアさんの通信が来る。



「ってワケや!

 行くで、みんな!

 出撃しても、みんな直ぐに動かず、しばらく待機するけど、

 うちとケビンが先行!

 ユリンとマカロニは中衛で、後方支援!

 ソルファージュはさらに後方で艦砲射撃かんぽうしゃげき

 ロクスリー君はソルファージュに追随ついずい

 最後方さいこうほうで待機しといてや!」

 と、KGナイトギア部隊各自とソルファージュに指示が下る!



「了解だ、あねさん!」

「リーダー、了解だよ!」

「了解です、ミケさん!」

「ミケ、了解だ!」

 と、各自が了解の意をべる。



「おお! 最後方さいこうほうで待機っスか!

 オイラ、俄然がぜん、ヤル気が出て来たっスよ!

 ミケさん! 了解っス!」

 と、最後方さいこうほうで、のほほんとしていられそうな事に、

 大感激のオイラ!



「いや、オマエも、待機でも周辺警戒しゅうへんけいかいしとけよ…⁉

 ケビン=ブロッサム! 出撃するぜ!」



「まあ、ロクスリー君の、

 いつものダメっぷりは置いといてと。

 ユリン=エメラルド、出撃するよ!」



「まあ、このロクスリー君のダメさが、

 相手を油断させて、こともあるかもしれませんがね。

 ともあれ、ロイド=ノーマン! 出撃します!」



うたように、

 出撃はするけど、まずは、新統合しんとうごうとカルナダの動きを見る。

 カルナダが新統合しんとうごうに食らいついたところを、

 挟撃きょうげきじん新統合しんとうごう殲滅せんめつや!

 ケビン、ユリン、マカロニ、おっさん、ロクスリー君、

 今日からの戦闘は厳しいもんになるやろうけど、

 安生あんじょう気張きばってな! うちも行く!

 ミケ=スターライト、出撃する!」

 と、みなさんが、次々と出撃されて行く。



「りょ…了解っス!

 しゅ…周辺の警戒かぁ…。

 こっちに来ないでくれると助かるんスけど…。

 こ…来られたら……って考えると怖くなるから…。

 と…とにかく出撃っス!

 ロック=ロクスリー! シュタイガーンバオアー! 出ます!」

 と、オイラも出撃し、

 みなさんの後方で待機しているソルファージュの、

 さらに後方に待機するオイラ。

 


 そこで、

「うん? どうした? 通信が乱れている?」

 と、目標の新統合しんとうごうの軍のSGソルジャーギアのダギナスたちの中、

 ダギナスたちとは違う、

 こげ茶と黄土のカラーリングの重量級のKGナイトギアっぽい機体、

 それに乗った、青い制服の、

 静かな声音ながら、強い凛とした感じがする声の、坊主頭の人が、

 ミケさんたちの仕掛けたジャマーのせいで不通になった通信の為、

 オープン回線で他のSGソルジャーギア部隊に話掛ける。



 その部隊は、演習部隊という事でか、

 前の、アルセカーナでの50機もの部隊の占領部隊と違って、

 10機ほどの少数の部隊だった。



「ハッ! ザイル少佐!

 何者かがジャマーを起動させた模様です!」

 と、答えるSGソルジャーギア壮者パイロットさん。



「ふん。大方、どこかのレジスタンスか。

 未だに、我ら、救い人たる新統合しんとうごうの救いが分からぬと見える。

 だが、その様な無知蒙昧むちもうまいな者たちも救ってこそ、我ら新統合しんとうごう

 我らの救いに気付く様に、教えを広めるのも、また一興いっきょうではある!」

 と、なんだかからない自己陶酔じことうすいをする新統合しんとうごうの少佐さん…ッ⁉

 なに…この人…ッ⁉



 と、そこで…。

「自分たちの蛮行ばんこうを救いだなんて認識してるなんて、

 オマエたちの様なダメな奴らが、グランヴァルニアに陶酔とうすいするから、

 ティアナが衰退すいたいして行ってるのがからないのか…ッ‼」

 と、カルナダのKGナイトギア壮者パイロットと思われる、

 栗色の髪で、ショートのマッシュルームヘアーの、ショートマッシュ。

 青のジーンズに、黒のクロース、赤のジャケットという出で立ちの人が、

 オープンチャンネルでザイル少佐に対して怒りをあらわにして通信し、

 新統合しんとうごうの部隊の南側に、その壮者パイロットの乗っていると思われる、

 見た事の無い、中量級の黄色い機体を先頭に、

 ゲズやジーナやガトナスやザヌスなどのFGファイターギア混成部隊こんせいぶたいが10機ほど、

 進撃して行く!



「フ…ッ。

 救世きゅうせいあるじ、グランヴァルニア様の考えが分からぬ凡夫ぼんぷか。

 だが、我らと対峙たいじした事を光栄に思う時が、貴様らにも来よう。

 自分たちの考えの浅はかさ。

 そして、グランヴァルニア様のおおいなる慈悲じひ御心みこころを、

 貴様たちも、撃墜され、捕虜になれば、

 どんどん知って行く事になろう!


 SGソルジャーギア隊、オマエと、オマエ、2機を残し、南へ!

 私は後方で不測ふそく事態じたいに備える!

 さぁ、無知蒙昧むちもうまい蛮族ばんぞくたちに、

 真の救済を行ってやるのだ!」

 と、相変わらずのからない電波っぷりだが、

 カルマさんの考え通り、南から展開して来るカルナダに対抗して、

 取り巻きを残し、SGソルジャーギア部隊を南側に展開させ、

 自身は北側で待機するザイル少佐。



「そうやって、自分は先陣を切らず、

 部下に面倒な事は任すなんていう愚昧ぐまいな事をするような奴に、

 ボクたちカルナダは、負けてやれない!

 みんな! 頼むよ!

 ライコノフ=エギータ! 百鬼丸ひゃっきまる

 この先制打で! コンテナミサイル!」

 と、百鬼丸ひゃっきまると呼ばれたKGナイトギアっぽい機体が、

 まずは牽制けんせいで、背中から背部誘導垂直はいぶゆうどうすいちょくミサイルをった…!

 と思ったら…ッ⁉



「な…何だ…ッ⁉

 撃って来たミサイルの中から、複数の小型ミサイルが…ッ⁉」

 百鬼丸ひゃっきまるから飛ばされたミサイルから、

 小型のミサイルが100機以上、出て、

 ザイル少佐と、その取り巻き以外の、

 南側に展開した、部隊の全てに降り注ぐ…ッ!


「クッ…!」

「うわぁぁぁぁーーーッ‼」

「こ…こんな数…ッ⁉」

 SGソルジャーギア部隊の方々が悲鳴を上げる!

 すさまじい数の爆発音と煙幕えんまく…ッ!


 …だったんだけど……ッ⁉



「あ…アレ…?」

「なんだ…? 大した損傷が無いぞ…?」

 と、見た目の派手さに反して、

 百鬼丸ひゃっきまるってのが使ったコンテナミサイルっての、

 FGファイターギア相手なら効いたのかもだけど、

 堅牢けんろうSGソルジャーギアの装甲相手には全然威力が足りない…ッ⁉



「フッ…。

 やはりレジスタンスごときの機体の性能など、その程度か…。」

 と、嘲笑ちょうしょうするザイル少佐。



「今のは挨拶代わりだ!

 これから、オマエたちは、本当の地獄を見る事になる!」

 と、仲間のFGファイターギア部隊の後方からの、

 ミサイルやレーザーライフルなどの援護射撃を背に、

 右腰部うようぶから少し小ぶりなマシンガンを取り出し、

 SGソルジャーギア部隊に掃射そうしゃする…ッ‼



「クッ…!

 たかがレジスタンスごとき…!」

 と、百鬼丸ひゃっきまるたちの攻撃をシールドでいなしつつ、

 逆に背部垂直はいぶすいちょくミサイルで反撃しようとする…ッ!



 それを、カルナダのFGファイターギア部隊もシールドでいなして、

 ザヌス隊が大型バズーカ等を撃ちつつ、

 その中でガトナスたちが接近し、

 百鬼丸ひゃっきまるが、その援護とばかりに、

 さっき右腰部うようぶから抜いた小型マシンガンで、

 SGソルジャーギア部隊の、FGファイターギア部隊へのミサイルの迎撃に掃射しまくる!



 両者、混戦の態を見せ始めた……んだけど…‼

「チッ…!

 何だと言うのだ…!」



「向こうのミサイルは普通に飛んでくるのに、

 私たちのミサイルだけ、何か、ちゃんと相手に飛ばないモノがある…⁉」



「それに、相手に飛んでも、炸裂さくれつしないモノも無いか…⁉」



「何なのだ、この戦場は…⁉」

 と、ミサイルの威嚇いかくなに上手うまかないらしく、

 ミサイルの斉射せいしゃは、それでも辞めないけど、

 あの高出力レーザーライフルを使い始めるSGソルジャーギアみなさん!



 SGソルジャーギア部隊のミサイルの不具合は、

 どうなってるのかはからないけど、

 お陰で、あの高出力レーザーライフルを使い始めた恐怖はあるけど、

 本気を出した上で、さらに本気でミサイルを交えられるよりは、全然ぜんぜんいし、

 あの百鬼丸ひゃっきまるって壮者パイロットさんも、FGファイターギア部隊のみなさんも、

 何か、戦い慣れていらっしゃる御様子ごようす



 なんて頼もしい!




「チッ…。

 レジスタンスごときに後れを取るな!

 KGナイトギア牽制けんせいで繋ぎ止めておけ!

 ガトナスに回り込まれたり、

 ザヌスに射抜いぬかれたりするなよ!」

 と、さっきの危険な陶酔具合とうすいぐあいとはってわって、

 意外とマトモな指示を出す、ザイル少佐!



撹乱かくらんはボクがやる!

 ガトナス隊は、もっと切り込んで!

 ザヌス隊! 砲撃の手を緩めないで!」

 と、叫んだかと思うと、

 百鬼丸ひゃっきまるが、小型マシンガンを乱射しながら、

 左肩部のレーザー砲っぽいのを発射する!



「クッ…!

 パルスレーザーか…ッ⁉」


「チッ…後方のザヌスの砲撃も厄介だな…‼」


KGナイトギアの足止めもできず、ガトナスたちが寄って来る…‼」

 と、さっきの折角のザイル少佐の指示が、

 まるで役に立って無い様子のSGソルジャーギア部隊のみなさん。



 だったんだけど…ッ!

「クッ…舐めるなよ、レジスタンス!」

 と、SGソルジャーギア部隊のうち1機が、

 自陣に切り込んでくるガトナスのうち1機を、

 レーザーライフルで牽制けんせいした上で、

 逆に近づきレーザーソードで腹部を串刺くしざしにしようとする…ッ⁉

 

 

「くぬぅ…ッ‼」

 と、ギリギリでレーザーソードをかわすガトナスと、



「それで終わり程度なら、

 新統合しんとうごうは、ボクたちカルナダには勝てない!」

 と、小型マシンガンを右腰部うようぶに戻しながら、

 ガトナスに切り込んだダギナスの1機に百鬼丸ひゃっきまるが突撃し、

 バルカンで牽制けんせいしつつ、左腰部さようぶから抜き出したレーザーブレードで、

 相手のレーザーライフルを持つ右手を切り裂き、

 そのまま右回し蹴りで吹っ飛ばしつつ、

 左外腕部からグレネードミサイルを放って、

 ダギナスの1機を撃墜する…ッ‼



 その間に、カルナダの後方支援のザヌスのミサイルとバズーカの掃射そうしゃも続き、

 突っ込んだガトナスの他の、ゲズやジーナ隊の斬り込みも行われ、

 その洗練されたカルナダ部隊の攻撃に、



「こ…コイツら…ッ‼」



「思った以上にヤル…ッ‼」

 おののきの声を上げるザイル隊だったが…ッ!



「だが…ッ‼」

 ザイル隊も、SGソルジャーギアという、通常の部隊では用意など出来ない様な、

 超高性能量産機の意地で…ッ!



「クッ…オレのガトナスの左腕が…ッ!」


「こっちも、メインカメラがやられた…ッ!」

 と、目くらましの背部垂直はいぶすいちょくミサイルに頼らず、

 レーザーライフルとレーザーソードを果敢に使って、

 どんどんと、カルナダの戦力を削って行き、

 戦場は、さらに、混迷の色をていして来た…ッ‼



「クッ…。

 レジスタンスごときに、これほど足を止められるなど…!」

 と、ザイル少佐が苛立いらだちを見せる。




 そこで…‼

「今だ! TSトレジャースティーラーたち!

 ほとんどの部下たちは、こっちに引きつけた!

 今からなら、君たちが作戦通りに挟撃きょうげきしてくれれば、

 コイツらは、ザイル少佐の救出に間に合わないはずだ!

 武運を祈る!」

 と、百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットさんが、オイラたちに叫ぶ!




「OKや!

 みんな! 行くで!

 手筈通てはずどおり、安生あんじょう気張きばりや!」

 と、ミケさんが指示を出し!



『ハイ…ッ‼』

 トロイメンカッツェ部隊の全員が声を合わせる!



「クッ…!

 TSトレジャースティーラー部隊だと…⁉

 レジスタンスたちめ!

 グランヴァルニア様の有難ありがたい救いの教えも分からず、

 トチくるって、盗賊と手を組んだというのか…ッ⁉」

 と、驚愕きょうがくの顔を見せるザイル少佐!



「クッ…交戦中のダギナス隊!

 至急、私のボーデンの下に戻れ!」

 どうも、ボーデンというのが、ザイル少佐のKGナイトギアの名前の模様。

 焦りの色を見せながら、交戦中のダギナス隊に帰還きかんを命ずるが!



「やらせるか!

 FGファイターギア部隊の、みんな!

 SGソルジャーギアたちを合流させちゃダメだ!

 ここで食い止めるんだ!」

 と、百鬼丸ひゃっきまるが、帰還きかんしようとするダギナスたちに回り込み、

 


「オマエたちには、ここで釘付けになってもらう!」

 と、レーザーブレードをはためかせ、

 手負いなれど熟練の腕のガトナス隊が後ろから迫り、

 その後方からザヌスが砲撃を続ける!




「クッ…!」

 うめくザイル少佐のボーデンに!



「行くぜ相棒! アリーエルスラスター!」

 と、アリーエルスラスターからのAアサルトトライバレルのレーザーで、

 先陣を切るケビンさんのラーゼンレーヴェ!



「チィ…ッ!」

 と、ザイル少佐が、ラーゼンレ-ヴェの超加速攻撃を前に、



「このボーデンを舐めるなよ!」

 左腕からレーザーシールドを展開し、Aアサルトトライバレルのレーザーを防ぐ…⁉

 さらに、バルカンで牽制けんせいしつつ、

 右外腕部の短距離誘導水平たんきょりゆうどうすいへいミサイルランチャーポッドを発射する…ッ⁉



 防御しきれる、あのボーデンてKGナイトギアの防御力も凄いけど、

 あの攻撃に反応できる反応速度も凄い…ッ!


 ザイルさんの腕が、凄いのは分かったけど、

 あの機体、重量級なだけじゃなく、

 重量級の上で、強襲型だったんだ…ッ‼



「でもやなぁ…ッ!」

 と、ミケさんのタイニーダンサー追い付き、

 既にチャージしながら進軍していた様で、

 トライバレルのチャージレーザーで、

 短距離誘導水平ミサイルランチャーポッドを撃墜した上で、

 トライバレルのバレットでボーデンを追撃し、



「お楽しみはこれからだぜ…ッ‼」

 と、ケビンさんがAアサルトトライバレルのバレットを撃つ!



「クッ! だが…ッ!」

 と、レーザーシールドの連続展開をするザイル少佐だが…!



「その隙を見逃す程、ボクは甘くないですよ?」

 と、マカロニさんが左腰部さようぶから遠距離用大型バズーカを抜き、

 ザイル少佐のボーデンに砲撃し!



「そそ! ユリンちゃんも混ざっちゃうし!」

 ユリンさんもLライトトライバレルのバレットで追撃する!



 さらに!

「セリア! ソルファージュ、敵部隊に艦砲射撃かんぽうしゃげき! 3連装大型レーザーランチャー! 垂直すいちょく水平すいへいミサイル、掃射そうしゃ!」



「了解! 艦砲射撃かんぽうしゃげきに入ります! 3連装レーザーランチャー、垂直すいちょく水平すいへいミサイル、発射はっしゃします!」

 ソルファージュの援護射撃までオマケで付いて来る!



「しょ…少佐…ッ!」


「わ…我々が盾に…ッ!」

 と、ザイル少佐の周りの取り巻きのダギナスの方々が、

 身を挺してシールド防御し、ザイル少佐のボーデンへの被弾を防ぐ代わりに、

 自分たちの機体が被弾する…ッ!



「お…オマエたち…! クゥ…ッ!」

 と、部下たちに指示の声も出せないザイル少佐…!



「これは楽勝になりそうだね!」

 と、ユリンさんが喜び、



「相手は機体も人員も悪くねぇが、

 うちの戦術勝ちって奴だな!」

 と、ケビンさんも勝ち誇る!



「まあ、運が悪かったと思って、

 諦めて、撃墜されて下さい。」

 と、マカロニさんも宣言し、



「オマエたちも、相応の覚悟があって、

 新統合しんとうごうなんぞにるんだろう?

 こういう状況もあるって知れてかったな!」

 と、バーダック艦長が言い、



「オマエらはオマエらで、

 背負ってるモンがあるんかもやけど、

 うちらも負けれへん理由わけがあってな。

 悪いけど、勝たせてもらうで?」

 と、ミケさんのタイニーダンサーが、

 ボーデンに向けて、トライバレルを構える!




 でも…そこで…ッ!

「リーダー!

 ソルファージュ後方、北部より、機影多数きえいたすう

 うち1機は未確認の機体ですが、他の機体はダギナス!

 新統合しんとうごうの機体たちの模様です!」

 と、セリアさんから恐怖の伝達が来る…ッ⁉




「えーーーーッッ⁉

 ソルファージュ後方、北部って言ったら、

 今、オイラしかないんスよ…ッ⁉」

 と、戦々恐々せんせんきょうきょうのオイラ!



「な…ッ⁉」


「クッ…‼」


「ど…どうなってんのコレ…リーダー…⁉」

 と、トロイメンカツェのみなさんが、驚愕きょうがくの声を上げる!



「まさか…。

 読まれてたのか…?

 この作戦が…ッ⁉」

 と、この脅威きょういに震えながら問う百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットさん!



「これは、これは、ザイル少佐!

 先程は、私のブレンネンが、整備不良を起こし、

 整備が終わるまで待って頂きたいと言い、

 整備後に、改めての演習を、

 そちら様の意気を組まず申し込み、

 不快な想いをさせて申し訳ありませんでした。


 貴殿きでんたちに、我々を待てぬと言って頂き、

 こうして、マシントラブルの修理まで、

 これ程の長い時間を掛けてしまったせいで、

 意図せず、このよう挟撃きょうげきじんきましたが、

 どうか、遠慮なさらず、我々をてにして下さい。


 貴殿きでんたちが、快く、我々、メイフェス隊を頼り、

 共に、レジスタンスを破ったとなり、

 我々が事態を打開した上での撃墜なれば、

 勝利後には、私たちメイフェス隊の、

 撃墜記録が輝く事になるでしょうが、

 貴殿きでんたちも協同したという事で、

 勲功くんこうは上げれるはず。


 どうか、私を待たなかった事を思い悩まず、

 気軽に、我々と組んで頂きたい。」

 と、赤と黒のカラーリングの中量級っぽいKGナイトギアに乗った、

 メイフェスとかいう、赤い制服で、

 亜麻色の髪のショートモヒカンという、

 目立つ事、この上ない髪型の人が、

 つらつらと恨み深い、ネチネチした物言いをする…ッ⁉



 何、この展開…ッ⁉

 たまたま、メイフェスさんって人のKGナイトギアが、

 マシントラブルで、演習に参加できなかったから、

 今、遅れて着いて、逆にオイラたちを挟撃きょうげきの、

 さら挟撃きょうげきじんはさんだ…ッ⁉



「フン…。

 そのまま、マシントラブルで演習に参加できぬままで、

 以降に、この様な実戦が無ければ、

 オマエたちの方が、とがを受けた事、心せよ!


 だが、協力には感謝する。

 今直ぐ、その母艦と、その周辺の1機だけの殿しんがりを倒して見せよ!」

 と、ザイル少佐が、言ったかと思うと…!




「フッ…。

 相変わらず、おかたいお方だ。

 いでしょう。我ら、メイフェス隊の見せられなかった力、

 存分に、お見せしましょう!」

 と、メイフェスさんという人を筆頭に、

 10機ほどのダギナスが、こちらに向かって来る…ッ⁉




「ど…どど…どうしましょう…ミケさん…ッ⁉」

 と、驚天動地きょうてんどうちのオイラ!



あねさん、流石さすがにアイツ一人じゃ…!」

 と、ケビンさんもあせりの声を上げ、



「私とマカロニだけでも下がった方がいんじゃない?」

 と、ユリンさんも、ザイル隊に砲撃しつつ聞き、



「そ…そうですよ…! ミケさん…!」

 と、マカロニさんも、砲撃で追随する中、



「ロクスリー君!

 そのまま、殿しんがりで、ソルファージュの護衛、一人で頼む!」

 と、ミケさんがムチャ言い出した…ッ⁉



「えーーーーッッ⁉」

 ミケさんのムチャ振りに、さらおののくオイラ!



「な…ナニ言ってるんですか…あねさん…⁉」

 と、ケビンさんも、同じ反応で、



「ロクスリー君は、スペシャルっぽいって言っても、

 まだシュタイガーンバオアーもCAPASカパースも未知の戦力なのよ?

 そんな中で、ロクスリー君に、単独で戦えなんて、

 リーダー、それはムチャじゃない…ッ⁉」

 と、ユリンさんも、こえあらげ、



「そ…そうですよ…ミケさん…‼ それは、ムチャ過ぎですよ…‼」

 と、マカロニさんもおののくが、



「せっかく、カルナダが、戦力を削ってまで追い込んでくれたのに、

 ここでザイル少佐を逃したら、もと木阿弥もくあみや。

 ザイル少佐は、うちらがきっちり撃破するんや!


 それに、こういう不測ふそく事態じたいでも、

 うちは、仲間を信じたい!


 悪いけど、ロクスリー君にも、みんなにも、頑張ってもらうで!」

 と、ミケさんが、オイラにも、みなさんにも、ムチャ振りをさらにする…ッ⁉



「クッ…! ロクスリー! 何とかしろ!

 本当にスペシャルだったオマエなら何とかできる…ッ!」

 と、ケビンさんもムチャ振りして来る…⁉



「もう…リーダーは、言い出したら聞かないんだから!

 ロクスリー君! もう一人で何とかするしかないよ!

 こっちはこっちで頑張るから、とにかく頑張って!」

 と、ユリンさんも…ッ⁉



「とにかく、完全なデータは取れてませんが、

 シュタイガーンバオアーと、CAPASカパースに、

 ロクスリー君が適合てきごうし、スペシャルな能力になるのは、

 状況証拠がそろっているのです!

 後は、さらなる状況証拠を増やして下さい、ロクスリー君!」

 と、マカロニさんまで…ッ⁉



「まあ、みんな、オマエに期待してるってこった。

 気張きばって、ソルファージュを守ってくれよ、ロクスリー!」

 と、さっきまで無口だったバーダック艦長までですか…ッ⁉



「何だ? あの機体の壮者パイロットがスペシャル?」

 と、迫りつつ、

 こっちのオープンチャンネルの通信を聞いてたメイフェスさんが呟く。



 それに対し、

「大尉、軍のデータベースによりますと、

 このTSトレジャースティーラーたちは、アルセカーナの統治時に、

 指名手配されていた、トロイメンカッツェというTSトレジャースティーラーで、

 アルセカーナの自警団たちの証言から、

 そのトロイメンカッツェのトップエース機は、

 カラフルな色合いのカスタムされたゲズとの事。


 その様な機体が、今、出撃しておらず、

 他の機体は、タイニーダンサー、ラーゼンレーヴェ、

 エンジェルシード、フェストゥングと、

 データベースに既に存在する機体ですが、

 あの、殿しんがりの機体だけは、データベース上にありません。」

 と、何か、嫌な予感のする事を言い出してる…ッ⁉



「ほう、トロイメンカッツェのタイニーダンサー。

 あのアヴァドンのミケとかいう…。

 その上で、他の機体がトップエース…と。

 つまり、あの殿しんがりの機体の壮者パイロットが、アルセカーナで、

 カスタムゲズに乗っていた、トップエースだという事だな?」

 と、メイフェス大尉の目が光る…ッ⁉


「ハッ! 間違いいかと!」

 と、答える部下のダギナスの方…⁉


「よし、オマエたちは近隣で待機!

 アヴァドンのミケを超えるというトップエースは、

 私が、このブレンネンで一人で落とす!

 さぁ、オマエたちTSトレジャースティーラーのトップエースの力とやら、

 見せてもらおうか…ッ‼」

 と、やる気マンマンのメイフェス大尉…ッ⁉



「イヤイヤイヤイヤ!

 オイラなんか、ホント、雑魚ざこっスから!

 ホント、狙う価値なんて全然無いっスから!」

 と、全力でイヤイヤするオイラに向けて、



「まずは小手調べだ!」

 と、メイフェス大尉のブレンネンとか呼ばれた機体が、

 標準型の背部垂直はいぶすいちょくミサイルではなく、

 水平方向に飛ぶ、背部水平はいぶすいへいミサイルを放つ!



「ク…ッ! よ…避けなきゃ…ッ‼」

 と、とにかく回避の為に、思考を集中しなくちゃ…!



 と…想ったのに…!

 思った矢先に…‼



 ズデン…ッ!

「何だ…コイツ…⁉」

 メイフェス大尉が呆気あっけに取られるほど

 豪快にすべって転んで、垂直すいちょくミサイルを全弾、

 背部装甲はいぶそうこうに受けるオイラのシュタイガーンバオアー…!



「あ…く…うぅぅ…。

 だから、オイラなんかだけじゃ無理って言ってるのに…ッ‼」

 と、何とか起き上がり、



「でも、でも、

 ここでしのがなきゃ、ソルファージュは…!

 だから…オイラは…ッ‼」

 と、レーザーライフルを乱射するオイラのシュタイガーンバオアーだが、



「陽動の、つもりなのか⁉

 何か狙いがあると言うのか…⁉」

 と、明後日の方向に飛ぶ、オイラの射撃に、

 逆に動揺するメイフェス大尉だったが、



「まあい、誘いに乗ってやる!」

 と、左外腕部の小型のマシンキャノンを掃射し、

 さらに、右外腕部のシールドを構え、

 そのシールドの中からレーザーランチャーを放つ!



 が、オイラのシュタイガーンバオアーがさらにコケて、

 牽制のはずのマシンキャノンが、全弾、背部装甲はいぶそうこうに当たり、

 本命のレーザーキャノンは、

 回避地点を読もうとして放ったみたいで、

 逆に、外れてしまう!



「くぅ……。

 でも、このかんの、メイフェス大尉の攻撃も、

 CAPASカパースがドライブだからか、

 ずっと、見えてはいるんだ…!


 でも…オイラの思考通りに動くのがダメ過ぎて…!

 くぅぅぅ……ッ!」

 と、うめくオイラに、



「ほう、私の動きが見えるのか?

 今のも、えて、こちらの攻撃を背部に受け、

 本命の射撃を外したと?


 フン!

 では、本当なのか調べる為に体育の授業を始めよう!」

 と、メイフェス大尉のブレンネンがぜ、

 シュタイガーンバオアーの前に立ち、

 右拳で頭部を殴り、

 左拳で腹部を叩き、

 右回し蹴りで、

 シュタガーンバオアーを吹っ飛ばした…ッ⁉



「グゥゥ……ッ‼」

 相手もKGナイトギアとはいえ、こちらもKGナイトギア

 殴られただけだから何とかダメージも少ないけど、

 こんなにやられっぱなしなんて……ッ⁉



「フン…。

 どうやら見込み違いのクズだった様だな。


 オマエたち、コイツは、どうでも雑魚ざこだ。

 私はザイル少佐の援護に回る。

 オマエたちは、この雑魚ざこを倒した後、

 こいつ等の、この母艦を沈めておけ。」

 と、部下のダギナス部隊のみなさんに指示を出すメイフェス大尉。



「了解です、大尉!

 では、行くぞ、TSトレジャースティーラー!」

 と、部下のダギナス隊の方々が、シュタイガーンバオアーを囲む…ッ!



「クッ……何とか持ちこたえて…、

 ソルファージュを守らないと…!」

 と、レーザーライフルと背部垂直はいぶすいちょくミサイルを展開するオイラだけど、

 相変わらず、全然違う場所に飛びまくる…ッ⁉



「この相手…本当に雑魚ざこ…なのか…⁉」



「本当にKGナイトギアに乗っても、この程度なのか、この壮者パイロットは…⁉」

 と、いまだに、何かオイラがスペシャルではとうかがうのか、

 背部垂直はいぶすいちょくミサイルで、

 牽制けんせいを続けるダギナス隊のみなさん!



「クァァァ…ッ‼」

 と、ミサイルをらい、

 機内の振動に、うめごえげるオイラに、



『マスター!

 シュタイガーンバオアー内のCAPASカパースがドライブ状態で、

 マスターの壮者能力パイロットのうりょくは向上しているはずですが、

 現状、マスターの思考は、機体を無駄に動かすように、

 雑念が多く混じり過ぎています!


 ですから、CAPASカパースを、私の中に取り込み、

 マスターのCAPASカパースに働きかける脳波を私が演算、予測、補正し、

 現状のマスターの本当に取りたかった行動を取れる様に補正する事を提案します!


 その上で、CAPASカパースが、機体内に残ると、

 私の中と機体の中、両方にCAPASカパースが存在し、

 競合し、不具合を起こす可能性がある為、

 私の中に取り込むCAPASカパースを残し、

 シュタイガーンバオアー内のCAPASカパースを消す事を提案します!』

 と、この絶望的な時に、

 長ったらしい、何か、からない提案をして来る、38さんぱち



「何でもいから、何かできるなら、早くしてくれ!」

 と、叫ぶオイラ!



『了解です! マスター!』

 と、答える38さんぱち



「メイフェス大尉は雑魚ざこなだけだとおっしゃったが、

 これ程の雑魚ざこの様な相手でも、実際に殿しんがりを任されている。

 気は抜けんな…!」

 と、レーザーライフルを掃射し始めるダギナス部隊のみなさん!



「クッ……PBLHピブレハ…ッ‼」

 と、PBLHピブレハで、何発かは防ぐが、

 展開時間てんかいじかんうんぬんどころか、

 防ぐ位置にPBLHピブレハのある左手を持って行けず、

 数発が、胴体部に着弾し、機体が揺れる!



TSトレジャースティーラーごときが、レーザーシールド…ッ⁉

 やはり…何かあるのか…ッ⁉」

 と、PBLHピブレハを使ったオイラのシュタイガーンバオアーに、

 さらに警戒を強めるダギナス隊のみなさん!



「とにかく、何かある相手でも仕留しとめねば、奴らの思うままだ!

 ここは仕留しとめさせてもらう!」

 と、ダギナス隊のみなさんが、

 再度、レーザーライフルを掃射そうしゃしてる…ッ⁉



「クッ…見えるのに!

 見えた通りに!

 本当に動かしたい通りに…動いてくれよ…ッ‼

 シュタイガーンバオアー……ッッ‼

 クゥッ……PBLHピブレハ…ッ‼」

 と、この最悪の状況の中、

 何とか自分の本当に動かしたい様に、

 PBLHピブレハが動く動きを思い描く!



CAPASカパースの取り込み!

 シュタイガーンバオアー内のCAPASカパースの消去!

 マスターの脳波の補正!

 完了しました!』



 と、38さんぱちが何か話した瞬間に…ッ⁉



「な…何だ…ッ⁉」

 ダギナス隊の方々が、こちらに驚愕きょうがくの様子を見せる!



 シュタイガーンバオアーの、オイラのPBLHピブレハが、

 展開時間内てんんかいじかんないに、ダギナス部隊のみなさんのレーザーライフルを、

 全弾、弾いた…ッ⁉



「え……あ…ッ⁉」

 と、

 今までの、オイラの動かしたい通りに動かすのに、

 逆に、オイラの動かしたい動きに過敏に動き過ぎて、

 本当に動かしたい通りに動かない状況から、

 

 自身の、本当の本当にイメージする、

 動かしたい通りに動かせた事に、

 逆に動揺するオイラに、



『マスターの脳波は、私が補正してます。

 さあ、マスター!

 マスターの思うままに、動いて下さい!』

 と、この動きは、

 何か38さんぱちが補正とかしてくれてるらしく、

 こ…これは…ッ⁉



「そんな雑魚ざこに何をしている…ッ⁉

 早く片付けて、奴らの母艦を叩け!」

 と、ユリンさんたちの方に向かってたメイフェス大尉が立ち止まる!



『ハッ…!』

 と、答え、



「な…何かの間違いなのか…?」


「今までの動きと違うが…?」


「さっきまでは、確かに雑魚ざこだった様だが…?」

 と、さらに、レーザーライフルと、背部垂直はいぶすいちょくミサイルもぜ、

 シュタイガーンバオアーに掃射するダギナス隊のみなさん!



「クッ…! じゃあ…!

 見えてる通りに動かすぞ、38さんぱち

 補正っての、頼む!」

 と、オイラが言い、



『イエス! マスター!』

 と、38さんぱちが答えたと思った、その瞬間から、



「クッ…PBLHピブレハと、バルカンで!」

 と、飛んできたレーザーライフルをPBLHピブレハで、いなし、

 背部垂直はいぶすいちょくミサイルを、バルカンの掃射で、全弾防げた…ッ‼



 さらに!

「見えてるオイラの、思う通りに本当に動くのなら!」

 と、左腰部さようぶからバトルアックスを抜き、

 一番、間近のダギナスを、バルカンで牽制けんせいしてから、


 バトルアックスで殴打し、右回し蹴りで蹴り飛ばした上で、

 近寄って来る1機を、左手のPBLHピブレハで頭部を破砕はさいし、


 さらに近寄って来るダギナスたちのレーザーライフルをギリギリで回避し、

 相手が、シュタイガーンバオアーを囲んでいた為、

 オイラに回避された味方のライフルに当たり、

 囲んでた相手の1機が、右腕部を損傷する!



「な…何だ…⁉ 何なんだ…ッ⁉」

 と、驚愕きょうがくするダギナス部隊の方々!



「な…何なのだ…アイツは…ッ⁉」

 と、ザイル少佐も、驚嘆きょうたんの声を上げ、



「やっぱし、オマエはスペシャルだよ、兄弟!」

 と、ケビンさんが声を掛けてくれ、



「ホラホラ!

 ロクスリー君とシュタイガーンバオアーは、

 やっぱり相性バッチリなんだよ!」

 と、ユリンさんが喜び、



「これは…。

 確かに…こういう補正の仕方もありましたね…。

 流石です、38さんぱちさん!」

 と、オイラより、補正ってのをしてくれた38さんぱちを褒めるマカロニさんと、



「何にしても、コレは助かるぜ!

 ロクスリー! ソルファージュ周辺の後方の敵は頼む!

 ソルファージュは、引き続き、ザイル小隊に艦砲する!」

 と、バーダック艦長が言い、



「まあ、こういうパターンとは正直、思ってなかったんやけど、

 38さんぱちは、流石やね! ロクスリー君をっとる!

 さぁ、反撃の時間やで、ロクスリー君!」

 と、目を輝かせて話すミケさん!



「え~い! そんな雑魚ざこに何をやっている…ッ⁉

 退け! 私がその雑魚ざこ仕留しとめてやる!」

 と、明らかに動きがさっきと変わったはずのオイラの動きを見ても、

 自身が雑魚ざこと断じた相手なのが尺に障るのか、

 ミケさんたちの方に行くのを辞めて、

 こちらに戻って来て、今まで使わなかった左肩部のパルスレーザーを照射しつつ、

 背部水平はいぶすいへいミサイルを掃射そうしゃし、右外腕部のシールドのランチャーを放つ!



「今のオイラは! 見えた通りに対処できるんだ! この程度…ッ!」

 と、ミサイルを誘導して、相手のパルスレーザーの射程の中に入り、

 実質的に自機に当たりそうな場所だけ、PBLHピブレハでブロックし、

 ミサイルを、無駄に撃たれたパルスレーザーの照射しょうしゃ相撃あいうちさせ、

 時間差で来たランチャーも、きっちり、展開時間内てんかいじいかんないで防ぐ、

 オイラのシュタイガーンバオアー!



「ミサイルを、同時に放ったパルスレーザーで、同士討ちさせるだと…ッ⁉」

 と、驚きの声を上げるメイフェス大尉に、



「今の、見えた通りに動けるオイラなら!」

 と、背部垂直はいぶすいちょくミサイルを展開し、相手の上に降らせ、

 それをレーザーライフルで撃ち抜き!



「ミサイルを煙幕えんまくにするだと…ッ⁉」

 驚愕きょうがくで動きが遅れるメイフェス大尉のブレンネンに!



「食らえよ…ッ‼」

 と、PBLHピブレハで、頭部を握りつぶし、破砕はさいしてから!



「ここからだぞ…ッ!」

 頭部のメインカメラがやられ、

 動きの鈍ったブレンネンの左右の腕部を、

 レーザーライフルで狙い撃ち、次々に無力化して行く!



「クッ…それでも…ッ‼」

 と、最後の意地とばかりに、

 背部水平はいぶすいへいミサイルを展開するブレンネンに…ッ!



「今のオイラは! こういう事だって……出来る…ッ‼」

 と、ブレンネンの前面に位置していたオイラのシュタイガーンバオアーが、

 ブレンネンの頭部のった箇所かしょを飛び越え、ブレンネンの背後に回り、

 そのせいで、追尾誘導ついびゆうどうしていたミサイルが、ブレンネンに誤射ごしゃそそぐ…ッ!

 その、ほぼ全弾が腹部に集中して当たり、

 ブレンネンの腹部がむき出しになる…ッ!



「そ…そんな…事が……ッ⁉」

 と、戦慄せんりつするメイフェス大尉のブレンネンに!



「このまま投降しろ!

 オイラの思い通りに動くから!

 逆に、手加減が効かないかもしれないぞ!」

 と、レーザーライフルをチャージしながら、

 メイフェス大尉に勧告するが、



「クッ……! 私が…! TSトレジャースティーラーごときに……ッ‼」

 と、振り返り、シュタイガーンバオアーに右前蹴りを放つブレンネン!



「この…! 分からず屋が! だったら!」

 と、回避しつつ、バルカンで、さらにブレンネンの腹部の損傷を広げ!



「コイツが本命だ!」

 と、ブレンネンの腹部の中にレーザーライフルを突っ込み!



「喰らえ…ッ!」

 これが…! ゼロ距離射撃どころかの…!



「マイナス距離射撃だ…ッ‼」

 あのザ・パーフェクトのシュメルも仕留しとめた、

 チャージレーザーでのマイナス距離射撃で、

 銃撃した反動でブレンネンの中でライフルが破損しつつも、

 ブレンネンの腹部を貫く、オイラのシュタイガーンバオアー…ッ!



「私は……雑魚ざこと戦っていたんじゃなかったのか……ッ⁉

 いつから私は……敵のトップエースと戦っていたんだ……ッ⁉

 クッ……ブレンネン……マルム=メイフェス……脱出する……ッ‼」

 と、自身の驚きを感じさせる捨てゼリフを残して、

 ブレンネンの胸部脱出ポッドでメイフェス大尉が脱出する!



 それを見て、

「あの機体を殿しんがりに回したのは、こういう時のための保険か…ッ‼

 クッ……だが、レジスタンスとTSトレジャースティーラー混成部隊こんせいぶたいなどが、

 正規の部隊たる我が隊に、そうそう敵うモノではないと教えてやる……ッ‼」

 と意気込むザイル少佐。



 だが、メイフェス大尉のブレンネンの撃墜に、

 メイフェス小隊の残りの部下たちは…!

「メイフェス隊長を撃墜する様な化け物に、

 私たちが勝てるワケがないじゃないか…ッ‼

 に……逃げるぞ…ッ‼」

 と、逃走する。



「バカな…ッ⁉ ここに来て敵前の逃亡など……ッ‼」

 と、狼狽ろうばいするザイル少佐。



 だが、ここで!

「みんな、そろそろ撤退てったいだ! ボクらの損耗率そんもうりつが、かなり高い!

 これが新統合しんとうごうの本隊を倒すための戦いなら戦闘を続行するところだけど、

 たった1部隊を叩くための戦闘に、これ以上の損耗率そんもうりつを出すのは下策だ。

 陽動は十分にやった! あとはTSトレジャースティーラーたちに任せよう!」

 と、百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットさんが、カルナダの部隊に指示を出す!



判断はんだんや! 後は、うちらにまかし!

 戦果せんかは、後での聞いてのお楽しみやと思っとき!」

 と、ミケさんが、百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットさんの提案ていあんに答える!



「まあ、うちにはスペシャルな兄弟もるワケだし!」

 と、ケビンさんが指を突き立て、



「そそ!

 さらに、ロクスリー君だけじゃなく、

 ユリンちゃんたちもひかえてるワケだし!」

 と、ユリンさんがウィンクし、



「後は、我々、トロイメンカッツェに任せて下さい!」

 と、マカロニさんも答え、



「まあ、色々あったが、ここまでくりゃ何とかなるだろ!

 キッチリ任されたぜ!」

 と、バーダック艦長も言う。



「ありがとう! 戦果せんかを期待する!」

 と、百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットさんが、

 FGファイターギア部隊たちと、下がって行く!



「クッ……!

 だが、レジスタンスが退いたのならば、

 TSトレジャースティーラーの前面に部隊を展開できる…ッ!

 TSトレジャースティーラー風情に、正規の部隊たる我が隊が落とせるものか…ッ‼」

 と、ザイル少佐が叫び!

 タイニーダンサーに向けて、背部垂直ミサイルを発射し、

 右肩部のロケットランチャーを発射しつつ、

 レーザーライフルも同時発射!



「残念ながら、TSトレジャースティーラーも、結構やるんやで…ッ!」

 と、PBLHピブレハでレーザーライフルの軌道きどうげ、

 ロケットランチャーに向かわせ相殺し、

 ミサイルを、ギリギリの位置でかわすタイニーダンサー!



「クッ…! だが、ここは!

 ここは何とか! 少佐を守るぞ!」

 と、カルナダと交戦していた、

 ザイルさんの部下のダギナス隊のみなさんが、

 ミケさんたちの所に何とか駆け付け、

 牽制けんせいで、背部垂直はいぶすいちょくミサイルを掃射そうしゃするが!



「その程度がどうしたよ…‼

 オレの相棒のチャージレーザーなら…‼」

 と、ケビンさんのラーゼンレーヴェの、

 Aアサルトトライバレルのチャージレーザーで、

 撃たれたミサイルのほとんどが無力化され!



いで、ケビン! アレやるで! アレ!」

 と、タイニーダンサーが、トライバレルをチャージし、



「了解です、あねさん!」

 ラーゼンレーヴェも、再びレーザーをチャージし、



合体攻撃クロスアタック…ッ‼ ガンスリンガーパレード…ッ‼』

 いつもの、あの、合体攻撃が放たれる…ッ‼



「アアッ…‼」


「レジスタンスとの交戦での損傷個所に…ッ‼」


「クゥ……ッ‼」

 と、カルナダとの交戦での損傷個所に、さらなる打撃を与える…ッ!



「だが! そっちの青い機体は強襲型きょうしゅうがたのはず!

 そろそろ、補給が持つまい! 活路は、そこにある!」

 と、目ざとく話すザイル少佐だったが、



「は~い、ここでユリンちゃんの本気まじエンジェルな、

 エンジェルシードが、弾薬だんやくENエネルギーも、

 ラーゼンレーヴェに補給のまき~~。

 また暴れちゃって、ケビン!」

 と、いつの間にか、エンジェルシードが、

 ラーゼンレーヴェの横に並び、

 例の、ラジエールコンデンサーと弾薬だんやくパックで、

 ラーゼンレーヴェに、素早く補給を済ます!



「な…ッ⁉」

 と、絶句するザイル少佐と、



弾薬だんやくENエネルギーも補給できるKGナイトギアなんて…!」



「あんなの反則だ…!」

 と、口々に叫ぶダギナス隊のみなさん!



「助かったぜ、ユリン!

 よし、相棒! また暴れるぜ!」

 と、ケビンさんのラーゼンレーヴェが、また爆ぜ、

 Aアサルトトライバレルのレーザーとバレットが、

 次々と、ダギナス部隊のみなさんに掃射そうしゃされ!



「クッ…! 演習と、レジスタンス戦で、逆に、こちらの補給物資が…!」


「ここまでの継戦けいせんを強いられるなんて…!」

 と、ダギナス部隊のみなさん、オイラたちと逆で、

 演習と、カルナダとの混戦の後で、補給物資が足りない模様もよう

 これはチャンス…ッ‼



し! みんな!

 雑魚ざこたちの足止めは任せた!

 うちは頭をおさえる!」

 と、飛空状態から、地上に降りるタイニーダンサー!



「了解です! あねさん!」


「おッ任せ~~ッ!」


「了解です、ミケさん!」


艦砲射撃かんぽうしゃげきも行くぞ、セリア!」


「了解です、リーダー! 艦長!」

 と、トロイメンカッツェ総出そうで牽制射撃けんせいしゃげきで、

 ダギナス隊のみなさんに総攻撃を仕掛ける!



 その中で…!

「ほんなら、そろそろトドメや!」

 タイニーダンサーが、トライバレルを左腰部さようぶにマウントし、



「フランメ! 二刀流や!」

 タイニーダンサーの内腕部ないわんぶから、

 短剣のつかだけのモノ、フランメを、

 左右で1本ずつ出し、両手に1本ずつ握る。





「必殺! 剣の舞や!」

 タイニーダンサーが、短剣のつかを両手にそれぞれ逆手に持ち、

 空を飛びつつ、機体の両腰の位置にえて、

 時計で言う2時の方角より突撃し、反時計回りに回りつつ、

 下方8時の方角に右手で横周りに斬る!


 

「ほうらッ!」

 さらに、地上にりてステップを踏み、

 フランメを両腰にえた逆手持ちのままで、

 踊るように、そのまま反時計回りに回転して、

さらに左手で横周りに斬り!



「そらそらぁーッ‼」

 今度は回転方向を反対に変えて、

 左腰にえた左の逆手に構えたフランメで、

 時計回りに回りつつ左下から右上に斬り!



「これが…ッ!」

 さらに踊るように回転して斬っている途中で、

 右手のフランメを腰にえるのを辞め、

 右手をボーデンのる方角に持って行き!



 ボーデンを真正面に見据みすえる位置まで回転し、

 そこから左手のフランメも腰にえるのを辞め、

 したくぐらせるように、6時の方角に回し、

 さらに3時の方角…右方向に回して、右中央に配置し!



「ホンマの…ッ!」

 そこから右手を逆手のまま、左下から右上に、斬り上げ!


 同時に、左手も逆手のままで、右中央から左中央に、斬るッ!





 剣の舞のフランメの連撃で、

 ボーデンの身体ボディーが、

 大ダメージに悲鳴を上げるようによろけッ‼





「ドヤ顔や…ッ‼」

 最後に、上方から、逆手のまま両手で、

 下方に×ばつに斬り抜く!


 そして、その斬撃ざんげきの嵐の後に、

 ドヤッ!と言わんばかりに、決まったという顔をする‼




「こ…こんな…ッ⁉ こんなァァァーーー……ッ‼」

 と、胸部脱出ポッドが発動し、脱出するザイル少佐!




 

 その激戦の後に、

「クッ……!

 ワザと雑魚ざこと思わせ油断させ寝首をこうとするなど!

 卑劣ひれつものどもが! 次も、こうも上手うまくと思うなよ…!」

 と、えるメイフェス大尉と、



TSトレジャースティーラー共! 今日の敗北の原因は、私の慢心だった!

 だが、この経験を積んだ私が、

 次も、同じ手に甘んじると思うなよ!

 ここは退く……だが…TSトレジャースティーラー…ッ!

 遠からずオマエたちは新統合しんとうごうを敵に回した事を、

 後悔する事になるだろう…ッ!

 つぎときは…こうは行かんと覚えておけ……ッ‼」

 ザイル少佐も捨て台詞を残し、

 残った部下の方々と一緒に、それぞれ、去って行く。




「おお、おお、える、える!」

 と、メイフェス大尉とザイル少佐の捨て台詞に、

 大いに喜ぶケビンさん。



「やったね! トロイメンカツェ! 大勝利~~ッ!」

 と、ユリンさんも大はしゃぎ。



「まあ、ミケさんの本来の想定では、

 ピンチになって、シュタイガーンバオアーのCAPASカパースがフルドライブし、

 ロクスリー君が大パワーアップし、敵を殲滅せんめつ

 ……という計算だったみたいですが、

 いやはや、38さんぱちさんの判断は凄かったですね。」

 と、38さんぱちめたたえるマカロニさんと、



「まあ、予想外のパワーアップの仕方だったが、

 想定した方より、こっちの方が、

 恒常的こうじょうてきにパワーアップするみたいだし、

 かったんじゃねぇか?」

 と、バーダック艦長もホクホク顔だ。



「ホンマに、38さんぱちは凄いで!

 この方法は、うちもホンマ、想定外やったで!」

 と、ミケさんも大いに喜ぶ。



『ありがとうございます、みなさん!


 あの動きが、マスターの真に動かしたかった動きです!


 マスターの真の強さをみなさんに知って頂け、

 私は、とても嬉しいです!』

 と、感動の言葉を口にする38さんぱち



「何か、戦闘中で、ちゃんと聞けず、

 いまいち、今でも原理がからないけど、

 38さんぱちのお陰で、オイラ、これからは、

 シュタイガーンバオアーを、

 いつでもうまく動かせるようになったみたいだし、

 本当に、ありがとうな、38さんぱち。」

 と、38さんぱちでるオイラに、



『マスター…。

 マスターの真の活躍、これからも、期待しております!』

 と、例の3Dアバターを出し、アバターが、ぺこりとお辞儀をする。



「うんうん!

 38さんぱちの言う通り、これからも活躍、

 期待するで、ロクスリー君!」

 と、オイラの活躍をいのるミケさん。




「まあ、何にしても、大仕事の後だ、

 まずは、全員、艦内に帰還きかんしな。」

 と、バーダック艦長が告げ、



『ハイ…ッ!』

 オイラたちは、ソルファージュのブリッジに上がった……。



みんな、お疲れ!」

 と、ニコニコ顔のリッドさんと、


「いま、みんなの分のコーヒーをれるからね!」

 と、コーヒーサーバーを稼働させるセリアさん。



「さっすがセリア! 気が利くじゃん!」

 と、大喜びのケビンさんと、



「まあ、激戦だったが、

 仕事の後の一杯をめるのは、いこった!」

 と、バーダック艦長も喜びの声を上げ、



「まあ、うちは、いつも通り、

 ホットミルクでな、セリア!」

 と、セリアさんにくぎすミケさんだが、



「おうおう、

 相変わらず、うちのオシメさまは、

 大人の味がからんようで、

 勿体もったいないないこと、このうえないぜ!」

 と、相変あいかわらず、大げさにかぶりをる艦長。



「ムキー!

 うちが何が苦手でも、

 アンタに迷惑かけてへんやろうがと、

 いつも言っとるやろが!」

 と、こちらも相変あいかわらず、怒りをつのらせるミケさん。



「あ~。平常運転に戻ったなぁって思うっスね、このやり取り。」

 と、べるオイラに、



「まあ、リーダーたちがいつも通りで安心するのはいけど、

 今日の一件で、ロクスリー君には、

 益々ますます、ロクスリー君が、私たちのトップエースって噂が、

 新統合しんとうごうに広まって、熱烈歓迎ねつれつかんげいされるってサービスが、

 もれなくもらえちゃうの、忘れない様にねぇ~!」

 と、ウィンクするユリンさん…ッ⁉



「ちょ…ッ⁉」

 思わずおののくオイラに、



「まあ、今日で、大パワーアップした兄弟なら、

 新統合しんとうごうの1部隊や2部隊、

 ちょちょいのちょいで撃墜だよな…ッ⁉」

 と、ケビンさんが無責任な事を言い、



「まだ、詳しい検査はしていないので、

 本当のところは、まだ、把握できていませんが、

 今日の38さんぱちさんの判断で、

 ロクスリー君の恒常的なパワーアップが図られた様子ですし、

 38さんぱちさんの判断の件が、本当に機能しているなら、

 本当に、ロクスリー君は、

 ボクらのトップエースと言える存在になった…。

 と、考えられますしね。」

 と、メガネをクイっと指で上げるマカロニさん。



「いや、何か、パワーアップはしたみたいっスけど、

 それほど、オイラの秘めてた力とかいうのも、

 そんなにつよてにされるほどじゃないだろう…っていうか…。

 オイラにはぎる期待きたいを、

 みなさん、してらっしゃるっていうか…。」

 と、歯切れの悪いオイラに、



『大丈夫です!

 今日のマスターは、前マスターにも負けぬ活躍でした!

 マスターのしん御力おちからなら、これからも、

 みなさんのお役に立てる事でしょう!』

 と、珍しく38さんぱちが、いきあらげる様に、

 強い口調でオイラを賞賛しょうさんする。



「凄いよ! ロクスリー君!

 あの伝説のTHトレジャーハンターの、

 君のお父さん並みの強さになったって、

 38さんぱちちゃんが証言してくれたんだよ!」

 と、こちらも珍しく、普段無口なリッドさんが声をあげ喜び、



「ロクスリー君の、お父さんの、

 発掘の英雄、リィト=ロクスリーさんは、

 それは凄い操縦テクニックだったらしいし、

 その、お父さんと同じくらいなんて、

 ホント、凄い事だよ、ロクスリー君!」

 と、セリアさんも、おおいにオイラをたたえる。



「え…いや…その…う~ん…。

 父さんが、どれ程、凄かったかは、

 実は、オイラ、あんまし知らないんスけど、

 とにかく、オイラ、まだ、Gギアに乗って、数週間っスし、

 あんまし過大評価はしないでやって下さいっス…。

 でも、とにかく、できるだけ頑張るので、

 みなさん、温かい目で見てくれると嬉しいっス!」

 と、物心付いた時には、

 WGワーカーギアの工事作業ばかりやってた父さんが、

 みんなが期待を寄せる程の、

 超絶的な操縦テクだったってのにも疑問だし、

 オイラが、パワーアップしたっぽくても、

 主戦力扱いとかされたら、死地に追いやられそうで、

 ホント、怖いけど、

 みなさんがこれ程の期待を込めてくれるなら…オイラも…オイラだって…。




 と、オイラが感慨かんがいふけっていたら、



「あ…リーダー。艦長。

 カルナダのKGナイトギア百鬼丸ひゃっきまるが、

 こちらに、向かっており、着艦許可を願って来てます。」

 と、セリアさんが、コーヒーを淹れる手を止めて、

 ミケさんたちに報告する。



「来たか。

 し、着艦を許可する。

 だな……ミケ?」

 と、艦長が、ミケさんにたずね、



「ああ、色々、これからの準備もあるやろうしな。」

 と、着艦許可を出すミケさん。



「ユリン。百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットのエスコート、頼む。

 安生あんじょう、連れて来たってな!」

 と、ユリンさんにミケさんが指示を出す。



「OK~! まっかされたよぉ~~!」

 と、相変あいかわらず、軽めのノリのユリンさん。



 ユリンさんが、Gギアデッキに向かった後に、

「リーダー。艦長。

 カルナダの旗艦空母GSギアシップのシュヴァーンから通信です。」

 と、カルナダの通信が来た事を告げるセリアさん。



 そして、ソルファージュのブリッジの通信モニターに、

 カルナダのリーダーと思わしき、中年っぽい男性が映し出される。


 茶色のパンツに、白のクロースという出で立ちで、黒髪の五分刈り。

 ドスが効いた見た目をしており、

 一見するとステロタイプなヤクザそのものという感じ。



TSトレジャースティーラー、トロイメンカッツェのメンバー。

 今日は、ご苦労だった。」

 と、レジスタンスのリーダーらしく、

 威厳いげんのある言葉をべるが、



「君たちのお陰で、今日の作戦は成功した。

 だが、それもこれも、百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットの、

 うちの息子の、ライコノフ=エギータ。

 通称、ライの働きがあっての事だが、

 貴君きくんらが、それを気にする事はない!」

 と、何やら、雲行きが怪しくなって来た…ッ⁉



「もう、うちの息子のライは、

 操縦テクニックは抜群で、

 KGナイトギア百鬼丸ひゃっきまるを手足のように動かす。

 その上で、優しく素直な子で、

 父である私に、いつも尽くしてくれる!

 本当に素晴らしい子なんだよ!」

 と、何か変なスイッチが入っちゃった様子で、

 息子の自慢話を、めもなくはじす…ッ⁉



「あ…は…ハイ。

 それは…凄いですね…。」

 と、柔和にゅうわなリッドさんが、

 思わずと言った感じで、相槌あいづちってしまい、



「そうだろう! そうだろう!

 そもそも、ライは、私にとって、神が与えてくれた宝でな!

 朝昼晩あさひるばん御飯後ごはんごの歯磨きも、綺麗きれい丁寧ていねいおこなうし、

 髪のセットも、丁寧ていねいにバッチリ!

 その上で、優しく、屈託くったくのない性格!」

 と、いまだに息子自慢が止まらない、この方に、



「あ…え…え~っと…。

 そ…その…凄いですね…。」

 と、リッドさんが、

 なお相槌あいづちってしまい、

 話がエンドレスで続きそうな所で、




「辞めろ、リッド!

 このオッサンの様子だと、

 付き合っていたら、日が暮れても息子自慢が続くっての…ッ!

 適当に相槌あいづちつんじゃねぇ…ッ!」

 と、ケビンさんが割って入って話を止めてくれる!



 ナイス! ケビンさん!



「カルナダの。

 息子の自慢話は、もういから、

 カルナダの戦力的なデータを教えて貰えんか?

 済まんが頼むぜ。」

 と、バーダック艦長も、話を元に戻そうとしてくれる!



 そこに、ユリンさんが、百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットと思われる、

 このモニターの人に、ライと呼ばれてたっぽい人を連れて来る。



「あ~。また父さんが、やっちゃったみたいで、

 済まないね、TSトレジャースティーラーたち。」

 と、頭を下げ、



「っと、父さんから聞いてるだろうけど、まずは自分の自己紹介からだよね。

 ボクは、カルナダの主力、KGナイトギア百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットで、ライコノフ=エギータ。

 カルナダのみんなからは、ライって呼ばれている。

 以後、よろしく。」

 と、言葉を繋いでから、



「そして、いま、この艦のモニターに映っているのが、

 ボクの父で、カルナダのリーダーの、ドルチェ=エギータ。

 TSトレジャースティーラーチーム、トロイメンカッツェが、

 これからも新統合しんとうごうと戦ってくれるのなら、

 カルナダは、トロイメンカッツェと友好的な関係を築ける事を約束する。」

 と、リーダーと言われたおやバカ満載過まんさいすぎたドルチェさん、

 と言われる方が、めたたえるのも、ちょっと納得しちゃいそうな程、

 綺麗に言葉をまとめるライさんに、



「ふへぇ~~……ッ!」

 と、感嘆きょうたんの声を上げてしまうオイラ。



中々なかなかさそうな奴じゃん!

 よろしくな、ライって奴と、ドルチェっておっさんも!」

 と、ケビンさんが声を掛け、



「うん! うん!

 本当に、っぽいよね!

 でも、なんだろうなぁ~?

 見た目も、性格も、中庸ちゅうようっていうか…。

 とがったところが少なくて、

 ちょ~っと、アダム君とアダム君のヘブンをになうには、

 ぎるっていうか、

 何か、しっくり来ない感じなのよね…。」

 と、こんなにひとっぽいのに、

 何か、ユリンさんの琴線きんせんには触れずに済んだ模様のライさん!



「ねぇ。彼女は何を言ってるんだい?」

 と、不意のユリンさんのダメ反応に、

 首を傾げて、オイラたちにうライさん。



「あ~。

 まあ、正直、分からない方がいっていうか、

 ライさんが、毒牙に掛からないのは確定したっぽいので、

 安心してくれればいですよというか…。」

 と、オイラが声をにごして対応していると、



「でも、ドルチェさんは、アッチ系で、せんってるよ!

 もう、そのい見た目とキャラで、

 総受けっぽいロクスリー君とのコラボで、

 アダム君とアダム君のヘブンが、

 超、グロースしまくりよ…ッ‼

 もうヤバイ…ッ! ヤバイよ…ッ‼ 激ヤバ…ッ‼」

 と、何か、ユリンさんの脳内で、ドルチェさんと、オイラで、

 あっちの世界を構築してる模様もよう…ッ⁉



 で…出るのか…⁉ また…アレが…‼

 3倍のアレ…‼ 今にも出ちゃう…ッ⁉




 ブバ…ッ‼


「え…ッ⁉ えぇ……ッ⁉」

 ハイ、ユリンさんの真正面にたライさん、

 例の、あのあかほとばしりに…!

 浸食しんしょくされました…ッ‼



「ええい‼

 オマエは、ホンマ!

 毎度、毎度、持病じびょうしおって!」

 と、またも、どこから出したのかからないハリセンで、

 ユリンさんの後頭部を強打するミケさん…ッ‼




「はわっ⁉」

 ミケさんのハリセンの一撃で、頭に上った血の循環が正常に戻ったのか、

 ピタッとユリンさんの鼻からの飛沫しぶきが止まった。




「ハッ⁉ 出してない! 出してないよ⁉

 花も恥らう純情乙女のユリンちゃんが、鼻血なんて出してないよッ⁉」

 だから、何で、アナタは、それで鼻血を隠せてると思えるの…ッ⁉



「ゴメンね、ライ君。

 ユリンの、いつもの発作でね。

 でも、ライ君は、ユリンの好みから外れてるみたいだから、

 これからは、そんなに被害にはづらいと思うから!」

 と、タオルを渡しながら、

 嬉しい様な、逆の意味で、何か引っかかる様な、

 微妙びみょうなぐさめの言葉をライさんに掛けるセリアさん!



「まあ、ダメな奴だが、

 こんなでもいとこもあってな、

 悪いが、うちの病人も大目に見てやってくれ…。」

 と、ライさんにお願いをするバーダック艦長。



「いや…その……ま…まあ…。

 そっちの艦長が…そう言うんだったら…。」

 と、歯切れの悪いライさんに、



「まあ、まあ、ライ。世には、多くの人がいる。

 色んなマイノリティーもるが、それらの人々も合わせて人類だ。

 これも機会きかいだとおもって、たっぷり、修行をおもいで、

 そっちでやって行ってくれ!」

 と、ドルチェさんが、ライさんに進言する…。

 


 ドルチェさん、親バカ過ぎだけど、流石は、カルナダのリーダー!

 ドルチェさんの大きく広い心の片鱗が見えた気がする。

 


 んだけど…ッ!

 何か、今、変な話、無かった…ッ⁉



「ライに、そっちでやってくれ、っていうのは、

 ライと百鬼丸ひゃっきまるを、うちら、トロイメンカッツェに預けて、

 うちらの戦力にしろって事…やな…?」

 と、ドルチェさんに問うミケさんに、



「そうだ。

 まずは、今更いまさらだが名乗ろう、

 私は、カルナダのリーダー、ドルチェ=エギータ。

 百鬼丸ひゃっきまる壮者パイロットのライの父だ。

 我々、カルナダには、

 貴君きくんらと友好な関係を築き続ける準備がある。

 そして、我々カルナダの詳細データどころか、

 私の名前すら話さず、ライの話に終始しゅうししてしまい申し訳なかった。

 ライの話になると、つい熱がこもってしまってな。」

 と、頭を下げるドルチェさん。



「過ぎた事だ。

 次からは気を付けてくれればそれでい。

 で、肝心かんじんのカルナダの戦力情報はどうなっている?」

 と、ドルチェさんの謝罪を受け止め、

 カルナダの戦力データの話に移行させるバーダック艦長。



「うむ。

 カルナダには、現在、20機のFGファイターギア部隊がる。

 うちで戦ってくれる熟練の兵の為に、ガトナスとザヌスが多めだが、

 新兵もる為、ゲズやジーナも、多少はる。

 そして、貴君きくんらも見た通り、我がカルナダの主戦力たる、

 KGナイトギア百鬼丸ひゃっきまるを、我々カルナダのエースパイロットの、

 ライがってる。」

 と、ドルチェさんが答え、



「それらの話で、多少の事は推察すいさつできる。

 端的たんてきに、カルナダは戦力不足。

 主力となるKGナイトギア百鬼丸ひゃっきまると、その壮者パイロットのライ。

 そして、ゲズやジーナの部隊はともかく、

 ガトナス隊やザヌス隊の壮者パイロットたちも、

 歴戦のツワモノたち……だが…。

 新統合しんとうごうと、本格的に真正面から相手にするには、

 主戦力となるKGナイトギアの数が、圧倒的に足りない!」

 と、バーダック艦長が、

 ここまでのデータからの推察すいさつべる!



「ご名答めいとう

 ゆえに、そちらに百鬼丸ひゃっきまるとライを預ける。

 以降、こちらの指示があるまで、

 百鬼丸ひゃっきまるとライを、そちらの指揮下で使って欲しい。

 複数のKGナイトギアを駆る貴君きくんらの下に、

 百鬼丸ひゃっきまるとライが配置される方が、

 これからの作戦は、何かとはかどるだろうからな。」

 と、説明の言葉を告げるドルチェさん。



「これからの作戦?

 やっぱし、新統合しんとうごうに、こっちから弓轢ゆみひいたから、

 さらに、新統合しんとうごうに挑めって事か…?

 でも、ザイル隊ってのの撃破で今回の作戦を終了したから、

 これでリンガル邨の人々の治療は何とかなるんだろうし、

 後は、死なねぇ程度に頑張りますかね!」

 と、やんわりとカルマさんとの約束の話に、

 言及げんきゅうするケビンさん…だったが…!



「先生は、この作戦を行うに当たって、『まず』と前置きしました。

 ですから、恐らく、今日の作戦を終わらせただけでは、

 リンガル邨の人々の治療は行われないでしょうね。」

 と、マカロニさんが、メガネを指で上げながら、

 ご無体むたいはなしべる…ッ⁉



 それに対して、

「だな…。」



「そうやろうね…。」

 と、艦長もミケさんも、肯定の言葉を話す…ッ⁉




「カルマの予想通りか。

 アヴァドンのミケは、今回の件も想定しているだろう、

 との話は聞かされていた。」

 と、ドルチェさんが告げてから、



「カルマさんから、ボクたちカルナダに、

 既に、次の作戦は通達されているんだ。」

 と、話し出す、ライさん…ッ⁉



「また、野郎のてのひらの上かよ…ッ⁉」



「もう、あの人は、これだから…‼」

 と、ケビンさんとユリンさんが、

 口々に、カルマさんへの不満をべ、



「OKや、早よ、概要がいようの説明を頼む。」

 と、ミケさんが先を促す。



し。

 まずは、この地図を見て貰いたい。」

 と、ドルチェさんが言い、



「この地図のポイントに、

 君たちと、ライのKGナイトギアで、向かって貰いたい。」

 と、べる。



「セリア、地図の場所の照会しょうかいデータは…?」

 と、セリアさんにミケさんがたずねるが、



「特に特別な場所というデータは、

 ソルファージュのOSオーエスで調べた限りでは、有りませんね。

 ごく平凡な平地の様です。」

 と、セリアさんが返す…ッ⁉



「相変わらず、ワケの分かんない指令だし、あの人…ッ‼」



「ホント! あの野郎は…ッ‼」

 と、苛立いらだつ、ユリンさんとケビンさんだが、



「で、どういう事なんや?

 なんために、そんな場所に、うちらは向かわされるんや?」

 と、直球勝負で問うミケさん。



「実はな。その地点は、

 新統合しんとうごうの大規模演習地点のド真ん中でな。」

 と、ドルチェさんが告げる…ッ⁉



『えぇぇぇーーーッ⁉』

 と、普段、おどろきやすいオイラだけでなく、

 ミケさんとバーダック艦長以外のみんなが、

 おどろきの声を上げてしまう!



新統合しんとうごうの大規模演習地点のド真ん中に突っ込めとか、

 あの野郎、ホント、何考えてやがんだ……ッ⁉」

 と、さらに驚きの声を上げるケビンさん!



 それに対して、

「この新統合しんとうごうの大規模演習地点には、

 うちの百鬼丸ひゃっきまると、貴君きくんたちのKGナイトギアが攻め込む。


 そこに今日と同じで挟撃きょうげきの形で、コーダという、

 我々カルナダの他の反新統合はんしんとうごうのレジスタンスから、

 4機のKGナイトギアが向かう事になっている。


 つまり、10機ものKGナイトギアが、

 新統合しんとうごうの大規模演習地点に一堂に集まり、

 反攻行動に出る事になる。


 そして、新統合しんとうごうは、

 今日の敗戦の結果から挟撃きょうげきの形を取って来る事を予想し、

 挟撃きょうげきさら挟撃きょうげきの形に、攻めて来るだろう。


 しかしそうなれば、貴君きくんたちの負担は増えるが、

 明らかに新統合しんとうごうの目を引く事になる。


 そうすれば、新統合しんとうごうの戦闘の為の人員が、

 その地点に集結する事になるのだから、

 他の地点は手薄に成らざるを得ない。


 そして、その間に、

 我々カルナダとコーダの別動FGファイターギア部隊が、

 別地点の新統合しんとうごうの補給部隊を強襲する手はずになっている。


 つまり、次の作戦の目的は補給部隊の強襲きょうしゅうで、

 貴君きくんたちの仕事はKGナイトギア10機を総動員した、

 現状で出来できうる限りの大規模な陽動だ。」

 と、ドルチェさんが、トンデモな説明を一気に告げる…ッ‼



「ちょ…ッ⁉

 よ…陽動って言ったって…⁉

 10機ものKGナイトギアが仲間なのは凄いとしても…!

 そう言っても、たった10機だけなんスよ…⁉

 それ、ほぼ死刑宣告じゃないんスか…⁉

 だ…だだ…⁉ 大丈夫なんスか、ミケさん…ッ⁉」

 と、驚天動地きょうてんどうちのオイラ…ッ!



「あのカルマの、おっさんが建てた作戦なんやったら、

 勝算は、ちゃんとあるんやろう。

 そのコーダいうレジスタンスの4機のKGナイトギアってのも、

 パイロットはりすぐり、

 機体も、相当な良品質りょうひんしつな機体たちのはずや!


 OK! 了解した!

 ただ、次のその作戦時に、

 目標の補給部隊をレジスタンスのFGファイターギア部隊が叩いた後に、

 作戦成功の迅速な暗号通信の送信を、

 必ず迅速じんそくにこちらに送る様にして欲しい!


 うちらの撤退てったいがスムーズに済むようにしてくれんと、

 エンジェルシード1機だけでは、

 うちらの機体を補給しまくろうと、

 継戦けいせんを続けるのは、次の作戦の規模のデカさやと、

 流石に厳しいやろうからな!」

 とドルチェさんに注文をべるミケさん!



「こちらも了解した。

 暗号通信は、迅速じんそくに送る様にしよう。」

 と、了承の意を告げるドルチェさん。



「つ……次の作戦…。

 生きて……帰れるんだろうか…ッ⁉」

 と、ガクブルのオイラに、



「こうなれば、そのコーダっていうレジスタンスの、

 4機のKGナイトギアってのに期待するところよね。」

 と、ユリンさんが答え、



「まあ、先生のメガネにかなう人たちのKGナイトギアなのですから、

 戦力的には期待できると思いますよ。」

 と、カルマさんの判断を支持するマカロニさん。



 そこで、

「でも、コーダってとこの、

 その4機のKGナイトギアが期待できるってのなら、

 今回、うちに来た、ライの百鬼丸ひゃっきまるってのはどうなんだよ?」

 と、ケビンさんがオイラたちが忘れていた、本質の話をし出す!



「う~ん……。

 い機体ではあるのかもだけど、

 何か、さっきの戦闘だと、

 先制で放ったコンテナミサイルは、

 攻撃範囲が広くて凄かったけど、

 威力が…ちょっと…無かったかなぁって…。」

 と、歯切れの悪いリッドさん。



「だよねぇ。

 他の装備も、見た感じ、地味で、

 機体本体の性能も、はたから見た感じだと、

 地味だったよね…?」

 と、ユリンさんも言葉をにごす…。



 それらの言葉に対して、

「地味じゃない…ッ‼

 汎用性はんようせいに優れているんだ…ッ‼

 君たちのKGナイトギアは極端に特化し過ぎていてクセがあるけど、

 ボクの百鬼丸ひゃっきまる汎用性はんようせいに優れているから、

 どんな場面でも確実に戦果せんかげられる、

 万能のKGナイトギアなんだ…ッ‼」

 と、ライさんが必至ひっしうったえる。



「じゃあ、何か、特殊な装備でも付いてないのか?

 オレたちのトロイメンカッツェのKGナイトギアたちの、

 特殊装備たちみたいにさぁ…?」

 と、ケビンさんが、そこで問う。



いてくれた…!

 ボクの百鬼丸ひゃっきまるには、

 広範囲バレットジャマーという装置が付いていて、

 百鬼丸ひゃっきまるを中心に300メートルの範囲の味方機体への、

 敵からの誘導ミサイル攻撃を40%の確立で逸らし、

 実体弾の炸裂を40%の確立で阻害する事ができるんだよ…!

 ただし、百鬼丸ひゃっきまるから300メートル以内から放たれた、

 敵の誘導ミサイルや実態弾は効果範囲外だけどね…!」

 と胸を張って誇らしげに言うライさん。



 ……だったんだけど…。

「何だか、っても無くても困らなそうな地味な装備ね…?」

 と、ユリンさんに指摘されるライさん…。



 それに、

「地味じゃないッ!! 汎用性はんようせいに優れているんだッ!!」

 とライさんが、ちょっとキレ気味に答えるが、



「40%とか微妙過びみょうすぎぎるだろ…!

 せめて50%くらいは言えよ…!」

 と、ケビンさんにまでツッコミを入れられる始末のライさん!



「40%って言えば凄いんだぞ…ッ⁉

 考えてもみてよ…ッ⁉

 野球とかでも3割バッターとかどれほど凄いか分かるだろ…ッ⁉

 3回に1回以上防げるって凄いんだぞ…ッ‼」

 と、さらに声を荒げるライさん!



 その上で、

「まあ、そこは確かにそうですけど、

 自機から300メートル以内の味方にしか効果が無くて、

 しかも自機から300メートル以内の敵から放たれた、

 誘導ミサイルは無効化できないというのは、

 汎用性はんようせいにも優れていないと思うのですが……。」

 と、冷静にマカロニさんに分析されるライさん!



 その無慈悲むじひ分析ぶんせきの言葉に…。

「た……確かにそうだけど!」

 と、言葉をまらせるライさん!



 ……だったんだけど…。

いじゃねぇかライ。地味で結構。

 オレたちの様な縁の下の力持ちがるからこそ戦えるんだ。

 それに、百鬼丸ひゃっきまるは、誰が何と言おうとオレたちのトップエース機で、

 ライ、オマエもトップエースパイロットだ。

 それはオレが一番いちばんっている。

 だから、他の奴が何と言おうとオレとオマエが、

 それをかっていればいんだよ!」

 と、ドルチェさんがライさんにあたたかな言葉を投げかける。



 ドルチェさん、

 最初は、ただの息子自慢だけの人かと思って引いちゃったけど、

 ちゃんとレジスタンスのリーダーなんだなと感心するオイラ。



 それは、トロイメンカッツェのみなさんも同じだったようで、



「まあ、地味だったけど、

 確かに、ザイル隊を追い詰めてくれたのは、

 ライの百鬼丸ひゃっきまると、カルナダのFGファイターギア部隊のみなさんだったしね!」

 と、ユリンさんが、方向転換の言葉を掛け、



「まあ、装備してた武器も、確かに汎用型はんようがたっちゃそうだったし、

 さっき話を聞いた装置も、無いよりかはある方がいのはいだろうしな!」

 と、ケビンさんも、再評価の言葉を口にし、



「君たち……。」

 と、お二方の、優しくなった言葉に、感じ入るライさん!



「まあ、新統合しんとうごうの部隊のド真ん中で、

 派手に喧嘩しようってとこに呼ばれた奴だ!

 コーダってとこの4機のKGナイトギア共々、

 戦力として換算していと、オレは思うぜ…?」

 と、バーダック艦長がまとめの言葉を告げ、



「ってワケや!

 ライには、次の作戦では、うちらの指揮下に入ってもらう!

 みんなも、安生あんじょう気張きばってもらうで!」

 と、めの言葉を口にするミケさん!



 それに頷く、オイラたち……。















 天国の父さん、母さん、

 新統合しんとうごうの大規模演習地点ド真ん中に挑むという、

 ムチャは怖いし、永遠と抜けられないデッドループに、

 陥れられない事を願うばかりですが、

 38さんぱちのお陰で、今日で、オイラも少しはマシになった様ですし、

 ライさんの百鬼丸ひゃっきまるや、未確認のコーダってレジスタンスの4機のKGナイトギア

 新たな戦力が加わってくれるのですから、

 オイラも……何とか…みなさんの役に立てる様に…頑張ってみます……ッ‼

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