第10話

10話



 大きな星が…いたりえたりしてる…。



 ホントに大きい…し……。

 いろんなところで…。

 それがいたりえたり…して……。



「遂にだね…ロク君…。」

 オイラの目の前には…。

 ゲズツインカスタムではなく…。


 シュタイガーンバオアーと同じで複座式だけど…。

 内装の見た目がシュタイガーンバオアーでもなく…。


 見た事が無い複座式ふくざしきの機体のコックピットと…。

 38さんぱちと……更に別に…38さんぱちの色違いみたいなの…が居る…?


 そして…さっきの声は…。

 その機体の複座式ふくざしきのオイラの後ろの席から…聞こえてて……?


「でも……私…頑張るよ…。

 ううん…絶対頑張れる…。

 ロク君と一緒だから…。

 ロク君さえ居れば…。

 ロク君さえ居てくれれば…私……ッ‼」



 その女の子の様な声の主が放つ強い決意の言葉に…。

 不思議と…オイラは…安らぎの様なモノを感じ…。


 そこで……世界の景色が…。

 急にフラッシュバックの様に目まぐるしく変わり…。


 オイラの…意識は……。

















 ………。

 …………。

 ……………。

 ………………ッ⁉



 ガバっとオイラは起き上がった!


 って何だ?


 オイラ…ベッドで起き上がって…?

 腕には点滴がされてて…?


 



「ああ……。

 ああ…………!

 やった…!

 やったーーッ!!

 ロクスリー君、目を覚ましたーーーッ!!」



『マスター…!

 マスター……!

 良かった……!

 良かったです……!』





 え? あれ?


 ベッドの直ぐ横に椅子があり、

 そこに、38さんぱちを持って、ユリンさんが座ってて、

 ベッドから起き上がったオイラを見て二人して大声で喜び勇んで……居る…?





「えぅ……?

 あぁ……?

 え…え~っと……?」





 その事態に付いて行けないオイラに…。



「みんなで交替で様子を見てて、丁度、私の番だったんだ。

 セリアが、ロクスリー君のお腹の傷の方は、

 もう完璧に直ったはずなのに、何故かロクスリー君の意識が、

 どうやっても戻らないって言い出した時は、ホント、みんな心配したけど!」

 と、オイラの手を握り、ブンブン振り回すユリンさんと。



『マスター! 私は信じてましたよ!

 マスターは、必ず目を覚まされると!』

 と、38さんぱちも鼻息も荒くという風に、喜びの声を上げる。





「えと……あ……うん…?

 お腹の傷……?

 お腹の…?

 って……アアァァァーー…ッ⁉」

 …思い出した……!


 オイラ…ソルファージュ防衛戦でのシュメルとの決戦で…!

 どうやったかいまいち分からないけど……!

 あの……シュメルの動きが『見える』どころか…!

 『もっと見える』状態になって…!

 確かにシュメルをこの手で仕留めて……ッ‼

 


 でも……そこからの記憶が全然……無い…⁉





「……ッ⁉

 ユリンさん…! 38さんぱち…ッ‼

 そ…ソルファージュは…ッ⁉

 ザインさんやシュメルは追い返せたんですか…ッ⁉


 そう…!

 さっきまで、ソルファージュ防衛戦の最中だったはずで!

 確かにシュメルを仕留めた感覚はあるんだけど!

 ホントにソルファージュは危ない状態だったはずで!」

 と、勢い付いて聞くオイラだったが…。





「……って…?

 …さっき……?


 …さっきって……?

 オイラを『ロク君』と呼んでくれる娘と…?


 何か……変な見慣れない複座式ふくざしきGギアに一緒に乗ってて…?

 大きな星が点いたり消えたり…してて……?


 …さっき…?

 …さっき……って…え…あれ…?」

 と、トーンダウンしてオイラが呟くと?



『起きたばかりで混乱されてるのですね、マスター。』

 と38さんぱちが言い。



「大丈夫! 大丈夫だよ!

 ロクスリー君がシュメルを倒してくれたお陰で!

 ロクスリー君の活躍のお陰で!

 ソルファージュは無事だよ!


 ケビンが部品の買い出しをしてくれて、

 マカロニが修理をしてくれて、

 もう非常用エンジンの応急修理も済んで!

 移動するだけなら、もう全然問題ないんだから!」

 と、更にブンブンとオイラの腕を振るうユリンさん。





「よ……良かったっス……。」

 安堵の声を上げ、脱力するオイラを尻目に、



「とにかく、リーダー達に、

 ロクスリー君、回復のお知らせをしてくるね!」

 と、ウィンクを一つして、

 38さんぱちをオイラに渡して、この救護室を出て行くユリンさん。





 その残された中で、

「ユリンさん…あんなに急いでくれて…。

 38さんぱちにも……心配かけたな…。」

 と、38さんぱちを撫でると、



『良いんです…。

 良いんですよ…マスター…。

 ご無事であるだけで…私は…。』

 と、オイラの腕の中でフルフルと震える38さんぱち





 その姿にオイラもハニカミながらも、

「でも、ちょっと聞きたいんだけど、

 あの後、何か、オイラ、

 オイラを『ロク君』とか呼ぶ女の子と、

 オイラと、その娘と、38さんぱちと、38さんぱちの色違いみたいな奴とで、

 何か、見た事ない複座式ふくざしきの機体に一緒に居なかった?」

 と、さっきの確かに体験した様な場面を伝えるが、



『恐らく、眠られてる時に夢を見られたのですね。

 あのザ・パーフェクトのシュメルとの激戦の後だったのですから、

 眠りも深く、夢も深い夢だったのでしょう。』

 と、告げる38さんぱち





「夢……かぁ…。

 それにしては…何度か体験した…。

 あのオイラが死んだ時の…。

 ミケさんに既視感デジャヴュって呼ばれる感じに似た感じだったんだけどなぁ…。」

 と、オイラが独りごちていると、



「ロクスリー君!」


「ホントですね! 目を覚まされてますね!」


「良かったよ! 良かったよ!」

 と、トロイメンカッツェの他のメンバーさんたちが、

 救護室に入って来て、オイラを見て、喜びの声を次々に上げる。





「ロクスリー君!

 ホンマ、目を覚ましてくれて良かった!」

 と、ミケさんも、さっきのユリンさんみたいにオイラの腕をブンブン振る。



「お腹の縫合ほうごうと、傷の回復は、順調だったんだけど、

 ずっと目を覚ましてくれず、目を覚ますより先に、

 ソルファージュの修理が済んでしまうほどで、

 みんなで回復を願っていたんです。」

 と、セリアさんが笑顔で言う。



「シュメルはザ・パーフェクトだった強敵だったからね。

 それを撃退してくれる程、頑張ったんだから、眠りも深かったんだね。」

 と、リッドさんも笑顔で話し、



「まあ、その間に、

 ケビンが何往復なんおうふくも修理資材を買い出しに行ってくれて、

 マカロニがそれらを使って、ソルファージュの非常用エンジンや、

 その他のKGナイトギアたちの修理を手早くしてくれてな。

 ソルファージュは、艦戦などは、メインエンジンがダメでアレだが、

 移動だけなら問題ないし、KGナイトギアたちも完璧さ。」

 と、バーダック艦長も笑顔で告げる。



「おお! 良かったです!」

 と、それらの報に喜ぶオイラだったが…。



 その報にも話題が上がったケビンさんが居ない事にオイラが気付き、

「け……ケビンさんは……あの…まだ……?」

 と、聞くと、



「ゴメンな…ロクスリー君…。

 ケビンの奴は……未だに……心の腹が痛む様でな…。」

 と、ミケさんが目を伏せる。



「いやぁ~。

 アレで、アイツ、

 ロクスリー君がいつまでも起きない事にイラ付いたりもしてた風だし、

 ただのツンデレなだけだと思うんだけど……。

 その……まだ…あの…。

 ロクスリー君が…リーダーを危険な目に逢わせた時のが…。

 許せないみたいでね……。」

 と、あたまきながらバツが悪そうに言うユリンさん。



「先のソルファージュ防衛戦でのロクスリー君のシュメル撃墜も、

 機体性能が良かっただけだと言って聞かないんですよね……。」

 と、マカロニさんもづらそうにげてる。



「そう…っスか……。」

 ミケさんたちの説明に、視線を落とすオイラに、



「まあ、何か切っ掛けがあれば、また仲良くなれるよ!

 ケビンも、根は、とっても優しい子やから!」

 と、優しい声を、ミケさんが掛けてくれて、



「よし、ロクスリーの回復も見れたし、

 あんまりずっとソルファージュをオートパイロットにするのもアレだからな、

 オレらはブリッジに戻るとするか!」

 と、バーダック艦長が号令を出し、



「そやね。非常用エンジンも直って、移動だけはできる様になったし、

 早よ、アイツのとこに行かんと、アイツが、また癇癪かんしゃくを起こし出すしな。」

 と、ミケさんがバーダック艦長に答えてから、



「でも、ロクスリー君は、

 起きたばっかしやし、もうちょっと寝とこうか。

 縫合ほうごうと傷の回復は万全やそうやから、

 いきなり動いても大丈夫ではあるやろうけど、一応、大事を見てな!

 まあ、38さんぱちは置いてったるから、しばらく楽にしとき!」

 と、オイラの頭をでる。



「は……ハイっスッ!」

 と、答えるオイラを尻目に、



「ほな、行くで、みんな!」

 と、指示を出すミケさん。



「じゃあ、ゆっくりね、ロクスリー君」

 と、セリアさんが微笑ほほえみ、



「まあ、ラフィンスカルは徹底的に叩きましたし、

 しばらくは、ゆっくりできると思います。」

 と、マカロニさんも笑顔を見せ、



「ま、しばらくは休んで、

 また英気を養ったら、ロクスリー君もガンバってよ!

 じゃあね!」

 と、ユリンさんが締めて、皆さんは去って行った。
















 その頃……。

 ソルファージュのGギアデッキの中、

 シュタイガーンバオアーのコックピットの中に、

 ケビン=ブロッサムの姿はあった…。



「何でだ…⁉ 何でなんだ…ッ⁉ どうしてこうなる……ッッ⁉」

 シュタイガーンバオアーのコックピット内での、

 シミュレーターの起動を、何度行ても、

 どれだけの戦闘シミュレートを繰り返しても、

 己のシュタイガーンバオアーでのシミュレーター戦績は、

 惨憺さんたんたる有様ありさまが続くばかり…。



「あのクズ野郎が…やっと起きたってのは別に良い…!

 クズでも……起きて来ねぇと…、

 自分がクズなのを教えてやれる機会が無くなるからな…!」

 と、ロクスリーの回復に、複雑な思いを抱きつつ、



「だけど…。

 どうして…?

 どうしてなんだ……ッ⁉


 あのクズ野郎の操縦が上手いはずはないんだ!

 アイツはあねさんを、見す見す危険な目にわす様なクズなんだ!

 そのアイツに上手く操縦できて、何でオレが上手くできない⁉

 アイツが…実は…凄いなんて……認めろってのか…ッ⁉」

 ミケを思うばかりにロクスリーへ歪んだ想いがつのるケビン。



「クッ……だけど…!」

 と、目に力をめ!



「きっと…。

 きっと……!


 シミュレーターじゃなくて、本番の戦闘になったら…!

 きっと、上手く…!

 上手く行くんだ……ッ!


 そして、実際に戦って、ピンチの場面になったら、

 あの時のロクスリーみたいに、

 パワーアップする、何かが、この機体にあって、

 全て上手く行くんだ……ッ!


 シミュレーターだから、こんな結果しか出ねぇだけなんだ……ッ!」

 と、咆哮ほうこうする様に叫ぶケビン。





 そこで……艦内に…アラート音が鳴り始めた…ッ!


「艦の周辺に機体反応…!

 レッドバイソンの機体反応の模様…!

 Gギアデッキのケビンは迅速に出撃して下さい…!」
















 数分前。

 ソルファージュブリッジにて。



「フフフ!

 ロクスリー君も目ぇ覚めたし!

 ソルファージュも、こうして移動できる様に回復した!


 アイツとの合流ポイントも近づいて来たし、そこにいたら、

 ソルファージュのメインエンジンの修理もして貰えるやろう!


 ケビンは、まだアレやけど…。

 まあ、ようるやろ!

 万事順調ばんじじゅんちょうや!」

 と、喜びの声を上げるミケ。





 が、

「まあ、ですが、KGナイトギアたちの修理や、ソルファージュの修理で、

 だいぶ、貯蓄を使ってしまいましたからね。」

 と、渋い声のマカロニ。



「だなぁ。

 いつものヤッコさんに渡す分は、何とかまだプラスだが、

 それも、相当、しぶい感じだからなぁ。」

 と、バーダックも渋面じゅうめんを作る。



「まあ、でも、ロクスリー君も回復したんだし、

 お金では買えないモノが回復できたよね!」

 と、しぶい声の周囲の面々を気遣う様に、明るく声を出すリッド。



「だね!

 それに、ロクスリー君、前の戦闘では大活躍だったから、

 何か、急に、戦闘センス的な何かに目覚めたのかもだし、

 これから、私たちのTSトレジャースティーラー業も、効率が上がりそうだもんね!」

 と、セリアも喜びの声を上げる。



「うんうん!

 ユリンちゃんも、ホント、今は順調だと思うよ!

 あ~あ。後は、またバカな小物のTSトレジャースティーラーチームとでも遭遇そうぐうして、

 私たちにお小遣こづかいでも稼がせてくれたら良いんだけどなぁ。」

 と、ユリンがつぶやいた時。





 ソルファージュにアラートが鳴り響く!

「どうした⁉ セリア⁉」

 と、バーダックがセリアに状況を聞く!



「前方に機体反応! こ…コレは…!

 レッドバイソンの機体反応の模様です!

 どうも、周囲ですでに、

 他のどこかの流しのTHトレジャーハンターらしき戦隊と戦った後の様で、

 FGファイターギア部隊で、戦利品のGギアたちをGSギアシップに運ぼうとしてる最中の様です!

 こちらには、まだ気づいてない模様です!」

 と、状況報告をするセリア。





「リーダー! コレは!」

 と、ニシシと笑顔を作るユリンに。



「ああ! カモがネギ背負しょって来てくれた!」

 と、ミケもニタリ顔になってから!



Gギアデッキの方に、もうケビンが居るはずやし、

 セリア、Gギアデッキのケビンに、通達つうたつ

 ラーゼンレーヴェで斬り込んでもらう!」

 と、指示を出す。



「了解です!

 艦の周辺に機体反応…!

 レッドバイソンの機体反応の模様…!

 Gギアデッキのケビンは迅速じんそくに出撃して下さい…!」

 と、セリアがGギアデッキに通達の声を流す。





「では、ボクたちも出撃ですね!」

 と、マカロニがミケに確認する中、



「いや、相手は、あの雑魚ざこのレッドバイソンや。

 まずは、ロクスリー君に救護室から出て貰う。」

 と、ミケが宣言する!





「え? どういう事、リーダー?

 ロクスリー君に救護室から出て貰う?」

 と、ハテナでいっぱいになるユリンに、



「もうフェアタイディゲンも無くなってるし、

 あの程度のレベルのTSトレジャースティーラーが、この短期間で、

 またフェアタイディゲンくらいのレベルのGギアを、

 手に入れれたとも考えられんしな。

 どう戦ってもうちらが負けるとは思えん。


 シュタイガーンバオアーは依頼品やから、

 あんまし傷つけたくないとこでもあるけど、

 余裕で勝てる相手のアイツらやったら、

 丁度良い機会やし、

 ロクスリー君が前回に見せてくれた超絶的なパイロット能力が、

 ホンマもんか見極めさせて貰うって事や!」

 と、ユリンに答えるミケ。





「なるほど~!

 確かに、あんなザコたちが、

 またジェネラルギアを手に入れれてるワケないし、

 あんな奴らだったら、ユリンちゃんたちなら楽勝だもんね!

 いざとなったら、私たちがやっつけちゃえば良いんだし、

 ロクスリー君が本当にパワーアップしたか見るには良い機会だよね!」

 と、ほころぶユリン。



「ゲズツインカスタムやったらアレやったロクスリー君が、

 ホントに、何か特殊な何かがあって、

 シュタイガーンバオアーやったら化けるのかも、

 詳しく知りたいところやしな!」

 と、答えつつ、



「それに、ロクスリー君とケビンで共闘すれば、

 少しはケビンの気も晴れるかもやしね!」

 と、細かい気づかいを見せるミケ。





「となると、ボクたちも出た方が早くカタが着くでしょうけど、ここは?」

 と、聞くマカロニに、



「ああ、まずはいつでも出れる様にGギアデッキに行くけど、Gギアデッキで待機。

 あとは、ケビンに先陣切って貰って、ロクスリー君の腕を見せて貰う!


 二人だけで戦った方が、ケビンのかたちがうかもやしね!


 よし、ユリン、救護室に行って、ロクスリー君をGギアデッキへ連れてってや!

 うちらもGギアデッキに…って……ッ⁉」

 と、ミケが言いかけた途中で、ソルファージュのブリッジに戦慄せんりつが走る。





「しゅ…シュタイガーンバオアー⁉」

 何と、ソルファージュから、

 ラーゼンレーヴェではなく、シュタイガーンバオアーが出撃した⁉



「ケビン⁉ 何やっとんねん⁉」

 驚きの中、吠えるミケ!



「いま、ケビンとの通信、開きます!」

 と、セリアがシュタイガーンバオアーとの通信回線を開く!





「コラ、ケビン! 何やっとんねん⁉

 オマエには、その子は扱えんってシミュレーターで分かっとるやろうが!

 痛い目、んうちに、帰還きかんし!」

 と、怒鳴り込むミケに、



「イヤです! いくらあねさんの命令でも、コレだけは聞けません!」

 と、真摯しんしで、首を横に振るケビン!



「今も、その機体にロクスリーを乗せて出そうかと話してたとこではあるが、

 その機体は、依頼品なんだぞ?

 その機体にスペシャルな何かがありそうなロクスリーを、

 実践的な試乗として乗せるくらいならプラスにもなるかもだが、

 ミケたちと同じでマイナスの結果が出てるオマエが乗っても、

 新たなマイナスしか出んだろう事は、オマエでも想像がつくだろう?

 無駄に依頼品を傷めん為にも、直ぐに帰還きかんしろ、ケビン!」

 と、冷静に告げるバーダックにも、



「イヤです…艦長…ッ!

 ロクスリーが……!

 あのクズ野郎がスペシャルなんて…!

 そんなはずないんだ…!

 アイツが特別なんじゃない…!

 この機体が特別なだけなんだ…!

 オレは…アイツがスペシャルなんじゃなく…ただのクズだって…!

 あねさんを危険な目に合わせる様な…最低のクズだって…!

 証明してみせるんだ…!」

 と、怒鳴り付け、レッドバイソンたちに向かって行く!





「ケビン⁉」

 ミケが叫ぶも、通信は繋がったままのはずだが、

 ケビンからの返答はもう無い!



「あっちゃ~‼ ケビンったら頭に血が上り過ぎ‼」

 と、つぶやくユリン、



「マズいですね。

 シュタイガーンバオアーへのミケさんの搭乗時の報告と、

 ボクたちのシミュレータデータをかんがみる限り、コレは危険です!

 直ぐに追いかけて援護を……」

 と、まくてるマカロニに、





「…良い……。

 ここはケビンのやらせたい様にやらす…!」

 と、ミケが宣言する⁉





「な…ナニ言ってるのリーダー…ッ⁉」

 とおののくユリンと、



「このままでは…ケビンがやられるのは目に見えてますよ…ッ⁉」

 と、マカロニも驚きの声を上げるが、




 

「コレは、ホンマに良い機会かもしれん。

 ユリン、ロクスリー君をGギアデッキに連れて来て欲しい。

 うちらもGギアデッキに行く。

 ただし、うちらはGギアデッキで待機!

 ケビンには敢えて、やられて来て貰う!」

 と、その場の全員が唖然あぜんとなる指示を出すミケ⁉





『ハァーーーッ⁉』

 目が点の、その場の全員に、





「説明は追々する!

 ユリン、とにかく頼む!

 マカロニ、うちと一緒にGギアデッキへ!」

 と、テキパキと指示を出すミケ!



「何か深い考えがあるんですね。

 了解です! とにかくGギアデッキに向かいます!」

 と、ミケの意図は謎のままだが指示に従うマカロニと、



「もう! リーダーは言い出したら聞かないんだから!

 良く分かんないけど、とにかくロクスリー君を連れて行くからね!」

 と、行動し出すユリン。





「ソルファージュは、今の位置をキープ。

 艦戦ができん今のソルファージュを相手近くにさらすワケにはいかん!」

 と、さらに指示を出すミケ。



「了解だ。何か、やる事があるんだな?

 とにかく、頼むぞ!」

 と、告げるバーダックに、



「OKや、任された!」

 と、答えつつ、



「行くで、マカロニ!」

 マカロニとGギアデッキに向かうミケ。
















 そして、その混迷の状態の中。

「り…リーダー⁉ 何か…コッチに機体が単騎たんきで向かって来ますぜ?」

 と、レッドバイソンの部下の一人が、

 ここら辺で襲って奪ったのであろうTHトレジャーハンターのモノと思われる、

 ゾンドなどのWGワーカーギアたちを運びつつ、

 前回、トロイメンカッツェにボッコボコにされ、

 せっかく乗っていたジェネラルギアであるフェアタイディゲンを奪われ、

 一般的なFGファイターギアであるゲズに乗るしかなくなったリーダーのジャドに進言しんげんする。





「な…ナニッ⁉ まさか…またアヴァドンたちが来たワケじゃねぇよな⁉」

 と、狼狽うろたえるジャドに。



「いえ、索敵さくてきしても、

 アヴァドンとこで使ってた機体たちとは違うみたいですぜ?」



「それに、アヴァドンとこだったら、

 まず出て来るのは強襲用きょうしゅうようのラーゼンレーヴェのはずでしょうし、

 他のKGナイトギアたちも出て来るはずですぜ?

 見た感じ、見た事も無い様な機体なので、KGナイトギアかもですが、

 逆に、それが単騎掛たんきがけってのはオカシくないですか?」

 と、ジャドのゲズの様に、ガトナスやザヌスなどすらでもなく、

 ゲズやジーナに乗った部下たちが次々と告げる。





 そこに、

「そこの赤牛共あかうしども…ッ‼」

 と、ケビンのシュタイガーンバオアーが迫って来る!



「あ…あの声は…ッ⁉

 や…やっぱし…アヴァドンとこの奴じゃねぇか…ッ⁉

 ど…どうすんだよ…テメェら…ッ⁉」

 と、おそおののくジャドと、



「ど…どど…どうするったってリーダー…ッ⁉」

 と、さら戦々恐々せんせんきょうきょうとする部下たちに、





挨拶代あいさつがわりだ! 食らえ!」

 と、背部垂直はいぶすいちょくミサイルを射出する、ケビンのシュタイガーンバオアー…ッ!



「ひ…ヒィーーー…ッ⁉」

 と、右往左往うおうさおうするジャドたち…!

 だが…⁉





「クッ…気分が悪りぃ……⁉

 照準しゅじゅんが上手く付けれねぇ…⁉」

 と、放った垂直ミサイルが、全て、明後日の方向に空を切る⁉





「ハァ…ッ⁉」



「な…何だアイツ…⁉」

 と、ほうけるジャドたちに、





「クッ…だけど……なぁ…ッ‼」

 と、レーザーライフルを構え、射出するケビン‼



「ウヒ…ッ?!」

 と、さらおののくジャドたち…を…はるかにれて…⁉

 ビームも…明後日あさっての方向に着弾する…⁉





「でも…ッ‼

 でもだ…ッ‼」

 と、咆哮ほうこうするようさけぶケビン…‼

 だが…‼



「こ…コイツ…弱いぞ…?」

 と、ジャドのひかる!



「それに…周辺に機体反応無しですぜ…?

 コイツ……何か…この機体に慣れてなくて…、

 そのうえで…こうあせって単騎掛たんきがけして来てて…、

 アヴァドンたちは気付いてないとか…、

 じゃないですか…リーダー…?」

 と、部下たちも目を輝かせ始める!





「きっと、そうだぜ‼ ラッキー‼

 その上で、KGナイトギアらしいと来た!

 よし、アヴァドンたちに気付かれねぇうちに、

 コイツを仕留めて、このKGナイトギアの部分パーツを頂くぞ‼」

 と、指示を出すジャド!



「了解でさぁ! リーダー!」

 と、部下たちがレーザーライフルやバズーカで、

 シュタイガーバオアーを牽制けんせいをし出す!





「クッ……!

 こ…この程度…!」

 何とかその牽制けんせい射撃しゃげきかわすも、

 牽制射撃けんせいしゃげきだというのに、そのかわかたはギリギリ紙一重かみひとえ…ッ⁉



「クソォ…ッ⁉

 頭が重い…ッ⁉

 う…上手く動かせねぇ…ッ⁉」

 と、うめくケビン!





「何だコイツ…⁉

 ただの牽制けんせいでスレスレだぞ…⁉」



「コイツ…⁉

 適当にミサイルでも一斉に撃つだけで、

 ヤれるんじゃねぇの…⁉」

 と、部下たちが一斉にミサイルを撃ち始める…‼





「クゥゥゥ…⁉」

 何とかかわそうとするが、いくつかのミサイルが間近まぢかせまる…⁉



「クッ…⁉ PBLHピブレハ…ッ‼」

 必至ひっしPBLHピブレハ展開てんかいするが、向かって来る1発目はふせげたものの、

 連続で放たれるミサイルに対し、PBLHピブレハを上手く連続展開れんぞくてんかいしてふせげず、

 何発かが、モロに胴体どうたいに当たる…⁉




「クソッ…‼

 だけど…ピンチになったら…‼

 この機体はスペシャルになるはずなんだ…‼

 ロクスリーが…‼

 あのクズがスペシャルなんじゃないはずなんだ…‼

 そろそろ…‼ そろそろのはずなんだ…ッ‼」

 と、着弾ちゃくだんによろけながらも、こちらも背部垂直はいぶすいちょくミサイルと、

 レーザーライフルを射出しゃしゅつするケビン!



 だが…‼

「やっぱし明後日の方向に飛ぶぜ…アイツ…‼」



「ハハハ‼ KGナイトギアっぽいクセに、あのパイロット、よっぽど慣れてねぇぜ‼」

 と、嘲笑ちょうしょうす部下たちに、



「ヘヘヘ…ッ! ホント…雑魚ざこだぜコイツ…‼

 よし‼ 撃墜げきついして部分パーツを貰うつもりだったが‼

 コイツを鹵獲ろかくしてやろうぜ…‼

 テメェら‼

 このド下手パイロットが投降とうこうする気になるまで、

 コイツをかこんでぶんなぐり続けてやれ‼」

 と、ジャドが、したなめずりしながら指示を出す…!
















 その頃…。

「ちょ…ミケさん…⁉

 しゅ…シュタイガーンバオアー…ボロボロじゃないですか…⁉

 アレ…ケビンさんが乗ってるんスか…⁉

 何でオイラなんか呼ぶまで出撃してないんスか…⁉」

 と、急に、ユリンに連れられてGギアデッキに来させられたけど、

 Gギアデッキのモニターに映るボッコボコのシュタイガーンバオアーを見て、

 大焦おおあせりのオイラ…‼



「そうだよ‼

 何か思う所があるって言ってたけど、

 コレはヤバ過ぎるよリーダー‼」

 と、オイラを連れてきたはずのユリンさんもミケさんに抗議こうぎするが‼





「あのレッドバイソンは、うちらが戦った中でも雑魚中ざこちゅう雑魚ざこや‼

 やから、その雑魚ざこのレッドバイソンにでも、シュタイガーンバオアーやったら、

 ケビンはボコられるってのを体験させたかった。」

 と、告げるミケさん。



「それとや、もし、シュタイガーンバオアーに乗るのがロクスリー君や無く、

 ケビンでも、実戦でピンチになったら強くなる何かがあるのかも知りたかった。


 クライアントのアイツからの指示である、

 シュタイガーンバオアーの試乗結果しじょうけっかの報告に、

 いろけれるかもしれんかったからや。


 で、いま、結果が分かったとこや。」

 と、さら淡々たんたんげるミケさん。





「で…でも…だったら…早く皆さんで出撃して…‼」

 と、ミケさんに食ってかかるオイラに‼



「やから、次は、ロクスリー君に出撃してもらう‼」

 と、さらにミケさんが、何かムチャ言い出した…⁉



「しゅ…出撃するったって…⁉

 ゲズツインカスタムは、撃破されて無いんスし、

 シュタイガーンバオアーは、ケビンさんで出撃中で、

 今、まさにボッコボコなんスよ…⁉」

 と、目を丸くして疑問を投げるオイラ‼



「そうですよ…ミケさん…⁉

 この状態でロクスリー君に…、

 いったい…どう出撃しろと言うんですか…⁉」

 と、マカロニさんも詰め寄るが、



「ロクスリー君には…ラーゼンレーヴェで出てもらう…‼」

 と、目を丸くするどころか、

 目を疑うばかりの指示を出すミケさん…ッ?!





『エエェェェェェーーー…ッ⁉』

 目が点になるオイラたちに、





「レッドバイソンは、うちらが戦った中で、一番弱い相手や!

 やったら、これ程の機会は無い!


 つまり、前回のシュメル戦の時の、あの凄まじいロクスリー君の動き、

 それが、ロクスリー君が乗ったんがシュタイガーンバオアーやから、

 ロクスリー君がスペシャルにれたんか、

 ロクスリー君が唐突とうとうたんに、どのGギアでもスペシャルにれたんかを、

 確かめれる絶好のチャンスや言う事や‼


 その上で、もし単にスペシャルになったんでも、

 そうでなかった場合でも、ラーゼンレーヴェでアカン結果が出た場合は、

 今の頭に血が上ったケビンでも、きっと納得が行くやろう…ッ‼


 つまり、どう転んでも、うちらにプラスになるって事や…‼」

 と、まくてるミケさん…ッ⁉




「ふ…ふへぇーー…ッ⁉」

 と息を吐くオイラ。



「なるほど…‼ 流石さすがですミケさん…‼」

 とマカロニさんもうなづき、



「リーダーはコレだから…敵にだけは回したくないなぁ…ホント…‼」

 と、ユリンさんも、目を丸くしつつうなづく。




「その上で、ラーゼンレーヴェでピンチに成った時に、

 ロクスリー君がスペシャルになるかも見たいから、

 存分ぞんぶんにボコられてええ…!


 気負きおわず、とにかくやれるだけやって来ぃ…!

 あとで、うちらがフォローは…する…!」

 と、オイラへのラーゼンレーヴェ搭乗とうじょううながすミケさん。



「そ…そいう事なら…‼

 了解っス‼ ミケさん‼」

 と、38さんぱちを伴て、ラーゼンレーヴェに乗り込むオイラ‼





38さんぱち…‼ いつも通りの操縦方法で頼む…‼」

 と、38さんぱちに、ラーゼンレーヴェの操縦のチューニングを頼む‼



『了解です‼ マスター‼』

 と、38さんぱちがチューニングを始める‼





「とにかく、出撃したら、やりたい様にやったらええ!

 Aアサルトトライバレルも、アリーエルスラスターも、オサフネかて使ってええ!

 けど、そのわり、やれることをやりくし!

 そしたら、アカン結果になっても、ケビンも納得するはずや!」

 と、助言をくれるミケさん‼



「了解っス‼」

 と、答えるオイラに、



『マスター…! チューニング…完了です…‼』

 と、38さんぱちが告げる‼





「よし、Gギアハンガーで‼」

 と、ハンガーに乗るオイラに、



状況じょうきょうは確認しました!

 ハッチオープン! 進路クリアー!

 ラーゼンレーヴェ‼ 出撃どうぞ‼」

 と、セリアさんが管制かんせいをしてくれる‼





「ロック=ロクスリー…‼

 ラーゼンレーヴェ…行きます…ッ‼」

 と、Gギアハンガーに射出しゃしゅつされるオイラ‼

















「オラァ…ッ‼」

 と、レッドバイソンの部下たちがシュタイガーンバオアーを囲み、

 頭部や腹部を、ボッコボコに殴り続ける…!



「クッ…こ…こんな…ッ⁉

 ピンチになったのに…‼

 何で…スペシャルにならねぇ…ッ⁉

 やっぱり…ロクスリーがスペシャルだって…認めろってのか…⁉

 クッ…クソがぁ……ッ‼」

 ただボコられるだけのシュタイガーンバオアー内のケビンさんが、

 くやしみの咆哮ほうこうをするなか





「り…リーダー…⁉

 な…何か…スゲェ勢いで…、

 1機…Gギアが…こっちに突っ込んで来ますぜ…⁉」

 と、部下の一人が告げ、



「あ…アレは…⁉

 ら…ラーゼンレーヴェ…ッ⁉」

 と、驚愕きょうがくの声を上げる、ジャド‼





 そこに…‼



「ケビンさんから退け‼

 この機体で…加減かげんなんてかないぞ…ッ⁉」

 と、ガトリングを掃射そうしゃしながら、

 背部垂直はいぶすいちょくミサイルも掃射そうしゃするオイラのラーゼンレーヴェ…!


 

 なんだけど…ッ⁉

「な…何だ…?」



「コイツも…外しまくりだぞ…?」

 オイラのはなったラーゼンレーヴェの射撃たちが、

 ことごとく、レッドバイソンたちから、明後日あさっての方向にれる…⁉



 しかも…ッ⁉

「な…何やってんだ…ロクスリー…ッ⁉」

 一部のガトリングやミサイルが、

 ケビンさんのシュタイガーンバオアーに当たって…ッ⁉





「クッ…なんだ…⁉ 同士討どうしうちをしてるってのか…⁉」

 シュタイガーンバオアーに当たったミサイルの爆風ばくふうで、

 逆に、シュタイガーンバオアーをかこんでいたレッドバイソンたちへの、

 目くらましになり、そのすきにシュタイガーンバオアーがそのかこみを抜け出す…ッ‼





「や…やった‼ 全部、ただの偶然だけど…‼」

 と、さらにガトリングを斉射せいしゃするが、

 相変あいかわらず射線しゃせんが全然、相手機体たちにわない⁉



「な…何だ⁉ 今日は、ラーゼンレーヴェもオカシイぞ⁉」



「リーダー! これ…コイツもやれんじゃないですか⁉」



「だなぁ! だなぁ!

 よし、コイツら2機共! アヴァドンたちが出る前にボコっていただくぞ!」

 と、シュタイガーンバオアーを逃しつつも、

 オイラが動かすラーゼンレーヴェのダメな動きに、

 したなめずりをするジャドたち⁉





「アアァァァ…⁉ く…来る…⁉」

 ジャドたちがオイラたちのラーゼンレーヴェとシュタイガーンバオアーに、

 一斉いっせい背部垂直はいぶすいちょくミサイルを飛ばして来た⁉



 何とか、バルカンやガトリングで防ごうとするも、かなりの数が被弾ひだんする⁉



「グゥ…‼ クソガァァァァーーー…ッ‼」

 ケビンさんのシュタイガーンバオアーも、

 バルカンやハンドアックスでとそうとするも、

 アッチも、かなりの被弾ひだんをしてる⁉





「こ…こうなったら…Aアサルトトライバレルで‼」

 と、Aアサルトトライバレルのバレットを射出するも、

 その予想外の反動の重さに、目の前の地面に誤射ごしゃして、地面が大きく爆散ばくさんする⁉



「クッ…⁉ 目くらましか…⁉」

 と、爆散ばくさんした地面の土砂どしゃによって、ジャドたちの射撃が偶然ぐうぜんれるなか



「じゃ…じゃあ…もっとダメもとで…ッ‼

 アリーエルスラスター…‼

 そのうえ…オサフネだ…ッ‼」

 と、Aアサルトトライバレルを腰にマウントし、オサフネをかまえ、

 アリーエルスラスターを起動するも…ッ‼



「って…うわ…ッ‼ アアァァァァーーー…ッ⁉」

 アリーエルスラスターの加速に付いて行けず、

 そのまま、目の前の抉られた地面につまづいて、

 オサフネが、すっぽ抜けて、そのまま前に転がり倒れてしまった…ッ⁉





 ブンっとオサフネが飛び、

 その前に偶然ぐうぜんいたレッドバイソンのジーナの左腕をかすめ、

 かすめただけなのに、その左腕が斬り落とされ、

 オサフネが、その前の地面に、レーザーが消え、転がり落ちた…ッ⁉



 その最中にも、ケビンさんのシュタイガーンバオアーの、

 レーザーライフルや、背部垂直はいぶすいちょくミサイルも飛ぶが、

 それらも尽く、明後日の方向に流れてしまう…ッ⁉





「テメェら…‼

 ド下手たちのクセに、よくもコッチに損害を出してくれたな…ッ‼」

 いきどおるジャドたちレッドバイソン!



「野郎共、ミサイルだけじゃなく、バズーカとライフルも撃ってやれ!

 もっと甚振いたぶって、落し前を付けさせてやれ‼」

 と、ジャドが最悪の命令を出す…‼





 オイラもケビンさんも、

 バルカンなどで撃ち落とそうとするも、ほぼ撃ち落とせなくて…⁉

「アアァァァァァーーー…ッ⁉」



「グゥ…‼ クウゥゥ…‼」

 ラーゼンレーヴェもシュタイガーンバオアーも、

 KGナイトギアだけあって、これだけ被弾ひだんしても何とか、まだ動けそうだけど…‼

 こ…これが…さらに続いたら…⁉





「テメェ…‼ ロクスリー…ッ‼

 何やってんだよ…テメェは…⁉


 オレはシュタイガーンバオアーなのに…コレなのに…‼

 だったら、オマエが本当にスペシャルだって、

 認めねぇと行けねぇはずなのに…何やってんだ…⁉


 オマエが…スペシャルだって…‼

 オレは…‼ オレはーーー…ッ‼

 認めねぇと行けねぇってのにーーー…ッ‼」

 と、ケビンさんがぎしりする…ッ‼



「ケ…ケビンさん…ッ‼

 クッ…少し先に林があります…‼

 そこに隠れて籠城ろうじょうしましょう…‼

 そのあいだにミケさんたちにもらいましょう‼


 オイラがスペシャルかなんて、今は良いんすよッ‼

 とにかく、この場を何とかするんです‼


 オイラだけじゃ無理かもだけど…‼

 ケビンさんとなら…きっと…ッ‼」

 と、ケビンさんに指示を出すオイラ…‼



「クッ……じゃあ…‼

 何とか…‼

 何とかするぞ…ッ‼」

 と、ケビンさんもうなづいてくれる…‼





「何をゴチャゴチャ言ってやがる…ッ!」

 と、ジャドたちレッドバイソンが、

 さらにバズーカやレーザーライフルなどで、

 掃射そうしゃしてくる…!



 それらを、かわそうとするも、

「クッ…クソガァァァァーー…ッ‼」



「アアァァァーーー…ッ‼」

 ほぼほぼ、全弾着弾ぜんだんちゃくだんさせられるオイラたち…ッ⁉





 その最中さなかに…ッ‼

「コラ…ッ‼ そこのレッドバイソンたち…ッ‼」

 と、様子見ようすみめてソルファージュから出て来た様で、

 ミケさんのタイニーダンサーたちが駆け付けてくれる…‼



「ゲッ……あ……アヴァドン…ッ‼」

 と、ジャドが青ざめたが、その後、直ぐに‼



「野郎共、そこの2機のド下手共へたどもを捕まえて、

 レーザーブレードやレーザーアックスを突き付けてやれ‼

 人質にしてやるんだ…ッ‼」

 と、命令して来る…ッ⁉





「アアアァァァーーー…ッ‼」


「クソ…‼ クソ…ッ‼ クソ…ッッ‼」

 と、バルカンなどで牽制けんせいするも、

 そんな近距離の攻撃すら当たらず、

 ほぼ、すべもなくつかまるオイラたち…ッ⁉




「チッ…‼」



「こ…コレ…⁉ ど…どうするのリーダー…⁉」



「マズいです…! マズいですよ…⁉」

 と、コチラに向かう動きが止まる、ミケさんたち!





「へ…へッ…へッ…!

 流石のアヴァドンも、お仲間は見捨てられねぇってか?

 魔王のクセに…お仲間想いなこって…!」

 と、オイラのラーゼンレーヴェと、

 ケビンさんのシュタイガーンバオアーを、

 横並よこならびにして頭を小突こづいて、

 そのオイラたちの不利ふりさを、ジャドがアピールし!



「よし‼ アヴァドンたち…‼

 テメェら‼ そのご自慢のKGナイトギアたちを乗り捨てな…‼

 その後に、オレらが大事に扱ってやるからよぉ…‼」

 と、再度さいど、ペシペシと、オイラたちの機体を小突こづく!





「アアアアァァァーーー…ッ‼」

 と、叫ぶしかできないオイラ!



「クッ…クソがァァァァーーーッ‼

 オレが…オレのせいで…‼

 あねさんが…‼

 あねさんたちがァァァァーーー…ッ‼

 オレの…‼ オレのォォォーーー…ッ‼」

 と、涙目なみだめになるケビンさん‼





 しかし…その絶望の最中さなかで…‼

「ジャド……よう考えや…?

 もし…そのまま…ケビンたちを本当に殺したら…。

 本当の地獄を見るんは…オマエたちやと…。

 想像がかへんのか…?


 本当にオマエたちがアホで…。

 仮に本当に…そんなアホな事をしたら…。

 魔王と呼ばれる…うちの本当の恐ろしさを…。

 オマエたちは…その身に…たっぷり味合あじあわされるで…?

 それが…分からん程……オマエらはアホなんか…?」

 と、逆に、すわった恐ろしい目で、おどかえすミケさん‼





「クッ……あ……アヴァドン…ッ‼」

 ミケさんの、いきなりの脅迫きょうはく仕返しかえしに、

 あせりのいろにじませるジャドだったが…‼



「クソが…ッ‼ どうせやられるなら…‼

 1機でも2機でも…道連みちづれにしてやる…ッ‼」

 と、目を血走ちばしらせ、

 ケビンさんのシュタイガーンバオアーのコックピット部分に、

 レーザーブレードを突き付けるジャド…ッ⁉



「あ…あねさん…‼ アアァァーー…ッ‼」

 と、ケビンさんが蒸発じょうはつする…ッ⁉



「け…ケビン…ッ⁉

 こ…このドアホがァァァーーー…ッ‼

 マカロニィィーーー…ッ‼」

  と、ミケさんが怒鳴どなった瞬間しゅんかん

 タイニーダンサーのさら後方こうほうたフェストゥングのランチャーがぜ…ッ‼



「グ…ッ⁉」

 ジャドのゲズの頭部とうぶ射抜いぬくが…ッ‼



「どうせ地獄に落とされるなら…ッ‼

 せめてコイツも道連みちづれだ…ッ‼」

 と、オイラのラーゼンレーヴェのコックピット部分にも、

 ジャドのゲズのレーザーブレードが…ッ⁉

















「思い出した…。死ぬって…こんなに痛いんだ……。」

 圧倒的な痛みが身体からだを突き抜ける。

 皮膚が溶ける痛み。

 骨が溶け落ちる痛み。

 眼球が焼けただれる痛み。

 全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体からだの全てが感じる。

 そして、急激な意識フェード遮断アウト……。

 そこでまぶぎる発光はっこうした光景こうけい途切とぎれた。


 一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。

 ボヤけた視界が、徐々に明瞭めいりょうになってくる。
















「クソが…ッ‼ どうせやられるなら…‼

 1機でも2機でも…道連みちづれにしてやる…ッ‼」

 と、目を血走ちばしらせるジャド…ッ⁉



 こ…ここからなの……ッッ⁉

 こんなのワンアクションくらいしか…ッ⁉



「こ…コレか…ッ⁉」

 と、何とかワンアクションで、

 バルカンを乱射らんしゃするオイラのラーゼンレーヴェ…だったんだけど…⁉



「チッ……‼ テメェから殺されてぇか…ッ⁉」

 と、ジャドのゲズのレーザーブレードが…ッ⁉

















「思い出した…。死ぬって…こんなに痛いんだ……。」

 圧倒的な痛みが身体からだを突き抜ける。

 皮膚が溶ける痛み。

 骨が溶け落ちる痛み。

 眼球が焼けただれる痛み。

 全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体からだの全てが感じる。

 そして、急激な意識フェード遮断アウト……。

 そこでまぶぎる発光はっこうした光景こうけい途切とぎれた。


 一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。

 ボヤけた視界が、徐々に明瞭めいりょうになってくる。

















「クソが…ッ‼ どうせやられるなら…‼

 1機でも2機でも…道連みちづれにしてやる…ッ‼」

 と、目を血走ちばしらせるジャド…ッ⁉



 また…こ…ここからなの……ッッ⁉

 ほ…他の…ワンアクション…ッ⁉

 他に取れるワンアクションって言ったら…ッ⁉

 こ…コレなのか…ッ⁉




 その瞬間、

 ラーゼンレーヴェのアリーエルスラスターが発動し、

 後は、横でとらわれてるシュタイガーンバオアーの方に機軸きじくける…ッ‼



「クッ…⁉」

 急な加速度かそくどの動きに、ジャドたちをんでばしつつ、

 シュタイガーンバオアーに正面からぶつかり、

 諸共もろとも横転おうてんして、ジャドたちが、その中ではじき出されりになり、

 オイラとケビンさんは、偶然ぐうぜん、さっきオイラが言った林の中に着点ちゃくてんする…ッ⁉





「なァァァーーーー…ッ⁉」

 りにされ、オイラたちを逃した事に、驚くジャドたちに!



「よし! ようやった! ロクスリー君!

 ユリン! マカロニ! 行くで…ッ‼」

 と、ミケさんたちがこっちの方に向かって来る‼





 その最中…ッ‼

「ケビンさん! ケビンさん! ミケさんたちが来てくれました!」

 と、叫ぶオイラに、



「クゥーー……ッ‼

 オレは…オレは…ッ‼

 あねさんの足を引っ張るだけで…ッ‼」

 と、さらに涙を流すケビンさん…ッ‼



 その真摯しんしなミケさんたちへの想いを見て…。

「ケビンさん! ラーゼンレーヴェに‼

 ラーゼンレーヴェに乗って下さい‼」

 と、オイラは、思わず叫んでしまった‼



「ラーゼンレーヴェ…に…⁉」

 と、クシャクシャに涙しつつ、聞き返すケビンさん。



「そうです! 操者交替パイロットこうたいです‼

 オイラがシュタイガーンバオアーに乗ってどうなるかは出たとこ勝負っスけど!


 ラーゼンレーヴェになら…!

 ラーゼンレーヴェに乗ったのなら…!

 ケビンさんは何処までも行けるんス…ッ‼


 イヤ…! ラーゼンレーヴェじゃないとダメなんだ…ッ‼

 ケビンさんには…‼ ケビンさんらしく…ッ‼

 いつも通り…‼ がむしゃらに…‼

 ラーゼンレーヴェで戦って欲しいんス…ッ‼」

 と、おもいのたけをぶつけるオイラ‼





「ろ…ロクスリー……。」

 と…ケビンさんは…一度いちど項垂うなだれてから…!



「…分かった…! ハッチ空けろ…!

 で…手をシュタイガーンバオアーのコックピットに伝わせろ…!」

 と、指示し、

 その通りにし、38さんぱちを伴い、

 シュタイガーンバオアーのハッチの前に向かったオイラを、

 ハッチを空け、目の前にしたケビンさんが、



「右手を上げろ!」

 と、言い、オイラがそれに従うと、



操者交替パイロットこうたいだ…! 行くぜ、兄弟…ッ‼」

 と、ハイタッチをしてくれた…‼



「ハイっス……ッ‼」

 と、わらせてから、

 お互いに、乗るべき機体をえたオイラたち…‼





38さんぱち…ッ‼ 頼む…ッ‼」

 と、いつも通り、38さんぱちにチューニングを頼むオイラの前で…‼



「行くぜ…ッ‼ アリーエルスラスター…ッ‼」

 と、ケビンさんのラーゼンレーヴェが、

 アリーエルスラスターの加速を掛ける‼





『マスター…チューニング完了…!

 シュタイガーンバオアー……CAPASカパース…ドライブ…!

 いえ…! CAPASカパース…フルドライブ……‼』

 と、告げる38さんぱち…ッ‼



「あ…また…操縦しなくても思った通りに動く上に…、

 さらに…また…この感覚……ッ⁉

 いきなりなのに…周囲の状況が……もっと…見える……ッ⁉」

 林にからまったシュタイガーンバオアーを起こし、

 アリーエルスラスターを起動したラーゼンレーヴェ程じゃないけど、

 オイラもシュタイガーンバオアーを追随ついづいさせる…ッ‼





「グッ…‼ こう高速で空を飛ばれたら…ッ⁉」

 と、レッドバイソンたちがタイニーダンサーたちに苦戦している中…‼



「退け…オラァ……ッ‼」

 と…ラーゼンレーヴェが、レッドバイソンの中の1機の顔面を蹴っ飛ばす‼



「ヒッ…ヒィィーーー…ッ⁉」

 ばされたジーナが、戦々恐々せんせんきょうきょうとしつつ、転がり倒れる‼





「ケビン! って事は…⁉」

 と、ユリンさんがいきに…!



「今のオイラのシュタイガーンバオアーは…ッ‼

 多分……痛いぞォォォーーー……ッ‼」

 と、背部垂直はいぶすいちょくミサイルをみ、

 それらがまれた地点にライフルをはなち‼


 ミサイルをぶちいて煙幕えんまくにし、

 その最中さなかに、煙幕えんまくで、もたついてるケズの1機の頭部を、

 PBLHピブレハ粉砕ふんさいし、そのまま、その機体を、

 右回みぎまわりでばすオイラ…‼





「ロクスリー君も…ッ‼」

 と、マカロニさんがランチャーで1機のジーナの左足を射抜いぬきつつ、

 こちらを確認し、よろこびの声を上げる!



「よし! 色々、計算外やったけど、コレは行ける!

 うちらに楯突たてついてくれたぶん、コイツらに地獄見せたるで‼」

 と、ミケさんも目を輝かし、

 応戦でバズーカを撃とうとするゲズの、武器をかまえた右手に、

 かさず、トライバレルのレーザーをたたき込無力化むりょくかする!





「ドゥラッ‼」

 アリーエルスラスターを吹かせつつ、

 Aアサルトトライバレルのレーザーソードをひらめかせ、

 相手のバズーカやミサイルことごとはらい、

 レーザーを紙一重かみひとえのタイミングでかわし、

 でも、後で機体を奪う事を考えてかバルカンで威嚇いかくしつつ、

 これまたひらめようはなたれる左右の蹴りで、

 どんどんレッドバイソンたちを押し込めるラーゼンレーヴェを参考に‼



「なら! オイラも! 今のオイラなら‼」

 ライフルとハンドアックスを腰こしおさめ、

 背部垂直はいぶすいちょくミサイルランチャーを威嚇いかく乱射らんしゃし、

 相手たちの回避行動をとる場所が、『もっと見える』為、

 回避地点に移動したレッドバイソンたちの胴体どうたいに、

 左右のジャブから右裏拳みぎうらけんを頭部に決め、バルカンで追随ついづいしつつ、

 その近くの相手にも、左正面のりから、頭突ずつきをかまし、

 右回みぎまわりで、周囲の相手たち諸共もろともばし、

 さらに空中からのりで相手群衆あいてぐんしゅう一体いったいの頭部をばし、

 バックステップで距離を取ってから、

 再度さいど背部垂直はいぶすいちょくミサイルの威嚇いかくおこなう…ッ‼





「ヘッ…やっぱしスペシャルなんじゃねぇか! ロクスリー‼」

 と、レッドバイソンたちへのりをめないケビンさんに!



「ケビンさんこそ!

 シュタイガーンバオアーみたいな変な機体に頼らなくたって!

 やっぱし、ケビンさんは、ラーゼンレーヴェなら!

 オイラなんかより、スペシャルっスよ…ッ‼」

 と、こちらも、拳と蹴りの押収おうしゅうで、レッドバイソンたちを、オイラもめる‼





「うちらも負けてられん!」

 と、タイニーダンサーが空中からの高高度こうこうどからのりをし、



「このユリンちゃんっていう、ヒロインの出番も押してるんだから!」

 と、レーザーライフルをかまえるレッドバイソンのジーナに、

 エンジェルシードがするどいシナイプをはなち、レーザーライフルだけとし!



「相手の機体の損傷そんしょうおさえつつ戦える程、皆さん、余裕が出てますし!」

 と、マカロニさんのフェストゥングも、

 ユリンさんにまさるともおとらないするどいスナイプで、

 レッドバイソンのゲズのにぎったレーザーブレードだけを撃墜する!





「こ……こんなのが……ッ⁉」



「ヒッ……ヒィーーー…ッ⁉」

 トロイメンカッツェ総出そうで反撃はんげきに、戦々恐々せんせんきょうきょうとしつつ、

 なんとか背部垂直はいぶすいちょくミサイルやバズーカやレーザーライフルで、

 レッドバイソンたちも応戦おうせんするが‼



「それがねぇ…‼」

 と、ユリンさんのエンジェルシードが、

 そのスーパー重装甲じゅうそうこうボディーで、ミサイルやバズーカを引き受け!



「アナタたち程度の攻撃は…ボクたちには…ほぼほぼ無力なのですよ…ッ‼」

 と、フェストウングのAアリーエルフィールドバリアでのレーザー無効化も発生し…!



「ってワケさ…ッ‼」

 と、Aアサルトトライバレルのレーザーソードで、バズーカやミサイルを迎撃げいげきし、

 レーザーライフルをアリーエルスラスターの超高速で、

 超回避するラーゼンレーヴェに…!



「そうっスよ…ッ‼ 今のオイラなら…ッ‼」

 と、『もっと見える』、この何かで…‼

 相手の攻撃の軌道きどうを読んで…ッ‼

 バルカンで実弾たちをとしつつ、

 レーザーライフルを、レーザーライフルで相殺そうさつしたり、PBLHピブレハり、

 反撃で背部垂直はいぶすいちょくミサイルの弾幕だんまくびせるオイラのシュタイガーンバオアー…ッ‼



かったな…? 無駄むだ足掻あがきをしてもてんって…?」

 と、PBLHピブレハ連続展開れんぞくてんかい実弾じつだんもレーザーも無効化むこうかしたうえで、

 高速でジャドのゲズに近づき、ジャドの胸部きょうぶコックピットにけて、

 タイニーダンサーのトライバレルをけるミケさん…ッ‼





「ヒッ…ヒィィィ……ッ‼

 す…すみませんでしたァァァァァーーー…ッ‼

 お…お助け…ッ‼

 い…命ばかりは…お助けをォォォォォーーー……ッ‼」

 と、両手を上げた降参こうさんのポーズを通信で見せて来るジャド‼



「まあ、今日は、色々と、計算外ではあったんやけど、

 ホンマ、良い収穫やった…。

 やから…許したる…。

 命は取らんで置いてやる…。」

 と、許ゆるすといつつも、するどい視線のミケさん。





「ハ……ハハァァァァ…ッ‼

 あ…ありがとうござ……、」

 と、ジャドが言い終わる前に。



「やから…オマエらは…直ぐに…全員…機体を捨てて…、

 オマエたちの機体もGSギアシップも…その中の物資も…一緒にくれるだけで許したる…。

 優しいやろ…? うちは…?」

 と、極上ごくじょうの笑顔で、ニッコリとげるミケさん。



 こ…この人だけは…敵に回したくない……。

 そう…オイラも戦々恐々せんせんきょうきょうとする中…。



「ヒッ…ヒィィィーーー……⁉

 りょ…了解……しましたァァァーーー…ッ‼」

 と、ジャドたちレッドバイソンたちが、

 全員、機体を乗り捨て、一目散いちもくさんに逃げて行った。





「リーダー。皆さん。

 ソルファージュのレーダーで確認したところ、

 左方さほうすうキロさき停留ていりゅうしてあったGSギアシップからも、

 レッドバイソンたちとみられる人員たちが投降とうこうし、

 去って行った模様もようです。」

 と、セリアさんが通信を入れてくれる。



「わ~いッ‼ トロイメンカッツェ‼ 大勝利~ッ‼」

 と、ユリンさんが勝鬨かちどきの声を上げる!





 その中…。

あねさん…。」

 と、ミケさんを見つめ、



「オレ…。オレ…ッ‼」

 と、真摯しんしこえらすケビンさん…。



 そのケビンさんに、

「良い…。良いんやで…。

 人って言うのはな…。

 間違う事があるからこそ…もっと成長して…、

 もっと優しくなれるんや…。」

 と、ミケさんが、あたたかかく、なだめる言葉を掛ける。



あねさん…。

 あねさん……ッ‼」

 と、くずれんばかりのケビンさん。





「良いんや…。良いんやで…。」

 と、再度、ケビンさんをなだめるミケさん…。 




「オレ…! オレ……‼

 あねさん……ッ‼」

 と、見開みひらき、なみだすケビンさん…。





 そして、そこから数分の間、ケビンさんは泣き崩れてから、

「ロクスリー……。

 すまなかった……。


 オレ……あねさんが…ッ‼

 だから…オレ…。


 すまねぇ…。

 すまなかった…ロクスリー…ッ‼」

 と、オイラにも向いて、優しい涙を、

 ケビンさんは流してくれる…。



「良いんス…。

 良いんスよ…ケビンさん…。

 だからコレからは…また…。

 また…オイラを……兄弟にして下さい…。

 ケビンさん…‼」

 と、オイラのにも、いつのにかなみだまって…。



「ああ…。

 ああ……!

 あいよ……兄弟…ッ‼」

 と、二人で、

 モニターしにハイタッチをするオイラたち…。





「良かったな…。

 ケビン…。

 ロクスリー君…。」

 と、ミケさんが目を細め、



「ホント、良かったよ…。」



「ええ…。」

 と、ユリンさんとマカロニさんも喜んでくれる…。





「よし! 湿っぽいのは、このくらいで!

 収穫しゅうかくをタップリいただくで……ッ‼」

 と、みんな号令ごうれいするミケさん!



『ハイ…ッ‼』

 と、みんなの声が重なってから、

 戦利品せんりひんたちの回収作業かいしゅうさぎょうが始まった…。

















天国の父さん母さん……。

オイラ…また…兄弟に……れました……ッ‼

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