第6話

「セリアッ‼ フェアタイディゲンの追跡、どうなっとんやッ⁉」

 ミケさんが、苛立ち紛れに荒い声で聞く。



 ミケさんたちのKGナイトギアたちを、マカロニさんが急ピッチながら、何とか修理し終わって、トニーさんが、『せめて自分の機体は整備します』と、アウスブレンデンを整備し終わって数刻すうこく


 ソルファージュから、かなり先行して逃げているフェアタイディゲンを何とか索敵し、レーダーで追える範囲ギリギリで追跡している現状なうっていうところ。





依然いぜん、同じ方角に向かって逃走しています。このまま行くと、丁度、アルセカーナの町に到着しますね。」

 ミケさんへの質問へのセリアさんの答えに、



「何であのGジェネラル²ギア、そっちに逃げているのかな?」

 リッドさんが疑問の声を上げる。



「あれだけの技量の自動戦闘ができる高性能AIエーアイなのですから、もしかしたら自己修復機能もあるのではないかとボクは考えます。そして、自己修復の為にアルセカーナの町のGギアショップなどでパーツを得ようとしているのではないかとも考えます。」

 マカロニさんが自己分析の仮説を述べる。





「何にしても、うちらのKGナイトギアは、もうマカロニが直してくれて万全なんやし、早よ、アイツに追い付いて、今度こそ完膚なきまでに叩き潰したるんやッ‼ フッ……フフフ……クククッ…ッ‼」

 不気味な笑い声を出すミケさん。


 マジ怖いっス……。



「リーダーが燃えているッ⁉」

 引き気味にユリンさんが言う。





「あの~……やっぱり、あのGジェネラル²ギアに関わると損害しか出なさそうっスし、ここは、もうあきらめてほうっておくって選択肢も……」



「あんッ⁉」

 ミケさんが、ギロッ!て音が鳴りそうなくらいに、にらみつけてくるッ!



「ヒッ⁉」

 オイラ、ビビる、ビビる。



「止めとけ、ロクスリー。金絡かねがらみのもつれの時は、あねさんには逆らうな。」

 ケビンさんが小声で言って来てくれる。



「まあ、メカニックの観点から言わせて頂ければ、本当はボクもロクスリー君の意見に賛成なのですけどね。でも、ミケさんがああですしね……。」

 マカロニさんも小声でフォローの言葉を送ってくれる。



「まあ……仕方ないっスよね……。」

 ケビンさんとマカロニさんに、オイラも小声で答える。





「リーダー、フェアタイディゲンがアルセカーナの町に到着した模様です。機体反応ロスト。町の自警団の施していると思われるジャミングでレーダーでは探知できなくなりました。どうしますか?」

 セリアさんが、これからの指針をミケさんにたずねる。



「当然、追い掛けて町に入って、しらみつぶしに町内を探索して、見付けてブッつぶすッ!」

 強気にはなつミケさん。



「アルセカーナって、一度、私たちが町の自警団のFGファイターギアを強奪したところだし、私たちが入ったら自警団たちに目の敵にされて攻撃されるんじゃないの?」

 ユリンさんが、大丈夫なの?と、言外にミケさんにたずねる。



「だよなぁ……。流石さすが雑魚ざこの集まりの自警団たちでも、あのGジェネラル²ギアを相手にしながら挟撃きょうげきされたら最悪じゃないですか、あねさん?」

 ケビンさんも続いてミケさんに聞く。



 ちょッ⁉ あんな化け物みたいに強いGジェネラル²ギアと戦う上に、町の自警団にもおそわれるとか、マジ勘弁なんだけどッ⁉





「マカロニが、さっき言った、町のGギアショップをおそってパーツを漁って自己修復しとるっちゅう推測すいそくは、多分、合っとるやろう。で、それやったら、町の連中からしても、あのGジェネラル²ギアは敵や。それをわざわざ倒したるんやから、町の連中からしたら、うちらがあのGジェネラル²ギアと戦う分には渡りに船のはずや。ホンマやったら、せっかくやから町の自警団のGギア倉庫のFGファイターギアを強奪とかしたいところやけど、今回は、こっちも向こうも見逃しや。前に、あの町の自警団をおそったのを差し引いても、町を荒らすGジェネラル²ギアいう驚異きょういに、町の不甲斐ない自警団の代わりに戦ってやるんや。喜ばれこそすれ、攻撃される事はないやろ。仮に、前の時の恨みが、まだ残っとったとしても、Gジェネラル²ギアに町をおそわれてテンヤワンヤの所で、一度負かされたうちらに攻撃してくる余裕があるとも思えんしな。そやから、町ん中に入って、あのGジェネラル²ギアを探すでッ! 町に入ったら、みんなで出撃やッ‼」

 と、ミケさんが、意外に冷静な分析をし、述べる。


 ああ、なるほど。確かに、そういう状況なら、自警団も、オイラたちを攻撃しないかもだね。



 でも、あの化け物Gジェネラル²ギアと戦うのは、回避不可の模様……。


 それだけでも涙がチョチョ切れるんですけど……。





「まっ仕方ないですね。了解しましたよ、あねさん!」



「リーダーは、言い出したら聞かないし、仕方ないよね。こっちもOKよ。」



「メカニックとしてはムダな損害は極力避けたいのですけどね。まあ、こちらも了解ですよ。」



「ホントは、こんな野良試合なんてほっといて、やっこさんに、直ぐにでも合流しなきゃ行けねぇんだが、幸い、あれからやっこさんからの催促さいそくもねぇし、まあ、うちの姫さんは癇癪かんしゃくを起したら聞かねぇからな。仕方ねぇ。リッド、ソルファージュ、アルセカーナに向けて、全速前進だ!」

 バーダック艦長が操舵そうだのリッドさんに指示を出す。



「了解です! ソルファージュ、全速前進!」

 と、小気味良こきみよこたえるリッドさん。


 全速で死地に向かうソルファージュ。





 嫌な予感がするので、ダメもとで言っとこう。

「あの~……。前の、Gジェネラル²ギアとの戦闘で分かると思うんスけど、オイラが出ても……」

 と、ミケさんにオイラの無力さを伝えようとするが、ビキビキッ!と音が鳴りそうなキレギレの鋭い目でミケさんが睨みつけてくる。



「……何とかするしかないんスよね……。ああ……あの化け物Gジェネラル²ギアと再戦とか死亡フラグとしか思えない……。」

 なげくオイラ……。


 てか、これ、何て罰ゲームなのッ⁉





 オイラが戦々せんせん恐々きょうきょうとしていると、

「まあ、あのGジェネラル²ギアがヤベェ相手なのは分かってっからフォローは入れてやんよ。」

 ケビンさんが小声でフォローの声を掛けてくれる。



「今のリーダーは何を言ってもダメだしね。まあ、機体の修理と補給は任せてよ。」

 ユリンさんも小声ながら、親指を立て、にこやかに話してくれる。



「フェアタイディゲンの性能はボクらも分かっていますからね。ロクスリー君が撃墜されそうにならないようにできるだけフォローしますよ。」

 マカロニさんも、優しい声を掛けてくれる。



「皆さん、感謝っス!」

 嬉し涙を浮かべつつ、オイラも出来るだけの笑顔で皆さんに返す。





 その時、

「ヌッ⁉ アルセカーナの町の方から、いくつか煙が上がっているぞッ⁉ 野郎、ホントにドンパチ始めやがったか⁉」

 ソルファージュのモニターの先の白煙はくえん見咎みとがめて、バーダック艦長がおどろきの声を上げる。



「とにかく町に入りましょう。推測より、実際に見て知るべきです!」

 マカロニさんがあせりながらも冷静にてっして言う。





「リーダー、アルセカーナの町に入りました。」

 セリアさんがアルセカーナへの到着のむねを告げる。



「うぉッ⁉ 何か、あちこちの建物が壊されているみてーだぞッ⁉ あちこちで煙が出ているぜッ⁉」

 モニターの先の、白煙はくえんを上げる町の建物たちを見て、ケビンさんもおどろきの声を上げる。



「町の自警団のだったっぽいFGファイターギアの残骸も転がっているわねッ⁉」

 ユリンさんのその言葉通り、モニターの先には、FGファイターギアの残骸も転々としている。



 マジですかッ⁉


 これ、あのGジェネラル²ギアがやったんだよねッ⁉


 こんな惨憺さんたんたる有様を作り出すGギアと、また戦わないといけないとか、マジ、罰ゲームなんだけどッ⁉





Gギアショップだったと思われる場所が重点的におそわれた様ですね。どうも、ボクの推測が当たっていた様ですね。フェアタイディゲンが町内のGギアショップをおそって補修パーツを強奪して、その際に町の自警団のFGファイターギアと交戦。そして自警団が敗北。この残骸はフェアタイディゲンに負けた跡でしょうね。で、フェアタイディゲンは、今は、どこかに隠れて自己修復中。と、いったところでしょうね。」

 マカロニさんが冷静に分析する。





「とにかく、みんなで出撃やッ‼」


「あいさ、あねさん!」


「OK、リーダー!」


「了解です、ミケさん!」


「分りました、ミケさん!」


「ああ……無事に生きて帰れるんだろうか……?」

 ミケさんの号令ごうれいもと、出撃するオイラたち。





「町のジャミングで通常センサーは使えんけど、熱感知センサーで1機だけ他と離れとる奴が、あのGジェネラル²ギアやッ‼ 町の自警団のFGファイターギアは、もう粗方あらかたやられたみたいやし、るとしても、普通は固まって集団で行動するはずやッ‼ そやから、1機だけ他から離れてる奴を探すでッ‼ みんな散開ッ‼ ……と、言いたいところやけどやッ‼ 正直、1対1で、あのGジェネラル²ギアの相手は厳しいッ‼ うちのとこにはケビンとユリンがいッ‼」



「了解だ、あねさん!」


「OKよ、リーダー!」

 ケビンさんとユリンさんが、ミケさんの指示に応える。



「ソルファージュも、うちらと同伴やッ!!」


「了解だ、ミケ!」

 バーダック艦長もミケさんに応える。





「マカロニは、ロクスリー君とトニー君を連れて別ルートから探索やッ‼」


「了解です、ミケさん!」


「マカロニ! ロクスリー君とトニー君は新人や! アイツに逢っても、まずはうち等に連絡して招集! 無理に先行して戦わんように! 逆に、うちらが先にアイツを見つけた場合は先に斬り込んどく! ロクスリー君とトニー君は、マカロニの指示をきやッ‼」


「分りました、ミケさん!」


「了解っス、ミケさん!」





「ほな、みんな、行くでッ‼」

 ミケさんの号令一下ごうれいいっか、2つのチームに分かれて探索に従事じゅうじするオイラたち。





 ミケさんたちと分かれ、しばらく進むと他のところより少し大きめの建物から白煙はくえんが上がっていた。


Gギアショップだったらしき建物から煙が上がっていますね」

 トニーさんが、白煙はくえんの上がるGギアショップを見咎みとがめて言う。





「こ……これはッ⁉」

 急に、マカロニさんがおどろきの声を上げるッ⁉



「うぇッ!? もしかしてGジェネラル²ギアが居たのッ⁉」

 おびえるオイラ。



「メーカー品のマガジンはゴッソリ奪われているのに対して、安価なバルク品のマガジンには全くの手付かずですッ‼ どうやら奴は相当なグルメの様ですッ‼」

 マカロニさんが、驚愕きょうがくの声で言って来るが、



「いやッ! そんなどうでもいい事で、いちいちおどろかれてもッ⁉」

 おどろくとこ、オカシクないッ⁉



 それを尻目に、

「……………………………………………………。」

 トニーさんが、通信で、マカロニさんを無言で見つめ続ける。



「何なの、この無言のッ⁉ トニーさん、怖いッスよッ⁉」

 何で、ここで無言なのよッ⁉


 もっとツッコミ入れるとこなんじゃないのッ⁉



「アッ⁉ あっちの方でもGギアショップだったらしき所から煙が上がっていますッ‼」

 トニーさんが言いながら、そっちに進む。



「アレッ⁉ オイラのツッコミはスルーで、そっちに行っちゃうのッ⁉」

 ダメもとで再度ツッコミを入れてみる。





「ああぁ……ッ⁉」

 マカロニさんが、またおどろきの声を上げる。



「今度は何なのッ⁉ 今度こそGジェネラル²ギアが居たのッ⁉ それとも、またどうでも良い事でおどろかれているのッ⁉」

 嫌な予感を感じつつも、一応、ツッコミを入れてみる。



「メーカー品の装甲板はゴッソリ無くなっているのに対して、安価なバルク品の装甲板は、これまた全くの手付かずですッ‼ 奴はグルメなだけではなくオシャレさんでもある様ですッ‼」

 マカロニさんが声を大にしておどろきを伝えて来る。



「また、そういうとこなのッ⁉ 明らかにおどろく点とか、探している点とかがオカシイよねッ⁉」

 何で、そんなどうでも良い所を探しているのよ、アナタはッ⁉





 そして、

「……………………………………………………。」

 また、通信で、トニーさんが、再度マカロニさんを無言で見つめ続ける。



「だから、このは一体何なのッ⁉ トニーさん、それ怖いってばッ⁉」

 無言の圧力、マジ怖いんですけどッ⁉





「オイ、マカロニら! き!」

 いきなり、今までの分隊通信用のパーティーチャンネルではなく、全体通信のチームチャンネルで、ミケさんが声を掛けて来る。



「何なのッ⁉ ミケさんまで何か変なボケとかやって来ているのッ⁉ てか、こっちのパーティーの人たちって本来はツッコミ属性よねッ⁉ 何で、みんな、ボケに走っていて、オイラが一人でさばいているのッ⁉ 明らかにオカシイし、役者不足だよねッ⁉」

 オイラが激情のまくてると、



「うわッ⁉ 何やねん、ロクスリー君、いきなりッ⁉ いや、それよりッ‼ フェアタイディゲンをこっちで補足したから地図マップデータを送るッ‼ 君らもいッ‼ じゃあ、こっちは先に仕掛けとくッ‼ 後の通信は、合流してからやッ‼ ほんならなッ‼」

 と、ミケさんが言って、通信を切る。





「あ~、良かった。ミケさんまでボケに走っていたらどうしようと……って、全然良くないよッ‼ このまま地図マップデータ通りに行ったら、またあの化け物Gジェネラル²ギアと遭遇してデッドループだからッ‼」

 あの化け物Gジェネラル²ギアと、またクロスコンバットとか、マジ勘弁なんだけどッ⁉



「大丈夫ですよ、ロクスリーさん。フェアタイェイゲンはAアサルトトライバレルを盗んで所持してるとはいえ、他は汎用兵器のみの武装です。AアズラエルJジョブズの性能で実弾兵器と格闘兵器は切り払われる危険がありますが、遠距離からのレーザー兵器なら、相手のきょを突いてアウトレンジから一方的に攻撃できます。レーザー兵器でも切り払いで軌道きどうらされる事もありますが、先日の様に、四方から同時にレーザーを撃てば攻撃を当てられますよ。ロクスリーさんのゲズCツイン²カスタムには遠距離から届くレーザー兵器がありませんし、ボクのアウスブレンデンは、実弾兵器ばかりな上、Gギアではなく、戦闘機なので武装に互換性が無い為に武装をお貸しできませんが、マカロニさんのフェストゥングの遠距離用レーザーキャノンを借りて運用されると良いと思います。せっかくFGファイターギアKGナイトギアで互換性があるのですし、使わない手は無いと思いますよ? マカロニさんにはフェストゥングの肩の大型レーザーレールキャノンを使ってもらえればマカロニさんもアウトレンジからレーザーで攻撃できますし、試さない手は無いと思います。少なくともボクが同じ立場でしたら、そうしますしね。」

 トニーさんが冷静に状況を分析し、提案して来る。



「素晴らしいアイデアですね! ボクもそのアイデアに賛成です。では、遠距離用大型レーザーキャノンを渡しますね。ハイ、どうぞ、ロクスリー君。」

 マカロニさんが遠距離用大型レーザーキャノンを渡して来る。



「アレッ⁉ 二人とも、ボケ倒し続けるんじゃなかったのッ⁉ ここに来て、いきなり、いつも通りの解説サポートキャラに戻るのッ⁉ さっきまでのボケまくりから、いきなり的確なアドバイス係りに戻られて、ハッキリ言って困惑するんだけどッ⁉ 何、コレッ⁉」

 困惑するオイラ。



「何を良く分からない事を言っているのですか? 早く装備して下さい。」

 マカロニさんが急かして来る。



「ロクスリーさん、早くしないとまたミケさんにどやされますよ?」

 トニーさんにも急かされるオイラ。



「あ……もう二人とも、ボケとか変なとかは辞めたのね……って、確かに早く行かないとミケさんに怒られちゃうよ! でも、またデッドループは嫌だぞ! マカロニさん! トニーさん! オイラ、絶対にアウトレンジからからだけじゃないと撃たないっスからねッ⁉ あの化け物Gジェネラル²ギアの射程に入るのは勘弁よッ⁉」

 懇願こんがんするオイラ。


 もう痛いのは嫌なのッ‼



「いまいち、言っている事が分かりませんが、無理をして前線に出る必要は無いと思いますよ。カベ役には恐らくミケさんとケビンさんたちが既になってくれていると思います。ユリンさんは恐らく中衛からのサポート中でしょうね。そして、ソルファージュは後方からの支援射撃中だと思います。ですから、ボクたちは次第しだい、ソルファージュやユリンさんたちと連携を取って、こちらもソルファージュと共に支援射撃をし、それにてっするのが良いでしょうね。」

 トニーさんが、冷静に状況分析して案を述べる。



「それが妥当だとうなところでしょうね。それなら、仮に当てられなくても牽制けんせい射撃しゃげきとなってミケさんたちを援護できますしね。」

 マカロニさんも、トニーさんの案に賛同する。



「おお! アウトレンジから撃つだけな上に、外しても良いんスね! それ良いっスね! その案で行きましょう!」

 オイラも賛同の声を上げる。


 遠距離から撃って、外してもOKなんて、最高だよねッ‼





「では、2人とも、ミケさんが送ってくれた地図マップナビゲート通りにボクに続いて進んで下さい。」

 マカロニさんが言い、3人で、送られた地図マップナビゲート通りに進む。





「でも、トニーさん、頭良いっスね。フェストゥングの装備を借りて、ゲズCツイン²カスタムで使うってのは、オイラじゃ絶対に思い付かなかったっスよ。言われてみればGギアって、ほとんどみんな互換性があるんスから、できるよねって思うけど、そこに辿り着けるのが凄いっスよ。目からウロコって感じっしたよ!」

 トニーさんに賞賛の言葉を掛けてみる。



「そんな、たまたま思い浮かんだだけですよ。そんなにめていただだけて恐縮きょうしゅくですし、何も返して上げられませんし、ちょっとムズがゆくなりますね。」

 トニーさんが照れながら、鼻の頭をきつつ言う。





「と、話は、そこまでですよ! ミケさんたちとフェアタイディゲンが見えて来ました! ここからはパーティーチャンネルではなくチームチャンネルに通信を切り替えます!」

 マカロニさんが鋭く言って来る。



「了解っス、マカロニさん!」


「分りました、マカロニさん!」

 了承の旨を伝える、オイラとトニーさん。





 到着したのは、住宅地を抜けて、ぽっかり空いた様な広い敷地の公園。


 その中の、フェアタイディゲンが身を潜めていたっぽいGギアガレージ…外部から公園に来た客のGギア一時停いちじとめるスペース…っぽい建物が白煙はくえんを上げている。



 フェアタイディゲンの奴、隠れていたところを、ミケさんたちにいぶされたんだ!


 既にフェアタイディゲンと戦っていたミケさんたちのKGナイトギアは、またも、オイラが見てないうちに被弾していた様で、ラーゼンレーヴェがアリーエルスラスターのメイン部とも言える脚部きゃくぶを、エンジェルシードが補給装置を積んだバックパックを損傷しているッ!?



 うがッ⁉ 各機、一番痛いところを叩かれているッ⁉


 フェアタイディゲンの奴、こっちの急所を学習しているんだ!



 被弾してないのは、タイニーダンサーだけの様で、ソルファージュも、甲板が、一部損傷している!


 フェアタイディゲンの方は、ミケさんにやられた胸部コックピット部分の損傷個所が、半田はんだゴテで無理やり溶接したみたいな感じで、ジーナのっぽい装甲に変わっている。



 本当にマカロニさんが予想した通り、自己修復したんだ、アイツ!



 もとから頭部がジーナ頭なせいで、パチモノ臭かった外見が、さらにジーナに近くなって、よりパチモノ臭さが増しているけど、あの見た目に騙されちゃダメだ!



 ラーゼンレーヴェやエンジェルシードにダメージを負わすくらいの超性能!


 油断しているとオイラなんて、この前の様に一瞬でやられる!


 オイラ、今回は、後衛から一歩も前に出ないぞ!





「ミケさん! マカロニ隊です! 到着しました! 今から、ソルファージュと連携を取って後方から支援射撃を行います! こちらからのレーザー射撃に当たらない様に注意しつつ、フェアタイディゲンを引き付けて下さい! バーダック艦長! 連携、お願いします!」

 マカロニさんがテキパキと報告をする。



「おお! 了解や、マカロニ! よし、ユリン! 散開! このGジェネラル²ギア相手やと、味方の応急修理で固まるのも危ない! オッサン! マカロニたちと連携頼むで! ケビン! 引き続き、うちと一緒に、この赤いのを追い詰めるで!」

 ミケさんも、テキパキと指示を出す。



『了解!』

 ミケさんの指示に、みんなが応える。





「セリア! 3連装大型レーザーランチャー、垂直すいちょく水平すいへいミサイル、掃射そうしゃ!」



「了解! 3連装大型レーザーランチャー、垂直すいちょく水平すいへいミサイル、発射はっしゃします!」

 ソルファージュからの艦砲射撃がフェアタイディゲンに向かってはなたれる!


 しかし、フェアタイゲンが、スラスターをかして加速し、難なく回避する!



 流石に、戦艦の攻撃は回避するか!





「アウスブレンデンには実弾兵器しかありませんが!」

 トニーさんが、キャノン砲をはなつ!



 そのキャノン砲を、相変わらず、化け物染みた反応速度で、切り払うフェアタイディゲン!



 さらに、背部垂直はいぶすいちょくミサイルをおりとばかりにアウスブレンデンにけてはなつ!





「クッ…!」

 何とか回避しようとするが、数発が胴体部に着弾し、アウスブレンデンが失速する!



「トニーさん⁉ クッ…でも…オイラだって牽制けんせい射撃しゃげきくらい!」

 オイラも、マカロニさんから借りたばかりの遠距離用大型レーザーキャノンをはなつ!



 難なく回避するフェアタイディゲン!


 でも! それで、コンマでもすきができただろ? だったら!





「フェストゥングの砲撃、舐めて貰っては困りますね。」

 マカロニさんのフェストゥングの肩の大型レーザーレールキャノンが、フェアタイディゲンの右肩部うけんぶかすめる!


 オシイ! でも、この感じなら、今回はイケルぞッ‼





「ケビン! ユリン! 同時攻撃で行くでッ!」



「あいさ、あねさん! 脚部きゃくぶのアリーエルスラスターが使えなくても! 燃費度外視だ! 行くぜ! オサフネ!」

 ラーゼンレーヴェがオサフネを振りかぶる!



「ユリンちゃん! 砲撃! 行っくよ~!」

 エンジェルシードがLライトトライバレルからレーザーをはなつ!



「1機ずつやったら、ぐにさばかれるやろうけど、この連撃で! トライバレル! レーザーソードや!」

 トロイメンカッツェのKGナイトギア部隊の連撃がアウスブレンデンをおそう!



 しかし、ラーゼンレーヴェのオサフネにAアサルトトライバレルのレーザーソードのやいばかわし、いなす!


 もう、切り払うまでもなく、軌道きどうを読んでらしたっていうの⁉



 そのまま、ラーゼンレーヴェが蹴りを叩き込まれ、吹き飛ばされる!

「グッ…ッ⁉ クソッ! コックピットが揺れやがるッ⁉」

 さらに、エンジェルシードのレーザーを盾防御シールドぼうぎょおさえつつ、Aアサルトトライバレルのレーザーをエンジェルシードの右腕部うわんぶに、お釣りとばかりに当てて返す!



「あうッ⁉ スーパー砲撃超人のユリンちゃんが、逆に砲撃を食らっちゃっているッ⁉」

 そのままの流れる様な動きで、Aアサルトトライバレルの先端にレーザーソードを形成し、タイニーダンサーのレーザーソードが振るわれる前に、脚部きゃくぶのグレネードを目くらましにしつつ、頭部バルカンを、キッチリ、タイニーダンサーの胴体部に当ててくる!



「クッ…なんちゅぅ反応速度やッ⁉ それに、こっちの動きを学習しとる! こら、長期戦はヤバい、一気に決着付けるで! みんな、この前と同じで行く! 四方から、1、2の、3で……」





 と、そこで、ミケさんが指示を言い終わる前に、オープンチャンネルで、

「その機影たちッ‼ 見忘れはせんぞッ‼ アヴァドンのミケの極悪ごくあくTSトレジャースティーラーチ-ムのトロイメンカッツェたちだなッ‼ 我等われらの町に、今度はどんな災厄さいやくおこないにたッ‼」

 と、アルセカーナの自警団とおぼしき人が、オイラたちに向けて通信して来たッ⁉





「見たら分かるやろッ⁉ 不甲斐ないオマエらに代わって、この町をおそっとる、この赤いGジェネラル²ギアと戦ったっとるんや! 今回はオマエらと敵対するつもりも何かを奪うつもりもない! まあ、もちろん前にオマエらから奪ったFGファイターギアを売った金を返すつもりもないけどな! そやけどや! Gジェネラル²ギア相手にオマエらやったら荷が勝ち過ぎとる! こっちは個人的に、あのGジェネラル²ギアに恨みがあるんや! オマエらには何もせえへんし、あのGジェネラル²ギアはキッチリ倒したるさかい、オマエらは黙って見とき! 既にアイツにボロ負けしたっぽいオマエらからしたら渡りに船やろうがッ⁉」

 フェアタイディゲンがはな垂直すいちょくミサイルをバックダッシュで避けつつ、ミケさんが巻くし立てる!



「クッ……確かに、それが本当なら、我々としても渡りに船だ。だが、オマエは、アヴァドンとまで呼ばれるほど貪欲に強奪を繰り返す極悪人だ! それに、オマエたちは、既に1度、我々からFGファイターギアを強奪した過去がある! そんなオマエたちをすんなりとは信じられんな!」

 なおも食い下がる自警団の方。


 このクソ忙しい時に、勘弁して欲しいんスけど……ッ⁉





「いちいち食い下がるなぁ……。もし、うちらが本当に強奪しにこの町に来たんやったら、このGジェネラル²ギアがこの町をおそっとる混乱に乗じて自警団倉庫やGギアショップをおそって、既にガッポリ奪った挙句に、もうとっくに逃げとるやろがッ⁉ 逆に言うと、ここで、こうして、この赤いGジェネラル²ギアと未だに戦っとる時点で、うちらが今はこの町から強奪する気がないんが、普通に考える頭があるんやったら分かるやろが! いちいち食い下がって邪魔せんと、そこで大人しく黙って見とき! それと、本当に邪魔やから、うちらが有利になったらオマエらも助かるんやから、センサージャマーも切って貰おうかッ⁉」

 しつこく食い下がる自警団の方に、ミケさんが鋭く切り返す。



「クッ……確かにかなっている……。分かった。こちらとしても、これ以上の損害を出したくはない。オマエたちが、その赤いGジェネラル²ギアを倒してく大人しくこの町から出て行ってもらえれば言う事はない。センサージャマーも、ここは切ろう。だが、少しでも、おかしな挙動きょどうをすれば、後ろから狙い撃つと覚えておけ!」

 と、自警団の方が言い、オープンチャンネルの通信を切る。


 直後、センサージャマーが解除されたみたいで、センサーにフェアタイディゲンと、自警団たちのFGファイターギアの信号がうつる。



「フンッ! 始めっからそうしとったら良いんや! よし! はなしいた! 後は、この赤いのを完膚かんぷなきまでに、メッタメッタにブッ壊すだけや!」

 ミケさんが、フェアタイディゲンにトライバレルのバレットを牽制けんせいはなちつつ、強気にはなつ。





「この化け物Gジェネラル²ギアだけじゃなくて、この町の自警団とも戦う事になったらどうしようと思ったっスけど、話が上手くまとまって穏便に済んで良かったっス。」

 ホッとむねろすオイラ。





「よし、ほなら、さっきの続きや! この前と同じで、1、2の、3で、みんなで四方からレーザー射撃や!」



『了解!』



 ミケさんの号令の下、みんなで、フェアタイディゲンの四方を囲む!

「いくで、みんな! 1、2の、3ッ‼」

 最初に飛んだソルファージュの3連装大型レーザーランチャーを、フェアタイディゲンが、スラスターをかし、回避する!



 次弾で飛んだアウスブレンデンのキャノン砲を切り払う!



 さらに、オイラのはなった遠距離用大型レーザーキャノンが空を切ったところで、四方からミケさんたちトロイメンカッツェの4機のKGナイトギアのレーザー攻撃がフェアタイディゲンをおそう!



 コンマの差で、最初に来た、タイニーダンサーのレーザーを切り払って軌道きどうを変えて回避し、ラーゼンレーヴェのAアサルトトライバレルのレーザーを盾防御シールドぼうぎょというか、シールドふせぎつつシールドすべらせてかわす!



 さらに、エンジェルシードのLライトトライバレルのレーザーの一撃を、背部垂直はいぶすいちょくミサイルで迎撃げいげきして軌道きどうらしたッ⁉


 レーザーをミサイルで軌道きどうらすなんて、どういう防御性能なんだッ⁉



 でも、流石のGジェネラル²ギアでも、そこまで!



 マカロニさんのフェストゥングの大型レーザーレールキャノンの一撃を、最後のあがきで頭部バルカンで迎撃げいげきしようとするが、流石に、これは通るッ!



 フェアタイディゲンの頭部に着弾し、頭部が破裂するッ!



「フランメ! 二刀流や!」

 タイニーダンサーがトライバレルを右腰部うようぶにマウントし、両内腕部りょうないわんぶからフランメと呼ばれた短剣型のつかだけのモノを出し、レーザー刃を出さず、つかのままで両手に一本ずつ握る!



 ミケさんのタイニーダンサー、まだ奥の手みたいなのを隠してたのッ⁉


 でも、レーザー刃を出さず構えるって事は、あのフランメって短剣たち、短剣型のレーザーセイバーなんだッ‼



 しかも、このタイミングで、物入ものいりで出すなんて、アレは、きっと、相当凄い装備のはずッ‼





「必殺! 剣の舞や!」

 タイニーダンサーが、空中で、短剣のつかを両手にそれぞれ逆手に持ち、機体の両腰の位置にえて、上下左右の位置を時計で言うと2時の方角より突撃し、反時計回りに回りつつ、下方8時の方角に右手で横周りに斬る!

 


 効果範囲はレーザーブレードより短いけど、それが逆に、小回りが利く様で、タイニーダンサーの機動性と相まって、斬る時の振り抜きが、めちゃ素早いッ‼


 その上、レーザーの出力は、トライバレルのレーザーソード以上あるんじゃないのッ⁉



「二刀流で、2倍返しや!」

 さらに、地上にりてステップを踏み、フランメを両腰にえた逆手持ちのままで、踊るように反時計回りに回転して、更に左手で横周りに斬り!



「そらそらぁーッ‼」

 今度は回転方向を反対に変えて、左腰にえた左の逆手に構えたフランメで、時計回りに回りつつ左下から右上に斬り!



「これが…ッ!」

 さらに踊るように回転して斬っている途中で、右手のフランメを腰にえるのを辞め、右手をフェアタイディゲンの居る方角に持って行き!


 フェアタイディゲンを真正面に見据みすえる位置まで回転し、そこから左手のフランメも腰にえるのを辞め、したくぐらせるように、6時の方角に回し、さらに3時の方角…右方向に回して、右中央に配置し!



「ホンマの…ッ!」

 そこから右手を逆手のまま、8時の方角から2時の方角……左下から右上に、斬り上げ!


 同時に、左手も逆手のままで、3時の方角から9時の方角……右中央から左中央に、斬るッ!



 剣の舞のフランメの連撃で、フェアタイディゲンの身体ボディーが、大ダメージに悲鳴を上げる様によろけッ‼



「ドヤ顔や…ッ‼」

 最後に、上方から、逆手のまま両手で、下方に×ばつに斬り抜く!


 そして、その斬撃ざんげきの嵐の後に、ドヤッ!と言わんばかりに、決まったという顔をする‼





 既にボロボロだったフェアタイディゲンの胴体部が、×ばつに切り裂かれ、さらにバラバラになるッ‼


 これで決まりだッ‼






「やった! やったでッ‼ やったったでッ‼ これでアイツのせいでお釈迦しゃかにされたFGファイターギアたちの分のサイフも浮かばれるッ‼ やった! やったったんやッ‼ うおっしゃーッ‼」

 歓喜の声を上げるミケさん。



 しかし、そこで、ミケさんのタイニーダンサーにバズーカとミサイルが降り注ぐッ⁉


 虚を付かれた為、PBLHピブレハを搭載した左手が被弾してしまうッ⁉



 うがっ! 何なのよ、一体ッ⁉



「な……何やッ⁉」

 おどろくミケさん。


 そりゃそうだよ! オイラもおどろいているよ!





「ちょっ……フェアタイディゲンを倒したのに、どこから攻撃が来たのッ⁉」

 戦々せんせん恐々きょうきょうとするオイラ。





「やはりはかごとをしていたな、アヴァドンッ‼」

 アルセカーナの自警団の方たちが言いつつ、FGファイターギアに乗ってバズーカやミサイルを掃射そうしゃしつつせまってるッ⁉



「えっ、何でッ⁉ オイラたち、あの人たちの代わりにフェアタイディゲンを倒して、この町を救った、いわば英雄よッ⁉ それが何で攻撃されているのッ⁉」

 おどろきの展開てんかいに、疑問を叫ぶオイラ!



「うちにも分からんぞッ⁉」

 ミケさんも、謎の超展開ちょうてんかいに、おどろきながら叫ぶ!



「でも、何か、凄く敵意を向けられているわよねッ⁉」

 ユリンさんも、おどろきのままに、今の状況を伝えてくる!



「クッ……一体どうなってやがんるだッ⁉」

 いつも沈着ちんちゃく冷静れいせいなバーダック艦長すら、おどろきの声を上げる!





ほかから、この町に着た流しのTHトレジャーハンターから、オマエたちのGSギアシップから、さっきの赤いGジェネラル²ギアが出撃するのを見たと聞いたぞ!」

 と、アルセカーナの自警団の団長とおぼしき方が言って来る。





「うあっちゃー……。」

 ケビンさんが、なげきの声を上げる!



「何で、そんなピンポイントなとこ見ているのッ⁉」

 マジで、何でよッ⁉





 オイラの叫びを無視して、

「きっと、さっきの赤いGジェネラル²ギアと戦っていたのも八百長やおちょう茶番劇ちゃばんげきだったのだろうがッ⁉ 我々が油断したところでGギアを強奪する算段だったのだろうがッ⁉ 姑息こそく真似まねをしおってッ‼ そんな事だろうと始めから思っていたぞッ‼ ダマシ通される前に気付けて良かったわッ‼ アヴァドンのミケと、その手下ども! この町に、1度ならず2度も強奪に来おって! 我々をたばかり、この町をおそったむくいを受けるが良い! 例えオマエたちが高性能なKGナイトギア使いたちだとしても、その腕や足の一本だけでも折ってやるぞッ‼」

 と、自警団の団長と思われる人物が捲くし立てる!





「強烈な勘違いだけど、私たち、叩けばホコリの出てくるとこだし、確かに、この町も前に1回強奪しに来たものね。リーダー、これどうするの?」



「えーい、しゃーない! 売られたケンカは買う主義や! こうなったらコイツらの誤解をホンマにしたる! コイツら殲滅せんめつして、自警団倉庫から奪えるだけFGファイターギアを奪ったるッ‼」

 ヤケクソ気味に、ミケさんがはなつ!





「ちょッ⁉ あのGジェネラル²ギアとの戦闘で消耗しているのに、さらに自警団と戦うとか、マジ勘弁なんスけどッ⁉」

 余りの無謀な展開てんかいに、涙目で叫ぶオイラ!





「ロクスリー君、ちなみに言っとくけど、前にウチらがコイツらからFGファイターギアを強奪する時にコイツら……このアルセカーナの町の自警団たちも下調べしたんやけど、キミのとったファトス村の自警団と同じで、コイツらも新入団員たちをホルモンしとったからな?」

 ミケさんが、あえて敵味方オープン通信のオープンチャンネルで、残酷にも告げる。



「うぇッ⁉」

 戦慄せんりつの声を上げるオイラ。



「ロクスリー君ってリバOKっぽいから、もし彼らに負けて捕まりでもしたら、人気者になりそうだね!」

 と、ユリンがニコニコ笑顔で、凄く楽しそうに言って来る。



「ちょッ⁉ マジそんなの勘弁なんだけどッ⁉」

 そんな展開てんかい、怖すぎるわッ‼





 そのやり取りを見ていたアルセカーナの自警団の団員たちが、オープンチャンネルで、次々に赤らめた顔を見せるッ⁉






 それが、引き金になった。



「何を……」

 ゲズCツイン²カスタム脚部きゃくぶのホバーをオフにし、ライドブレードを稼動させ、舗装された市街地の道を、ブースターをかせ、一番近い自警団のジーナに一気に駆け寄り、レーザーソードで斬り付け、戦線から吹き飛ばす!



「顔を赤らめて……」

 さっきフッ飛ばしたジーナの横に居たガトナスをスタンアンカーでスタンさせる!



「やがんだ、テメェらッ⁉」

 スタンさせたガトナスのさらに横に居たザヌスをレーザーガトリングガンで攻撃する!



「そら、こうなったら、もちろん、ブッするわッ‼」

 叫びながら、同じザヌスに向かって追撃でマカロニさんから借りた遠距離用大型レーザーキャノンを撃って撃墜する!



 そして、距離を取ってマカロニさんのフェストゥングとトニーさんのアウスブレンデン、ユリンさんのエンジェルシードとバーダック艦長たちのソルファージュたちから援護防御を取って貰える位置までライドブレードを稼動させ火花を散らしながら移動する!





「スゴイ……ロクスリーさん……。」

 感嘆かんたんこえらすトニーさん。



「ヒュー! やるじゃねぇか兄弟!」

 ケビンさんが口笛を吹きつつ賞賛しょうさんする。



「いつもちぢこまってやがるが、やれば出来できんじゃねーか!」

 バーダック艦長も、賞賛しょうさんの言葉を述べる。



「火事場のバカ力というモノかもですね。よっぽど嫌だったのでしょうね、アレ。」

 マカロニさんが中指でメガネをクイッと上げながら冷静に言う。



「でも、ムサ苦しい自警団の人たちに無理やりホルモンされるロクスリー君ってシュチエーションも、私的わたしてきには断然だんぜんアリよ? ハァ…ハァ…。ヤバッ⁉ ちょっと想像したらえて来ちゃった……ッ‼」

 と、鼻血をボトボトとながしながら、恍惚こうこつの表情で言うユリンさん。



「ネェーよッ‼ 怖ぇーよッ‼ それだけは絶対にゴメンこうむるッ‼」

 マジ、そんなの、勘弁ッ‼





「ハッ⁉ 出してない! 出してないよ⁉ 花も恥じらう純情乙女のユリンちゃんが、鼻血なんて出してないよッ⁉」

 だから、何でアナタは、それで鼻血がバレてないと思えるのッ⁉





「えーい! 辞めんか、ユリン! でも、ようやったでロクスリー君! これで、自警団たちは浮き足立ったで!」

 と、ユリンさんをとがめつつ、オイラをねぎらうミケさん。





「クッ……。ちょっとタイプだからオープンチャンネルのモニター越しの姿に気を取られたが、もう手加減はせんぞ!」

 自警団の団長さんっぽい人が、ちょっと頬を赤く染めながら言って来る。



「何、ツンデレっぽくなってんのッ⁉ そういうの、マジ辞めてッ‼」

 フェアタイディゲンにせまられた時よりも、恐ろしい気配を感じて叫ぶオイラ。


 この自警団たちからは、ドス黒い畏怖いふを感じるッ‼





「とにかく見た目がゲズだからというところでも油断したが、逆に、今ので、そっちがエースと見た! となれば、外張りから埋めるべきだ! みんな! 他のKGナイトギアからつぶして追い詰めるぞ!」

 と、自警団の団長さんがはなち、



『了解です、団長!』

 と、それに応える団員の方々。





「ええい! 相手はやる気マンマンや! なら! こっちは、相手を完膚かんぷなきまでつぶすだけや! みんな、売られたケンカは買うで‼」

 と、ミケさんがはなつ!





 その言葉が、開戦の合図となった!



「いくぞ、みなのモノ! KGナイトギアたちに向けて一斉いっせい掃射そうしゃ!」

 自警団のFGファイターギア部隊が、バズーカやレーザーライフルや垂直すいちょくミサイルなどを一斉いっせいはなつ!



 さっきの自警団の団長の言葉通り、オイラを無視して、ミケさんたちのKGナイトギア部隊に、その照準を絞ってはなってる!





「クッ…脚部きゃくぶのアリーエルスラスターが死んでいるから……ッ‼」

 いつもなら、アリーエルスラスターの超加速で難なく回避するラーゼンレーヴェだが、脚部きゃくぶのアリーエルスラスターをフェアタイディゲンに損傷させられ使えない為、苦しげにシールドで防御する!





「空を飛べると言っても、オレたちザヌス隊のガトリングの掃射そうしゃの前では!」

 さらに、ザヌス隊のレーザーガトリングガンが、中空のタイニーダンサーに掃射そうしゃされる!



「クッ……さっきの不意の一撃で、左手を損傷したから、PBLHピブレハが使えへん……ッ⁉」

 PBLHピブレハを使えない為、わずかだが胴体部の装甲にガトリングが通る!






「そこの鈍重どんじゅうKGナイトギアコンビ! オレたちがその首、貰い受ける!」

 エンジェルシードとフェストゥングに向かって、ゲズとジーナがバズーカとレーザーライフルを掃射そうしゃしつつせまり、ガトナスがレーザーソードを構えて突撃して行く!



「クッ……こんなに近づかれたら……ッ⁉」



「マズいですね……。」

 フェアタイディゲンと戦っているところを、背後から自警団におそわれたせいで、いつもなら得意の砲撃で敵の接近を許さないエンジェルシ-ドとフェストゥングが、至近距離しきんきょりからおそわれる!





「クッ……ユリンちゃん、近接格闘戦だけは苦手なのに……ッ‼」

 エンジェルシードが、Lライトトライバレルの先端にレーザーソードを形成し、自警団のガトナスに振るうが、至近距離なのに、丸で当たらないッ⁉


 ユリンさんの叫びの通り、ユリンさん、格闘戦は不得手ふえてなんだッ‼





 そのユリンさんのエンジェルシードに、反撃とばかりに、

「喰らえ! 鈍重どんじゅうKGナイトギア!」

 ガトナスが蹴りを繰り出し、エンジェルシードがよろけたところに、スタンアンカーを振るって来る!



 そのスタンアンカーを、ユリンさんが、レーザーソードで何とか切り払う!



「チッ! だが、これで!」

 さらに、ガトナスが連撃で、レーザーソードを振るって来るが、その攻撃を、ユリンさんが、切り払って回避する!



 アレ⁉ ユリンさん、切り払いは、メチャ上手いぞッ⁉


 そのままの勢いで、エンジェルシードがレーザーソードを振るうが、何故か、あさっての方向にはなたれ、むなしく空を切る!


 この人、格闘兵装で防御するのはメチャ上手いけど、攻撃するのは壊滅的かいめつてきに苦手なんだ!





「クッ……ユリンちゃん、大ピンチ! 誰か、ヘルプ~ッ‼」

 ユリンさんが、涙目で、救援コールを送ってくる。



「ボクもショートレンジは得意ではないのですがッ!」

 マカロニさんのフェストゥングが、ショートレンジ用の90きゅうじゅうmmみりめーとるパラベラム機銃きじゅうを、エンジェルシ-ドをおそうガトナスにはなつ!


 いつものフェストゥングの砲撃から比べれば、一見、ショボい攻撃に見えるけど、軽装甲のガトナスにとっては脅威の攻撃!





「クッ……ッ! 弾幕が厚いッ⁉」

 胸部装甲を撃ち抜かれ、たまらず後方に下がるガトナス!



「ユリンさん! マカロニさん! 援護します!」

 トニーさんのアウスブレンデンが、中空からグレネードランチャーを掃射そうしゃする!



「オイラだって、牽制射撃けんせいしゃげきくらい!」

 垂直すいちょくミサイルを展開てんかいしつつ、大型バズーカを掃射そうしゃ


 ガトナスの他にせまっていたジーナやゲズの部隊も、オイラたちの射撃をきらって後方に退避たいひする!





「みんな、ナイス! アリガトね! そこのガトナス! よくもボコってくれたわね! ユリンちゃんから距離を取るなんて、叩いてくれって言っている様なモノよ! その位置は、ユリンちゃんの十八番おはこなんだからッ‼」

 ユリンさんの叫びに呼応して、エンジェルシードのLライトトライバレルのレーザーの一撃がガトナスの脚部きゃくぶおそう!



「グッ……足をやられた!」

 うめくガトナスのパイロット!



「足をやられた格闘戦機体くらい、オイラでも!」

 オイラの遠距離用大型レーザーキャノンの一撃が、ガトナスの胴体部を貫く!



「クソッ! だ…脱出するッ!」

 ガトナスの人が脱出ポッドで逃げる!





「スーパー砲撃超人ユリンちゃん! 本領発揮! 砲撃開始~!」

 ユリンさんのLライトトライバレルのバレットとレーザーが、交互にはなたれ、距離を取ったゲズやジーナの腕部わんぶ脚部きゃくぶに炸裂する!


 これは行けるぞ!







「ケビン! 長期戦は、損傷している、うちらやと不利や! アレ行くで、アレ!」



「了解だ、あねさん!」



 脚部きゃくぶを損傷し、脚部きゃくぶのアリーエルスラスターを使えず苦戦していたラーゼンレーヴェと、左手を損傷し、PBLHピブレハを使えず苦戦していたタイニーダンサーが、敵陣の中央に突入して集まり、トライバレルを構え、背中合わせになり、



合体攻撃クロスアタック! ガンスリンガーパレード!』

 2機揃ってローリングしながら、チャージした偏向レーザーを自警団たちに向かって撃つ!



 タイニーダンサーたちをおそっていたザヌス部隊やゲズやジーナ部隊が、見る見る被弾して行く!





「クッ……何て威力のパルスレーザーだッ⁉」

 隊長機の角突きのザヌスが吠える!



 最初はフェアタイディゲン戦の損傷で苦戦したけど、これなら行ける!


 このまま畳み掛ければッ!







 そこで、

「リーダー、3時の方角から、未知の機体反応多数! こちらに向かって来ます! 数、およそ、50!」

 セリアさんが無茶苦茶な報告をして来たッ⁉



「ご…50ッ⁉ なに、その大部隊ッ⁉」

 余りの無茶な数の報告に戦々せんせん恐々きょうきょうとするオイラ。





「未知の反応が50やとッ⁉ 1部隊で、それだけの数を揃えられる部隊っちゅうのは、今のティアナやと1つだけや! クッ……厄介な奴らが来おった……。」

 ミケさんには、何が着たのか、想像が付く模様。





 と、そこで、3時の方角から、続々とFGファイターギアにしては見かけないGギアの大部隊が到着したッ⁉





 その中の先頭に居たGギアのパイロットが、オープンチャンネルで、

「アルセカーナの自警団の皆様! TSトレジャースティーラーおそわれ、困難な状況ですね? アナタたちが、我等われら新統合しんとうごうへ寄り添って頂けるなら、そのTSトレジャースティーラー我等われらくだし、アナタたちの町を救ってみせましょう!」

 と、言い出したッ⁉





「な…何スか、この人たち⁉」



「新ティアナ統合軍……。15年前の戦争を起こしたティアナ統合軍の流れをむ、げんティアナの最大勢力や。その首領しゅりょうのグランヴァルニア=エルスターク将軍は、洗脳めいたげんを使って人民をたぶらかす。その上で、町や村などへのTSトレジャースティーラーなどの脅威で弱った人々と、『寄り添う』と言って、新統合しんとうごうの言う事を無理矢理に聞く様に洗脳して行くっちゅう性質たちの悪い勢力や! 洗脳した相手からは、金と人的じんてき労力ろうりょくしぼり取れるだけしぼり取り、さらに、自分たちに都合よく従うモノたちには権力を与えて抑制よくせいするっちゅう悪辣あくらつな手段を使う! げんティアナで最大の勢力であると同時に、げんティアナで一番、性質たちの悪い勢力や! Gギアの反応が未知で、目視でも、あんな見た事ないGギアっちゅう事は、あれがちまたで噂されていた新統合しんとうごうの新型の量産型Gギアっちゅう事か……。新統合しんとうごうは、Gギアを自力で量産できる能力を得たっちゅう事や…。なんちゅう厄介な……。」

 ミケさんが苦しげに言って来る。





 今のティアナでの最大勢力って、そんなヤバい相手なのッ⁉


 ちょッ⁉ マジ勘弁なんだけどッ⁉





「クッ……、我々、自警団に、オマエたちの軍門に下れと言うのか⁉」



「そうではありません。これは、あくまでも、アナタ方が我等われらに寄り添って頂けた場合の話であり、その場合、そのTSトレジャースティーラーの脅威からアナタ方を庇護する用意が、我等われらにはある…という話です。そして、アナタたち自警団が我等われらの庇護下に入る事を了承りょうしょうするならば、アナタたちには、特権とっけんを与えよう…という事です…。食糧の優先確保権。住宅の優先確保権。一般市民より1階級上の地位を与える…という用意が、我等われらにはあるという事です…。お判りでしょうか?」

 なッ…⁉ 何言ってんの、この人たちッ⁉





「その、寄り添うという行為をしなかった場合は?」



「それは、アナタたちが決める事です。我等われらは、決して、我等われらの庇護下に入る者を強要しません。しかし、我等われらは、既に、アナタ方、自警団の皆様が、我等われら新統合軍しんとうごうぐんに寄り添って頂ける、素晴らしい回答をして頂けるモノと、確信しております。どうか、御英断ごえいだんを、お願いしたくぞんじます。」





「何、言っているの、この人たち⁉ 口だけ上手いけど、買収話ばいしゅうばなしをする上に、特権とかを餌にして、無理やり従わせようとしてるじゃん…ッ⁉」

 新統合しんとうごうの余りの横暴ぶりに、思わず、目が点になるオイラ。


 何なんだ、コイツらッ⁉ マジで無茶苦茶だッ⁉ 横暴過ぎるッ⁉





「クッ……では、我々自警団が、そなたらに寄り添うという選択をした場合、このアルセカーナは助けてくれるのかッ⁉ 何か他の条件もあるのかッ⁉」



「条件というより、協力要請事項です。アルセカーナのGギアショップなどの商店は、売り上げ金の一部を新統合しんとうごうに寄付頂けるならば、アナタ方、自警団の皆様に、広い敷地を与えます! また、町長が、我等われら新統合しんとうごうと、蜜に連携して頂けると約束して頂けるならば、今以上の地位を与える事、お約束しましょう! 自警団の皆さんにも、同様に、我等われらとこれから、蜜に連携頂けるなら、今以上の地位は、確保しましょう!」

 新統合しんとうごうの部隊長が、メチャクチャな条件を、ツラツラと述べ終わるまで、オイラは、目が点のままだった。



「何度も尋ねるが、貴殿らに寄り添わなければ、我等われらは破滅…という事に相違ないか…?」

 と、自警団の団長さんっぽい人が聞くが、



「それは、アナタ方が決める事と述べた通りです。仮に、ここで、我等われらに寄り添って頂けなければ、アヴァドンのミケに蹂躙じゅうりん……という未来が待ってますが、我らに寄り添って頂ければ、回避できる脅威であると、我等われらは思っております。その上で、更なる待遇も確保いたします……。何を迷う必要がありましょうか?」



「無茶苦茶過ぎる! ミケさんの名の通りを利用して不安をあおって、自警団の皆さんに、自分たち新統合しんとうごうに従わなければ破滅なんて条件、飲まざるを得なくするなんて! こんなの、話し合いって言っているだけで、ただの脅迫きょうはくだ!」

 思わず、叫んでしまうオイラ。


 だって、マジで無茶苦茶なんだもん!


 コイツら、あのスナッチャーザインよりも、よっぽど性質たちが悪い!





「少年…。それは違いますよ? 我等われらは、物事の本質を、分かり易く説いているだけですよ? アルセカーナの自警団の方々にも、アルセカーナの町長の方にも、ひいては、アルセカーナの全住民の方々にも、我等われらに寄り添って頂き、より良い世界を、共に開拓して行きましょうと、我等われらは、提案させて頂いただけ。選ぶのは、アルセカーナの皆さんですよ?」

 と、新統合しんとうごうの、この部隊の隊長らしき、この人物が、ニッコリと、清々しい笑顔で応えて来る。



 その清々しさが、逆に毒づいて感じられて、本当に気持ち悪い…ッ‼



 コイツらからは、ダメ人間なオイラでも、相容あいいれないモノを感じるぞッ‼





「クッ…分った。我等われら、自警団は、新統合しんとうごう軍門ぐんもんくだろう。町長や、ショップ関係者にも、話は通そう。だから、まずは、この極悪TSトレジャースティーラーのアヴァドン共を、倒してくれ!」

 自警団の団長さんが、新統合軍しんとうごうぐんに、かしずくべるッ⁉



「了解ました。この場は、我等われら新統合しんとうごうにお任せ下さい。 TSトレジャースティーラーの皆さん。 このSGソルジャーギア、ダギナスの性能……存分に味わって下さい…!」

 そう新統合しんとうごうの部隊長が言ったかと思うと、新統合しんとうごうのダギナスと呼ばれた、SGソルジャーギアとかいう新種のGギアたちが一気にぜた!




 水平すいへいミサイルを乱射しながら、右外腕部みぎがいわんぶからガトリングガンをはなって接近してくるッ⁉


「クッ…! 脚部きゃくぶのアリーエルスラスターが死んでいるからッ⁉」

 ラーゼンレーヴェが、おそるミサイルを、オサフネで切り払いつつ、ガトリングガンを回避しようとするが、脚部きゃくぶのアリーエルスラスターの超加速が使えない為、回避し切れず、胴体部に、モロに当たるッ⁉



「グッ…! モロに食らってもうとる…ッ⁉」

 中空を飛ぶタイニーダンサーも、PBLHピブレハが使えないせいで、ガトリングの掃射そうしゃで、胴体部が、モロに被弾する!





「ケビン⁉ リーダー⁉ クッ……いま、ユリンちゃんが助けるからねッ!」

 ユリンさんが、Lライトトライバレルのバレットを、ミケさんたちをおそう群れに掃射そうしゃする!


 その攻撃で、ダギナスの先頭の数機が、腕部わんぶや、脚部きゃくぶなどを損傷するが!



「味方陣営への被害を確認! 応戦します!」

 ダギナスの反撃のレーザーライフルの一撃が、エンジェルシードをおそう!



「キャッ!?」

 ユリンさんが、胴体部への攻撃を、右手で庇う!



 しかし、無敵装甲のはずのエンジェルシードの右腕が被弾により、大きくえぐられる⁉



 あのエンジェルシードの装甲を、あんなに損傷させるなんてッ⁉


 あのレーザーライフル、トライバレル並みの出力なのかッ⁉



「食らえ! 鈍重どんじゅうKGナイトギア!」

 ダギナスたちが、エンジェルシードに追撃のレーザーライフルをはなつ!





 その攻撃を、

「ユリン!」

 フェストクングが肩代わりし、レーザーを相殺する!





「マカロニ! サンキュ…」

 ユリンさんが、感謝の言葉を掛けようとした、その刹那!



「レーザーを相殺できてもなぁッ!」

 ダギナスが、両外腕部りょうがいわんぶから、ガトリングをフェストゥングとエンジェルシードに掃射そうしゃする!





「あぅッ⁉」



「クッ…こう実弾で来られては…ッ⁉」

 レーザーなら無敵なフェストゥングも、実弾の雨あられで身動きが取れないッ⁉





 タイニーダンサーが、ラーゼンレーヴェが、エンジェルシードが、フェストゥングが、ダギナスたちのガトリングの十字砲火で、少しずつ、だけど、確実にダメージを蓄積していくッ⁉



「クッ……このままみんながやられるのを黙って見ているだけなんて嫌だ! だったら、オイラが! オイラだってッ‼」

 手近のエンジェルシードとフェストゥングにガトリングを掃射そうしゃするダギナスの部隊に、垂直すいちょくミサイルを射出しゃしゅつ! 大型バズーカを乱射しつつ近づく!



 ミサイルもバズーカも、ことごとく回避されるが、これでエンジェルシードたちへの攻撃が止んだだろ! だったら!



「ユリンさん! マカロニさん! 距離を取って砲撃を! ここはオイラがたてに……」



 と、指示を言い終わる前に。


「はしゃぐな! このカラフルゲズごときが!」

 オイラの攻撃をいなしたダギナスの部隊が、あの超出力のレーザーライフルをゲズCツイン²カスタムのオイラが乗っている胸部コックピット部に直撃させたッ⁉

































「思い出した。死ぬってこんなに痛いんだ……。」

 圧倒的な痛みが身体からだを突き抜ける。

 皮膚が溶ける痛み。

 骨が溶け落ちる痛み。

 眼球が焼けただれる痛み。

 全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体からだの全てが感じる。

 そして、急激な意識フェード遮断アウト……。

 そこでまぶぎる発光はっこうした光景こうけい途切とぎれた。


 一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。

 ボヤけた視界が、徐々に明瞭めいりょうになってくる。

































「ええい! 相手はやる気マンマンや! なら! こっちは、相手を完膚なきまで潰すだけや! みんな、売られたケンカは買うで‼」

 と、ミケさんがはなつ!



 ここからなのッ⁉


 メチャクチャ、前に戻っているんだけどッ⁉



 でも、ここに戻ったって事は……新統合しんとうごうが来るだけで、みって事なんだッ‼





「ミケさん! ここに、新統合しんとうごうの部隊が50機、向かっています!」



「何やてッ⁉」

 オイラの突然の叫びに、目を丸くするミケさん。



「奴らが来たら、フェアタイディゲン戦で疲弊したオイラたちじゃ絶対に勝てないっス! 自警団たちとも、殲滅を目標に戦っている時間的な余裕が無いです! 新統合しんとうごうは、3時の方角から来ます! だから、逆の9時の方角に全力ダッシュ! ミケさんとケビンさんは、まずは、ガンスリンガーパレードで自警団を牽制けんせい! その後、オイラたち後衛と合流! で、ダッシュで逃げるっス!」

 このオイラの発言を聞いて、



「また、ロクスリー君の既視感デジャヴュかッ⁉ 了解や! 君の、そのかんするどさには何度も助けれらてきた! だから信じられる!」

 全幅の信頼を寄せてくれるミケさん!





 しかし、

「ちょッ⁉ ソルファージュ! セリア! レーダーで、それ、とらえれているの⁉」

 ユリンさんが、ソルファージュのセリアさんに矢継ぎ早に聞く!



「いえ、ソルファージュのレーダーでも、まだ、新統合しんとうごうの部隊と思われる反応はとらえれていません!」

 セリアさんが、冷静に状況を報告してくる。





「ちょッ! リーダー! ソルファージュのレーダーでも捉えれてないのに、信じるのッ⁉ こんな混戦中に逃走なんて、後ろから狙い撃たれるだけじゃないッ⁉」

 ユリンさんが、非難の声を上げるが!



『ユリンさん。マスターは、普段は弱腰で、逃げも隠れもしますし、ウソもよくきます。ですが、こういう、ここぞという時にウソをく人ではありません。どうか、マスターを……信じて下さい!』

 38さんぱちが、例の3Dスリーディーアバターの姿で、健気にユリンさんに告げる。





38さんぱち……。」

 その38さんぱちの言葉に、切羽詰せっぱつまっていたオイラの胸が、ふっと軽くなるのを感じた。



38さんぱちちゃん……。」





 ユリンさんが38さんぱちの言葉に、何かを感じた様子を見せた後に、

「そういう事や! ユリン! ロクスリー君の指示に従い! これはリーダー命令や! こうなった時のロクスリー君のかんは、ピカイチなんや!」

 ミケさんが、ダメ押しで、リーダー特権の強制命令を発動する。



「もう! 言い出したら聞かないんだから、リーダーは! 仕方ない! ロクスリー君、私たちの初動の指示は⁉」

 オイラを全面的に信じたかはともかく、なるようになっちゃえ、という感じで、ユリンさんが聞いて来る。





「自警団のFGファイターギア部隊がユリンさんたちの間近にせまっています! ユリンさん、近接格闘戦は苦手って事っすけど、格闘兵器を当てるのは苦手でも、格闘兵器で斬り払うのは得意なんすから、何とか、相手の攻撃を斬り払って回避して下さい! そのあいだに、トニーさんとオイラで、エンジェルシードとフェストゥングに群がる相手を牽制射撃けんせいしゃげき! 距離を取ったところで、ユリンさんとマカロニさんの砲撃でさら牽制けんせい! その後、ミケさんたち前衛と合流! ダメ押しで、ソルファージュの艦砲射撃かんぽうしゃげき牽制けんせい! そのまま、ソルファージュに乗り込んで、全力ダッシュで、ブッチ切りで逃走っす!」

 そこまでのオイラの指示を聞いて、ユリンさんどころか、ケビンさんも、マカロニさんも、ポカンとした顔で、モニター越しのオイラを見る。



「ど…どうして、ユリンちゃんが近接格闘戦、超絶ちょうぜつ苦手にがてなの知っているの、ロクスリー君⁉」

 おののくユリンさん。



「しかも、何で、格闘兵器での斬り払いは上手いって、詳細まで知ってんだよ⁉」

 ケビンさんも、目が点と言った感じで、おどろきの声を上げる。



「これは…ミケさんの判断…あながち間違いじゃないかも知れませんね。実に興味深い。」

 マカロニさんが、中指で、メガネをクイッと上げつつ、真実、興味深そうに言って来る。





「とにかく、皆さん、お願いします!」


「OKや、ロクスリー君! みんなも頼むで!」


「分かったぜ、兄弟! あねさん!」


「ボクも、ロクスリーさんの指示に従います!」


「どうなっているのか分かんないけど、こうなったら、ユリンちゃん、やっちゃうんだから!」


「こちらも、OKです。ミケさんの認めるロクスリー君の能力の片鱗へんりん、見せてもらいますよ!」





 みんなが了承りょうしょうこえげたところで、

「何をゴチャゴチャ言ってやがる!」

 自警団のうち、エンジェルシードの近くのガトナスが、レーザーソードを構えて爆ぜた!





「ユリンさん!」


「了解だよ!」

 エンジェルシードが、Lライトトライバレルのレーザーソードを形成し、ガトナスの一撃を斬り払う!



「トニーさん! オイラと一緒に!」


「了解です!」

 ガトナスを先頭に、エンジェルシードとフェストゥングに向かってきた自警団のFGファイターギア部隊に、オイラのゲズCツイン²カスタムの大型バズーカと、トニーさんのアウスブレンデンのキャノン砲の砲撃が、雨あられと降る!





「クッ…弾幕が厚い!」

 たまらず、後ろに下がるガトナスたち!

 そこに!



「その距離は、ユリンちゃんの十八番おはこなんだから!」

 エンジェルシ-ドのLライトトライバレルのバレットの一撃がガトナスの頭部を破砕する!





「グアッ⁉ 頭部をやられた⁉」

 うめく自警団!





 さらに、

「ボクも忘れられては困りますね!」

 フェストゥングの大型レーザーレールキャノンの砲撃が、後方に下がったFGファイターギア部隊の中のうちの一機のゲズの胴体部を貫通する!





「ケビン! こっちも行くで!」


「あいさ! あねさん!」

 ラーゼンレーヴェとタイニーダンサーが、トライバレルを構え、背中合わせになり、



合体攻撃クロスアタック! ガンスリンガーパレード!』

 2機揃ってローリングしながら、チャージした偏向レーザーを自警団たちに向かって撃つ!


 タイニーダンサーたちに接近していたザヌス部隊やゲズやジーナ部隊が、見る見る被弾して行く!





「グ…ッ!? 何て威力のパルスレーザーなんだッ⁉」

 うめく自警団団長!





「よし、牽制けんせい射撃しゃげきは、こんなモンで良いやろ! ケビン! みんなのとこに行くで!」



「了解だ! あねさん!」

 ミケさんとケビンさんが、後衛のオイラたちに合流!





「バーダック艦長! お願いっス!」



「任せとけ! セリア! 3連装大型レーザーランチャー! 垂直すいちょく水平すいへいミサイル! 発射はっしゃ!」



「了解! 3連装大型レーザーランチャー! 垂直すいちょく水平すいへいミサイル! 発射はっしゃします!」

 ソルファージュの艦砲射撃が、自警団たちをおそう!



 ガンスリンガーパレ-ドで被弾していた自警団たちが、さらに被弾して行く!



「よし、頃合ころあいやね! トロイメンカッツェ、撤収てっしゅうッ‼」



『了解!』

 全員で、ソルファージュに乗り込む!





 みんながソルファージュの甲板に上ったところで、

「ユリンちゃん、ダメ押し! Lライトトライバレル、レーザー、行っくよ~!」

 エンジェルシードが、Lライトトライバレルのレーザーを掃射そうしゃする!



「グ……ッ!? す、見逃すなど⁉ クッ……! アヴァドンッ‼」

 自警団団長が、恨みがましい声を出すが、もう遅い!


 ソルファージュの全速のダッシュで、見る見るアルセカーナの町が遠くなって行く。





 その時、

「リーダー! 3時の方角に、未知の機体反応多数! その数……50ッ⁉ ロクスリー君の言っていた、新統合しんとうごうの部隊の模様ですッ‼」

 新統合しんとうごうの反応に、セリアさんが、緊迫きんぱくの声を上げた!





「凄い…ロクスリーさんの言った通りになりましたね!」


「マジかよッ⁉ ロクスリー、オマエ、エスパーか何かかッ⁉」


「ほ…ホントになるなんて⁉ ユリンちゃんビックリッ⁉」


「ボクがカスタマイズしたとはいえ、ゲズCツイン²カスタムに、ここまでの索敵能力はないはずなのですが、いやはや、これは凄いですね。」

 口々におどろきの声を上げる皆さん。





「いや、そういう話は、後で良いんで! リッドさん! 全速で逃げて下さい!」


「了解、ロクスリー君! ソルファージュ、全速前進!」

 ソルファージュが、一際大きな振動を起こす程に加速する!





新統合しんとうごうの反応ロスト。索敵さくてき圏外けんがいに脱出できた模様。」

 セリアさんがホッとした声で、報告して来る。



「た…助かった……。」

 緊張の糸が解け、脱力するオイラ。



 そのオイラに向かって、

「すげぇ! すげぇよ、兄弟!」


「ロクスリー君、どうしてこうなるって分ったのッ⁉」


「とても興味深いですね。」

 皆さんが、興味津々きょうみしんしんという顔で、モニター越しのオイラをマジマジと見てくる。





「えと……説明が難しいんスけど……」

 と、オイラがしどろもどろになっていると。



「ロクスリー君、前も、説明が難しいって悩んどったけど、うちの見立てやと、ロクスリー君には、危険がせまった時に危険を探知できる、危機きき探知たんち能力のうりょくみたいなモンがあるんかもやね!」

 と、ミケさんが、締めくくる。





危機きき探知たんち能力のうりょく! すげぇじゃん、兄弟!」


「いつも、逃げ腰なイメージだったけど、こんな特技があったんだね!」


「凄いです、ロクスリーさん!」


「非常に興味深い。是非ぜひGギア工学こうがくに応用できないか試してみたいところですね。」

 皆さんが、やんやの喝采かっさいを上げてくる。





「う~ん……そういうのとは違う気がするんスけど、もうそれで良いっスよ。」

 とりあえず、説明はあきらめたけど、皆さんからの余りのめられように、慣れてない為に、気恥ずかしくなって、鼻の下をポリポリくオイラ。





『マスター。私は、マスターを信じていましたよ。ユリンさんや、皆さんも、今回のことで、マスターが、ここぞという時には、ウソを言わない方だと、かってくださったと思います。』



38さんぱち……。悪ぃ! ありがと!」

 中空に浮かぶ38さんぱち3Dスリーディーアバターの頭部を、触れられない事を分かった上で、でてやる。



 すると、本当に触れたワケでもないけど、38さんぱちのアバターが、気持ち良さそうにせた。





「うんうん。ロクスリー君と38さんぱちは、相変わらず仲良過ぎて、ちょいけてまうね!」

 ミケさんが、ニッコリ笑顔で、そう言ってから、



「でも、まあ、ロクスリー君の特技も見られたし、新統合しんとうごうとも距離取れたし、とりあえず、一息ひといきこうか! ブリッジに上がって、セリアに、何か飲みモンでももらお!」

 と、言い出した。





 そのミケさんの一言で、全員、ブリッジに移動。



「おっ! 来たな、ロクスリー!」


「ロクスリー君、凄かったよ!」


「ソルファージュの索敵さくてき範囲外はんいがい新統合しんとうごうの反応に気付くなんて、ロクスリー君、凄いね!」

 ブリッジに着くと、バーダック艦長たちにも、ヤンヤの喝采かっさいを送られるオイラ。




 何か、こんなにめられた事、今まで無かったから、恐縮しちゃうっス。





「まあ、その話は、また後で。とりあえず、セリア、飲みモン頼む。今日は疲れたでぇ~。」

 ミケさんが、ブリッジのリビングスペースのイスに座って、机につっぷして、グデ~っとなる。



「は~い。みんなも、コーヒーなんてどう? ホッと一息ひといきけるわよ?」

 セリアさんのその言葉を聞き、



「じゃあ、オレ、ブルーマウンテンな、セリア!」


「ユリンちゃん、モカ!」


「ボクはエメラルドマウンテンをお願いします。」


「セリア、オレにはグアテマラ、エスプレッソで頼むわ。」


「セリアちゃん、ボク、キリマンジャロで。」


「ぼ…ボクは、何でも良いです。」

 次々に皆さんが、セリアさんに注文を頼む。



「あ、じゃあ、オイラ、スマトラで。」

 オイラも、お願いしてみる。



「はぁ~い。みんな、順番ねぇ~。あ、これ、リーダーに。」

 セリアさんが、1つのカップを手近に居たトニーさんに渡す。



「これは……? ホットミル…ク…? ……にしては、ぬるいですね?」


「ミケはコーヒーが苦手なんだ。その上、猫舌ねこじたている。てのコーヒーが飲めんとは、人生の半分をぼうっているようなモンだってのに、うちの姫さんのお子様舌こさまじたと来たら。」

 バーダック艦長が、ヤレヤレという感じで、大げさにかぶりをる。



「ほっとき! うちが、何が苦手でも、アンタに迷惑掛けてへんやろうが!」


「ハッ、こんな事で、カッカ来るなんて、やっぱりお子様だな。これからは姫さんじゃなく、オシメ様と呼んでやろうか?」


「ムキー! おっさん、いっぺん、そのヒゲ引っぺがして、特徴の無いのっぺりした顔にしたろうかッ⁉」



「まあまあ、リーダー。艦長。せっかくセリアちゃんが入れてくれた飲み物が冷えちゃうよ?」

 ヒートアップしたお二人を、リッドさんが、いなしてくれる。





「むっ…コホン。オレがてを飲めなくてどうするって事だよな。」


「ま…まぁ、ぬる目が好きやけど、冷めるんはあかんな。」

 お二人が、ほこおさめてくれました!



 リッドさん、スゲー!


 普段、影薄いけど、ここぞっていう時に、めてくれる方だったんだ、この人!





「はい、ロクスリー君。スマトラだよ。」

 セリアさんが、コーヒーを渡してくれる。



「あ、はい。……うん? いま、ふと思ったんスけど、あの……アルセカーナの町に新統合しんとうごうが行ったって事は、もしかして、アルセカーナの自警団は、新統合しんとうごうにオイラたちの事を報告しちゃったりしているんしょうか……?」

 ふと、嫌な予感に、背中が寒くなる。



十中八九じっちゅうはっく、報告されて、指名手配されとるやろうね。」

 ミケさんが、あっけらかんと言う。


 だけど、それってッ⁉





「うがッ……ッ⁉ 最ッ悪ッ‼ 一部隊で50機ッ‼ しかも、ソルファージュのOSオーエスでも分からない未知のGギアで構成されているっていう勢力の人たちに目を付けられたなんて、最悪過ぎるッ‼」

 叫ぶオイラ!


 ちょッ!? マジ勘弁‼





「いまさら、何、言っているのよ、ロクスリー君? ロクスリー君には、『ロクスリー君が、私たちトロイメンカッツェのエースパイロットだ』っていう情報が流れて、新統合しんとうごう要注意人物ようちゅういじんぶつとしてエース待遇たいぐうむかえられるっていう素敵プレゼントも、れなくいてるんだよ?」

 ユリンさんが、嬉々として、ニッコリ笑顔で告げるッ⁉





「うがッ‼ 最ッ悪ッ過ぎて気が遠くなるッ‼」

 涙で前が見えませんッ‼





「まあ、今日ので、兄弟はヤレば出来るって分かったし、何とかなんだろ?」

 ケビンさんも、ニコニコ笑顔だッ‼



誤解ごかいからまれた誤情報ごじょうほうとは言え、新統合しんとうごうから、要注意人物ようちゅういじんぶつとして注目されるなんて、ハクが付いたってもんだ! 良い事じゃねぇか?」

バーダック艦長も、人ごとだと思ってッ‼



「まあ、あきらめ。いざとなったらウチらがフォローしたるしな。」

…ミケさんがめの言葉を告げる……。

































 ああ、天国の父さん、母さん。


 オイラは、今日、故郷の人たちから指名手配された人から、ティアナで一番凄いちばんすごいとこから要注意人物ようちゅういじんぶつとして指名手配された人に、クラスアップしました。


 全く嬉しくありません。


 涙が出ちゃいます。


 これからオイラ……本当に……どうなっちゃうの…ッ⁉

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る