第2話
「あぁ…ああぁぁぁ…ッ⁉」
絶望! 圧倒的絶望!
もうオイラ、普通の生活には戻れないんですよ⁉
故郷の人たちに指名手配されているんですよ⁉
「あぁ…ああぁぁぁぁ…ッ⁉」
『マスター。奇声を発するのは、それで本日で13回目ですよ?』
「ああッ! もうッ!
いつまでもピィピィ言っとらんと
オイラの目からは涙が溢れチョチョ切れている。
オイラが飲み込むには重すぎる現実に
ミケさんが
すぐに意気投合して、今に至るワケで。
「二人共、人ごとだと思っているから、そんな冷静なんスよ!
自分の故郷の村の人たちに指名手配されるなんて、
当事者になったら自殺モノっスよ⁉」
「まあ、確かに、なかなか無い事やろうけど、
なってもうたもんはしゃあないやん。」
『マスター、今の現実を受け止め、過去ではなく、
これからどうするかを考える方が建設的ではではないかと進言します。』
「いや、まあ、そう言われると、そうなんスけど…。」
オイラ、現在、
村人Aから新米極悪
うん、無理。ヘビー過ぎる。
でも、ヘビー過ぎるからこそ、
あんまりマイナスばっかり考えていたら、
これから訪れるだろうもっとヘビー過ぎる現実に、
押しつぶされそうだなとは思う。
うん、
確かに、
やっていられないかも。
「分かったっスよ!
とりあえず、今は、
うちの村の自警団から少しでも逃げましょう。」
「お、やっと落ち着いたね。
まあ、
くよくよ後ろ振り返りながらやっとったら勤まらんからね。
そういう風にふっ切るのが良いで。」
モニター越しに、ミケさんが、ニッコリと笑顔を向けて来る。
うわ、この人、普段から可愛いけど、
笑うと150%くらい
この笑顔は反則級です!
オイラがニヘラぁっと鼻の下を伸ばしていると、
『マスター、元から締まりのない顔が、
まだファトス村の自警団の勢力圏内です。
気を抜くには早いですよ?』
と、
「分かったよ!
細かいなぁ、
『マスターがノンキ過ぎるだけです。』
そのオイラと
「君ら、息合っとるね。
仲良し過ぎて、ちょっと
と、ミケさんがニコニコ笑顔のまま言って来る。
「まあ、長い付き合い…『いえ、ただの腐れ縁なだけです。』」
オイラの言葉に、
「うぉい
せっかくオイラが良い感じにオイラたちの仲を説明しようとしたのに、
何よ、その
『事実を述べたまでです。』
「ぐぬぬ…。」
「フフ…。
ホンマ仲が良いんやね、君ら。」
ミケさんがモニター越しにニコニコ笑顔のままウィンクしてくる。
ヤバッ、これは見惚れちゃう。
何て破壊力なんだ。奴の性能は化け物か⁉
と、そんな事を思っていると、
「っと、そろそろ合流するかな。」
と、ミケさんが言って来る。
「合流っスか?
そういえば、ミケさんは、
何で、お仲間さんと一緒に逃げてないんスか?
お仲間さんと一緒に行動していた方が安全なんじゃないっスか?」
当然の疑問をミケさんにぶつけてみる。
「チッチッチ。
うちは
ミケさんが指を左右に振りながら答えて来る。
「
想像してない答えが返って来て、
オウム返しに返してしまう。
「まず、ファトス村の自警団の昼食に下剤を入れる。
これで、大半の自警団は腹を下して行動不能や。
けど、何人かは昼食をまだ食べてなくてピンピンしとるやろう。
そやからや、
うちが一番目立つこの
ワザと目立つ様に盗む。
そして、ワザと分かりやすい逃走ルートで逃げる。
これで、ピンピンしとる奴らも、うちを追い掛けてきて、
自警団倉庫は腹下して行動不能になったやつらしか残っとらん。
そこで、うちの仲間が自警団倉庫の
安全に全部かっさらうって寸法や。」
ミケさんが、悪戯をした時みたいな顔をして、親指を立てて来る。
「ふぇ~。」
そんな事をしていたんだ。
ミケさんは自称有名人との事だけど、
ここまでの事を考えられて実行に移せるっていうのは、
本当に有名になるほど凄い人なのかもって思わせられる。
「で、うちを追い掛けて来た自警団も、
うちが事前に仕掛けたスタンネットで一網打尽、
…ってアンバイのはずやったんやけど
…ロクスリー君に見抜かれてもうて、
あの時は
ロクスリー君、良い目しとるよね。」
「いや、アレは、目が良いとかっていうより、
一度体験したからというか…。」
「うん? 一度体験した?」
「何か、オイラ、
あの場面で一度失敗して死んじゃって、
生き返ったら、あの場面からで、
既に体験したから、どこにスタンネットがあるのか分かったっていうか…。」
このオイラの発言を聞いて、ミケさんが、う~ん、と唸る。
「
始めて見たはずやのに、
前に見た事がある様な気がするって奴やね。
まあ、ロクスリー君は、感が良いんやろうね。」
「う~ん…。
それにしては、リアリティーあり過ぎな気もするっスけど?」
「
人によったら、間違いなく昔に体験した、
って思う事もあるそうやし、
ロクスリー君も、そういう感じなんちゃうかな?
まあ、何にしても、感が良いのは、使えるよ。
その鋭い感、これからはうちらの為に使って貰うで?」
「まあ、こんなオイラなんかで役に立つならOKっスよ。」
「うん!
ありがとうやで、ロクスリー君!」
そうホコホコ笑顔をミケさんが向けてくれるが、
……うん? …あれ?
「ミケさん?
今、思ったんスけど、
うちの村の自警団は、
さっきの副団長さんたちはノックアウトですし、
それ以外の方々は下剤で腹を下してダウンしてて、
のたうち回ってる間に、
ミケさんのお仲間さんたちに、
自警団倉庫に残ってる
目の前で全部盗まれたんですよね?
なら、オイラたちを追って来る
無いんじゃないですか?
実は、もう、こんな急いで逃げる必要、無いのでは?」
ふと湧いた疑問をミケさんに投げるが、
「確かに、自警団の
うちらを追って来れる人員も、さっきの副団長たちくらいや。
でもな、一寸の虫にも五分の魂って言ってな、
そういう、やられたい
戦力の
村の一般の人たちが使っとる
FG《ファイターギア》用の武器を無理やり装備したりして、
撃墜されるのを覚悟でも相撃ち狙いで特攻とか、
悔しさの余り無理やりでもしかねんねん。
その上、戦況を見て、
うちの仲間たちの慣れた
扱いに慣れてへんこのシュタイガーンバオアーを狙ってきよったりして、
少しでも噛みついて傷跡を残そうとするもんなんや。
そうなったら、負けんにしても、こっちも損害が大きくなるからな。
行動は大胆に、アフターケアは入念にするもんなんや。」
と、思ってもみなかった上、
本人の言うように凄い入念な答えが返ってきて、
「ふへぇー……。」
その考えつくされた油断ない対応の話に呆然としてしていると、
「っと、でも、そうは言ったけど、
そろそろ仲間も
全部盗んだ上で、合流してくれる頃やね。
まだ合流予定ポイントは、ちょっと離れてるけど、
そろそろ緊張も少しは緩んでええかもやね。
よし!
ほんなら、仲間と合流して、
仕事の打ち上げとロクスリー君の入隊祝いを兼ねたパーティーで乾杯や!」
ミケさんがモニター越しに、
手を上に付きあげて笑って言って来る。
そこに。
「残念ながら乾杯はできそうにないぜ?
ミケ=スターライトさんよぉッ⁉」
いきなり誰かが、こちらに通信をして来る⁉
『マスター、前方に機影多数。
こちらを囲む様に
「うぇ…ッ⁉
な…何なのッ⁉」
うろたえるオイラ。
「誰やッ⁉」
今までのニコニコ笑顔から一転して、
強気な瞳でキッと前方を
「ザイン=ウォルナス……ッ!
アンタと同じ
名乗って来た相手が、ワザワザ通信で姿を見せてくる⁉
金髪オールバックで浅黒い肌!
見るからに係わり合いになりたくない
「ラフィンスカルのスナッチャーザインか……ッ⁉」
名乗りを上げて来たザインさんとかいう人に
相手の
「何スか⁉ 知っている人なんスか⁉」
ミケさんで
どういう相手なのかと、怯えながらオイラが聞くと、
「ラフィンスカルっちゅう、
相手が弱いモンやったら、
自警団からやろうが、
同業の
リーダーのザイン=ウォルナスの、その見境ない盗み具合から、
付いたアダナが、横取りザインっちゅう意味で、スナッチャーザイン!
こいつの悪名は、よう聞くで。」
ザインさんたちの事を解説してくれつつ、
って、何ッ⁉
その関わり合いたくない度MAXの相手ッ⁉
「おいおい、
自分は
総強奪件数1057件。今日のを入れれば1058件。
そのどれもが徹底的に盗めるだけ盗み尽くされていて、
強奪した
その貪欲な強奪ぶりから、付いたアダナが、
底なし沼の魔王のミケという意味で、アヴァドンのミケ!
アンタの噂も良く聞くぜ?」
ザインさんとかいう人が半笑いで言って来る。
「な…何か、
ミケさんの方が凶悪そうなアダナじゃないっスか…ッ⁉」
「う…うるさいな!」
ミケさんがちょいキレ気味で言ってくる。
相当、このアダナ、嫌なんだろうなぁ。
「おうおう、オレを無視で盛り上がっちゃってまぁ。
けど、オレがここに来た用件は、何となく察しは付くだろ?」
ザインさんが笑いながらも鋭い目つきで、こっちをねめつけて来る。
「強奪したばかりで不慣れなこの
横から奪おうってやろ?
けどな、そうそう上手くはいかへんっちゅうねん!
いま、仲間に救難信号送ったからな!
確かに、今のうちらやったら厳しいかもやけど、
直ぐにうちの仲間が駆けつけてオマエなんかコテンパンにしたるからな!」
不利な状況ながら、強気の発言を貫くミケさん。
そのミケさんのタンカを聞いて、
「ほうほう。
言うね、言うねぇ。
けど、それはそれまでオマエたちが
野郎共、このお嬢さんに、世間の厳しさってモノを教えてやりな!
上機嫌で部下の人たちに命じるザインさん。
「ヒーヤッハー! 了解だ、ボス!」
「オレが特別報酬を頂いちゃうぜ!」
「いや、オレが貰うんだよ! へへへ!」
6機ほどの
ヒャッハーな部下の皆さんたちが、
いやらしい笑いを浮かべながらこっちに向かって来る⁉
『マスター、敵部隊、
こちらを囲みつつ
接近して来ます。』
ちょ…まっ…⁉
「ど…どど…どうするんスか、ミケさんッ⁉」
敵、群がる、群がる。オイラ、ビビる、ビビる。
「不慣れな機体の今のうちらやとコイツらの相手もムズいけど、
うちの仲間さえ来てくれたら、
こんな
そしたら、うちに
逆にアイツらの
ミケさんが鼻息も荒く言って来る。
「いや、意気込みは分かるっスけど、
具体的にどうするんスかッ⁉」
「とにかく、時間稼ぎや!
とりあえず、そこの林の茂みに逃げ込んで
林の中に居れば、多少は敵の攻撃を木々が
そう言って、早速、林の方に向かうミケさん。
「りょ…了解っス!
だから、何とかして下さいっス!
オイラの力じゃ、こんなヤバそうな人たちの相手なんてムリっスから!
マジ、お願いっス!」
涙目でミケさんにすがるオイラ。
「
伊達に魔王の名は付けられてへんって事を見せたる!」
オイラの泣き声にミケさんが強気で断言する。
何て頼もしい!
林の茂みに身を潜め、ザインさんの部下たちを
「ロクスリー君!
当たらんで良い、とにかく相手の足止めや!
近づかさん様に弾幕を張り! うちも行く!」
そう叫ぶなり、
ミケさんはシュタイガーンバオアーのレーザーライフルを乱射する。
「了解っス!」
オイラも、ゲズのバズーカをザインさんの部下たちに向かって乱射!
オイラの
「フッ…フフフ…ハハハ…ッ!」
奥の方で、急にザインさんが大爆笑し始める。
「何や? スナッチャーザイン? 気でも触れたか?」
ミケさんがザインさんを
「いや、なに、嬉しくてねぇ。
オマエたちがオレの仕掛けにマンマと掛ったのが嬉しくてねぇッ!」
そうザインさんが言ったかと思うと、
「ヒャハハ!
「特別報酬はオレのモノだ!」
ザインさんの部下たちが、
オイラたちの後ろからも現れて、
完全に四方を囲まれる⁉
「なっ⁉」
ミケさんが
「ど…どうなってんスか、ミケさん⁉」
「クッ…マンマと、この場所に誘い出されてもうた!
うちらがセオリー通り、
林を
うちらがここに来たら囲める様に部隊を
ミケさんが苦しそうに言う。
「フフフ…ハハハッ!
その通り! だが、まだあるんだぜ?」
ザインさんが笑いながらも目をギラつかせる!
すると、林の上からネットが落ちて来るッ⁉
「ウガッ…マジで⁉
今日、2回目なんだけどッ⁉」
スタンネット! まさかのスタンネット!
絡みついたネットが電気を流し、
ゲズとシュタイガーンバオアーのジェネレーターを麻痺させる!
「クッ…ネットまで仕掛けてたやなんて…⁉」
ミケさんが
「へへへ…
ザインさんの部下が近寄って来て、
なされるがままにミケさんのシュタイガーンバオアーが運ばれる。
「コイツどうする?」
オイラのゲズをザインさんの部下の皆さんが
「ゲズなんか
バラしゃ良いんじゃね?」
「へへ…じゃあ、オレやる! オレやる!
一度、パイロットごと、
やってみたかったんだよな! へへへッ!」
ザインさんの部下の皆さんが
「ちょっ⁉ ま…タンマ…⁉ ミ…ミケさん…! 助け…」
そこで、全身に衝撃を感じた。
ザインさんの部下の一人のゲズが、
オイラのゲズのコックピットに向けてバズーカを直撃させた衝撃が、
全身を貫いたんだ!
「思い出した……。死ぬってこんなに痛いんだ……。」
圧倒的な痛みが
皮膚が溶ける痛み。
骨が溶け落ちる痛み。
眼球が焼け
全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを
そして、急激な
そこで
一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。
ボヤけた視界が、徐々に
「とにかく、時間稼ぎや!
とりあえず、そこの林の茂みに逃げ込んで
林の中に居れば、多少は敵の攻撃を木々が
そう言って、早速、林の方に向かうミケさん。
「良かった! ここからなら、まだ何とかなりそう!」
何とかマシなところに戻れた事にホッと一息付くオイラに、
「な…なんや、ロクスリー君ッ⁉ また文脈おかしい事を言い出してッ⁉」
ミケさんが、
ノンキにそれに付き合う気はない。
だって、既にオイラたちの後方には、
ザインさんの部下たちがオイラたちを囲む為に、
「ミケさん、強行突破! 強行突破です!
そこの林にはスタンネットが仕掛けてあるし、
もうオイラたちの後ろからもザインさんの部下が、
林で
だから強行突破で囲まれる前に逃げて、お仲間と合流っス!」
「な…ッ⁉」
ミケさんが
直ぐに林へのダッシュを辞め、ザインさんたちとの間合いを計る!
そこで、
「何で分かったんだ、アイツ⁉」
ザインさんの部下の一人が、
それを見て、ミケさんが、
「またロクスリー君の
いや、それは良い!
ザインの部下も
本当に、うちらの後方にザインの部下が
OKや、強行突破で行く!
けど、前面に出るのは愚の骨頂や、
林と反対の西部の荒野を突っ切って逃げるで!」
ミケさんがテキパキと指示を出す。
「OKっス! 突っ切るっスよ!」
オイラたちを追っていたザインさんたちの部下が、
逆にオイラたちに
撃墜する気はない。
当たらなくても振り切れるだけのめくらましが出来れば問題ない!
「そこをどきッ!」
ミケさんが
「被弾したくなかったらどけッ! 当たると痛いぞッ!」
オイラもミサイルとバズーカを乱射!
いきなりの反撃に面食らったザインさんの部下たちが隊列を乱す。
そこをミケさんのシュタイガーンバオアーを先頭にオイラたちが突っ切る。
「やったっス! ザインさんたちの戦列を越えたっス!」
喜びの声を上げるオイラ。
「やね!
後は、うちの仲間が来るまで逃げ切って……」
ミケさんも、ホッとした表情を浮かべたが…⁉
「甘いんだよ!」
ザインさんが
『マスター。前方から敵増援。』
「マジでッ⁉」
前方からジーナの部隊が
「仮にもアヴァドンを狩ろうってんだ。
これくらいの準備はしているって事さ。
さぁ、野郎共、舐めた真似をしてくれたお嬢さんたちに、
しつけをしてやりな!」
そのザインさんの声を聞いて、
「へへへ…
「ヘッ、特別報酬はオレのモノだ!」
ザインさんの部下のヒャッハーな皆さんが、
こっちにバズーカやレーザーライフルを撃って来る。
「ちょっ…ま…たんま…」
あぁぁ……回避が間に合わない!
「いやじゃぁぁぁー!」
何とか
「クッ…コックピットがガンガン揺れる……。」
ミケさんも
「ちょっ…み…ミケさん!
降参! 降参しましょう!
命あっての
涙目でミケさんにすがり付くオイラ。
だけど…。
「アカン! アカンのや!
この
何か
「おいおい、状況を見て言えよ?
嬢ちゃん状況が見えねぇのか?」
ザインさんが、半笑いで呆れた様に言ってくる。
「そ…そうっスよ…!
明らかにオイラたち劣勢っスよ⁉
もうどうにもなんないんスよ⁉」
涙目でなだめるオイラに、
「それでも何とかせなあかん!」
マジで言ってる、この人⁉
「嬢ちゃん、状況を見てモノを言えって言っているだろ?
部分パーツだけでも高値が付く。
あんまり抵抗が激しい様なら、
オレは
ザインさんが半笑いながらもギラ付いた目で
「それでも!
うちは、この
「み…みみ…ミケさん⁉」
ちょっ…意固地にも程がありますよッ⁉
「
ザインさんの言葉にオイラの叫びを重ねる。
「あん?」
ザインさんが
「オイラは! オイラは降参するんで!
オイラだけは助けてくれないっスか⁉
何なら、ザインさんの部下になっても良いんス!
オイラだけは助けて下さい!」
涙を目に
「ちょっ…
ミケさんが
「命あっての
オイラはこんなとこで死にたくないの!
その為なら、オイラは、靴を舐めろと言われたら舐めて生きるっス!」
必死のオイラに、
『マスターは最低だと判断します』
と、
「最低で良いよ! オイラ、また死んで痛くなりたくないの!」
オイラが必死に説明していると、
「勝手に盛り上がるなよ小僧!
ゲズなんか売っても
こっちはオマエのせいで多少なりとも被害が出てんだ!
落とし前を付けるためにも、オマエはキッチリ撃墜してやんよ!」
と、ザインさんが無常にも言ってくる。
「そ…そんなぁ……。」
万事休す…。まさかオイラの人生、ここでデッドループしちゃうの⁉
「野郎共、一斉ミサイル射撃!
バカなクズゲズも、
いちいち手間取らせたバカへの手向けだ!
このクズゲズを撃墜した奴にも、
金貨2枚の追加報酬だ!
しっかり稼げよ!」
ザインさんが一斉攻撃の指示を部下の方たちにする。
「ヒャハッ! 了解だぜ、ボス!」
「
「じゃあ、オレは
クズゲズの方を頂くか!」
ザインさんの部下の皆さんが、
下卑た笑いを浮かべながらミサイルを発射して来る。
「クッ…
ミケさんがシュタイガーンバオアーの
無理っしょそれ⁉
さすがに物量が違いすぎるっしょ⁉
「ああぁぁぁぁ……。」
オイラが恐怖と絶望から目をキュッと閉じた時に、
『マスター、
左舷よりミサイル以外の熱源、
こちらに急速接近。』
と、
「うぇっ⁉」
その
オイラが
目の前でザヌスと、おぼしき
オイラたちに向かって飛んできたミサイルを、
レーザーブレードで切り払っている場面だった。
「なっ…ッ⁉」
ミケさんも
ザヌスが、こっちに飛んできたミサイルを、
シュタイガーンバオアーへ飛んだモノと、
オイラのゲズに飛んだモノの中で、
機体に着弾しそうなモノだけ、全弾切り払った⁉
「な…なんだコイツ⁉」
「ど…どうなってんだ⁉」
ザインさんの部下の皆さんが口々に
「テメェ、一体、何モンだ⁉」
ザインさんがザヌスのパイロットに問う。
「
ザヌスのパイロットの人が
その声は、透き通っている感じで耳に残る青年の声。
通信で姿も見せており、
そこに映る、その姿は、
ロングの白髪で長い髪をポニーテルに
上も下も白一色の服を着た端正な顔の超イケメン。
「この人が、ミケさんの言っていた、お仲間さんなんスか?」
オイラが、助かった
しかし…、
「いや? 始めて見る相手やで?
ロクスリー君の知り合いやなかったん?」
と、逆に聞かれる。
「え…? あれ…?」
オイラが悩んでいると、
「大丈夫ですか、お嬢様?」
と、白髪の人がミケさんに言ってくる。
「ああ、ピンピンしとるで。
まあ、アンタが来てくれへんかったら、
ヤバかったけどな。」
と、笑顔でミケさんが答える。
「お助けに参るのが間に合って良かったです。
男の方は、まあ適当にな。」
「何か扱い違わなくないっスかッ⁉」
何か、ミケさんにだけ丁寧で、
オイラ、ぞんざいに扱われてないッ⁉
「ええい!
何だか良く分からんが、
野郎共、まずは、
そのしゃしゃり出てきたザヌス野郎から片付けてしまえ!」
ザインさんが部下の皆さんに号令を掛ける。
「了解だ、ボス!」
「舐めた
部下の皆さんがザヌスの人に
「ザヌスは砲戦用
格闘戦は苦手だろ?
オレがナマス切りにしてやるぜ!」
部下の皆さんのうちの一人のジーナが、
ザヌスにレーザーアックスを振るう。
けど、ザヌスに当たったと思ったその一撃は…⁉
「
何故か、ザヌスの
あれ?
いま、確かに当たった様に見えたのに、どうなってんの⁉
「何をやってんだッ⁉
そんな
ザインさんが苛立ちながら叫ぶ。
「野郎…ッ!
妙な動きをしやがるッ!」
ザインさんの部下のジーナが、
再度、ザヌスにレーザーアックスを振るうが、
相変わらず、当たった様に見えたのに、何故か回避されている。
「クッ…何でだよ⁉
何で当たったはずなのに当たらねぇ⁉」
ザインさんの部下がレーザーアックスをブンブン振り回すが、
いっこうにザヌスに当たらない。
「気は済んだか?
では、こちらからも行くぞ?」
ザヌスの人が、白い
構えたのに、
ああ!
アレ、多分、レーザーセイバーって奴だ!
レーザーブレードのレーザーを、
高出力に圧縮して保全しておいて、
インパクトの瞬間のみに剣状に
本体
インパクトの瞬間しかセイバーの
燃費が凄まじく良いらしい上、瞬間的にしか使えない代わりに、
その一瞬に出力を絞る為、大出力で威力も凄まじいって聞く。
でも、その性質上、取扱いには高い操縦能力が求められるとも聞くけど……。
って事は、この人、相当できる人ッ⁉
てか、それなのに、
何で砲撃戦用重装甲
乗っているんだ、この人⁉
とかオイラが考えているうちに……。
「
ザヌスの人が斬り付け…たんだけど……⁉
な…何か…
ブレる様な…変な
そのブレる様な
ザヌスの前のジーナが、回避もままならず、目にも止まらぬうちに、
胴体を両断されていた。
「ばっ…バカなッ⁉」
ジーナの人が脱出ポッドで逃げる。
「何やってんだッ⁉
そんな
ザインさんが苛立ちながら叫ぶ。
「クッ…ザヌスで格闘戦をしようなんて、
そもそも運用方法が間違ってんだよッ!」
ザインさんの部下のガトナスが
「
ザヌスの人が、
「クッ…コイツッ!」
「舐めるなよ、テメェ!」
その言葉に、ザインさんの部下の皆さんがブッツリ切れて、
しかし、さっきのジーナの人の様に、
明らかに攻撃が当たったはずなのに、
何故かザヌスに攻撃が当たらない!
「す…凄い…何モンやねんや、あの兄ちゃん⁉」
ミケさんすら
「では、こちらも行くぞ?」
ザヌスの人がレーザーセイバーを……。
「
何か、ザヌスの人が言って…振るう…。
けど、明らかに間合いの外でブンブン振るって…⁉
って……アレ…ッ⁉
「ど…どうなっている…⁉
何で攻撃が届くんだ⁉」
ザインさんの部下のガトナスの人が
いや、オイラも
だって、明らかに、
間合いの外から
ガトナスの左腕が切り離されているんだもん!
ど…どうなってんのッ⁉
「気を抜くな。
まだ終わりではないぞ?」
ザヌスの人の
ガトナスの左腕に続いて右腕も切り落とされる。
「ひぃッ⁉
ガトナスの腕が!
オレのガトナスの両腕がぁぁぁッ⁉」
「貴様は
ザヌスの人が瞬く間にガトナスの胴体を真っ二つにする。
「ひっ⁉ ひぃーッ⁉」
ガトナスの
「な…なんだ…今の⁉」
「こ…コイツ…普通じゃねぇッ⁉」
ザインさんの部下の皆さんが、
「え~い!
そんな鈍重機体1機に何をやっている⁉
どけ! オレが直々に相手をしてやる!」
部下たちが一方的にやられるのを見て、
ザヌスの人の方に突撃して行く。
「来い。
私は倒せんと
ザヌスの人が、クイクイっと右手で
「野郎! 舐めやがって!
このオレ様と、この
そんな余裕が続くと思うなよ⁉」
ザインさんのブッサルトとかいう
手に持ったレーザーバズーカ…、
レーザーライフルを、大口径にした射撃兵器を乱射しながら、
肩の実弾のロケットランチャーも連発しつつ近づく。
それを、ザヌスが、
何故か全弾回避。
「クッ…なんだコイツ⁉ 動きがどこかオカシイぞッ⁉」
ザインさんが
実際に対峙して、ザヌスの人の異常性に気付いた様子。
「クッ…だが、格闘戦に持ち込めばザヌスごとき!」
ザインさんのブッサルトが、
ザヌスに向かってレーザーソードを振るう。
しかし、
ザヌスに当たったはずのその
すり抜けている様に、何故か当たってない!
「ど…どういう事だ?
何故、当たったはずなのに当たっていない⁉」
「貴様は、今までの
そして、相変わらず、
ブレる様な
「クッ…なんだッ⁉ 動きが妙だぞ…ッ⁉」
「その上、
ザヌスの人の
ザインさんのブッサルトが、
ギリギリで
あ…あの
で…でも…どうやって伸びているんだ⁉
「クッ…この
テメェのタネ、何となく分かったぞ!
テメェ、変な動きで間合いを見誤らせているなッ⁉
テメェ、アライン流とかいう、
レナス=アラインとか言う奴だろッ⁉」
ザインさんが
なるほど!
あのザヌスの人は、何か特殊な動きで、
オイラたちに間合いを見誤らせて、
攻撃が当たった様に見せて当たらせず、
逆に自分の攻撃も見誤らせて回避させない様にして、
その上、
届かせるという
でも、アライン流? レナス=アライン? 誰じゃらほい?
「聞いた事があるで…。
この世界の、裏の世界で、アライン流っちゅう、
一子相伝の
その
そして、アライン流の
魔剣と呼ばれる超高出力デバイスの白い剣を使い、
白の魔剣士レナス=アラインの名を、
多分、この兄ちゃんが、そのレナス=アラインなんや!」
なるほど、このザヌスの人、
ミケさんたちみたいな裏の世界の人からしたら超有名な人なのね。
「何にしても、
強い人が味方してくれるのは心強いっス!」
「やね。あ…でも、アレッ?
「お嬢様。
その話は、この場を切り抜けてから話します。
今は、ここを切り抜ける事に専念して下さい。」
ザヌスの人が、ミケさんを
「了解や!
ロクスリー君、今のうちらやったら、兄ちゃんの足手まといになる!
この場は、この兄ちゃんに任せて、うちらは退避や!」
「了か…」
「させるかよ!
野郎共、このザヌス野郎は後回しだ!
クズゲズも、今は放っておけ!
あの機体が奴らのウィークポイントだ!
あの機体は不慣れで弱ぇぇ!
さっきみたいに分散せず、
アヴァドンの
アヴァドンを攻撃すれば、
ザヌス野郎は、アヴァドンを
その上で、一点集中でアヴァドンを攻撃すれば、
さっきの分散攻撃の時より、遥かに防がなきゃいけない攻撃が大きく増える!
アヴァドンを
あのザヌス野郎が被弾したところを
あぁぁ⁉ ザインさんが部下の皆さんに最悪な号令を掛ける⁉
「了解だ、ボス!」
「へへへ!
そういう事なら、アヴァドン共々、いたぶってやるぜ!」
ザインさんの部下の皆さんが、
レーザーライフルやバズーカや
シュタイガーンバオアーを集中狙いで乱射して来る⁉
「ああぁぁぁぁッ⁉」
ミケさんが
「クッ…愚劣な!」
ザヌスの人が、シュタイガーンバオアーを
バズーカやミサイルを斬り払い、ライフルを
でも、シュタイガーンバオアーを庇いながらな上に、物量が違い過ぎる⁉
ザヌスとシュタイガーンバオアーが、徐々に被弾して行く。
うがっ…最ッ悪ッ!
ざ…ザインさんたち、的確に、オイラたちの弱点を突いてくるッ⁉
『マスター、ミサイル多数。
シュタイガーンバオアーをターゲッティングしています。』
「ああぁぁぁ…これはヤバ
シュタイガーンバオアーに向かったミサイルをザヌスの人が切り払う。
でも、庇って動かなきゃ行けない為、
動きが制限され、その上で数が多過ぎる為、
ザヌスの
「
「クッ…。
うちが足を引っ張っとるから……。
クッ……ッ!」
ザヌスの人と、ミケさんが苦しそうな声を上げる。
クッ…これは…
その時…、
『マスター。巨大な熱源反応接近。
その他に3機の熱源反応。
うち1機が急激な速度で接近して来ます』
「え…ッ⁉ も…もしかしてッ⁉」
3機の、
多分
その中の1機、青い
凄まじい速さで追いついて来て、
ザインさんたちの
突撃しつつミサイルを撃ちながら、
「トロイメンカッツェの特攻隊長!
ケビン=ブロッサム様のラーゼンレーヴェだ!
当たると痛ぇぞッ!」
と、叫びつつ、
レーザーの
その分、
アリーエル粒子砲を
「な…なんだ…ッ⁉」
「は…速ぇぇ…ッ⁉」
「クッ…!」
「あぁ…ッ⁉」
「よ…避け切れねぇ…ッ⁉」
前面に出ていたザインさんの部下の方たちが、次々に被弾して行く!
レーザーライフルをガトリング状にして撃つ事で、速射性を高めた上で、
威力も通常の実弾のガトリング砲よりも高いという武装を連射する‼
「うぁッ! ダメだ! やられた! 脱出する!」
「な…なんて速さだ…ッ⁉ つ…強ぇぇッ⁉
こ…こいつが噂のアヴァドンの
ラーゼンレーヴェか⁉ こっちも脱出する!」
ケビンさんと名乗った人の、
ラーゼンレーヴェとかいう青い
目にも止まらない連弾の攻撃で、
ザインさんたちの部下の
次々に撃破されて行く。
「チッ…アレがトロイメンカッツェのラーゼンレーヴェ……。
アヴァドンの仲間を合流させちまったか…ッ⁉」
「
青い
ちょっと背が低くくて、栗色の髪で、
ショートの長さのウルフ型の髪型のショートウルフの、
強気そうな瞳の少年がミケさんに声を掛ける。
「おい、ミケ! まだ生きてるか?」
グレーのパンツを履き、黒のクロースの上に、
グレーのジャケットを羽織っている、
髭のカッコイイおじさんが通信してくる。
「おっさん! ケビン! ユリン! マカロニ! よう来てくれた!」
ミケさんが目を輝かせる。
「この人たちが、
今度こそ、ミケさんの言っていた、
お仲間さんなんスねッ⁉」
「そうや! うちの仲間たちや! 間に合ってくれた!」
ミケさんが誇らしげに言って来る。
「リーダー、そっちの一緒に戦っている二人は誰なの?
うはッ! そっちのゲズの子、
中々、
その子を受けで、マカロニ攻めで、ご飯3杯行けそうよ!
ねね、ねぇ! リーダー、その子、誰なの⁉」
3機の
赤と黒のカラーリングの機体に乗った、
赤毛でショートの長さで、
ナチュラルに耳に髪をかけ目元で流したナチュラル耳かけショートで、
白のパンツと、黒のクロースの上に、
赤いパーカーを着ているモデルみたいに綺麗な女性が、
鼻息も荒く、何だか良く分からない事を言いつつ聞いて来る。
何を言っているのか分らないけど、
何故か背筋に寒気がして、ちょっと
「コラ、ユリン!
戦闘時にオマエの
こっちのゲズの子はロクスリー君。
あの伝説の
このシュタイガーンバオアーを強奪する時に仲間になったんや。
ザヌスの方は、多分、
あのアライン流の
白の魔剣士レナス=アライン……。
やと思うんやけど、さっき会ったばっかりで、
まだ、うちにも詳しくは分らんねんな。」
「っと、まだ長話をしていられる場面では無いですよ?
話の続きは後で、
今は、スナッチャーザインの部隊の、
ラフィンスカルを
こげ茶と赤茶の2トンカラーの、
ザヌスより
黒髪の短髪でメガネの落ち着いた雰囲気で、
メガネが知的さを
好青年という
メガネを中指でクイッと上げながら言って来る。
「了解や!
ケビン! うちがソルファージュに帰還するまで、
前面に出てザインの部隊を叩いてや!
ユリン! うちがソルファージュに帰還するまで護衛!
マカロニは、遠距離から射撃で遊撃!
おっさん! ソルファージュの艦砲射撃、
ザインたちの部隊に向けて
ロクスリー君は、
うちと一緒にソルファージュに帰還!
ザヌスの兄ちゃんも、うちらの護衛を頼むで!」
テキパキと指示を出すミケさんに、
「了解だ、
「OKよ、リーダー。」
「分りました、ミケさん。」
「了解だ、ミケ!」
3機の
「承りました、お嬢様。
この身はアナタを
ザヌスの人も言って来る。
「こっちもOKっスよ!
オイラじゃ足手まといっスから、
急いで
「良し、ほんなら、各機、状況開始!」
『了解ッ!』
全員の声がハモる。
「え~い!
ここまで差し込んでおいて、手ぶらで帰れるか!
こうなったら、ラーゼンレーヴェ共も、まとめて撃墜して、
部分パーツを奪ってやる!
野郎共!
こっちに向かって来るラーゼンレーヴェに集中攻撃!
一点に火力を集中させれば、オレたちラフィンスカルは、
例え噂のラーゼンレーヴェだろうと、撃破できるって見せてやれ!」
急激な状況の悪化の中でも強気のザインさんが、
部下の人たちに指示を飛ばす!
「了解だ、ボス!」
「ラーゼンレーヴェが何だってんだ!
オレたちゃ泣く子も黙るラフィンスカルだぞ!」
ザインさんの掛け声で、ラフィンスカルの面々が、士気を高める。
「セリア!
ソルファージュ、敵部隊に艦砲射撃!
3連装大型レーザーランチャー!
「了解!
艦砲射撃に入ります!
3連装レーザーランチャー、
ミケさんに、おっさんと呼ばれた艦長さんが、
黒のパンツを履き、白のクロースに、黒のジャケットを羽織った、
栗色の髪で、胸上までの長さのロングの髪の、
毛先にだけゆるくパーマを掛け、前髪は目の上で流した、
フェミニンロングの、オペレーターっぽい女性に命じ、
ソルファージュと呼ばれた戦艦から、
艦砲射撃がラフィンスカルの部隊に
「あぁぁッ…! レーザーが
「クッ……
嫌なタイミングで…ッ!?」
「こ…こんなデカ
ラーゼンレーヴェと呼ばれた青い
合わせて
ラフィンスカルの面々の、ラーゼンレーヴェからの回避地点に、
合わせて連撃で走り、あんな巨大な戦艦なのに、
次々にラフィンスカルのメンバーさんたちを
「野郎共ッ!
戦艦の弾幕なんかに、そうそう当たるんじゃねぇッ!
もっと注意して動けッ!」
「了解だ、ボス!」
「クッ…デカ
オレたちラフィンスカルの
ザインさんの指令を聞き、
ソルファージュの艦砲射撃を細心の注意で回避しつつ、
部下の皆さんが、ギラ付いた目を、前面のラーゼンレーヴェに向ける。
「こ…このッ!」
「ちぃッ!」
ラフィンスカルの皆さんがラーゼンレーヴェを捉えて仕留めようとするが、
凄まじい加速でスルスルと弾幕を
「行くぜ、相棒! ラーゼンレーヴェ、突撃する!」
ラーゼンレーヴェが突撃する。
レ-ザーガトリングガンと各種ミサイルを撃ちながら接近する!
「クッ…集弾率が高くて回避できねぇ!
クッ…足が…ッ!」
ザインさんの部下のうちの一機のジーナの両足が瞬く間に潰され、
堪らず脱出ポッドを起動させる。
「ガトリングガンは
火力を集中すれば
「了解だ、ボス!」
「やられっぱなしじゃねぇ事を教えてやる!」
ザインさんの指示を聞き、部下の方たちが、
レーザーライフルやバズーカ、
をラーゼンレーヴェに向かって
「へっ…! おいでなすったな…ッ!
だがな…ッ! アリーエルスラスターを起動中の、
このラーゼンレーヴェに…ッ! 当てれると思うなよ…ッ!」
ケビンさんが、そう言ったかと思うと、
ラーゼンレーヴェが
ブンッ!と、
凄まじい速さで、撃たれたライフルやバズーカを回避して行く。
「な…何て速さだ…ッ⁉」
「ど…どういう機動性してやがんだ…ッ⁉」
ラフィンスカルの皆さんが、
「うろたえるな!
ただ追加スラスターを全開に吹かして急加速を繰り返しているだけだ!
あんな動きが長く持つかよ!
アイツは強襲型で燃費が悪い!
もっと弾幕を張って、アイツが
「へへ…。そういう事なら!」
「踊り疲れてヘバるまで付き合ってもらうぜ!」
ザインさんの指示に、ラフィンスカルの皆さんが、
嫌らしい笑みを浮かべて、
ラーゼンレーヴェにライフルやバズーカを、
「ヘッ…そのくらいの弾幕の厚さがどうだってんだ!
アリーエルスラスターを発動した、この相棒なら!」
ケビンさんのラーゼンレーヴェが、
弾幕を潜り抜けつつ、ガトリングと各種ミサイルを
ザインさんたちの
「こ…こんなッ⁉」
「く……クソぉッ‼」
次々に被弾して行くザインさんの部下の皆さんだけど。
「いくら機動性が高くても、
たかがガトリングと、ミサイル程度じゃ決定力に欠けるんだよ!
野郎共!
こんな程度の攻撃じゃ、
ラフィンスカルは負けてやれねぇって事を教えてやれ!
ザインさんが
部下の方々が、
それらの集中攻撃を、
アリーエルスラスターとかいうので、
「アン? 相棒が決定力に欠けるだと?」
ラーゼンレーヴェのガトリングとミサイルが
「ハッ! 良いぜ!
そこまで言うなら、
このラーゼンレーヴェの本気の火力って奴を見せてやるッ!」
「
バズーカの様な大型の弾丸……なだけじゃない⁉
弾丸の周りをレーザーが覆っている⁉
そのまま、直近のゲズに向かって飛ぶッ‼
「し…
でも、流石に名の知れた
何とか
「ば…バカなッ⁉」
ゲズが構えた
着弾した瞬間、凄まじい爆風が起き、
「な……何なんだ……この威力はッ⁉」
「め……メチャクチャじゃねぇかッ⁉」
「ど……どういう弾丸なんだッ⁉」
ザインさんの部下の方々が、口々に、
「どけ! やられた奴は引っ込んでろッ!」
左腕の無くなったゲズに回し蹴りを食らわせ! 吹き飛ばし!
「次ッ!
蹴り飛ばしたゲズの後ろにいたガトナスの頭部に向かって、
今度は……レーザーを
でも‼
「さっきの
意地を見せるとばかりに、ガトナスの人が、
素早い動作で頭部を
……んだけどッ⁉
銃剣から
ガトナスの
尚も、そのまま威力を弱めず、ガトナスの頭部をぶち抜くッ⁉
「
「な…何て貫通力だッ⁉」
さっきのバズーカもメチャクチャだけど、
このレーザーも、何なの、これッ⁉
「オマケだッ!
ケビンさんが、そう言ったかと思うと、
さっきの銃剣の本体が、レーザーを纏い、
レーザーソードになったッ⁉
ああ…これ…、
バズーカと、レーザーライフルと、レーザーソードになるから、
トライバレルって言うんだ……とか考えてる間にッ‼
さっきの頭部をぶち抜かれたガトナスを、
右斜め上から左斜め下に、真っ二つに切り裂くッ⁉
「ひっ…ひぃーーーッ⁉」
何とかガトナスの人の脱出ポッドは作用した模様だけど……。
「い……いくら軽量機のガトナス相手だって言っても…、
レーザーソードで
「な…何なんだ…コイツッ⁉」
ラフィンスカルの皆さんの、
「ガトナス程度を真っ二つ程度でビビんなよッ?
お楽しみは、これからだぜッ‼」
ラーゼンレーヴェが
ちょい大き目の
けど、
「へッ‼ 見せてやるぜッ‼
ラーゼンレーヴェの最大火力って奴をよぉッ‼」
そのまま、
ゲズやガトナスたちをワザワザ避けて突破し、
後方のザヌスたちの前に出て、
真一文字に、そのインパクトの瞬間だけ、レーザーの刃を出し、
インパクトの瞬間だけ、レーザーの刃を出すって事は、
恐らく、レナスさんの使ってたのと同じで、
レーザーセイバー……だとまでは予測したんだけど…ッ⁉
な…何ッ⁉ あのセイバーの刃のレーザーの大きさッ⁉
ざっとラーゼンレーヴェの目の前のザヌスの全長の2倍はあるくらい、
めちゃデカいんですけどッ⁉
「で…デカ過ぎるッ⁉」
目の前のザヌスを頭頂部から真っ二つ……だけじゃないッ⁉
「こ…こっちまでだと…ッ⁉」
目の前のザヌスの後ろに居た、
もう一機のザヌスも一緒に、
真っ二つになったッ⁉
ざ…ザヌスって……、
重装甲
それを2機同時に真っ二つなんて……⁉
ど…どんな威力と効果範囲なのよ…ッ⁉
一筋の
「クッ…遠距離からの砲撃だと⁉
ダメだ、脱出するッ‼」
ラーゼンレーヴェに陣形を崩された上での砲撃で、
前面に出ていたガトナスの人が被弾し、脱出ポッドを起動する。
「残念ながら、アナタたちは、
既にボクのフェストゥングの射程圏内なのですよ。
ダメージプラス。簡単な足し算ですね。」
オイラたちが向かっている
さっきの、メガネのお兄さんの、
重装甲で砲撃型っぽい
「チッ…砲戦型の
あれがトロイメンカツェのフェストゥングか⁉
野郎共、固まれば奴の
各機、散開して射線をずらしつつ、
ラーゼンレーヴェを踊り狂わせて倒せ!
機動力だけじゃなく火力もデカくても、
強襲機じゃ連戦はできんと教えてやれ!」
「あいさ、ボス!」
「いくら瞬間機動力と火力が凄くたってなぁ!」
ザインさんたちが散開しつつ、ラーゼンレーヴェに火力を集中。
でも、このくらい、
ケビンさんのラーゼンレーヴェの超加速なら…って…えッ⁉
そこで、ラーゼンレーヴェの速度が減速し、
ザインさんたちの攻撃の中の回避しきれなかった一部によって、
「クッ…
出撃の時からずっと、アリーエルスラスターを使い続けっぱなしの上で、
オサフネも使ったのがマズかったかッ⁉」
今までの余裕の表情から一転して、
何か聞きなれない名称を
えーーッ⁉
ここに来て、
これ⁉ ヤバイんじゃないの⁉
だけど、その間に!
「よし、ソルファージュに着いた。ロクスリー君!
ブースター
「ハイっス!」
ミケさんと共に、
空中をホバーリングしているソルファージュのカタパルトに、
ゲズのブースターを
「よし、到着や!
ロクスリー君は、ソルファージュ内で待機!」
「了解っス!」
前線に出ずに、後方で待機できるのは、
オイラ的に、とっても助かるところ。
「セリア、うちのタイニーダンサーの準備は?」
ミケさんがオペレーターのセリアさんに
「タイニーダンサー、オールグリーン! いつでも出せます!」
「よし! じゃあ、タイニーダンサーに乗り移る!」
ミケさんが、シュタイガーンバオアーから、
タイニーダンサーと呼んだ真っ白い機体に乗り移る。
「タイニーダンサー。長い事、待たせたね。
でも、そろそろ出番や!」
ミケさんが、シュタイガーンバオアーをどけて、
タイニーダンサーをカタパルトの
「ミケ=スターライト! タイニーダンサー! 出るで!」
タイニーダンサーが加速され射出される。
その後の
空を飛んでいる⁉
あのタイニーダンサーって
最初は
ダッシュしているだけかと思ったけど、違う!
しかも、あの
飛行の為の外付けの追加ブースターユニットが無い!
多分、アレ、
大型の機体をも飛ばす事ができるっていう、
アリーエル粒子を応用した特殊な飛行装置らしい、
アリーエルクラフトって、装置を積んでるっぽい!
その上で機体はコンパクト!
きっと、アリーエルクラフトも、
小型軽量化されたのを積んでるんだ!
「ケビン、いまそっちに行く!
オマエは、ちょい下がり!
ユリン! ケビンのサポート!
マカロニは引き続き砲撃!
ザヌスの人は、うちに続いてや!
おっさん! もっと
ミケさんが相変わらずテキパキと指示を出す。
「了解だ、
「OKよ、リーダー!」
「分りました、ミケさん!」
「了解だ、ミケ!」
「承りました、お嬢様。」
トロイメンカッツェのメンバーとザヌスの人が、
口々に応える。
「な…
「アレが、アヴァドンの愛機のタイニーダンサーか⁉」
ザインさんの部下の皆さんが、
空を滑空して
「クッ…
しかもアヴァドン専用機のタイニーダンサーまで出てきたってのかッ⁉
だが…ここまで来て、手ぶらで帰れるかよ!
野郎共!
ラーゼンレーヴェは、さっきので
そっちに深追いする必要はねぇ! まずは頭を叩く!
アヴァドンを潰して指揮系統を乱せば、後は烏合の集だ!
タイニーダンサーに攻撃を集中させろ!」
ザインさんが部下の皆さんに指示を出す。
「逃げへんのは
うちをさっきの慣れへん機体に乗っとったうちと同じやと思ったら……、
痛い目…見るで…ッ⁉」
ミケさんが、言葉の
タイニーダンサーのブースターを
ザインさんたちに一気に詰め寄る!
「は…速ぇぇッ⁉」
「クッ…ラーゼンレーヴェ程じゃなくても…、
空を飛ばれて…この加速は…ッ⁉」
ラフィンスカルの皆さんが、
「トライバレル! まずはレーザーや!」
ミケさんがそう叫んだと思うと、
タイニーダンサーが右手に握った銃剣……、
さっきのラーゼンレーヴェの
ちょいスマートになった様なモノから、
レーザーが
「クッ…頭部をやられた!
センサーが死んじまって索敵できねぇッ!」
「こっちは左手を持ってかれた!
ラフィンスカルの人たちが次々に被弾して行く。
「次弾! バレットや!」
タイニーダンサーがトライバレルを撃ち分け、
実弾ライフルが
あ、
タイニーダンサーのトライバレルの実弾は、
バズーカじゃなくてライフル弾…で、
……弾丸がレーザーでコーティングもされてない?
タイニーダンサーの、このトライバレルが、
トライバレルの基本の奴とかで、
威力は、
燃費が良いのか?
……とか考えてる
「うぁッ⁉
ミケさんの的確な射撃で、トライバレルの実弾ライフルが、
ザインさんの部下のジーナの
見事に
「
ザインさんが部下の皆さんに
「クッ…飛び回っていて…攻撃しづれぇ…ッ!?」
空を
攻撃が当たらない!
「セリア!
「了解! ソルファージュ!
艦長の号令の下、ソルファージュが弾幕を張る!
こちらには心強く、相手には嫌だろう、
タイミングを見計らって
「
ザヌス隊、前面に出ろ!
集弾率の高いレーザーガトリングガンの弾幕で、
タイニーダンサーを圧倒しろ!」
「了解だ、ボス!」
「オレたちザヌス隊の弾幕!
回避できるもんならやってみやがれ!」
後方からバズーカを撃っていたザインさんの部下のザヌスの部隊が、
前面に出てレーザーガトリングガンをタイニーダンサーに
流石のタイニーダンサーでも、回避が間に合わない…がッ⁉
「
ミケさんが、そう叫んだかと思うと、
タイニーダンサーの左手の平が光り、
回避できなかったレーザーガトリングガンを、
光る左手の平で受け相殺した⁉
アレ、多分、
インパクトの瞬間だけ
強度を上げた上で、
アリーエル粒子を応用したレーザーの
レーザーシールドって奴なんだ‼
欠点として、
使用時に
装備をしばらく使えなくなるらしいけど、利点も多いとは聞くけど、
レーザーセイバーと同じで、扱いが凄いムズいらしいのに、
レーザーガトリングみたいな連弾の武器を、あんなすべらかにッ⁉
ほ…ホントに…乗り換えてから…ミケさん…メチャ凄過ぎる…ッ‼
「ボクのフェストゥングを忘れられては困りますね。」
フェストゥングと呼ばれた重装甲
ザインさんの部下のゲズの1機のバズーカ諸共に、
「クッ…あんな遠くからッ⁉」
「お嬢様ばかりに気を取られるなよ?」
ザインさんたちがタイニーダンサーに釘付けになっている
ザヌスの人の剣が
「クッ…何で…あの距離から届くんだ⁉」
ジーナがレーザーライフルを切り払われる‼
「クッ…砲撃野郎や、ザヌス野郎も厄介だが、
アヴァドンの野郎、トンデモ装備ばっかり持ちやがって‼
だが、特攻隊長のラーゼンレーヴェは、
野郎共‼ アヴァドンにも踊って貰え‼
そうすりゃザヌス野郎も、また共倒れだ‼」
そのザインさんの
ラフィンスカルの皆さんが答える前に、
「ラーゼンレーヴェがもう戦えない?
それはどうかしら?」
ミケさんにユリンと呼ばれた人が、
ラーゼンレーヴェに合流し、
「エンジェルシード、ラジエールコンデンサー起動。
補給、補給っと。」
エンジェルシードと言われた
背部のバックパックから弾薬を取り出してラーゼンレーヴェに補給する⁉
「ついでに損傷箇所を応急修理っと。」
エンジェルシードの左腕から作業用アームが延び、
ラーゼンレーヴェの損傷してない
被弾した
プラモデルのパテ埋めの様に伸ばして損傷箇所が補修される…ッ⁉
「応急修理と、
ケビン、また暴れちゃって~。」
ユリンさんが
「な…なんじゃそりゃぁーッ⁉」
ザインさんが
「え…
破損箇所も直せるサポート型
あんなのありかよッ⁉ 反則じゃねぇかッ⁉」
ザインさんの部下の皆さんがエンジェルシードのチート性能に悲鳴を上げる。
「助かったぜ、ユリン!
さぁ、相棒、もういっちょ暴れるぜ!
アリーエルスラスター!」
ケビンさんがそう
ラーゼンレーヴェが爆ぜる。
一瞬でミケさんとザヌスの人と同じ前線に移動する。
「ケビン、アレ行くで、アレ!」
「了解だ!
ミケさんの指示を聞き、
ラーゼンレーヴェが
そして、銃口にレーザーが収束していく。
あ……アレッ…レーザーをチャージしているのか…ッ⁉
「燃費は悪りぃが、コイツでッ!
パルスレーザーの様な、偏向レーザーが広範囲に
「そ…そんな…ッ⁉」
「グアッ‼
た…ただのパルスレーザーじゃねぇッ⁉
パワーがダンチだッ⁉」
そのザインさんの部下の人たちの
偏向レーザーなのに、被弾した
異様に
凄まじい威力だ!
「ケビンだけやないでッ⁉」
タイニーダンサーもトライバレルを構え、
敵陣の中央に2機で突撃し、
ラーゼンレーヴェと背中合わせになり、
『
2機揃ってローリングしながら、
チャージした偏向レーザーをザインさんたちに向かって撃つ!
「ガァァ…ッ⁉」
「回避できねぇ…ッ⁉」
「こ…こんなの…どうしろってんだ…ッ⁉」
凄まじい範囲の上で、
威力もバケモノじみた、
メチャメチャなレーザーの攻撃が襲い、
ザインさんの部下の皆さんが次々に悲鳴を上げる。
「みんな、連携や! うちらに続いてや!」
ミケさんが攻撃しつつ指示を出す。
「了解です、お嬢様。
では、こちらも行くぞ?」
ザヌスの人も、相変わらず間合いを取る事ができない独特の動きで、
ラフィンスカルの
どんどん無力化して行く。
「目の前ばかりに気を取られてはいけませんよ?」
フェストゥングの鋭い砲撃も冴える…ッ!
そして、ダメ押しとばかりに、
「サポート型だからって舐めないでよね!
ちゃんと砲撃もできるし!
ユリンちゃんのエンジェルシードも混ざっちゃいま~す!」
ユリンさんのエンジェルシードも、
タイニーダンサーや、ラーゼンレーヴェのと同系統の、
トライバレルらしき銃剣を構えて、
レーザーと実弾を交互に乱射する。
「だ…ダメだ……こんな化け物たちにゃ…か…勝てねぇよ…ッ!」
「こ…こんな…こんなのが…ッ⁉」
ミケさんたちの一斉攻撃で、
あれだけ居たザインさんの部下の皆さんが次々に撃破される。
「クッ…オレたちラフィンスカルが…こ…こんな……ッ⁉」
ザインさんが
もう
「さぁ……ここで質問や?
うちらと戦うのは、もう諦めて、
しっぽ
勝ち目の無い戦いを続けて、
壊されたオマエらの
どっちを選ぶんや…?
なぁ……スナッチャーザイン…?
まあ、うちらからしたら、しっぽ
くれる
……それでもやるっちゅうんやったら、
……うちらは手加減せぇへんで…?
場合に
……なんて事も……あるかもしれへんけどなぁ……?」
ザインさんの
「クッ……クァァァァッ‼ クソ…ッ‼ クソ…ッ‼ クソ…ッ‼」
どうしようもない圧倒的な戦力差に、
……だったんだけど…。
「ミケ!
良い所で、すまんが、
ラフィンスカルとの交戦など
合流ポイントに向かう為の艦の
その後、
シュタイガーンバオアー搭乗時のオマエのパイロットデータと、
オマエの、
説明、返信する、暗号通信を即時に送れ。
シュタイガーンバオアーを、内部は弄らず、急ぎ外装を修理してから、
ケビン、ユリン、ロイドの3名の、
シュタイガーンバオアー搭乗時のパイロットデータも素早く取り、
その3名の
本人たちに
暗号通信で、
だそうだ!」
ミケさんたちの
謎の要件を告げつつ、本当に、済まなそうに、
目を
「クッ……‼ 毎度、毎度、空気の読めん奴やッ‼」
そう言ってから、
ザインさんの
「うちらは急用ができた…。
もうオマエら
運が良かったなぁ……スナッチャーザイン?
ここは見逃したる…。
しっぽ
トライバレルを下すどころか、
ザインさんたちに背を向けるミケさんのタイニーダンサーッ⁉
「な……ッ⁉ て……テメェ…ッ⁉
オレたちに…とどめを刺さず見逃すってのか…ッ⁉」
いきなりの
「クソッ……アヴァドン…ッ‼
この
覚えてろ…ッ‼」
「野郎共…ッ‼
ラフィンスカルの部下の皆さんに命を下し、
ラフィンスカルの方々が逃げ去って……そして……。
「ふん…ッ!
ここまでやってタダ働きやいうんやからな…ッ!」
ミケさんが、
「まあ、でも、
シュタイガーンバオアーは手に入ったんですしッ!」
ケビンさんが
「そうそう、
それに、ファトス村の自警団の
がっぽし頂いちゃったんだしさッ!」
ユリンさんも、ニコニコ笑顔をミケさんに向け、
「まあ、収支的にはプラスだと思いますよ、ミケさん?」
マカロニさんも、ニッコリ笑顔でミケさんに伺う。
「う~ん……まあ、そうやね! うん!
ウジウジしてても始まらんし、良かったとこだけ評価しようかね!
ありがとうな! みんな!」
ミケさんも、キュート過ぎるデラ笑顔で、皆さんに応えるッ‼
「で、リーダー?
ゲズの方の子がロクスリー君って言うのは分かったけど、
そっちのザヌスの人は?
何か、さっき、レナス=アラインって言っていたけど、
レナス=アラインって、今の代は女性じゃなかったっけ?」
ユリンさんが首を傾げて聞いて来る。
あ、レナス=アラインが女性って話、
ユリンさんも知っているほど有名なのね。
そこで、
「説明が遅くなり、申し訳ありません。
私は、白の魔剣士レナス=アラインの14代目で、
レナス=アライン=エイフェルと申します。
女性のレナス=アラインというのは、
私の師の、13代目レナス=アラインの、
レナス=アライン=ラナヴェルの事かと存じます。
しかし、師は何を思われたのか、
半年ほど前に、不意に私に二振りの魔剣を託し、
私を14代目に指名したのです。
ですが、まだ、私は半人前で、
赤の魔剣を扱う事が出来ない為、
アライン流の仮免許皆伝という状態なのです。
故に、
赤の魔剣を自在に使えるようになるまでの間、諸国を巡り、
お困りになられている、お嬢様方をお助けする旅を続けているところです。
と、レナスさんがユリンさんにかしずきながら言う。
「み…
初めて言われちゃったよ、リーダー!
ど…どうしよう…リーダー!
ホントの事だから対応に困るよ、リーダー!」
ユリンさんが顔を赤くしながら、
顔を両手で押さえながらイヤイヤしているが、
ちょい言動に
「えーい!
この
上手言われたくらいでふやけなや!」
ミケさんが
あ~、このユリンさんって、
戦闘中も、ちょっと思ったけど、
割と軽い人なのかもしれない。
「まあ、何にしても、助かったっスよ。
ありがとうっスよ、レナスさん。」
オイラが、安堵と共に、レナスさんに感謝の言葉を伝えると、
「フンッ……。」
レナスさんは鼻を鳴らすだけ。
何だか、不穏な雰囲気…。ありゃ?
「何か感じ悪ぅ…。」
ケビンさんが口を
「まあまあ。ロクスリー君、ボクたちが来る前に、
何か、レナスさんに失礼な事をして、怒らせたんじゃないですか?
まあ、何はともあれ、リーダーを助けて頂き、ありがとうございます。」
マカロニさんがホッコリ笑顔をレナスさんに向けるが、
「別にオマエの為ではない。」
相変わらずレナスさんが素気ない態度を取る。
「コイツ、感じ悪い! 何だ、コイツッ⁉」
ケビンさんが、さすがに
口を
「まあまあ、何か変わった人やけど、
助けてくれたんは確かやし、悪い人やないと思うで。」
ミケさんが
「お嬢様をお助けに参るのが間に合って
よくぞご無事で居てくれました。
レナスさんが、ミケさんに、キラキラの笑顔を見せて言う。
「うわ…うちも
どうしよ⁉ うちも、こんなん言われたん始めてで、対応に困るで⁉」
ミケさんも両手で顔を
あれ?
アナタ、さっき、ユリンさんが同じ事した時、
「さて、
私は、旅に戻ります。」
レナスさんが、
「兄ちゃん、補給や応急修理くらい受けて行ったらどうや?」
と、ミケさんが提案するが、
「いえ、私のウンターザーゲンは、
どこかの町に着けば、そこで整備します。
それも修行の
レナスさんが
「ウンター…ザーゲン?
ザヌスじゃないんスか?」
いや、アレ、どこからどう見てもザヌスじゃねッ?
「ザヌスではない。
それ以上、
レナスさんが、
あ~、多分、この人…。
「まあまあ、ちょい、
そのウンターザーゲンいう
ちょい説明お願いできんかな?」
と、ミケさんが聞く。
「分かりました、お嬢様。
ウンターザーゲンは、
ザヌスの外見をしていますが、
他にアライン流は、闘気という俗に気合と呼ばれるモノを扱うのですが、
このウンターザーゲンは、その闘気を
出力を強化する事ができます。」
「ふぇ~。ミケさんのタイニーダンサーも、
トンデモ装置満載だと思ったっスけど、
レナスさんのウンターザーゲンも凄いっスね。」
「なかなか面白そうな機体やね。」
ミケさんが
「メカニックとして、非常に興味深いですね。」
マカロニさんが、メガネを光らせつつ、メガネを中指でクイッと上げる。
「また、このウンターザーゲンは、ワザと鈍重に作られており、
この機体を
修行の一環であるとの
「なるほどね。
だから、明らかに重装甲っぽい
格闘戦をしていたのね。」
ユリンさんが、ウンウンと頷く。
「では、お嬢様方、私はこれで。
お嬢様方に精霊の
男共は命を
そう言って、レナスさんが、
ウンターザーゲンのブースターを
ダッシュで離れていった。
「何か、男性と女性とで、扱いが極端に違う、変わった人っしたね。
ああいうの、フェミニストって言うんスかね?」
誰に聞くともなく、オイラが言うと、
「まあ、言わんとする事は分りますけど、
フェミニストというのは、元々は、
レナスさんのは、
と、マカロニさんが解説してくれる。
「まあ、極端な兄ちゃんやったけど、
助けてくれたんは確かやし、悪い人やないと思うよ。」
ミケさんが、そういって締めくくる。
「よし!
アイツへの、うちの報告の作業はパパっと手早く済ます!
シュタイガーンバオアーは、
やっぱし、せっかくなんやし、
まずは、報告作業が終わったら、
仕事の達成祝いとロクスリー君の入団祝いを
パーっと行くで!」
その、ザインさんたちに追われていた時には見れなかった、
再びのニコニコ笑顔に、
まあ、こんなのも良いよね、と思ってしまうオイラだった。
その後、
ミケさんは、急ぎの仕事とかで、
30分ほど
その間に、トロイメンカッツェの皆さんたちと、
ソルファージュの中を見て回るオイラ。
「
祝いの場面では、大盤振る舞いしてくれる、
仲間に優しい人なんだよ!」
「ですね。
普段は、ちょっとワケがあって、
金銭面で、厳しいところもありますが、
仲間、想いの、優しい方です」
「そそ、リーダー、ホントに、
やる時は、大盤振る舞いで祝ってくれる、
太っ腹なチームリーダーだよね!」
と、トロイメンカッツェの、
次々に、ミケさんへの賛辞を述べて行く。
「良いっすスね!
オイラ、全然、役に立たなかったっスけど、
そんなオイラでも入隊祝いして貰えるなんて、
ホント、懐が広いっスね、ミケさん!」
と、嬉しさ満点のオイラ!
「まあ、上手い物を、
たらふく飲み食いできるチャンスだし、
しっかり味わえよな!」
「今のうちに、お腹に入れておいて、
美味しい料理を味わいつくしちゃおう!」
「美味しい料理を食べると、
生きて行く活力が湧きますしね!」
と、KGパイロットのメンバーさんたちが、
次々に、入隊祝いの
助言を話してくれる。
「素晴らしいっス!
今から、ヨダレが、止まらないッス!」
と、じゅるりと、ヨダレを拭うオイラ!
その間も、
ソルファージュを案内されるオイラ。
ソルファージュ内は、めちゃくちゃ広くて、
盗んだシュタイガーンバオアーや、
15機ほどの
まだまだ余裕でスペースがあって、
これの倍ほどの
全然余裕で入りそうな程だった。
居住ブロックも、かなりの広さで、
入隊して住む場所に困る事は無さそうだった。
オイラが、
ソルファージュの中をキョロキョロしながら進んでいると、
「よっしゃ! 報告完了や!」
ミケさんが合流し、
「ここがブリッジや! さぁ! ようこそ、トロイメンカッツェへ!」
ミケさんに促されるまま、ブリッジに入る。
ブリッジは、前面がモニターになっており、
その周辺には、計器類などが、いっぱいあった。
その中に、
通信に出ていたソルファージュの艦長と、
オペレーターのセリアさん……の他に、
もう一人、クルーが居た。
黒髪でショートのマッシュルームヘアー。
青のジーンズに、白のクロース、
黄色のジャンバーを着ている中背で割と細い男性。
その人が、オイラの視線に気付き、
ニッコリと人懐こそうな笑顔を向けてくる。
「さて。仕事の打ち上げ兼ロクスリー君の入隊祝いのパーティーの前に、
自己紹介から行こか? ロクスリー君、まずは君からや。」
ミケさんに
「皆さん、はじめまして、
ファトス村から来た、ロック=ロクスリー、15歳です。
と、皆さんに自己紹介してみる。
「ねね、伝説の
リィト=ロクスリーの息子さんって話だけど、
もしかして、
ユリンさんが
「残念。そんなノウハウとか持っているなら、
オイラ、いま、ここでこうしてないっスよ。
そんな能力があるなら、
今頃、
ひと
ありのままに話してみる。
「あ~。うん。納得。」
ユリンさんが、ウンウンと頷く。
「ロクスリー君は、
ちょっと気が弱いのが
すっごい感がええねん!
なんちゅうの?
こう、ズバズバ~って、危険を見抜くんやで?
うちがファトス村の自警団たちを、
ザインの巡らした策略も見抜いて、的確に指示出してくれたんや!
一緒に居た、うちが保証する!
このロクスリー君の感は一級品やで!」
ミケさんが、やんやとオイラを褒め称える。
「ほぅ、
なかなか興味深いですね。」
マカロニさんが、中指でメガネをクイッと押しながら言って来る。
「おお、そんな凄ぇのかよ!
見た目と違って、やるじゃん!」
ケビンさんが、そう言いながら、オイラの背中をバシバシと叩く。
「う…う~ん…感っていうか、
一回体験したから何が起こるか分かるっていうか……。」
上手く説明できず、しどろもどろで話していると、
「そう! ロクスリー君は、危険を感じると、
みんなも、ロクスリー君が、
ミケさんがそう締めくくる。
「凄いじゃん! 未来予知って奴?
それがロクスリー君の特技なワケだね⁉」
ユリンさんがやんやの喝采を送ってくる。
「あ~…う…う~ん。
まあ、説明が難しいから、もうそれで良いっス。」
うん。オイラの頭じゃ、これ以上の説明は不可。
まあ、大体のニュアンスは合っているから、
これからもデッドループしかけたら、
今までのミケさんみたいに、
皆さんもオイラの言葉を聞いてくれるでしょう!
『では、
そろそろ、私の自己紹介をします。』
オイラの腕の中で丸まっていた
「何、その子⁉
何か、ボーリング玉が話しだしたんですけど⁉」
ユリンさんが、
『紹介が遅れました。
私の事は……』
「
皆さん。なかなか
オイラが皆さんと
直ぐに打ち解ける様にと思って言うと、
『マスターの感性は最悪だと判断します。』
何故か
ありゃ? オイラ、何か悪い事した?
「
なかなかカワイイ呼び名じゃない。」
と、ユリンさんが、
オイラの腕の中の
「しゃべるボーリング玉ってのは、ちょいビックリしたけど、
なかなか良い奴っぽいじゃん! よろしくな、
ケビンさんが
でも……あれ?
「うん?
しゃべるボーリング玉が珍しいって、
みんな
疑問をそのままケビンさんにぶつけて見る。
「え?
音声ナビは他のにも普通にあるけど、
形は、普通は大体、四角のノートパソコンみたいなノート型なんじゃねぇの?」
ケビンさんが何を当たり前の事をとでも言うような感じで言って来る。
「え…?
普通の
四角形なんスか?」
「私たちが今まで見た事がある、
だいたい、四角形のノート型だったけど?
ユリンさんが補足説明してくれた。
「う…う~ん…まあ、オイラ、
ファトス村の人たちも、
特に何も言わなかったから、
逆にビックリっスね。」
「まあ、あの村は、
平和ボケしとる
あの村の中で
みんな見慣れて、あんまり騒ぐモンも、
「あ~。なるほど。」
まあ、確かに、
ファトス村は、のんびりした村だし、
そういう事、あるかもだね。
「しかし、始めて見た時から、もしやとは思っていましたが、
まさか本当にサーティーシリーズが現存していたとは。
いやはや、出会いというのは奇なるモノですね。」
マカロニさんが、
ウンウンと、一人頷いて、良く分からない事を言って来る。
「うん? サーティーシリーズ?
何スか、それ?」
オイラの、その問いに、
『私の製造番号に対する呼び名の事です。
過去の技術者には、製造番号が30番代なので、
サーティーシリーズと呼ばれていました。
また、サーティーシリーズは、全て球形をしており、
他の
見た目で分る様に設計されています。』
と、
「うん?
見た目が球形なのがサーティーシリーズってのは分ったっスけど、
それが、マカロニさんが、
何か凄いモノなんスか?」
良く分からず、マカロニさんに聞いてみると、
「言っても分からないと思いますが、
サーティーシリーズは、過去の時代に作られた、
最高傑作と言える性能で、量子コンピューターという分類の、
超性能のコンピューターのシリーズなのです。
その上で、38番という事は、
サーティーシリーズの中でも、ほぼラストロット…。
つまり……セミラストロットなので…、
ほぼ最強の性能と言っても過言ではないです。
いやぁ、まさか、
現存している実物を見られるとは思いませんでした。」
マカロニさんが、メガネを輝かせながら中指でメガネをクイッと上げる。
興奮冷めやらぬといった感じだ。
『いつもマスターは、私に不当な評価を下していて、
常々、不服に思っていたところですが、
私を正当に評価してくれる方が現れて、とても喜ばしいです。
これから、仲良くして下さいね。』
と、
「こちらこそ、よろしくお願いします。
是非、どういう構造になっているか、
分解して分析してみたいところですね!
その球状ボディーの中に、どんな大胆な姿が秘められているのか、
是非調べ尽くしたいところです!
ああ、その球状ボディーに秘められた姿を調べ尽くせたら、
どれほど素敵でしょうか! ハァハァ!」
と、マカロニさんが、何か息も荒く言って来る。
『マスター! この方からは身の危険を感じます!
どうか、この方から、私を守って下さい!
「さんぱち」でも「みはち」でも、呼び名は何でも良いですから!』
珍しくいつも冷静な
しかも、すんごい
物凄い変わり身の早さだ。
よっぽど怖いんだな、マカロニさんが。
いや、オイラも、ちょっとコレは引くけど。
「うん。
マカロニさん、うちの
オイラが寝ている間とかも、
勝手に
とりあえず、助け舟を出してやる。
「まあ、所有者のロクスリー君が、そう言うなら。
……残念ですが、仕方無いですね……。」
心底、残念そうに肩を落としながら言って来るマカロニさん。
「でも、ゲズやジーナとかの
ナンバー的に
ふと湧いた疑問をマカロニさんにぶつけて見る。
そうなんだ…。
ゲズとかジーナとかの一般的な
通称、
そのままの呼び名で。広く流通してる上、
番号的に明らかに
内蔵
「あ~。
それは確かに勘違いし
サーティーシリーズの
マカロニさんが予想してなかった答えを言って来る。
「うん?
どういう事っスか?」
当然の疑問をぶつけてみる。
「
1058年に作られた
サーティーシリーズの
なので、
1080年分、新しいんですよね。」
「え⁉
マカロニさんの答えに、オイラが
「それも、本当の価値を知っているモノでは、
値段の付けようも無いくらいの最高クラスの、
と、マカロニさんが、メガネを中指でクイッと上げながら言って来る。
「マジで⁉」
「マジです。」
マカロニさんが冷静に答えてくる。
「
興奮冷めやらぬまま、
『マスターは、親の形見の上に、
幼少の頃から共に過ごした私を売る様な、
鬼畜外道の人でなしになり下がるのですか?』
と、
「ロクスリー君。
サーティーシリーズの真の価値が分かる人では、
サーティーシリーズには値段は付けられません。
ですが、そこらの質屋では二束三文で買われるだけですよ?
お父様の形見の品でもあるのなら、
売るなんて選択肢は無いと思いますよ?」
と、マカロニさんが、冷静にアドバイスをくれる。
「まあ、売れるかどうかはともかく、確かに父さんの形見っスからね。
それに、
まあ、持っときますか。」
うんうんと、頷いて納得してみる。
『マスターにしては英断であると判断します。』
「ボクも、その方が良いと思いますよ。」
「という事で、
それと、できれば、やっぱり分解させて貰って、
拝見させて頂けると、なお嬉しいのですが!
ハァハァ! ダメですかねッ⁉ ハァハァ‼」
マカロニさんが、再度、興奮気味に
『マスター‼ この方は危険です!
どうか、私に、この方の魔手が伸びない様に
フルフルと振るえながら言って来る。
よっぽど怖いんだな、マカロニさんが。
「オーライ、
オイラもオマエが分解されて使えなくなると、
って事で、マカロニさん、何度も言いますが、
「残念ですが……持ち主のロクスリー君が言うなら……仕方ありませんね……。」
マカロニさんが心底残念そうに、言って来る。
「ほんなら、次は、うちの番かな?」
と、前置きしてから、
「ロクスリー君には、一度、自己紹介したけど、
念のために、もう一回や。
うちは、
トロイメンカッツェのリーダーで、
ミケ=スターライトや。」
と、ミケさんが、ニッコリ笑顔で言って来る。
ここまで、落ち着いてミケさんを見る余裕が無かったけど、
改めて眺めると、何てキュートなコンパクトボディーッ⁉
ストレートロングの銀髪で、アルビノな目の上、
ムチャクチャ整った顔立ち!
その上、何より!
デラミニマムなボディーなんですよッ⁉
もう、これで萌えるなって方が無理がある…ッ‼
それに、ケビンさんはともかく、
マカロニさんまで、ミケさんを、さん付けで呼んで、
皆さん敬語で話してるんスしッ!
ミケさんは、相当、年長さんのはずッ!
つまり……ッ!
これが…! これが…ッ!
これが
合法ロリなんじゃないの…ッ⁉
もうッ!
その鼻の下をデレデレに伸ばしまくったオイラの熱い眼差しに、
気付いてか、気付かずかッ⁉
「フフ…、まあ、固いのはナシや、
よろしくな、ロクスリー君。」
もうッ! ホントッ!
オイラのハートは、そのキュートコンパクトボディーに、
メロメロですぅッ‼
「ハイ! ハイッスぅッ‼
よろしくですぅ‼ よろしくですよぉ‼
ミケさはぁぁ~んッ‼」
ミケさんの手を握り、ブンブン振るって、喜びを噛み締めるオイラッ!
その感激しまくりなオイラを見て、
「あ~あ。
ま~た、リーダー、ロリコンを増やしちゃうんだからぁ~。
ホンット、罪なロリっ子よね。」
と、ユリンさんが大げさに
「ユリン!
また、うちが小っちゃい子みたいに言いおって!
いつも言うとるやろ!
うちは、24歳のレディーなんやでッ⁉」
と、ユリンさんを
って、でも、24歳って⁉
それって⁉ やっぱしマジもんで、合法ロリですよッ⁉
それって⁉ それってッ‼
もうオイラ、ロリコンでも良いって事っスよね…ッ⁉
もっと熱い視線をミケさんへ送るオイラを横目に、
「ホンット、これで自覚も無いんだから、
と、ユリンさんが、
「ムキー…ッ‼ ユリン‼
やから、うちは子供やのうて…ッ‼」
と、怒り心頭のミケさんだが、
「ま、まあ、
それに、そこが
と、ケビンさんが助け舟を出しに入って来て、
「そうですよ。
それに、そこにヤキモチを焼くのも、
同じ
と、マカロニさんも、
「ま~ったく、もう。
こんなロリコンたちばっかし増やしてさぁ~。」
と、
でも、その顔は、
口では、
このミケさんのコンパクトさが、仲間として、好きなのかもだね。
っと、このやり取りで、逆に、
オイラも、ちょっと冷静になって。
「あ、でも、ちょい、いくつか聞きたいんスよね?」
と、ミケさんに
「なんや? なんや?
やっぱし、うちが、余りにも大人の美人過ぎて、
この大人の美人さの秘密が知りたくなったとかか?」
と、ニシシと、『冗談や』、と言わんばかりの笑みを浮かべるミケさん。
「いや…えとですね…、
まず、あのタイニーダンサーって
飛行の為の外付けの追加ブースターユニットも無しで飛んでましたけど、
あれは、アリーエルクラフトを…、
それも、
小型軽量化されたのを積んでるんスよね?」
オイラの、その当然の疑問に…。
「そやで!
タイニーダンサーは、アリーエルクラフトを、
搭載運用する事に成功した、高速飛行型
やから、かさばる外付けの、
追加ブースターユニットなんかも
その上、安定した飛行が可能な、超高性能
えっへん、と、そのナイ胸を張り上げるミケさん!
「おお!
やっぱりアリーエルクラフト機だったんスね!
タイニーダンサー、メチャ超性能ッスね‼」
大いにタイニーダンサーを称えるオイラ!
けど、そこで
「でもな、ただ飛べるだけやないで?
うちのタイニーダンサーは、機動性だけやなく、
攻撃も、防御も、ピカイチなんやから!」
と、
「攻撃では、トライバレルって言うてな、
高威力レーザー射撃のレーザーと、燃費が良い実弾射撃のバレット、
これら3つの基本攻撃ができる万能武器や!
その上、
専用に出力調整されて開発されとるから、レーザーは高威力!
火薬を調整した専用の高威力弾を使っとるから、
低燃費が売りのバレットでも、相当な威力や!
その上、レーザーソードも出力調整のお陰で、
レーザーソードやのに、並みのレーザーセイバーくらいやったら、
楽勝で勝てる程なんや!
その上、レーザーはチャージできて、
そのチャージレーザーは、威力を高めた上で、
偏光レーザーとして、複数の敵機を同時に攻撃できるんや!」
と、熱を込めて、あのトライバレルってのの超性能さを熱弁する!
「ふへぇ~~。」
確かに、さっきの戦闘でも、凄い性能なのは分かってたけど、
一つの武器で、そこまでの攻撃方法ができて、
そんな威力も高いなんて、何てマルチウェポンなんだ⁉
「で、ラーゼンレーヴェの使っとる、
燃費を悪くした代わりに威力を強化したトライバレルの強襲型!
で、エンジェルシードの使っとる
逆に威力を
オートロックオンのロックオン精度を上げて命中率も上げた、
使い回しを良くしたバージョンの、軽量型のトライバレルなんや!」
そう、トライバレルの多様性を熱弁するミケさんの、
その魅惑のコンパクトボディーから
超絶的な性能なんだけど…!
「その上、
エンジェルシードの
タイニーダンサーのトライバレルと、
ラーゼンレーヴェの
同時にチャージして、敵陣に突っ込んで背中合わせになって、
回転しながらチャージレーザーを同時に
単発でチャージレーザーを撃つ時よりも、
一気に殲滅する事ができる、
ガンスリンガーパレードが使えるんやッ!」
と、さっきの超絶合体攻撃の事もレクチャーしてくれる!
「ホント、あの合体攻撃、凄かったっスもんね!
見る見る、ラフィンスカルさんたちが被弾して行きましたし!」
範囲も、もちろん凄いけど、威力だって、ホント凄かったもんね!
「フフフッ……。
でも、さっきも言った通り、
タイニーダンサーは、防御かて凄いんやから!」
『これも言いたかったんや!』とばかりに、ミケさんの目が、キラッと光る!
「あの
あれ、メチャ、凄い出力っしたよねッ?」
「そや!
『ピンポイント・ブロック・レーザー・ハンド』言うてな!
範囲は、左手の平だけやし、レーザーシールドと同じで、
発動してから数瞬間の
並みのレーザーシールドなんか目やない出力でな!
レーザーライフルどころか、
レーザーバズーカとか、レーザーランチャーとか、
実弾かて簡単に
こう、戦艦の主砲かて、完全に相殺はできへんけど、
受け流す事で
いくらでもできる程の瞬間出力なんやでッ!
どや、ホンマ、防御もピカイチやろ?」
すっごい、『言いたい事を言えて満足!』と言わんばかりに、
ミケさんは、デラ笑顔だ!
でも、その笑顔のまま、ちょっと頭を掻きつつ、
「まあ、ホンマは、あのシュタイガーンバオアーいう子にも、
なんや
あの子はホンマ、乗ってたら気分悪なるし、
ホンマ
あの子の時に使うのは、ちょい自信のうて、使われへんかってんけどな。」
と、少しバツが悪そうに目を泳がせるが、
「まあ、でも、もう、
あのシュタイガーンバオアーいう子に乗る事も無いやろうし、
タイニーダンサーの凄さは、これから一緒にやって行ったら、
もっと、も~っと、分かって行くやろから、バシバシ頼ってくれてええで?」
っと、再度、満面の笑みになり、
そのデラキュートな笑顔のまま、ウィンクして来るミケさんッ‼
そのコンパクトボディーから
もう、オイラのハートは、キュンキュンっスッ‼
そんな風に、
思わず鼻の下をデレデレと伸ばしまくっちゃうオイラを尻目に、
「っと、うちばっかし喋るのはあれやね、
タイニーダンサーの説明も
そろそろ選手交代やな、ほい、じゃあ次は、おっさんや。」
ミケさんが笑顔のまま、艦長さんに振る。
艦長さんが、うおっほんと咳払いしてから、
「トロイメンカッツェの
ソルファージュの艦長をやっているバーダック=ホリスンだ。
まあ、汚ぇとこだが、じき慣れる。よろしく頼む。」
と言って、威厳のある顔をほころばせ、微笑み掛けてくる。
「ほいさ。
よろしくですよ、バーダック艦長。」
バーダックさんの、その微笑みに、
オイラも自然と、笑みで返すと、
「じゃあ、次は私かしら?」
セリアさんが聞いて来る。
「ええ、お願いします。」
セリアさんに
「トロイメンカッツェの
ソルファージュのオペレーターを担当しているセリア=オードネスです。
人手が足りなくて、医務も担当しているので、
怪我をしたら言ってね、ロクスリー君。」
「はいっス! セリアさん!」
セリアさんが握手を求めて来たので、握手し返す。
「じゃあ、次はボクだね。」
と、マッシュルームヘアーの、
もう一人の戦艦クルーの、兄さんが言って来る。
「トロイメンカッツェ
ソルファージュの
これからよろしく、ロクスリー君。」
リッドさんも、人懐っこいニコニコ笑顔で握手を求めてくる。
「ええ、よろしくっス、リッドさん!」
リッドさんにも握手を返す。
「じゃ、次はオレだな!
トロイメンカッツェの特攻隊長!
ケビン=ブロッサムだ!」
ケビンさんが、そう言って、右手を
「オマエも右手上げて!
親愛の挨拶のハイタッチだ!」
と言って来たので、右手を上げると、
「よろしくな、兄弟!」
と、オイラの右手に、パシンとイイ音を立てて、ハイタッチをしてくる。
「ええ、よろしくです、ケビンさん。」
うん、何か、こういうの、良いね。
「何か、ケビンさんの
戦闘中に、アリーエルスラスターとかいうの使ってる時、
すっごい機動性っしたけど、アレ、なんなんスか?」
と、さっきの戦闘中から疑問だった事を聞いて見る。
「ああ。アリーエルスラスターは、
オレの相棒のラーゼンレーヴェの全身に、
通常のスラスターに
アリーエル粒子を応用して、
全身の機動力を超絶的に加速させるっていう、
すげぇ兵装だ!」
「あ。なるなる。
アリーエル粒子を使ったスラスターな上に、
足部にだけとかじゃなく、全身に
うんうん、と頷くオイラに
「ああ。
でな、普段は、アリーエルスラスターを切ってるが、
いざという時に、アリーエルスラスターを起動させると、
ラーゼンレーヴェは、そこから凄まじい瞬発力と移動力になってよぉ、
こう、どれだけ大量の相手からの集中攻撃にさらされても、
いくらでも全然余裕で回避し切れるし、
ちょっとばかし離れた場所程度なら、
余裕で直ぐに辿り着ける程の足の速さにもなるんだ!
まあ、アリーエルスラスターを起動してなくても、
うちの相棒は、全然早ぇぇけどな!」
ニヒヒと、ケビンさんが上機嫌で良い笑顔を見せる。
それに対してオイラも、
「ですよね!
さっきは、距離の離れてたオイラたちに直ぐに追い付いてくれましたし、
アリーエルスラスターを起動してたからみたいっスけど、
相手からの攻撃も、簡単にバシバシ避けてたっスもんね!」
さっきのケビンさんの活躍を思い出して、嬉しくなって来る。
「おうよ!
だがなぁ、アリーエルスラスターのすげぇのは移動や回避だけじゃねぇ!
その超スピードを生かして、
1部隊程度なら、簡単に、それでいて徹底的に沈黙させるくらい、
すげぇ殲滅力すら発揮してくれんだ!」
相当、説明が楽しい様で、熱の
バシバシとオイラの肩を叩いて来るケビンさん。
「ただなぁ……。
大量に
長い事は使えねぇのがネックなんだよなぁ……。」
と、ちょっと
ケビンさんが鼻を指で
「まあ、色々言ったが、
ラーゼンレーヴェの本体
超高機動化させる事ができる兵装って覚えりゃ良い。
燃費は悪ぃが、防御にも攻撃にも奇襲にも使える万能兵装だ!
これ以上の詳しい原理は聞くな。
マカロニ辺りに聞くと詳しく教えてくれるだろうが、
頭が痛くなるだけだろうから止めた方が良いぜ?」
と、分かりやすく
軽く
「なるほど、なるほど。
まあ、頼りになるのが分っただけで、
原理とかは分らなくてOKっスよ。」
うんうんと頷いてから。
「あと、戦闘の最後の方で使った、
オサフネとかいう、超巨大なレーザーセイバー!
アレは、なんだったんス?」
と、最後に聞こうと思ってたラーゼンレーヴェの、
今戦闘、最後の謎を聞くと、
「やっぱ、それは気になるよな!」
と、デラ笑顔で、ニシシと笑ってから、
「あのオサフネは、
相棒のラーゼンレーヴェの最大火力で、
さっき見せたみたいに、ザヌス程度なら、
一気に、2機くらい、簡単に真っ二つにできるし、
そもそも、あれで最小攻撃範囲と、
最小威力ぐらいしか出して無いていうな!」
と、熱く語るのが嬉しそうに、
オイラの背中をバシバシ叩きながら話を進めるケビンさん。
「ま、消費
中々、乱発はできねぇけど、
威力は、ホント、折り紙付きだぜ?
いざという時は、頼りにしてくれや!」
と、更に、バシバシとオイラの背中を叩きまくるケビンさん。
「ちなみにオサフネの本来の名称は、
ビゼンオサフネとか言うらしいけど、
長ったらしいから、オレはオサフネで通してるけどな!
もう、この呼び方に、
と、
「了解っスよ!
まあ、ラーゼンレーヴェは、今回の戦い方みたいに、
サポート機の、ユリンさんのエンジェルシードと一緒に戦うと、
凄い、効率良さそうなのだけは分かったっスよ!」
うんうんとオイラが頷いていると、
「ハイ! ハイ! ハイ! 次、私! 次、私!」
と、ユリンさんが意気込んで言って来る。
「じゃあ、ユリンさん、お願いっスよ。」
ユリンさんを
「ハイ、ハ~イ!
トロイメンカッツェのヒロイン!
エンジェルシードの専属パイロット、ユリン=エメラルドちゃんで~す!
よ~ろしく~!」
うん…何となく分っていたけど…。
この人…妙にテンション高いわ…。
「え~っと。うん、よろしくっス。
で、ですね。さっきの戦闘中、ユリンさんのエンジェルシードが、
「それ聞きたいよね⁉ 聞きたいよね⁉
ユリンちゃんのエンジェルシードの秘密、聞いちゃいたいよね⁉
OK、じゃあ、答えちゃいましょう!
エンジェルシードのバックパックには、ラジエールコンデンサーって言って、
エンジェルシードに搭載されているオリジナルラジエールエンジンで、
発電した
必要な時に他の
「おお、それ、凄い便利な装置ですね。
アリーエルスラスターで超性能だけど燃費の悪いラーゼンレーヴェとかと、
一緒に運用すると、すっごい戦力になりそうっスね!」
「でしょ? でしょ?
さらに、バックパックには、
各種、レーザーマガジンやバレットマガジンも搭載されていて、
味方のマガジン対応の武器の弾薬を補給しまくりんぐなのよ!
どよッ! この超性能!
ユリンちゃんのエンジェルシード!
凄い! カッコイイ!
そんなエンジェルシードを手足の様に扱えるユリンちゃん、天才!
マジ、ゴッド! こんな私を愛しちゃう!」
ドヤッ!って顔でユリンさんが鼻息も荒く言って来る。
「う…うん、凄いと思うっスよ。」
ユリンさんの勢いに押されるオイラ。
「でね! でね!
エンジェルシードの
左腕から
修理する対象の
損傷してない部分を切り取って、
被弾した部分の上に切り取った装甲を貼って、
プラモデルのパテ埋めの様に伸ばして損傷箇所を応急修理できるのよ!
皮膚の移植みたいな感じだね! どよ! マジ、パネェでしょ?」
「え…ええ…凄いっスね。」
ユリンさんの高いテンションの勢いに、
頷くしかできないオイラ。
「でも、戦闘中から思っていたけど、
ロクスリー君って、結構、カワイイ顔しているよね!」
「そうっスかね?
自分で自分の顔を見る分には、普通っぽく感じるっスけど?」
ユリンさんの指摘が、ちょい納得行かなくて聞き返す。
「大丈夫、大丈夫!
ロクスリー君、かなりイケてるよ!
ちょい情けない感じが、ネコやらせると映える感じなんだよね!」
「ネコ?」
ユリンさんの言葉が理解できずに聞き返すと、
「そそ!
ロクスリー君がネコで、マカロニ立ち!
うはッ! これ、良いんじゃない!?
良いよ! 良いわよ! 最強だよ!
思わず萌えちゃう! ハァハァ……ッ!」
と、何やら興奮冷めやらぬ様子⁉
「ヤバイ! ヤバ過ぎ! デンジャラスッ‼」
そう叫ぶユリンさんの
赤い
「ちょ……ッ⁉」
ユリンさんの前に居たオイラの顔面に、
ユリンさんの
「ハァハァ! 最強!
このギシアン、最強なんですけどッ⁉」
なおも謎発言をしつつ、
鼻から赤い
「ええい! オマエのその病気は、ええ加減、治らんのか⁉」
ミケさんが、どこからともなくハリセンを出し、ユリンさんの後頭部を強打する!
「はわっ⁉」
ミケさんのハリセンの一撃で、
頭に上った血の循環が正常に戻ったのか、
ピタッとユリンさんの鼻からの
「ハッ⁉ 出してない! 出してないよ⁉
花も恥らう純情乙女のユリンちゃんが、
鼻血なんて出してないよッ⁉」
どうも、ユリンさん的に、
本当は、鼻血はアウトらしい。
でも、ユリンさんは、
何を
ここまでのユリンさんとの会話で明白なワケだが。
ってか、せっかく今まで、
女性だし気を使って、ぼやかして、
鼻血って描写しなかったのに、
ユリンさんがダイレクトに言っちゃったよ⁉
てか、オイラ、顔面、血まみれなんだけど。
この真っ赤な塗装が鼻血で構成されているという事が、
精神的に、もっと大惨事っていう……。
「うん、まあ、その、
だいたいどういう人か分ったので、
チェンジでお願いします。」
とりあえず、ポケットのハンカチで、
鼻血を
「うわ~ん!
純情乙女なのにチェンジ食らっちゃったよ!」
ユリンさんが嘆いているが、
正直、鼻血を被ったオイラが嘆きたい。
「では、トリはボクですかね?」
マカロニさんが、中指でメガネをクイッと上げながら言って来る。
あ~。この動き、もう何度かやっているよね、この人。
多分、クセなんだろうね。
「ほいさ、オオトリ、お願いですよ、マカロニさん。」
「ええ、では。
トロイメンカッツェのメカニック兼、
専属パイロットのロイド=ノーマンです。
チームの皆さんからは、マカロニと呼ばれています。
メカニックの力が
ご一報を。よろしく、ロクスリー君。」
マカロニさんが、ニッコリと笑顔を向けて握手を求めて来る。
「ほいさ。よろしくですよ、マカロニさん。」
こっちも笑顔と握手を返す。
「しかし、今回、
ミケさんが強奪したシュタイガーンバオアーは中々のモノですね。
特に、
胸部も、出るところは出つつ、
それでいてスレンダーな
また、首周りの肉厚でありながらスマートなボディーライン!
素晴らしい! ハァハァ!
何とも素晴らしいボディーラインです!
もう、思わず
何だか、ヒートアップしてらっしゃるッ⁉
「あ…うん…ええっと…。
とりあえず、落ち着きましょう、マカロニさん……。」
「ハッ⁉
ボクとした事が、ついつい熱くなってしまいました。
すみません。どうも、メカの事になると、
熱くなってしまうクセが抜けないんですよね。申し訳ない。」
うん、メカニックとの事だけど、
できるだけマカロニさんにはメカの話はしない方が良さそう。
「さぁ、一通り、自己紹介も済んだとこで、
そろそろ乾杯と行こうか!」
ミケさんが右手を突き上げて言う。
「よぉ~し、酒だ、酒! 酒持って来~い!」
バーダックさんが、まだ飲んでないのに、
もう酔っぱらった様な
この人、お酒好きっぽいね。
「艦長、あんまり飲みすぎないで下さいね。
艦長が、また酔い潰れたら、介抱するの、ボクなんですから。」
リッドさんがバーダックさんに釘を刺す。
「ハイ、ロクスリー君、どうぞ。じゃんじゃん飲んで。
今日は、君が主役なんだからね。」
と、セリアさんが、コップを渡してくれる。
「これは?」
「シャンメリー。
シャンパン味のジュースね。
まあ、お酒は20歳になってからで。
でも、パーティーの雰囲気は出るわよ。
いっぱいあるから、じゃんじゃん飲んでね。」
「ハイっス!」
「よーし、特攻隊長、ケビン=ブロッサム!
駆けつけ一杯、一気行くぜ!」
ケビンさんが、
ビールと思われる黄金色の液体をコップについで、一気にあおる。
「クゥー!
満面の笑顔のケビンさん。
「こら!
ケビン、オマエも未成年やろが⁉
未成年が、勝手に酒を飲むんやない‼」
ミケさんがケビンさんを
「あ…
イイッ! イイですッ!
もっと
と、ケビンさんが、身震いしつつ、何か口走ってらっしゃるッ⁉
「もっと!
もっと、激しい言葉で、お願いします!
息も荒く、何か良くわからない
ミケさんにするケビンさんッ⁉
アナタだけは、ミケさんと並んでマトモだと思っていたのにッ⁉
「フフフ…ケビンをネコで、ロクスリー君、立ちってのもアリアリだね!
うはっ! これもイイッ!」
と、ユリンさんも、早くもお酒が回っているご様子⁉
「内部は弄ってはいけないとの事ですが、
外装の修理を任されたという事は、
シュタイガーンバオアーの、あのスレンダーボディーの全身を、
舐めるように調べ尽せるという事!
ああ、あの
何やら、マカロニさんも、酒が回った様で、興奮気味ですよッ⁉
「
もっとなじって
ケビンさんも、ノリノリなんですけどッ⁉
「え~い!
ここは、どこの
うち一人じゃ
ミケさんも、変態3人衆に苦戦気味のご様子…ッ⁉
天国の、父さん、母さん、
トロイメンカッツェは、変態さんたちの
濃すぎて、どう対処して良いか分かりません!
こんなところに入って、オイラ、これから、どうなっちゃうんでしょうかッ⁉
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