第2話 神滅の月一日・血の地獄
我は今まで、既に残虐な光景に慣れたと思う。しかし、そういう考えを持つ我、甘すぎだった!
目の前に、広い池、イヤ、沼だった。緑色な不明液体の中に、様々なすでに腐っている魔物の残骸が浮かんでいる。水面に白い煙が漂っている。肉が腐った悪臭がこの段階に充満している。
沼の岸辺に、無数な魔物が互いに殺し合っている。血肉だけではなく、目、内臓、骨まで飛び散っていた。既に、様々な色の血に染め上がってしまった。
下の段階に戻るか? 続けて進むか?
こう考える時。ある魔物がこっちに向かって来た。頭がオスの鶏、背中にドラゴンの翼が生えている。さらに、後ろに生えている長いヘビのしっぽ。間違いない、こいつはバジリスクだ! ランク6の魔物だ!!
すぐ階段に逃げたいが。もう遅くなってしまった。
バジリスクにくちばしで啄まれていた。まだ食べられるか? それなら、火竜ムスビールはお前の手本だった!
突然、バジリスクの後ろから、何かが飛び出した。深い紫色の体毛が覆われた体と三つの頭を持つ犬。これは、ケルベロスだ!!
ケルベロスがバジリスクの首にかみついた。青い血が飛び散る。バジリスクが痛みでくちばしを開け、悲鳴していた。
我はその慣性で沼に落ちてしまった。
まずい!! また生と死のサイクルが始めた!!
……
アレ? 何も起こらなかった? ひょっとして? 状態確認!
【ナクラログ864年、神滅の月1日、14:01:09、リグナクス地下大迷宮B7 HP:295 状態:正常】
正常! つまり、この緑色の液体は、毒なの!!?
ラッキー! 毒耐性はLVMAXので、毒を無効化したよ!!!
しかし、この臭い!! もうダメ!!!
また苦い胆汁を吐き出した。
息を耐える。残骸を見ない! 早くマップ探索!上がる階段!
【上がる階段:12時間方向1.5キロメートル】
良かった!! 近い!! 早く上がらないと、もう耐えないよ!! そして、この階段は沼の真ん中に? 沼心の島か?
それなら、行きます!!
あぁぁ…… ヘビの体で初めての泳ぎ。こんな毒と悪臭の残骸ばっかり毒沼の中なんて。泣きたいよ!!
毒沼に前へ泳いている。両側の岸辺に、魔物たちの殺し合いが続いて、悲鳴がこだましている。正しく地獄だった!!
少しい間に、目的地に着き、階段が現れていた。しかし、あそこは、二匹の魔物が殺し合っている。
一匹はケルベロス、もう一匹はライオンみたい黄色い体毛が体に覆われる。しかし、その面はライオンじゃない。さらに、体毛の下に、黒い横縞が入ている。これがライガーだ!!
ライガーがケルベロスに飛び出し、押し倒していた。さらに、その大きな口で一つの首を噛み切った。ライガーがその首を咥え、向こう岸に飛び込んでいた。残ったのは、血の海に倒れたケルベロスだった。
これが、弱肉強食よね!! この段階の光景を見て、生き残る決心がもっと強くなっていた。
当面の急務は早く上に上がることだ!! このチャンスで、階段を登ろう!
『オレを殺す。お願い、殺してくれ!』
これは? ケルベロスの声? 直接脳の中に伝えていた。
『我にあなたを殺したいか?』
『そう!このままに死を待ちたくない!』
『わかった。でも、あなたの心臓は我の食糧になった。構わないか?』
『興味深いヘビだな! 構わん、お前に好きにしろ!』
正直言うと、朝からもう半日が経っていた。さらに、先程、胆汁を吐き出してしまった。お腹がもうペコペコだった。なら、それ以上の考えは意味ない。彼の願いを叶えよう!
ケルベロスの傷口から体に入る。すぐ心臓を見つけた。種族によって、内臓の位置が違うことを理解していた。
『我はすでにあなたの心臓に着た。遺言はあるか?』
『本当に面白いヘビだ。もし生まれ変われるなら。あんたとひざを交えて話し合いたいな!』
生まれ変わるよね! 皮肉だが。かつての我は転生課の課長だったよ。残念、今はそんな力がなかった。
『わかった。その願い、いつかきっとかなえてあげよう! そして、我の名はウラエウスだ。魔王ウラエウスだ!』
『魔王か。悪くないな!なら、お願い!魔王ウラエウスよ!』
毒霧!連続発動!!!
毒煙と違い、体から高濃度の毒霧を次々と放出していた。
【スキル毒霧LV2に上がりました】
【スキル毒性上昇LV2に上がりました】
…………
【スキル毒霧LV10に上がりました LVMAXになりました】
【スキル毒性上昇LV10に上がりました LVMAXになりました】
【ケルベロスが死亡しました。EXP10800を獲得しました。レベルが67に上がりました。種族レベルが18に上がりました】
もういいようね。きっとあなたの願いをかなえあげる。安心して、眠れよ!
そして、食糧として、心臓を頂く。
…………
彼の体から出ていて、続けて階段を登っている。しかし、胸の中に苦しい感覚がどんどん強くなっていた。
弱肉強食は、我の想像より、遥か残忍なことだった!!
もう迷う時間がない! 早く、上に上がる!! もうすぐ地下六階だ。
何よ!!! ここは!!
階段周りの地面以外、全部見渡し限り果てしがない深淵だ。
ここに落ちたら、あの毒の沼に戻るよね。
それは畏れない。しかし、進む道はここまでか!!
「ホウイ――――!」
また鳥なの? 一体どこから? 上!
既に遅かった。上に見る時。ある鳥の爪に掴められてしまった。すぐ飛んで行った。
こちらから見えるのは下の部分だけ。茶色の羽に覆われている。猛禽なの?
どうやら、このまま巣に帰り、後でゆっくりと食べたいよね。
なら、巣に着く時こそお前の死期だ! 後で別の方法を考える!
猛禽が前へ飛んでいる。深淵がずっとずっと続いている。
もし人間の冒険者がここに攻略する時。次の段階にどうやって下がるかな? まぁ、下りない方がいいよ! あの地獄を二度と見たくない!
あれが! 陸だ!
ほぼ一時間を過ごし、やっと陸が見えた。
後はこいつの巣に行くか? それとも、ここで始末するか?
一応、マップを確認しよう。 マップ探索!上がる階段!
【上がる階段:7時間方向500メートル】
近いよね! なら…… 待って! あれは!
真正面から猛禽より大きい魔物が飛んで来た。短い真っ暗な体毛、尖った耳。大型コウモリだ!
猛禽もコウモリのことを気付いたらしい。速度を上がり、攻撃の態勢でコウモリに突進している。
「――――――!!」
この耳障りな音は一体!! 頭が爆発するよ!!!
血が口と目、そして鼻から湧き出してしまった!
新しい死に方よね。勉強した。そんなことを言えるものか!!!
早く我を放せ!! 喧嘩なら他人に迷惑しないでくれ!!!
これは、コウモリから放出した超音波みたいなスキルだ。
でもよ、どうして猛禽が大丈夫そうなのよ!!! こっちは死んじまったよ!!!
「――――――!!」
お前もできるのか!!!
今回は猛禽から超音波を放出していた。どうして猛禽のお前もできるか!!
血がもう一度湧き出してしまった。このままじゃダメだ。
一か八か! 毒霧で賭けよう! いくら倒しても、爪を放せばいい! 毒霧発動!!
体から毒の霧を放出していた。猛禽の周りに霧で何も見えなくなった。
ようし! 早く放して!!
「――――――!!」
この時に、コウモリがもう一度超音波を放出していた。予想外のことが起こった。
超音波と霧に接触瞬間に、霧を一点に集めた。急に黒い気刃のように、我を掴める爪に飛んで来た!!!
「ツー!」と猛禽の爪を斬っていた。
ようし! わけわからないが。成功したよ!!! 後は地面に降りる。
高すぎよ!!!
【スキル毒音波LV1 習得しました】
…………
空から急速で地面に降り、無事で生還することは無理よ。でも、我は不死身だった!
しかし、あんなこと、二度と体験したくないよ!!
新しいスキル、使ってみよう! 毒音波発動!!
先と同じように、黒い刃が急速で前へ飛び出していた。
これ、意外にいいスキルよね!!
上がる階段が既に目の前に現した。早く登ろう!!
次は地下五階だ!!
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