【オンライン】373話:勝ちを掴む為の一歩目⑤
大々的に宣伝をしてもらって、僕等を密かに攻撃してくるようなら少し警戒する必要があるけど、それだけの相手ってことだし、完全に妨害をしてくるようなら、その程度でしかない敵で、後々が楽になる。
何もしてこずにラコスを切り捨てるようなら、こっちは楽に動けるし、ラコスは僕等の手に落ちたも同然となるだろう。ただし、警戒レベルは引き上げないとダメそうだけどね。
「広告の準備はバッチリですよ」
アンさんとカミルさんが大量のポスターを部屋の奥から取り出してきた。
〈本当に準備が良いね。助かるけどさ〉
「やるとしても、次のお休みの時でしょう? 今から宣伝しておくの?」
〈相手方にも準備が色々とあるだろうからね。動いてくれる方が僕等としては有難いんだよ。罠に嵌めやすくもなるしね。こっちの狙いに気付かれて無ければ、だけどね〉
表立って敵対をしている訳じゃあないけれどね。
敵達には目障りなほど、住民達と仲良くなってしまえば良いだけ。
僕等はラコスで親睦の為に恥ずかしい思いをしてまで、ラコスの人々に楽しんでもらえるように全力を尽くすだけで、敵さん達の邪魔が出来るし行動を起こしてもらえれば、不信感が住民達に行き渡って不満が溜まり易くなる。
どこまで浸透するかは分からないけど、新大陸の方にまで噂が広まれば良いな程度だ。
「俺達はとにかく歌の練習と動きの確認をしないといけなくなったがな」
〈頑張ってね。僕だって曲を少し練習しないといけないんだからさ〉
姉さんからの情報だと、知っている曲だからそこまで難しい事は無いそうだけどね。
「はぁ~い、シャープちゃんから連絡が来たんだけど。ステージ衣装を用意してくれって頼まれたのよ。何をやるつもりなの⁉ 私にも教えなさいな」
ケリアさんが勢い良くドアを開いて入って来た。
「……お店は大丈夫なのでござるか?」
「んもぅ、お友達の一大イベントと聞いて手を貸さない訳ないじゃない」
「ケリア様、こちらがスノー様達による公演になるそうです」
素早くアンさんがケリアさんに詰め寄ってポスターを開いて見せる。ちゃんとティフォがメインで写っている方の絵をしっかりと選んでいる。
「なるほど、歌姫がティフォちゃんなのね」
「姫じゃないぞ⁉」
「でもティフォナんは女物しか着れないじゃん」
シュネーが悪びれも無く言うと、ティフォは言葉を詰まらせてしまった。
「んふふ、こういう感じの衣装なら私に任せなさいな。最高の機能を付けた服を用意するから待っていてちょうだい、まだ公演日は決まってないんでしょう?」
〈少なくとも、次の連休までは練習ですね〉
「ゴールデンウイークに間に合わせればいいのね。任せてちょうだい」
「ケリアさん。せめて俺のはカッコいい感じにして欲しんだけど」
必死に頼み込むティフォだが、ケリアさんは優しくティフォの肩に手を置いて微笑む。
「残念ながら、ティフォナスちゃんに似合うモノだと、何処かに可愛らしさが入っちゃうわね。格好良い洋服にしちゃうと……ちょっと声のイメージに合わないのよね」
そこでタイミング良く姉さんから、どんな曲をやる事になるのかっていう情報が届いた。ティフォに歌わせるのは、ポップで可愛らしい曲を歌わせる気らしい。
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